臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

「脳死」は人の死ではありません。「脳死」からの臓器摘出に反対します。臓器移植以外の医療の研究・確立を求めます。

「15歳未満の法的脳死判定・臓器摘出」に関する声明

2011-04-21 00:04:40 | 声明・要望・質問・申し入れ

                                             2011年4月20日

                                臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

 

「15歳未満の法的脳死判定・臓器摘出」に関する声明

 

 2011年4月12日、(社)日本臓器移植ネットワークは、関東甲信越地方の病院に入院していた10代前半の男子が、家族が脳死判定と臓器提供を承諾し、法的に脳死と判定されたと発表しました。そして翌4月13日早朝、15歳未満児から臓器が摘出されました。
 私たちは、脳死からの臓器提供に強く反対してきました。2000年の旧厚生省研究班の報告書では、脳死と診断された小児の内の35%が「長期脳死」として生存し、必ずしも脳死になれば、遠からず心停止による死を迎えるとはいえず、脳死の定義、科学的根拠は揺らいでいます。
 少年の温かい体から拍動する心臓が取り出された事実に、戦慄を覚えます。ドナーとなった少年の命と人権は守られたのでしょうか?家族はどのような説明を受けて法的脳死判定と臓器提供を承諾したのでしょうか?主治医から臓器提供の選択肢が提示されたと報道されていますが、誘導はなかったのでしょうか?
 「交通外傷」と呼ばれる事故から家族が提供を決断するまでの経緯と行われた救命医療の内容について、提供病院は記者会見を行って詳しい経過を発表するべきです。
 さらにこの度の臓器提供では、本人の拒否の意思の確認や虐待を受けていなかったことの確認の手続きや方法が明らかにされなければなりません。
 提供者とその家族のプライバシーを守るという理由で、最低限公表するべき情報も一切開示しないなら、「移植医療の透明性」は到底確保されません。
 脳死と診断された後も成長し続ける「長期脳死」や、虐待された小児の生きる権利を脅かすものであってはならず、それらのあり方について厳正かつ明確な法的措置を講ずることを強く求めます。

 私たちはどんな子どものいのちも平等に大切にされ、守られる社会の実現に向けて努力していく所存であります。

 

以 上


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「15歳未満の法的脳死判定・臓器摘出」(128例目・家族承諾39例目)に関しての質問

2011-04-20 23:50:11 | 声明・要望・質問・申し入れ

2011年4月20日

 厚生労働大臣        細川 律夫 様
 厚生労働省健康局局長  外山  千也 様
 同 臓器移植対策室室長 辺見   聡 様

臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

 

「15歳未満の法的脳死判定・臓器摘出」(128例目・家族承諾39例目)に関しての質問

 

 2011年4月12日に行われた10代前半小児ドナーに対して行われた脳死判定と臓器摘出に関して、以下の質問項目について回答されるよう要望いたします。

1)ドナーとなった少年が事故から脳死判定されるまでの経過について
 ○事故から脳死判定が行われるまでの時系列の経過
 ○事故の内容
 ○病院への搬送日時
 ○救命治療の内容  

2)本人に臓器提供の拒否の意思がないことは、どのように確認したか
 
3)主治医やコーディネーターの家族への説明に関して
 ○長期脳死例の説明はしたか
  脳死と判定されても1か月以上長く生きる例が35%あることを説明したか
  あるいは脳死とされうる状態で治療を続ければ自宅に帰って家族と生活できる例があることは説明したか
 ○臓器摘出時に筋弛緩剤や麻酔が投与されることは説明したか
 ○脳死判定や臓器摘出手術に家族が立ち会えることを説明したか

4)(社)日本臓器移植ネットワークはどんな権限が与えられているのか
  なぜ社団法人が全ての情報を独占しているのか

5)これまで行われた家族承諾での臓器提供例で公表された家族のコメントはすべて「社会の役に立ちたいと言っていた」「優しい子だった」「体の一部がどこかで生きていてくれたらうれしい」というものばかりだった。
  移植コーディネーターが家族にコメントの文例を提示して、その文例のなかから家族が選択する方式を採用しているのか。


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