臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

「脳死」は人の死ではありません。「脳死」からの臓器摘出に反対します。臓器移植以外の医療の研究・確立を求めます。

第12回市民講座のご案内(2017年10月1日)

2017-08-20 08:38:15 | 活動予定
第12回市民講座のご案内
 

講演  斎藤 義彦さん(毎日新聞記者)
                        
≪広がる「尊厳死・安楽死」-オランダの状況を中心に≫
 
 
 
 日時: 2017年10月1日(日) 13時30分~16時45分(開場13時)
 会場: 江東区総合区民センター第2研修室(6F)
 交通:都営地下鉄新宿線西大島駅(A4出口)より徒歩1分/JR総武線亀戸駅北口より徒歩15分
 資料代:500円
 主催:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク
 
 
 
 第12回市民講座では「広がる“尊厳死・安楽死”-オランダの状況を中心に」をテーマに毎日新聞記者の斎藤義彦さんを講師にお招きします。斎藤さんは、日本・アメリカ・ヨーロッパで、社会保障の状況、特に高齢者の「終末期医療」や「安楽死」の問題について精力的に取材し本にまとめられました。その中で市民が考える上での論点を提示されています。
 今回は、ベルギー特派員時代に取材されたオランダの「安楽死」と高齢社会の関係、そして特に認知症の人々に対する「安楽死」問題を中心に語っていただきます。「延命医療」中止後の心停止ドナー移植の実態についてもお話しいただきます。
 日本に伝えられた記事を読んで、数年前から斎藤さんのお話を聞きたいと考えていました。待ちに待った講演です。是非ご参加ください。
 
 
 
 斎藤義彦さんのプロフィール
 1965年滋賀県生まれ。1989年毎日新聞入社。岡山支局、大阪本社特別報道部、社会部で臓器移植、安楽死、障害者の権利擁護など医療や福祉問題を主に取材。その後、ベルリン特派員として戦争後のイラクなどを取材。2011年~ブリュッセル特派員。フランスのシャルリーエブド事件などのテロの現場取材なども行う。 現在、毎日新聞本社生活報道部。
 
 
 斎藤義彦さんの著書
『死は誰のものかー高齢者の安楽死とターミナルケア』(2002年/ミネルヴァ書房)
 高齢者の「終末期医療」の状況を取材、「尊厳死」・「安楽死」・「脳死」をめぐる議論を包括的に紹介し、重要な論点を提示している
『アメリカ おきざりにされる高齢者福祉』(2004年/ミネルヴァ書房)
 家族に捨てられる高齢者の状況、ナーシングホームでの虐待、「安楽死」などの問題を紹介
『死は誰のものか―高齢者の安楽死とターミナルケア』(2002年/ミネルヴァ書房) 
『ドイツと日本「介護」の力と危機―介護保険制度改革とその挑戦』(2012年、ミネルヴァ書房)
 
 
 
 斎藤義彦さんのネーム入り記事より(一部を紹介)
 
■臓器移植:「心停止後」欧米で急増 ドナー不足解消狙い
 
毎日新聞 2012年06月24日
 
【ブリュッセル斎藤義彦】英国など欧米諸国で延命治療を中止し心臓が停止した後の臓器移植が急増していることがわかった。臓器提供者(ドナー)の2~5割程度から、これまで脳死移植以外では不可能とされてきた肝臓や肺が摘出されている。重篤な患者の生命維持装置を停止、心停止を待ち臓器を取る手法で心臓以外は摘出可能。臓器提供者不足を改善する新技術として定着しており、日本にも影響を与えそうだ。
 毎日新聞が各国の政府・公的機関の資料を基に算出した。
 臓器を提供する事例のうち、延命治療中止後の心停止と、脳死の割合を調べた。新技術を先行導入したオランダでは90年代後半から心停止移植が広まり、04年から臓器提供の4割程度になった。昨年、初めて脳死例を上回り、50.2%になった。英国でも00年代に入り急増、昨年、初めて40%になった。ベルギーでは02年まで0件だったのが昨年、18.6%に増えた。米国でも増加し、昨年は12.9%で1000件を超えた。
(中略)90年代初めに米国で開発され、95年にオランダの医学者により定式化された。臨床医によると、事故や自殺、病気などで脳に障害を受け入院、昏睡(こんすい)状態になり、人工呼吸器が必要になるような重篤な事例で、医師が「健康に回復する見通しがない」「良くても意識の戻らない状態になるだけ」などと判断して生命維持装置を外す。本人の停止に関する意思が不明なケースがほとんどで、家族の了解を得て止めるのが通例という。
 数十分たって心臓が停止したことを複数の医師が確認。5~10分間、遺体に触らない時間を置いて、移植チームが臓器を摘出する。
 臓器摘出時点で心臓が動いている脳死と異なり、心停止では血流が止まるため臓器は傷む。ただ、技術の向上で長期的な成績は脳死移植に見劣りしなくなっているという。
 医学的に難しい概念である脳死と異なり、伝統的な心停止は家族も受け入れやすく、ベルギーでは家族による臓器提供拒否率が脳死の場合より低い。
 一方、生命維持装置停止後数十分程度では「蘇生できる可能性がある」としてドイツは新しい心停止移植を認めておらず、欧州内でも倫理的論争がある。(後略)
 
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 なお当ネットワークで調べたところ、2016年の心停止ドナー比率は、オランダ50.2%、英国41.3%、ベルギー29.6%、米国16.9%でした。

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