臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

「脳死」は人の死ではありません。「脳死」からの臓器摘出に反対します。臓器移植以外の医療の研究・確立を求めます。

市民シンポジウム このままでいいのか!改定臓器移植法のこれからを考える

2011-10-22 21:58:06 | 活動予定

市民シンポジウム

このままでいいのか!改定臓器移植法のこれからを考える

 

  臓器移植法改定後、家族承諾のみの「脳死」者からの臓器摘出が、53件(9月末現在)行われました。
 しかしながら、日本臓器移植ネットワークからは、自殺した少年からの臓器摘出の経緯や脳死に至った本当の原因など、多くの重要な情報がいまだ公表されていません。こうして、本人の同意なく臓器を摘出することを認めるこの法は、多くの問題を生み出しているのです。その一方で、移植先進国である米国では、より効率的に「脳死」者を生み出すための新たな策が講じられており、私たちのからだを「モノ」として利用しようとする流れは、とどまることを知りません。
 本シンポジウムでは、以上のような問題を各分野の識者に提示していただき、討議を行います。今まさに、私たちの目の前にある危急の問題として、一緒に考えてみませんか。 多くの方々の参加をお待ちしています。

日時:11月13日(日)午後1時30分~4時50分(1時開場) 
会場:港勤労福祉会館 第一洋室(1F) 港区芝5-18-2
交通:JR山手線、京浜東北線 田町駅西口徒歩5分、地下鉄浅草線、三田線 三田駅A7出口すぐ
資料代:1000円
主催:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

 

パネラー
浅野健一(同志社大学教授、元共同通信記者)
光石忠敬(弁護士)            
小松美彦(東京海洋大学教授、生命倫理)
司会:山口研一郎(脳神経外科医)
総合司会:川見公子(臓器移植法を問い直す市民ネットワーク)

プログラム(予定)
13:30  開会、主催者あいさつ
13:40  シンポジウム開始(司会:山口研一郎さん)
13:45-14:15 浅野健一さん「マスコミが隠ぺいする脳死移植の現在」
14:15-14:45 光石忠敬さん「改定臓器移植法は施行停止するべきである」
14:45-15:15 小松美彦さん「アメリカの最新動向と改定法成立への疑問」
15:20-15:30 休憩
15:30-16:45 会場からの質問、意見交換
16:45  まとめ
16:50  閉会

ジンポジストのプロフィール
浅野健一 (あさの・けんいち) 同志社大学社会学部メディア学科教授
1948年香川県生まれ、慶應義塾大学経済学部卒。
元共同通信社記者。元厚生省公衆衛生審議会疾病部会臓器移植専門委員会委員。
人権と報道・連絡会世話人。著書に『脳死移植報道の迷走』(創出版)、
『松本サリン事件報道の罪と罰』(河野義行氏との共著、講談社文庫)など多数。

小松美彦 (こまつ・よしひこ) 東京海洋大学教授(生命倫理学・科学史)
1955年東京生まれ 東京大学大学院理学系研究科博士課程単位取得
著書に『脳死・臓器移植の本当の話』(PHP新書)、『死は共鳴する』(勁草書房)など

光石忠敬 (みついし・ただひろ) 弁護士
1943年東京生まれ 東京大学法学部卒、
日弁連人権擁護委員会(特別委嘱)委員、臨時脳死及び臓器移植調査会参与、医学雑誌『臨床評価』の編集委員などを歴任。

山口研一郎 (やまぐち・けんいちろう) 脳神経外科医
1947年長崎県生まれ 長崎大学医学部卒
やまぐちクリニック院長。現代医療を考える会代表。
2010年『生命(いのち) 人体リサイクル時代を迎えて』(緑風出版)を編著。


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臓器移植法を問い直す市民ネットワーク編著 「脳死・臓器移植Q&A ドナーの立場でいのちを考える」

2011-10-09 18:41:46 | 参考図書

臓器移植法を問い直す市民ネットワーク編著
「脳死・臓器移植Q&A ドナーの立場でいのちを考える」

 

 臓器移植法を問い直す市民ネットワーク編著の「脳死・臓器移植Q&A ドナーの立場でいのちを考える」が、海鳴社http://www.kaimeisha.com/indexから2011年10月11日付で発行されます。46判並製224頁、本体価格1800円、ISBN 978-4-87525-284-9。以下は、本書の「はじめに」とQ&A項目の紹介です。


 改訂された「臓器移植法」が私たちの暮らしの中で動き始めました。二〇一〇年七月七月一七日の改訂臓器移植法施行から二〇一一年七月一六日までの一年間に、脳死下での臓器摘出が五五例行われました。うち本人の意思が不明なまま家族の承諾だけで臓器摘出された例が四九例もありました。家族に脳死判定と臓器摘出の決断を求めるのは、命の線引きを家族に強いることです。脳死でも、心臓は動き続け長く生存できる人がいることは広く知らされているのでしょうか。ドナーカードだけでなく、健康保険証や免許証にも臓器提供意思表示欄が設けられていますが、記入する前にどれだけの正確な情報が伝えられているでしょうか。一度限り一つしかない一人一人の大切な“いのち”の問題です。あなたにとってもご家族にとっても後悔がないように、また臓器提供意思表示欄を前に迷ったときの参考にもしていただきたいと、本書を編集いたしました。 

 あなたは「脳死」という状態の患者さんに会った事、接したことはありますか。
 あなたは「脳死」からの臓器摘出が、どんな手順で行われるのかを知っていますか。
 
 厚生労働省や(社)日本臓器移植ネットワークが作成しているリーフレットやパンフレットが、すでに何千万部も配布されています。そこには臓器移植を受けた患者(レシピエント)の紹介や臓器移植を進めるための説明が掲載されていますが、臓器を提供することによって亡くなる側の患者(ドナー)の姿については一切書かれていません。
 「脳死・臓器移植」とは、臓器を提供するドナーがいてはじめて成り立つ「医療技術」です。重篤な状態にあるレシピエントとドナーの二つの命を天秤にかけて、どちらかの命を選択するわけです。命に軽重をつけていいのでしょうか。法律に基いた脳死判定により死亡が告げられるときは、心臓は動いているのです。「回復しない」との診断が、なぜ温かい体のなかで拍動する心臓を持つ人に死亡宣告をして良いことになるのか、大きな疑問を感じます。
 
 臓器移植は、心臓や肝臓や腎臓などの臓器が機能不全となった時、命を助けるためには他人の新鮮な臓器と取りかえるしかない、と考えだされたものです。でもその臓器はどこから来るのでしょう。臓器移植に使える新鮮な臓器が空から降ってくるわけもなく、血液の循環がある生きている人からしかもらえません。死んで冷たくなった死体に新鮮な臓器は存在しないのです。
 自分の臓器を提供することで臓器不全の人たちが助かるなら、自分が死んだら使って下さい、そう考える人もいるでしょう。でも、本当に死んだ状態で臓器が摘出されるのか、「脳死」は人の死なのか、科学的な根拠は明らかにされていないのです。
 その上、この法律によって命と生活が脅かされている人がいます。もっと慎重に考えるべきではないでしょうか。命を救うためにと提出された法律が、他の誰かの命を奪い、人権を侵害するならば、私たちはそんな法律は廃止するべきだと考えています。
 
 本書では、厚生労働省のパンフレットでも触れられず、マスコミでも余り報道されることのないドナーの立場から、「脳死」「臓器摘出」「臓器移植」の問題点を考えます。ドナーとされる側の患者の命に向き合い、素朴な疑問に回答する形式で、私たちの考えを記しました。“死んだら終わり、脳死は死だろ?オレの臓器、適当に使ってくれていいよ”というあなたにこそ、読んでもらいたい、一緒に考えて欲しいと願っています。50のQ&Aは以下のとおり。

 

◆そもそも人間の「死」とは
Q1 私たちは身近な人の死をどのように受け容れてきましたか
Q2 「三徴候死は人の死」とされていますが、その根拠は何でしょうか
Q3 火葬や解剖、献体が行われるのはどんなときですか
◆「脳死」について 
Q4 「脳死」とはどういう状態ですか
Q5 「長期脳死」とはなんですか。「長期脳死は脳死とは違う」という人がいますが、本当ですか
Q6 「脳不全」ではなく、「脳死」という言葉が使われるようになったのはなぜですか
Q7 「脳死は人の死」ですか。人の死とする根拠は何ですか
Q8 「脳死」と「遷延性意識障害(植物状態)」の違いは何ですか
◆子どもの「脳死」について
Q9 子どもの「脳死」と大人の「脳死」に違いはありますか
Q10 臓器移植法改訂で、なぜ子どもも脳死判定を受けることになったのですか
Q11 虐待を受けた子どもが臓器摘出される可能性はありますか
Q12 1歳から4歳までの幼児の死亡率が日本は先進国中ワースト1と言われますが、それはどうしてですか
◆「脳死判定」に関して
Q13 「脳死判定」とは何でしょうか
Q14 「脳死判定」の手順や病院は決まっていますか
Q15 家族は、脳死判定や臓器摘出手術に立ち会うことはできるのでしょうか
Q16 「脳死判定」の費用はだれが負担しますか
Q17 確実に「脳死」を「判定」できますか。またそれは安全ですか
Q18 「脳死」と判定されたら、もう治療は受けられないのでしょうか
Q19 「脳死と判定された人が回復した事例がある」と聞きました。どのような事例ですか
◆重症の脳不全患者への救命治療に関して
Q20 「脳死」状態になる前は最善の救命治療が行われているのでしょうか
Q21 「脳低温療法」とは何ですか
Q22 これまで「脳死」から臓器摘出された事例で、救急医療や救命治療に問題はなかったのでしょうか
◆「脳死下」「心停止下」での臓器摘出に関して
Q23 臓器を摘出する時に、筋弛緩剤や麻酔薬が使われると聞きましたが、本当でしょうか。なぜ使うのですか
Q24 脳死下、心臓死下の臓器提供では、どんな手順で臓器が摘出されるのでしょうか
Q25 三徴候死による死亡が宣告された直後の人に、即座に、どのようなことを行なっても許されるのでしょうか
Q26 臓器摘出・運搬・移植の費用はだれが負担するのでしょうか。またどれくらいの費用がかかりますか
◆臓器移植に関して
Q27 一年間にどのくらいの臓器移植が行なわれているのですか
Q28 臓器不全の患者はみな移植を望んでいるのでしょうか
Q29 移植を受ける人は、どのように選ばれるのですか
Q30 「移植を受ければ助かる、長生きできる」というのは本当ですか
Q31 臓器移植以外の治療法はないのですか
Q32 臓器移植を受けた人は、なぜ免疫抑制剤を飲まなければいけないのですか。一生、免疫抑制剤を飲み続けなければならないそうですが、副作用はありますか
Q33 移植を受けた患者さんが精神的に悩むことはありませんか
Q34 臓器を提供したドナーの家族はどんな思いでいるのでしょうか
Q35 臓器は社会資源(医療資源)なのですか
◆改訂臓器移植法について
Q36 2009年に改訂された臓器移植法では、何が変わったのですか
Q37 改訂された臓器移植法は「脳死は一律に人の死」としたのですか
Q38 家族の承諾だけで臓器が提供されて問題は起きないのですか
Q39 国会ではどんな議論があったのですか
Q40 臓器移植法の次は「尊厳死」の法制化と言われますが、どういう意味ですか
◆脳死下での臓器提供事例に係る検証会議について
Q41 検証会議とは何ですか。どんな事をするのでしょうか。検証や報告は、きちんと行われているのでしょうか
◆海外の状況
Q42 臓器移植のために海外に行く人はどれくらいいるのですか
Q43 海外で移植が受けられなくなるというのは本当ですか
Q44 海外では「脳死からの臓器摘出・移植」はどのように考えられているのですか
Q45 海外ではどんな人たちから臓器が摘出されているのでしょうか
◆どんな命も等しく大切にされる社会にするために
Q46 どんなときに人工呼吸器をつけますか
Q47 人工呼吸器をつけた人はどんな在宅生活をしていますか
Q48 看取りの医療、選択的医療とは何ですか
Q49 人の“いのち”に価値の違いがあるのでしょうか
Q50 臓器移植に関する4つの権利とは何ですか。人権として認められるものですか


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