臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

「脳死」は人の死ではありません。「脳死」からの臓器摘出に反対します。臓器移植以外の医療の研究・確立を求めます。

公立福生病院透析中止事件 第1回民事裁判報告の集い(2020年7月22日)

2020-06-30 13:38:07 | 活動予定

公立福生病院透析中止事件
第1回民事裁判報告の集い
~医師による「死」への誘導は許されない~

 

 公立福生病院透析中止死亡事件の民事裁判が始まりました。亡くなった女性の遺族は、「死に方が不自然で腑に落ちない。透析の再開を求めたのにどうして再開してくれなかったのか?」と訴えています。病院側はこれに対してどう答弁するのでしょうか!?

 この事件は、透析患者や市民に不安と動揺を与え、病院への不信も抱かせました。一方で、日本透析医学会は、透析を中止して患者を死亡させた公立福生病院の医療行為を追認し、「透析見合わせ」の対象を拡大する提言を発表しました。

 集いでは、弁護団からの裁判報告、終末期でない患者への透析見合わせ容認という医療の変質を問い、問題提起します。どうぞご参加ください。

 

第1回口頭弁論
●2020年7月22日(水) 13時15分~
●東京地方裁判所712号法廷 
(東京地裁は新型コロナウイルス感染症対策により傍聴席を3分の1程度に減らしています。傍聴は先着順となる予定です)

 

公立福生病院透析中止事件 第1回民事裁判報告の集い
●日時:2020年7月22日(水)14時30分~16時(14時より衆議院第一議員会館入り口で通行証を配布します)
●会場:衆議院第1議員会館 多目的ホール(1階奥)

【集いプログラム】

▼第1回裁判報告
 公立福生病院事件弁護団・内田明弁護士

▼原告からのメッセージ

▼日本透析医学会提言を批判する
 冠木克彦弁護士

 抗議声明提出団体から

▼参加された国会議員挨拶

 


〈公立福生病院透析中止事件とは〉
 2018年8月9日、腎臓病を患う44歳の女性が、透析に使う血管の分路(シャント)が詰まったため、公立福生病院腎臓病総合医療センターを受診。担当医は、首の周辺に管(カテーテル)を入れて透析を続ける治療法と透析をやめる選択肢を提示し、やめれば2~3週間程度の寿命となると説明した。

 女性は医者が示した「透析離脱証明書」にサイン。これには、透析を再開できるとの項目はなく、医師からの説明もなかった。

 8月14日、女性は容体が悪化して同病院に入院し16日に亡くなった。その間「こんなに苦しいなら透析したほうがいい。撤回する」と透析再開を求め、夫も医師に透析再開を訴えたが、担当医はこれに応じず、大量の鎮静剤を投与し、女性は亡くなった。担当医は「清明な時の意思に重きを置いた」という。

 同病院では、腎センターが開設された2013年4月から2019年2月までの間に透析中止で4人、最初から透析をしない(非導入)の 患者が約20人死亡していたことが、東京都の立ち入り検査で明らかになっている。

 夫は「透析再開の訴えを聞いてもらえなかった。無念だ。妻にはもっと生きていてほしかった」と、2019年10月17日、東京地裁に提訴し係争中。

 

 

裁判支援カンパ(当面の目標額50万円)を集めています。以下の振替口座に振り込みをお願いします!
郵便振替口座 00240-6-90199(ゆうちょ銀行 〇二九店 当座 0090199) 加入者名:公立福生病院事件を考える連絡会

 

主催 : 公立福生病院事件を考える連絡会
電話:080(6532)0916
e-mail:fussaren@以下にyahoo.co.jpをつけて送信願います(迷惑メール対策のため変則表記)


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第15回市民講座の報告(2019年11月10日) 2-1 活発化する新たな臓器作り、その問題点とは?

2020-06-14 18:46:07 | 集会・学習会の報告

第15回市民講座講演録
 
日時:2019年11月10日(日)午後2時~5時 
会場:江東区亀戸文化センター(カメリアプラザ)第2研修室 
 
 
講演  天笠 啓祐さん (ジャーナリスト/市民バイオテクノロジー代表) 
 
≪活発化する新たな臓器作り、その問題点とは?≫ 

 


    
【天笠啓祐さんのプロフィール】 1970年早大理工学部卒、雑誌編集長を経て、現在、ジャーナリスト、市民バイオテクノロジー情報室代表、日本消費者連盟共同代表、DNA 問題研究会会員。主な著書に『ゲノム操作食品の争 点』(緑風出版)、『地球とからだに優しい生き方・暮らし方』(柘植 書房新社)、『遺伝子組み換えとクローン技術 100 の疑問』(東洋経済新報社)、『この国のミライ図を描こう』(現代書館)、『暴走するバイオテクノロジー』(金曜日)ほか多数。 

【講演概要】
 ゲノム編集と iPS 細胞(人工多能性幹細胞)、それに動物を組み合わせることで、 従来とは異なる臓器づくりができることから、新たな臓器移植に向けた動きが活発になっている。従来の臓器移植は、基本的に人間から人間への臓器や組織の移植である。最近は、それに代わる新たな動きが強まってきた。それがゲノム編集、iPS細胞、ES細胞、そして動物の利用の組み合わせである。これまで異 種移植では、拒絶反応の問題に加えて、豚などに内在するウイルスの人への感染が問題になってきた。そのいずれもが、ゲノム編集技術の登場で解決の道筋が見えてきたというのである。iPS 細胞や ES 細部を組み合わせることで、動物に人間の臓器を生産させることも可能になってきた。しかし、そのためには人間と動物のキメラを作るという生命倫理上の大きな問題が出てくる。臓器移植の世 界が、これまでは踏み込んでこなかった領域に入り始めたといえる。それに伴い、 移植臓器の幅も拡大しそうである。それは新たな問題を生じることにもなる。

 

目 次 
【講演】活発化する新たな臓器作り、その問題点とは? 
はじめに
1,生命操作の現状
2,ゲノム編集とは?
3,ES 細胞から iPS 細胞へ
4,動物性集合胚とは?
5,変わる臓器移植の世界
6,では何が問題か?
【質疑】 


活発化する新たな臓器づくり、その問題点とは? 


講師 天笠啓祐さん 
あまがさけいすけさん はじめに

 私は、ジャーナリストとして生命操作問題に取り組んできましたが、同時に市民運動としても取り組んできました。出発点は 1972 年に創刊した『技術と人間』という雑誌にあります。その中で、環境問題や原発などと並び、医療問題、遺伝子組み換え問題などに取り組んできました。その後、1980 年にスタートした DNA 問題研究会で、一緒に立ち上げた福本英子さんなどとともに、遺伝子組み換え、脳死臓器移植問題、体外受精など、バイオテクノロジーと人間とのかかわり、社会とのかかわりを追いかけ、取り組み、いまに至っています。また、臓器移植法を問い直す市民ネットワ ークの連絡先になっている日本消費者連盟の共同代表、遺伝子組み換え食品いらないキャンペーンの代表にもなっています。最近では、ゲノム編集技術の問題点やその応用の危険性について訴え続けています。 
 本日は「活発化する新たな臓器作り―その問題点とは?」というテーマでお話しします。臓器移植の最前線は、以前と比べて大きく変わったと思います。私もこれまでは、バイオテクノロジーによっていのちを操作するのはそう簡単にはいかないと言い続けてきたのですが、それが ES 細胞の登場、iPS 細胞の登場、さらにゲノム編集技術が登場することで、さまざまな操作が可能になり、大きく変わったとい う印象をもっています。新たな臓器移植は、さまざまなバイオテクノロジーの応用が進み、それらを組み合わせることで可能になりました。そのため、そのさまざまなバイオテクノロジーの数々を紹介したいと思います。これら一つ一つが、新たな 臓器移植にかかわり、かつ今後はさらに活用され、範囲も広がっていくことになりそうです。 
 
                               

1、生命操作の現状 
さまざまなバイオテクノロジー(生殖への介入が当たり前に)
 さまざまなバイオテクノロジーがあります。とくに出生にかかわる操作の展開が活発です。そのひとつ生殖操作に関して見てみますと、人工授精から始まりましたが、とくに体外受精の段階で大きく変わったといえます。これによって操作の範囲 が一挙に拡大しました。体外に卵子を取り出し受精卵を作り出すことができるようになったからです。精子銀行、卵子銀行に加えて、受精卵の凍結保存もできるようになりました。X 染色体と Y 染色体の重量差を利用した男女の産み分けもできるよ うになりました。受精卵移植は、体内で受精したものをいったん体外に出して行います。受精卵が体外で作られたり、取り出したりすることで、代理出産が可能にな りました。代理出産は女性に大きな負担をもたらしています。
 受精卵の凍結保存では、こんな問題も起きました。オーストラリアでのことです、 体外受精のため受精卵の凍結保存を依頼していた金持ちの夫婦が飛行機事故で亡くなったのです。このとき、残された凍結受精卵に相続権があるか否かと大きな議論になりました。大金持ちでなければ議論が起きなかったと思います。キリスト教の世界では、受精の際が生命の始まりということもあるため、大きな議論になりましたが、最終的には相続権なしという判断に落ち着きました。このような形で宗教的に、倫理的に、社会的に問題を引き起こしてきました。
 精母細胞、卵母細胞があります。精子や卵子の基になる細胞ですが、これも体外で培養し操作できるようになりました。するとこういう問題が起きました。これはネズミのケースですが、人間にあてはめて考えてみてください。雄と雌の死亡した胎児のネズミの精母細胞と卵母細胞を取り出し培養して精子や卵子をつくり、受精して代理出産させました。そこで生まれてきた子は、精母細胞・卵母細胞を提供し たラットは死んでいますので、死んだ胎児の子どもが生まれたことになります。こ の世に生まれなかった親の子どもということになります。これを人間に置き換えて考えると、大変に深刻な問題を投げかけます。 

 
 
生殖への介入は優生学的世界観をもたらす
 生殖への介入は優生学的世界観をもたらします。その代表がデザイナー・ベイビ ーあるいはパーフェクト・ベィビーといわれるものです。
 
望む子どもを産みたいという要望があり、精子銀行や卵子銀行が登場し、陳列棚に並ぶように商品化されていくのです。どの精子とどの卵子を組み合わせるとどんな子どもが生まれてくるかがわかるようになり、望む子どもや理想的な子どもを作ることができるようになりました。このことが優生学的な世界観の基板になっていきます。スポーツ分野では、世界記録を生むスポーツ選手になれる子どもにと、デ ザイナー・ベイビーで相方を見つけ出す動きも出てきています。このように、人間における「品種改良」の動きがあるのです。
 優れたスポーツ選手づくりで、遺伝子レベルでできるようになってきたものに、 遺伝子ドーピングがあります。筋肉量を抑制すると筋肉もりもり人間が生まれます。例えば、社会主義国の人が愛国心を盛り上げるためにスポーツ選手のドーピングを行ってきましたが、これまでは主に、たんぱく同化作用を利用したものが多かった のです。たんぱく同化作用というのは何かというと、魚や肉、大豆とかのたんぱく質を食べると、胃や腸でそのたんぱく質は分解されてアミノ酸になり、吸収されます。そのアミノ酸が体内で再構成されてたんぱく質が合成され、体を構成するものになります。これをたんぱく同化作用といいます。その際、さまざまなホルモンが働きますが、特に重要なのが性ホルモンの働きです。男性ホルモンが働くと筋肉がついて男性らしい体になり、女性の場合は女性らしい体になります。そのため女性に男性ホルモンを投与するとたんぱく同化作用で筋肉質の男性的体ができます。男 性に男性ホルモンを投与すると、より筋肉質の体になります。ドーピングではそのような操作が多かったのです。 

 

生殖操作とあわさり、いのちの始まりへの介入が始まる
 このような操作もゲノム編集技術が登場することで、変化すると同時に生命への 介入も一段と進みます。本日はそれについてお話ししようと思います。

 

細胞操作 
  細胞融合とは、異なった細胞をくっつける技術です。植物の世界では進んでいて、トマトとポテトの細胞をくっつけたのがポマト。オレンジとカラタチをくっつけたのがオレタチですが、この技術は、例えばクローン技術などのさまざまなバイオテ クノロジーによる操作で活用されています。 
 そのクローン技術には、受精卵クローンと体細胞クローンがあります。前者は受精卵が細胞分裂を繰り返しますが、4 分裂になったときに、その4つの細胞をバラ バラにします。そうすると、それぞれの細胞が分裂を繰り返し、4つの個体が誕生します。同じ遺伝子のクローンが4つできるのです。この場合、8 細胞期くらいまでの初期胚の段階で分割しないとできないといわれます。
 それに対して体細胞クローンは、体細胞を使って行うクローン技術で、受精卵ク ローンに比べて大変に難しい技術です。1996 年にクローン羊のドリーが誕生しま した。除核した受精卵に体細胞を入れて細胞分裂させ、生命体を誕生させる技術で 。ドリーの場合は、雌の羊の乳腺の細胞を使って羊を誕生させました。そのため グラマーな女優のドリー・バートンから名づけられました。この体細胞クローン技術によって赤ちゃんを誕生させることは大変難しく、やっと誕生した家畜にも異常が多く長生きできないなど、問題が多く現在は行われていません。
 なぜうまくいかないのか。エピジェネティクスという概念が出てきて、理由が分かったわけです。遺伝子はいつも発現しているわけではなく、働いたり休んだりしています。その働いたり休んだりといったコントロールを行っているのは遺伝子で はなく、主に遺伝子を取り巻いているヒストンなどのたんぱく質です。
 私たちの体は受精卵から始まり、細胞分裂を繰り返します。受精卵の段階では、 全部の遺伝子が働いていますが、やがて臓器や組織に分化していきます。分化していく際に、例えば心臓を作るところで骨を作れと指令する遺伝子が働いていると都合が悪いわけです。そのように遺伝子は、細胞分裂とともにどんどん止められていくわけです。その際にヒストンなどが働きを止める目印をつけていくわけです。そ のエピジェネティクスの働きと遺伝子の働きがかみ合わないため、体細胞クローンの場合はうまく働かないということです。

 

キメラ 
 キメラはギリシャ神話に出てくる動物です。ライオンの頭、蛇の尾、山羊の胴を 持った怪獣です。異なる生物の細胞や組織が存在している生物のことです。羊と山 羊のキメラである「ギープ」が作られたことがあります。後でお話しする動物性集 合胚はこのキメラ技術です。これが今、積極的に活用される状況になってきました。

 

ES細胞、iPS細胞
 幹細胞と呼ばれる細胞の基となる細胞の利用には ES 細胞(胚性幹細胞)と iPS 細 胞(人工多能性幹細胞)があります。ES 細胞とは何かといいますと、受精卵がある程度細胞分裂が進みますと、胚盤胞期という段階になり、周りの部分と内部細胞塊に分かれていきます。周りの部分は胎盤を作り、中の部分が体を作り出すのです。その中の部分を取り出して培養すると無限に増殖する細胞になり、それにスイッチ を与えると心臓や肺になる。これを ES 細胞といいます。しかし、中から内部細胞塊を取り出すために受精卵を壊さなければならず倫理的に大きな問題に直面したわけです。最近になり、ES 細胞利用もゴーサインが出されており、倫理的問題も無視されてきています。
 それに対して iPS 細胞は、人工多能性幹細胞といい、体の中に細胞の基となる増殖する細胞(幹細胞)がありますが、それを利用しています。これを胚性幹細胞に対して体性幹細胞といいます。例えば血液を作る細胞のことを造血幹細胞といいま す。山中伸弥さんは、ES 細胞とこの体性幹細胞の遺伝子でどこが違うかを解析し たわけです、その結果、浮かび上がってきた4つの遺伝子に注目しました。その4つに遺伝子を組み換えると、ES 細胞と同じような細胞ができたわけです。それが iPS 細胞です。iPS 細胞は受精卵を壊さなくてもよく、そのため倫理的壁がないということで応用が進んできました。
 しかし、無限に増殖する細胞というところが問題で、それはがん細胞と紙一重なのです。遅々として進まない最大の理由は細胞のがん化が起きる可能性があることです。一度失敗すると iPS 細胞の応用が止まる可能性があるので、推進側も慎重に 進めてきましたが、最近はその慎重さが失われているような気がします。

 

遺伝子操作
  遺伝子操作の基本は遺伝子組み換えです。遺伝子組み換えとは、種の壁を越えて他の生物の遺伝子を挿入することです。犬と猫が仲良くても雑種はできなかったの ですが、犬の遺伝子を猫に入れることができるようになった。それが遺伝子組み換えです。遺伝子の「子」は単位を意味します。人間の遺伝子は約 22000 あるのです が、一つ一つの遺伝子を操作するのが遺伝子組み換えです。
 最近は、ゲノム編集が活発になり、遺伝子組み換えに置き換わりつつあります。ゲノム編集のゲノムとは、すべての遺伝子を指します。それを自由自在に編集・操
作できるようになったのです。遺伝子組み換えと違い、遺伝子を操作するスケールがはるかにアップしています。米国では遺伝子のライブラリーができていますが、 そこにそれぞれの生物の遺伝子情報が集まる仕組みになっています。人間の遺伝子 はほぼ解明され、研究者がデータを図書館に蓄積させているわけです。その遺伝子全体を操作できるようになりました。
 ゲノム編集技術とは、特定の遺伝子を壊す技術として登場しました。この遺伝子を壊したいと言うときにその遺伝子を壊せるようになったのです。米国にある遺伝子ライブラリーに「この遺伝子を壊したい」と注文すると、そこから壊す仕組みがセットで送られてきます。そこには交換条件があります。世界の研究者が遺伝子の情報をライブラリーに送るため、ライブラリーの情報が日々豊かになっていくわけです。遺伝子の情報を送ることと交換条件で、ゲノム編集のセットが、無料で注文すると送られてくるのです。これにより日々、さまざまな遺伝子が壊されているのです。遺伝子を壊すことで、さまざまなことが可能になりました。この技術がなければ新たな臓器移植はできませんでした。詳しくは後程お話しします。 

 RNA 干渉法(RNAi)という方法も応用が広がっています。DNAに遺伝子があり、その情報によりたんぱく質が作られていきます。そのたんぱく質が作られる流れをみてみると、DNA にある遺伝子の情報は、いったんRNA に移されます。RNAに移された情報が、アミノ酸をつないでたんぱく質を作る。DNA―RNA―アミノ酸 ―たんぱく質という流れがあります。ゲノム編集では DNA に乗っかっている遺伝子を壊しますが、RNA 干渉法は RNA に移された遺伝子情報を壊すことで、たん ぱく質ができないようにする方法です。
 米国にモンサント社という多国籍企業があります。現在はドイツのバイエル社によって買収されましたが、その会社が開発した RNA 農薬があります。外からばら まいて、吸収させて虫を殺したり植物を枯らす農薬を開発しています。昆虫を殺す農薬では、突然死をもたらすようにこの技術を利用しています。昆虫には突然死をおこす遺伝子があります。この遺伝子が働くと大変ですので、働かないようにする遺伝子もまたあるのです。外から RNA を撒いて、突然死を引き起こす遺伝子を抑 えている遺伝子を壊すのです。そうすると虫が死ぬわけです。人間と昆虫は神経シ ステムが同じなので人間が被曝すると同じことが起きる可能性があり、大変なことになります。 

合成生物学
 生物を人工合成しようという動きがあります。研究者は「生命とは何か?」を解明しようとして、さまざまな手法で取り組んできました。これまでは地球、森林、木、 細胞、DNA といったように、より細かく見ていくと生命の本質がわかると思ったのです。しかし DNA が分かったのに生命が何かがわからなかったわけです。次に考えたのが、これまでとは逆に DNA から生物を作り上げていくことで生命を解明 しようと考えました。その学問が合成生物学です。

合成生命の誕生 
 生物の合成を目指して動いている人物の一人が、 J.クレイグ・ベンターです。1990 年代に人間の全遺伝子を解読しようという「ヒトゲノム解析プロジェクト」があり、実際に解析されました。それを記念して2000年代初め、米国のホワイトハウスで、当時大統領だったクリントンが記念イベントを行いました。そのときに列席したの が、この J.クレイグ.ベンターです。人間の全 DNA を解析した人物です。今何をやっているかというと、生命を作りたいと取り組み、2015 年にその端緒になるものを作りました。
 まだ初歩的な段階ですが、他の生物の人工合成した遺伝子で生きている生物を作り出したのです。用いた微生物は、「マイコプラズマ・ジェニタリウム」と「マイコプラズマ・カプリコルム」です。二つの種類のそれぞれの DNA を入れ替えて、 他の生物の DNA を持った微生物を誕生させた。これが第一段階。次に「マイコプラズマ・ジェニタリウム」の DNA を全部人工合成しました。これが第二段階です。そしてこの人工合成した DNA を「マイコプラズマ・カプリコルム」に入れたのです。これが第三段階です。これにより全DNA を人工合成して、しかもそれを他の 生物に入れて働かせたことになります。これこそがグレイク・ベンダーが作り出した人工合成生物なのです。さらにこのプロジェクトは、DNA を変更して入れることを考えています。
 人間の全 DNA を人工合成しようというプロジェクトも動き始めています。こういう世界を見ていくと、バイオテクノロジーはどこに行ってしまうのか、すごい世界になってきたなと思います。最近になって加速し始めた最大の要因がゲノム編集の登場です。

 

2、 ゲノム編集技術とは
クリスパー・キャスナイン(CRISPR-Cas9)法(2012年)
 ゲノム編集技術とは、DNA を切断して遺伝子を壊す技術です。この遺伝子を壊したいというと、指定して壊せるようになりました。この技術はもともと 1990 年代に登場しました。それが 2012 年にクリスパー・キャスナイン(CRISPR-Cas9)が 登場して、実に簡単になり、一挙に応用が広まりました。このクリスパー・キャスナインは、目的とした遺伝子を壊すために、その遺伝子までの案内役であるガイド RNA と、DNA を切断するハサミの役割をする制限酵素(キャスナイン)を組み合わせたものです。いわば案内役とハサミの組み合わせです(図)。 

ゲノム編集の仕組み
  ゲノム編集技術は、遺伝子をピンポイントで壊す技術です。目的の遺伝子の位置に誘導するのがガイドRNA で、DNA を切断するのが制限酵素です。この仕組みがクリスパー・キャスナイン法で 2012 年に確立するわけです。 このクリスパー・キャスナインの仕組みは細菌のウイルスからの防御システムを応用していますが、制限酵素を用いて DNA を切断して、遺伝子の働きを止めるこ とをノックアウトといいます。切断後、修復までの過程で遺伝子を導入することをノックインといいます。 


生命が持つバランスを崩す技術として登場
 遺伝子を壊すことで、さまざまなことができます。例えば、豚を例に考えてみたいと思います。成長を抑制する遺伝子を壊すと「大きなマッチョ豚」が誕生し、成長を促進する遺伝子を壊すと小さな「マイクロ豚」が誕生します。こ のように用いるのが、ゲノム編集です。生命が持つバランスを崩す技術が登場したと言うことです。意図的に障害や病気をもたらすことを意味します。私たちの遺伝子ですが、100%完全な人などいません。必ず傷を持っています。それがたまたま現れた場合、障害や病気になります。偶然によるものです。それを意図的にもたらすのが、ゲノム編集技術です。以前から遺伝子組み換え技術でノックアウ ト・マウスが作られていましたが、作成が難しくマウスだけでした。それがゲノム編集で簡単にできるようになり、さまざまな動物でできるようになってしまったのです。このノックアウト・ マウスは、疾患モデル動物として用いられてきました。
 マッチョ豚と私が呼んでいる、大きくて筋肉量の多い豚を、テキサス A&M 大学 (チャールス・ロング)が開発しましたが、その後、さまざまな研究者が開発してい ます。マイクロ豚は、通常の豚が 100kg 超あり、ミニ豚でも 30~50kg 前後ありますが、わずか 15kg 前後しかありません。これは中国 BGI(北京ゲノム研究所)がペ ット用に開発しました。成長ホルモン受容体を壊して作成しています。 

  テキサス A&M 大学が開発したマッチョ豚は筋肉の発達を制御する蛋白質「ミオス タチン」遺伝子を壊していますが、この遺伝子を壊す操作が増えています。日本でも京都大学が成長を早めた肉の多いトラフグやマダイを作成しています。 角のない牛も作られました。この牛は、米国ではゲノム編集技術の成果を誇る広告塔の役割を負っていましたが、問題が発見され、堕ちた偶像になってしま いました。

 

ゲノム編集技術とは
 ゲノム編集は、現段階では特定の遺伝子を破壊する技術として登場しています。どのように壊すのでしょうか。モノレールを考えるとよくわかります。レールが DNA、車両がクリスパー・キャスナイン(CRISPR-Cas9)と考えてください。壊したい目的のDNAにまで運転して到達させようと設計します。案内役がガイドRNA です。その案内役の指示に従って車両が走って行き、目的の場所に到達します。そ こで働くのが、キャスナインというハサミの役割をする制限酵素です。それが DNA を切断して遺伝子を壊すわけです。これがゲノム編集の仕組みです。切断したままだと細胞は死んでしまいますが、自然に癒着します。さらに切断した場所に DNA を入れることもできます。まだほとんど行われていませんが、これから盛んに行われるようになると思います。
 これまでの遺伝子組み換えの場合、遺伝子を導入するだけで、遺伝子を追加したに過ぎません。導入された側の生物の遺伝子はみんな働いているのです。そのため遺伝子組み換えという言葉は正確ではありません。組み換えではなく追加ということになる。しかしゲノム編集は切って壊したところに入れられる、文字通り組み換えが可能になる。これが臓器移植などに活用される話につながります。例えばネズミの皮膚を作る遺伝子を壊し、そこに人間の皮膚の遺伝子を入れる。すると、人間の皮膚をもったネズミが誕生する。塗り薬とか化粧品の毒性を見る際、いままでは 動物の皮膚を用いて行っていたのが、実際の人間の皮膚を使って反応を見ることができます。このように遺伝子の入れ替えができるのが、ゲノム編集の特徴です。

 

遺伝子を壊すことの問題点 
 実際に実験を行っている研究者は面白がっているのではないかと思うほどですが、生命を操作する問題を考えると、いつも思うのは、実験室でやっている単純さ と結果的に起きる問題点の大きさ、そのギャップが大きいと感じます。 
 
*意図的に壊してよい遺伝子などない
 問題点の第一は、意図的に壊してよい遺伝子などないことです。すでに述べまし たように、人間には完璧な遺伝子を持った人などいません。必ずどこか壊れているのです。それがたまたま体の形に表われたり、病気で表れるケースもあるが、それ はあくまでも多様性であり個性であり、意図的に壊していいものではないのです。 それを考えて欲しいと思います。 

 
*生命をもてあそび、複雑な生命ネットワークをかき乱す
 問題の第二は、生命をもてあそぶことです。生命は複雑なネットワークを作って います。NHK で「人体」「遺伝子」という番組を作られましたが、その番組をご覧 になった方でしたらお分かりだと思いますが、人体は複雑なネットワークを作っていて、臓器や組織、遺伝子がネットワークを作り、情報の交換を行っているのです。ある臓器で起きたことが、思いがけない臓器に働きかけるといった複雑な仕組みがあります。遺伝子でも同様で、複雑なネットワークを通してどんな問題が出るかわかりません。

*オフターゲット(様々な遺伝子を壊す)をもたらす
 それからオフターゲットと呼ばれる、意図しない場所の DNA を切断して遺伝子を壊してしまう現象で、これは必ず起きます。先ほどのモノレールの話を使って、お話ししたいと思います。DNA というレールを走っていく車両が、壊したいという DNA のところで止まるのですが、似たような構造をしたところも止まって壊してしまう現象です。ターゲットでない遺伝子を壊すことが必ず起きる。これが問題なんです。此の点に関しては、米国コロンビア大学、英国ウェルカム・サンガー研 究所、中国神経科学研究所、米国マサチューセッツ大学など、多くの研究所が報告を出しています。また豪州のアデレード大学などの研究チームは、オフターゲット がなかったという実験を再実験し、多数のオフターゲットを確認したと報告しています。英国サルク研究所はエピジェネティックな変異を報告しています。

*モザイクをもたらすことも分かっています。モザイクとは、ゲノム編集された細胞とされない細胞が入り乱れて細胞分裂を繰り返し、体を作っていく現象です。 これもまた複雑な臓器や組織の仕組みやネットワークにどのような影響が出るか わかりません。

さらには発がん性を増すことも分かってきました。クリスパー・キャスナイン は反応のスピードが遅いため、それをアップしようとしたところ、がん抑制遺伝子が抑制されてしまうことが分かったのです。これはスウェーデン・カロリンスカ研究所、ノヴァルティス社での研究で判明しました。いずれも効率を上げる研究をしていて、効率を上げるほど、がん抑制遺伝子を抑制することがわかったというもの です。

ついに 人間でも適用される 
 ゲノム編集技術の適用が、ついに人間でも行われてしまいました。中国でのことです。中国の研究者・賀 建奎さんが双子の赤ちゃんを誕生させました。エイズ・ウイル スに感染しない赤ちゃんということです。どういう操作をしたかとい うと、ウイルスが細胞に侵入する際の、足がかりを壊したのです。ウイ ルスは半生物といわれています。何かに感染していないと生きておられず、感染先 を見いださないと死んでしまうのです。ウイルスは感染先を見いだすと、その細胞にある足がかりを見出し、そこから侵入します。エイズ・ウイルスの侵入口は、 CCR5 たんぱく質と呼ばれるものです。その侵入口から細胞に入り、核の中の DNA に潜り込む。一定の潜伏期間を経て、ウイルスは感染先の人間の DNA を利用して 増殖します。そして細胞を食い破って出てくるのです。それが発病の時です。これがウイルス感染の仕組みです。このようにウイルスは何かに感染してないと生きていけないわけです。細胞にはウイルスごとに異なる進入口がある。
 この場合、父がエイズ感染者で母は感染者でありませんでした。そこには性差別も見られます。ロシアでもデニス・レブリコフが、同じ操作を行おうとしています。 この赤ちゃん誕生に関して、さまざまな問題点が分かってきました。まず西ナイ ルウイルスに感染しやすくなることです。インフルエンザが重症化しやすくなる ことも分かりました。脳の認知機能が改善されるという影響も分かってきました。 短寿命化も起きるようです。
 
この中で、認知機能に影響、改善されるという研究の話が出てきたことで、この 実験を主目的に行ったのではないかということも、指摘されるようになりました。ゲノム編集でプラスになるような優生操作的な話が出てきているのです。
 赤ちゃんは生まれたばかりなのに、なぜこのようなことが分かるかというと、 CCR5 たんぱく質の遺伝子が壊れている人が世界中に結構いるからです。 エイズが広がったときエイズ・ウイルスに感染しても発病しない人がいたのです。 いまはビッグデータの時代です。そういう人たちを調べ解析したところ、実はこれ らの問題点がわかってきたというわけです。 

 

2-2に続く


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第15回市民講座の報告(2019年11月10日) 2-2 活発化する新たな臓器作り、その問題点とは?

2020-06-14 18:45:10 | 集会・学習会の報告

2-1の続き

 

3、ES細胞からiPS細胞へ

ES細胞とiPS細胞
 重要なことは、これまでお話ししてきたことが臓器移植につながっていることです。中でも直接つながっているのが、ES細胞とiPS細胞です。ES細胞とは胚性幹細胞といい胚から作りだし、iPS細胞は体性幹細胞を遺伝子操作でES細胞と同 じような細胞にしたものです。ES細胞とiPS細胞は、無限に増殖する細胞で、さまざまな臓器や組織に分化しますが、がん細胞と紙一重の細胞で、慎重な扱いが必要であり、これまではあまりうまくいってなかったわけです。ところが最近になっ て、強引に推進力が働き始めました。その背景には、政府によるイノベーション戦略がありますし、ゲノム編集技術の登場が大きかったといえます。中でもES細胞かiPS細胞と組み合わせて臓器を作る仕組みの最短にあるのが、 動物性集合胚といわれる技術です。動物に人間の臓器を作らせるという技術です。

 

 

4、 動物性集合胚とは

動物性集合胚と動物性融合胚
 動物性集合胚を理解するには動物性融合胚がわからないといけません。では動物性融合胚とは何かというと、動物の体細胞、動物の胚(受精卵)または胚性細胞(ES細胞や iPS細胞のこと)を、人間の除核した卵子と融合して作り出す胚です。卵子には核があります。それを取り除き、動物の胚などを入れるのです。外は人間の卵子だけれど、核は動物である、ということになります。
*動物性集合胚の分類は次のようになります。
1)2 つ以上の動物性融合胚が集合して1つになったもの
2)1つ以上の動物融合胚と、1つ以上の動物胚または体細胞もしくは胚性細胞が人間の卵子と融合して一体になったもの
3)1 つ以上の動物胚と次のものが一体になったもの。人間の体細胞、人間の受精胚、人間の受精卵を分割したもの。人間の受精卵で核を移植したもの、人間のクローン 胚、人間の集合胚、人間と動物の交雑胚、ヒト性融合胚、ヒト性集合胚、動物性融 合胚の胚性細胞
4)以上の1~3 の胚から作られた胚性細胞(核を持つ)が、人間の除核卵子、あるい は動物の除核卵子と融合して作られた胚 
 
 何を言っているのか、分からなくなってきましたが、これが法律で示されている定義なのです。このように人間と動物のキメラを作るのが動物性集合胚です。主体は動物ですが人間の卵子とか ES細胞とかiPS細胞とかが絡んでくるのです。この動物性集合胚は、移植用臓器づくりが最大の目的です。
 それの応用のようなものですが、豚の体内で人の膵臓を作る実験を東大医科学研究所の中内啓光特任教授を中心とした研究チームが行っています。豚の受精卵の中 に人間のiPS細胞を注入して豚の子宮に移植して出産させる方法です。これによ り人間の細胞(膵臓)を持った豚を誕生させることができます。
 東京慈恵医大と大日本住友製薬が開発を始める腎臓移植は、人間のiPS細胞と豚の胎児組織を組み合わせて、腎臓の元となる組織を作り出 し、それを患者に移植して患者の体内で腎臓にまで成長させるというものです。腎臓移植というよ り、腎臓の再生医療といった方がよいかもしれません。患者本人の細胞からiPS細胞を作りだし、豚の胎児から腎臓の元になる組織を取り出 し、そこにその iPS 細胞を注入して、腎臓の種を作り出します。その種を患者本人に移植して、腎臓にまで成長したら尿管につなぎ機能させるというのが、その シナリオです。 

 

 

 5、変わる臓器移植の世界

 臓器移植の世界
 臓器移植自体も大きく変わりつつあるように思います。これまでは他人の臓器、自分の臓器とか機械(人工臓器、ハイブリッド臓器)がありましたが、これに動物の臓器、あるいは動物と人間の臓器を合わせたものを加えることになったわけです。そのために、動物性集合胚という考え方を導入したわけです。さらに政府は、動物そのものの臓器移植を認めたケースもあります。認めたのは、膵臓にあるランゲル ハウス島の移植です。2016年4月10日、厚労省の研究班(異種移植の臨床研究の実施に関する安全確保についての研究班)は、これまで事実上、異種移植を認めてこなかった指針(異種移植の実施に伴う公衆衛生上の感染症問題に関する指針)を見直し、新指針案が厚労省審議会にかけました。対象は、1 型糖尿病にブタの膵臓にあるランゲルハンス島(膵島)の人間への細胞移植を認めるものでした。改定された指針が同年 6 月 13 日に各都道府県の保健担当者に示されました。それを受けて、大塚製薬の研究者が、アルゼンチンでブタのランゲルハウス島の移植を行う人体実験を行っています。
 なぜ動物からの移植が困難だったかというと、人間同士の移植に比べて、拒絶反応が大きいからです。超急性拒絶反応といいます。もうひとつが動物に内在しているウイルスが、人間に持ち込まれるのではないかという問題です。今回動物からの臓器移植を認めた背景に、ゲノム編集技術によって、拒絶反応やウイルス対策が可能なるだろうという考え方が出てきたことがあります。臓器移植の中で、子宮移植・脳移植は移植してはいけない、タブーとされてきた分野です。その中で子宮移植にゴーサインが出ました。タブーが徐々に取り払われています。脳に関しても、外国では、サルで頭部移植を行った例も出ています。 

 

脳死問題(死の操作)に生殖への操作が加わる 
 何が変わったかというと、脳死問題(死の操作)に生殖操作が加わってきたといっていいのではないでしょうか。ES 細胞、iPS 細胞にゲノム編集技術が加わったこ とで、新たな臓器移植の世界が作られてきた、といえます。まだ ES 細胞、iPS 細 胞は立体構造がとれないので膜とか皮膚移植は得意です。そのため動物性集合胚など動物の臓器を利用して立体構造を作ろうとしているのです。しかし両細胞ともがん細胞と紙一重ですし、拒絶反応の問題は必ず起きるのです。自分の細胞であっても必ず起きます。問題点は残ったまま、推進力ばかりが強まっています。 

 

ゲノム編集技術の応用 
*臓器生産を動物に、拒絶反応の克服
 動物の臓器を人間に移植する場合、2 つの大きな壁があると述べました。超急性拒絶反応が起きるなど、拒絶反応が大きいのです。もう一つが、動物のゲノムの中 に内在するウイルスです。それが人間世界に持ち込まれるという問題です。最初の拒絶反応ですが、それを克服するために、ゲノム編集技術を用いるという考えが示されます。拒絶反応が起き難い臓器移植をハーバード大学は実験しています。それは人間の免疫細胞が豚の臓器を異物ととらえないように、ブタの細胞の表面にあるマーカーの遺伝子を破壊し、認識しないようにする方法です。日本では、ゲノム編集ではなく、ブタの細胞の表面を特殊な膜で包み、免疫細胞が攻撃しないようにする方法を用いて、国立国際医療研究センターが異種移植を計画してきてい ます。
 内在ウイルスの対策ですが、これもゲノム編集技術を用いてウイルス遺伝子の不活化を行おうというのです。ハーバード大学の研究チームがやはり、ブタがもつ病 気をもたらす可能性があるウイルス関連遺伝子を同時に多数破壊して、ウイルスの感染力を大幅に低下させる研究を進めてきました。このケースで破壊したのはブタ 内在性レトロウイルスだそうです。異種移植もまた、ゲノム編集技術で進もうとしているのです。 

 

 

6、では何が問題か?

臓器移植に次いで、新たな形での生命の根本が問われています。
 この新たな臓器移植は、生命への介入はどこまで許されるのか? このことが強く突き付けられているのです。同時に生命の始まりはいつかという問題も提起されています。産科婦人科学会が受精卵を培養できる期間は2週間であると言ったことがあります。では生命の始まりは2週間かという質問状を以前に出したことがあるのですが、返事はありませんでした。動物集合胚を見ると、人間と人間以外の動物の境目があいまいになり、人間とは何かと言う問いも突きつけられます。
 この臓器移植の世界を見ていくと、生殖操作と一体であり、ゲノム編集と一体であり、生命操作に拍車が加えられ、障害や病気の人を排除する優生学的世界がつくられつつある、ということを強く感じます。また、臓器移植が進めば進むほど臓器をほしがる人が増え、臓器の増産化を図ろうという経済の論理が出てくるのではないかと思うわけです。

 

 

質疑


質問) 脳と子宮の移植はこれまでタブーとされてきたということですが、脳の移植の研究も行われているのですか。
天笠) 昔、サルの頭部移植のニュースがありましたが、これは守田さんが詳しいのではと思います。頭部移植がその後進んでいるとは聞いていませんが、子宮移植は進んでいます。日本医学会で検討が始まり、東京女子医大ではサルを使った実験が行われています。
守田) 2年前にイタリア人の学者が中国で死亡した人間の頭部をつなげたという報道がありました。頭部移植は神経や骨や血管もつなぎ合わせるので技術的に難しい。頭をつけ替えても寝たきりで動けないことも想定され、動物実験でも成功していないのをいきなり人間でというのは危ないと、移植を希望していたロシア人の富豪は希望を取り下げました。

質問) ビッグサイエンスはお金がかかるので、個人の探求心ではなくお金をモチベーションとして特許も絡んで、経済の問題になる。経済とは何かというところから議論するべきだと思います。
天笠) 同感です。何万円、何十万円もする薬がありますが、その薬の値段の大半が特許料です。特許を取得することでメーカーは儲けるのです。大学の研究者も今やベンチャー企業を立ち上げて特許を押さえようとするなど、特許は金儲けの源になっています。ゲノム編集も特許の数が多く、クリスパー・キャスナインでは激しい特許権争いが起きています。それを制したのがモンサント社で、同社が最も多く特許権を抑えています。次いで、モンサント社と争ったデュポン社が押さえています。米国を本拠に置く多国籍化学企業はこの分野で、特に特許を押さえてもうけの源泉にしている。ビッグサイエンスになるとお金がかかるので、特許を取得して金儲けをしていかないといけないというのはあると思います。

質問) 今度日本学術会議でもゲノム編集が取り上げられます。日本学術会議は、戦争協力をした反省から戦争協力はしないと表明しつつも、防衛省が汎用性のある研究にお金を出すと誘導する中で部分的に応じる大学が出ており、危機感を持っているようです。そうした中でゲノム編集技術にも注目していく状況のようです。
ところで、スタップ細胞とES細胞の違いはどういうものでしょうか。
天笠) 騒がれたスタップ細胞問題は、結局、ES細胞が混じっていたのではないか、ということになりました。小保方さんの周りにいた人たちがすごい人で、真実性があると思わされたのでしょう。しかし、生命の問題を知っている人なら、現実的には不可能な細胞だということは分かると思います。

質問) 動物で人間の腎臓ができたら、透析より医療費が安くなるし流れは止められないと思いました。
天笠) おそらく臓器が作れるという幻想ができると市場原理が働いて圧力が強まり、倫理感は薄くなると思います。量産すると安くなるからまた広がる。腎臓を痛めても移植すればいいと悪循環が起き、さらに商業化が進めば、必要でない人にまで移植となることも起こりうるでしょうね。

質問) 治る人がいるという建前で脳死臓器移植が進められてきました。それに対して私たちは切り捨てられる命をどうするのかと反撃してきたのですが、ゲノム編集で臓器を作るとなると反撃しにくくなりはしないか。がんとか難病対策として全ゲノム解析を進めるといわれるとどう対抗するのかという思いもあります。当会では臓器移植に頼らない医療をと言ってきたが、今後どういうスタンスをとればいいか苦しむところです。今日の論議の焦点になるところかなと思いながら聞いていました。
拒絶反応を克服する遺伝子を改変してしまうと他の微生物からの感染はどうなるのか。RNAをばらまいて突然死を引き起こすとは実際にどのように起こるということですか。
天笠) 脳死臓器移植問題が、生殖操作や幅広いバイオテクノロジーの問題と重なってきました。生とは何か、死とは何か、生命を操作するとは何か、さらには優生学、人権といった問題をさらに突っ込んで考えなくてはならなくなったといえるでしょう。
 拒絶反応は移植された臓器の目印に対して免疫システムが作動して起こします。他人の臓器を移植するとその臓器に対して目印が存在し、免疫システムが作動して拒絶反応が起きる。その目印を認識する遺伝子を壊してしまおうというのです。それとウィルスなどの微生物が感染した時に作動する免疫システムは基本的には異なると思いますが、しかし、同じだったり、近かったりするケースも考えられます。さらに、拒絶反応に係る遺伝子を壊し作動しないようにすると、さまざまな問題が起き、免疫力全体に影響が出る可能性はあります。免疫抑制剤を飲むと免疫力が抑制され病気になりやすい。それと似たような問題が起きる可能性はあります。現在は、動物で作った腎臓を人間に移植した場合どんな拒絶反応が起きるのか、どの遺伝子を壊すと拒絶反応は起きないだろか、という考え方で研究が進んでいるのです。研究や開発が先行すると、さまざまな問題が起きる危険性があります。
 RNA干渉法というのはRNAという生体物質を、界面活性剤を加えてばらまき、植物や動物の細胞の中に侵入させます。動物も植物も表面は脂分で守られているので簡単には侵入できませんが、そこで界面活性剤を加え侵入させます。生物には突然死をもたらす遺伝子があります。しかし、それが働くと大変ですので、その遺伝子が働かないように抑える遺伝子もあります。その抑える遺伝子の働きを止めてしまうのです。そうすると突然死が起きる。もし人間に降りかかったらと考えると、大変に怖い技術だと思います。

質問) 安倍やアメリカがゲノム研究を進める目的は何か?須田桃子さんの投稿記事を読みましたが、アメリカ国防省がゲノム研究にお金を出しているというのは事実か。
天笠) 安倍内閣がイノベーションという言葉を使って盛んに科学技術を推進する政策をとってきました。技術革新と言うより科学技術戦略だと思います。ゲノム編集で研究を進める最大の目的は特許だと思います。今のままだと他の国の企業に特許を取られ、経済戦争で遅れをとるから、規制緩和して研究開発をやりやすくして、特許を取得しようという戦略です。イノベーションの目的は経済だと思います。例えば、薬を開発したとき、高額の特許料を請求されると、薬価は高くなり競争力を失い、負けてしまう。経済戦争に打ち勝つために特許を取得し、先行して特許を押さえた企業と、特許権を交換する「クロスライセンス」によって競争力を持つことができる、というものです。世界の経済に打ち勝たないと三流国になるという脅しもよく言われることです。
 須田桃子さんは合成生物学が軍事研究に使われるのではないかと危惧しています。DARPA(米国国防総省・国防高等研究計画局)が予算をつけているからです。そのDARPAが、とくに予算を付けて進めているのがゲノム編集技術を応用した「遺伝子ドライブ」という技術です。例えば、猛毒性を高めた蚊を放ち野生の蚊を交雑させると、猛毒を持った蚊が生まれる確率は2分の1です。そのため交雑を繰り返すうちに徐々に数は相対的に減少していきます。しかし、遺伝子ドライブはゲノム編集を使って生まれてくる蚊をすべて猛毒性を持つようにした技術であり、そのためわずかな数の蚊を放出するだけで、あたり一帯のすべての蚊が猛毒性を持ってしまう。すでにネズミを使って太平洋の諸島で、遺伝子ドライブを用いて生物兵器の開発実験をしている。そのような形で軍事研究は進められています。

守田) 先ほどの子宮移植ですが、海外では数十例で、日本ではまだです。私は異種移植はそんなに簡単ではないと思います。異種移植を受けた方は感染症の危険があるので生涯にわたって追跡されると言われている。隔離され、結婚しても子孫を残せないかもしれない。また豚と人間は血圧が違うので、豚で機能する臓器を作ったとしても、そのまま人に移しても機能するかどうかは不明です。移植した途端に破裂するかもしれない。感染症も含めてそんなに簡単にできるものでは無いと思います。
天笠) ご指摘の通りだと思いますが、難しいと思っていた技術的問題が次々と解決されてきているのも事実です。生命は複雑で奥深いので操作できないだろうと思っていたのが、技術的に一歩一歩解決されるのを見て、先を見ておかないとまずいという側面もあると思います。

意見) 蚊の話ですが、地球上で最も多くの人間を殺している生き物は蚊といいます。蚊を絶滅させるのは悪いのかという話も出てくるし、臓器移植も人を死なせて臓器を獲得するより、豚に死んでいただいた方がましではないかという考えもあるかもしれない。利害を調べて技術的なことも踏まえて判断すべきだと思います。
質問) 恐ろしい話ばかりが出ていますが生態系は今後どうなっていくのでしょうか。
天笠) 大きな問題になっています。生態系を守るために生物多様性条約という国際条約があります。そこでは遺伝子ドライブ技術と合成生物学が議論になっています。合成生物学については結論が出てないのですが、遺伝子ドライブに関しては予防原則で、あらかじめ影響を示さないと野外で使用することは控えるという合意が得られています。しかし締約国に、アメリカ、ブラジル、アルゼンチンなどの推進国が入っていないのが問題です。
 蚊の話ですが、途上国の人たちから、ある人たちにとって蚊は害になるかもしれないが、蚊が重要な役割を果たしている人たちもいることを忘れてはいけない、という発言があります。蚊やボウフラを餌にしている生物もいます。蚊がいなくなるとその生物が滅び、さらにその生物が滅びると他の生物が滅び、やがて人間も影響が出てくることが考えられます。生態系全体の中で見ていかないといけない。このように蚊を増やしたり減らしたりすると生物多様性に影響をおこす可能性もあると議論はされていますが、むしろ生命倫理の方が議論されていないのではないかと思います。

質問) 天笠さんと川見さんに質問します。
天笠さんに、ゲノム編集技術の問題点としてオフターゲットの問題、目的でない誤った遺伝子を壊す問題があると言われました。しかし、技術的な問題が解決されるとそれは理由にならなくなるのではないか?技術的問題ではなく、意図的に壊してよい遺伝子はないと訴えた方が説得力があるのではと思っています。そこを自分の言葉で話したいが、広く伝えるためにはどう言う言葉で伝えて行けばいいでしょうか。
川見さんに、市民ネットワークは脳死からの臓器移植を問題にしているが、脳死ではない臓器移植はどう考えているのか?自分が持って生まれた臓器を他人に譲ることに対してどう考えているのか伺いたい。
天笠) 確かに技術的問題というのはやがて解決される可能性があります。説得力のある回答にはならないかもしれませんが、私たちの考え方を少し述べさせてもらいます。私たちDNA問題研究会の内部では、遺伝子不可侵の原則があるのではないかと議論されてきました。そもそも遺伝子への介入に反対と始めた研究会です。この考えは一貫しているが根拠を示すというのはなかなか難しくて、福本さんの言葉を借りれば「いやなものはいや」ということです。それでいいのではないかと思うのです。今の社会は生きることが経済の論理になり、金儲けにつながる社会となっています。それに対して、命は経済の論理ではないといってきました。
川見) 私たちは「脳死を人の死としない、脳死からの臓器移植に反対する、臓器移植以外の治療法の確立を求めていく」という三つを目的に掲げてきました。前回の市民講座では、守田さんが「心停止下での臓器移植は問題ないのか」という問題提起をされました。
 心臓移植医で人工心臓の開発も研究している医師は「生きた人から取る(生体移植)のは侵襲があるが死んだ人からならいいのではないか」といい、議論になりました。目の前の自分の患者を救いたいという医師とは、「脳死は人の死か」の見方で違いがありました。脳死からの臓器移植は、他人の命を犠牲にする医療であり、心臓の動いている脳不全患者は死としてもいいという優生的観点にたった医療です。生体移植については、腎臓、肝臓、肺移植が行われていますが、家族間の心情もあるので、黙認する立場を取っています。基本的にはもって生まれた臓器で生きる、臓器不全になっても、透析や人工臓器で長く生きられるようになっているし、そうした開発研究を進めて欲しいと考えています。
古賀) いずれにしても臓器移植は差別医療だと思います。ドナーとレシピエントの命の選別、レシピエント間でも差別があります。生きるために何とかしようよと言うことはあるし、生体移植は提供者の健康状態が悪化する問題もあると思います。今「治る治す」をどう考えるかは、難病患者や障害者運動の中でも問われています。動物の体内で人間の臓器を作るという動きの中で、未来のために人体実験の対象になってくれという脅迫感を感じます。わからないことなのに、「病気を治す」からとなだれ込むのか、せめぎ合いにどう対抗するかを考えていきたい。

質問) 怖いと言うことだけはわかったけれど、お話がよく理解できなかったのです。僕でもわかるサイトがあれば教えていただきたい。
天笠) おそらくサイトは無いと思います。この問題は言葉がまず難しい。動物性融合胚と動物性集合胚をどう説明しようかと悩みました。このような話をしたのは、私も初めてですし、どこにも出ていないテーマだと思います。

質問) 科学の進化や自発的探究心とお金もうけの話は本来関係ないと思いますが、人工透析が増えたのはお金になるから、生体移植もお金になると一気に広がってしまう。臓器売買もある。お金の話で一般化されてしまう現実がある。
天笠) 大義名分をもうける。進める側はそれがうまい。

質問) 幼稚園児が車にひかれた事件がありましたが、事故に遭った子供の臓器を提供しますかと聞かれたとすると、命の尊さが、そういう局面にたった時にわかるのではないか。
川見) 6歳未満の臓器提供者が15件ですか、これまでにありましたが、その親のコメントが「自分の子供の命が誰かの体の中で受け継がれている」というものがほとんどです。心臓が動いている状態なのに臓器を取り出すことに親が同意できるのかどうか、その辺は私は疑問に思いますね。

天笠) 難病の方が血液を提供して将来的に難病の克服のために情報提供を行っているという話が出たましが、それは議論すべき重要な課題だと思います。南大西洋のトリスタンダ・クーニャ島は、近親結婚でぜんそくの方が多かった。それに目を付けたカナダの大学の研究者が、住民から血液を採取し喘息の遺伝子をつき止めた。それに資金を提供していたのが米国のベンチャー企業で、その企業がぜんそくの遺伝子を特許にし、企業が特許料でもうけることになった。喘息の遺伝子が分かったのだからいいのでは、という意見があるかもしれませんが、特許料が高いと診断とか治療を受けられない事態になります。島の人は血液だけ持っていかれて何のメリットもありませんでした。将来の治療に役立てたいと言うが、実際の構造は、企業の金もうけが優先されて、そうなっていません。

質問) 雨宮処凛さんの「生命倫理」の中で、イギリスのALS患者は人工呼吸器を切ると書いてあったが、ALS患者への治療は日本は先進国なのですか。
古賀) 欧州では人工呼吸器をつけずに死んでしまう人が多いようです。日本はつける人の割合が多いと言われますがそれでも2-3割。社会保障的にやっていけば人工呼吸器をつけていても生きていかれるし橋本みさおさんは、人工呼吸器をつけたら終末期というなら私は終末期を20年やっていますといっていますね。

質問) 生態系という話があったが、人間の意識がどこで作られているかは置いておいて、臓器を部品化する形で進んできていると思うがどう考えられるか。
天笠) 人体部品化というか人類最後の資源は人体そのものではないかと言ってきました。資源化は進んでいるという認識です。生命を操作するのは限界があると言い続けてきました。体細胞クローンはあり得ないと思っていたのに出てきたし、歯止めをかけないとどうしようもない。進めたい人がいっぱいいるのに批判する人がいない。慎重にと言う科学者声明に協力してくれる人は大半が人文系の人です。自然科学系の人はほんのわずかです。真面目に研究している人で協力してくれる人は皆無です。原発の事故が起きながら原発に批判的な人は限られているでしょう。それでも原発に対して批判的な科学者はかなりいます。しかし、この分野はごくわずかです。

大塚) バクバクの会(人工呼吸器と共に生きる)をやっています。日本が一番人工呼吸器をつけているというのは事実です。他の国では選択もさせてくれずに看取るという報告が多いですね。ALSの患者もつけてもらえない。日本では訪問介護の制度を利用して人工呼吸器をつけて生活する人もいるので、まだ住みやすいのかなと思います。今後薬の開発で難病の子に呼吸器をつけなくてすむ子供も出てくるのかなという期待もありますが、まだまだ発展途上です。それより社会が受け入れてくれる状況を作った方がいいと思っています。
司会) 長時間にわたってありがとうございました。「ゲノム編集技術を取り入れた新しい臓器作りが病気を治す、移植用の臓器が足りない」を大義名分にして研究が行われていること、国も容認認可して推進されていること、他国との経済戦争に負けないように特許を取ることにやっきになり、一部には軍事研究も進められているなどのお話がありました。私たちは、人と人との関係の中に命があり、いのちを操作するのはいやだと自分の言葉で言えるように、今後の市民講座でも議論を深めたいと思います。また当市民ネットワークの三つの目的がこれでいいのかということについても、議論していきたいと思います。 


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