臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

「脳死」は人の死ではありません。「脳死」からの臓器摘出に反対します。臓器移植以外の医療の研究・確立を求めます。

第10回市民講座のご案内(2016年9月25日)

2016-08-14 09:56:32 | 活動予定

第10回市民講座のご案内

 

講演 山崎 吾郎さん(大阪大学COデザインセンター特任准教授、『臓器移植の人類学 身体の贈与と情動の経済』著者)


臓器移植は人類に何を持たらしたか?

ドナーファミリー、レシピエントへの聞き取りを重ねて

 

日時:2016年9月25日(日)、13時30分~16時45分(開場13時)
会場:江東区総合区民センター第2研修室(7階)
資料代:500円

 

 2010年に改定臓器移植法が施行されて6年。2012年6月より始めた市民講座は、10回目を迎えます。今回の講座には『臓器移植の人類学―身体の贈与と情動の経済』を世界思想社から上梓された山崎吾郎さんをお招きします。
 山崎吾郎さんは、現在大阪大学CO デザインセンター特任准教授として活躍される若手研究者です。
 10年以上前から臓器を移植されたレシピエントや臓器を提供したドナーの家族への聞き取り、調査研究を重ねられ、これまでの論文などを加筆修正され、昨年刊行された『臓器移植の人類学~身体の贈与と情動の経済』にまとめられておられます。
 国策として推進される脳死・臓器移植。臓器移植法改定後の臓器提供は既に300件を超えています。それでもどこまでも不足する臓器、さらなる拡大策が目論まれています。臓器移植はなぜ問題なのか、私たちの社会に何をもたらしたのか、当事者への聞き取りを重ねた経験と幅広い視点で研究し掘り下げた山崎さんのお話にご期待下さい。ご参加をお待ちします。

 

■交通案内
江東区総合区民センター(東京都江東区大島4-5-1)
都営地下鉄新宿線西大島駅(A4出口)1分/JR総武線亀戸駅北口より徒歩15分

 

■山崎吾郎さんのプロフィール
 1978年生まれ、大阪大学人間科学研究科博士後期過程単位取得退学、現在大阪大学COデザインセンター特任准教授。主な論文、著書に『意識障害をめぐる部分的な経験―療養型病院における生の人類学』(論文/2014 年)『臓器移植の人類学ー身体の贈与と情動の経済』(著書/2015 年)がある。

■講演概要(山崎吾郎さんより)
 科学技術が恩恵と同時にさまざまな課題を社会にもたらすことを、私たちは20世紀を通じて繰り返し経験してきました。臓器移植医療もまた、「先端医療」として登場して以来、数えきれないほどの人命を救ってきた一方で、今日でもなお論じつくされることのない課題や困難を私たちに突きつけている医療といえるでしょう。
 この講演では、臓器移植医療がもたらした課題の歴史的変遷をとりあげ、とくに「当事者」として関わっているドナー家族やレシピエントへの聞き取りに依拠して、なぜこの医療が依然として問題的であるのか、またその「問題」が私たちに今何を考えるよう促しているのかを議論したい。

 

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『臓器移植の人類学~身体の贈与と情動の経済~』 山崎吾郎著/世界思想社刊2015年2月

(目次)
序章 臓器移植の人類学
 身体が切りひらく問い/臓器移植を捉えなおす/本書の構成/身体と情動の経済

第Ⅰ部 臓器移植の経済論
●第1章 社会政策としての贈与
 贈与をめぐる問題/フィクションとしての贈与/匿名の贈与/匿名の関係が生み出す人格と情動
●第2章 「愛の経済」と市場経済
 「愛の経済」における贈与と商品/宇和島事件/臓器は売買されたのか/対立する世界を超えて

第Ⅱ部 医療実践と身体の変容
●第3章 人はいかにして臓器を提供するか
 非対称的な関係/善意と苦悩のはざまで/不確実な世界における自己決定/臓器を提供する側からみた医療
●第4章 レシピエントの身体における自己と他者
 臓器を受けとる側からみた医療/身体と臓器/「内なる他者」の経験/情動によって駆動する経済
●第5章 ドナー家族とレシピエントが出会うとき――匿名の贈与とその効果
 ドナー家族とレシピエントの集い/臓器のやりとりが生み出す関係性/身体の経済化

第Ⅲ部 身体と経済の再編
●第6章 正当性をめぐる政治――脳死論争の現在
 不安定な経験をめぐって/脳死論争の歴史的経緯/正当性の変遷/多元主義の帰結/文脈の変容と批判の困難/批判の条件
●第7章 グローバリゼーションと医療政策の行方
 海外に渡って移植をする人びと/制度の外側にある選択肢/グローバルな統治とその問題/生成する秩序へ
●第8章 治療から数の調整へ――身体へのまなざしの変化
 生経済のほうへ/「不足」が生み出す世界/資源の概念化、あるいは潜在的ドナー/未だないものへの欲望―生かす権力と殺す権力

終章 技術とともにある生
 身体への介入とその再編/身体という他者/身体と社会の語りなおし

 

出版社サイトはhttp://www.sekaishisosha.co.jp/cgi-bin/search.cgi?mode=display&code=1655


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