臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

「脳死」は人の死ではありません。「脳死」からの臓器摘出に反対します。臓器移植以外の医療の研究・確立を求めます。

6歳未満の脳死下臓器摘出に関する声明

2012-06-18 19:18:20 | 声明・要望・質問・申し入れ

2012年6月16日

 厚生労働大臣 小宮山洋子 様

新宿区西早稲田1-9-19-207                       
日本消費者連盟気付                               
臓器移植法を問い直す市民ネットワーク
事務局長 川見公子            
臓器移植法を問い直す市民ネットワーク主催 6.16市民講座 参加者一同

6歳未満の脳死下臓器摘出に関する声明

 2012年6月14日、富山大学附属病院で6歳未満の男児に初めての「法的脳死判定」が行われ、15日には脳死下臓器摘出が行われました。死が宣告されても、触れれば温かく心臓は規則正しく鼓動しています。そのような男児に麻酔をかけて心臓が摘出される場面を想像する時、私達は胸をかきむしられるような思いに駆られます。
 「低酸素性脳症」と発表された状態に陥った原因は何だったのでしょうか?男児はスムーズに救急搬送され、脳死の状態に陥る前に脳低温療法などのできる限りの救命治療が尽くされたのでしょうか?私達は、ドナーとされた子どものいのちが守られなかったことに、大きな落胆を覚えています。
  臓器提供を承諾したご両親は、我が子が重篤な状態に陥るというパニック状態の中で、医師から十分な説明を受け決断されたのでしょうか?脳死の状態に陥っても長期に生存できる可能性があることや自宅に帰って生活する子供もいることなどの事実は伝えられたでしょうか。脳死判定や臓器摘出の方法―死亡宣告後に麻酔をかけて心臓を摘出する―等の説明も受けたのでしょうか。大切な事実や情報が開示されない中で、私達の疑念は膨らみます。  「尊い死に方」があるのではなく「尊い生き方」と「尊いいのち」があるのです。「いのちのリレー」等と“美談”として報道することは、いのちに対する冒涜です。
 長期に生存可能な脳死状態の子どもの予後を言い当てることは誰にもできません。虐待を受けた子供であるか否かについても、確実に確認することはできないと言われます。そしてたとえ親であっても、小さな子供のいのちに線を引く権利はないはずです。  「脳死」に陥った子どものいのちは、移植を待つ子どもと同様に尊く大切ないのちです。私達は、いのちに軽重を付けて一方の子どもに犠牲を強いる脳死下臓器摘出が、6歳未満の男児に行われたことに、憤りと悲しみを感じるとともに強くつよく抗議します。同時に、今回の6歳未満児からの脳死下臓器提供事例の時系列の経過と救命医療の内容を公表するよう、改めて要望します。


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