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臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

「脳死」は人の死ではありません。「脳死」からの臓器摘出に反対します。臓器移植以外の医療の研究・確立を求めます。

『尊厳死』法制化に反対する~「国民民主党の政策2024」を受けて(2025年5月22日)

2025-05-03 11:30:10 | 活動予定

【『尊厳死』法制化に反対する~「国民民主党の政策2024」を受けて】

 

 

日時:2025 年5月22日(木)15時 30分~18時(15時開場) 
会場:衆議院第一議員会館第4会議室 

 

 国民民主党の玉木代表は、昨年10月12日の日本記者クラブ主催の与野党7党首討論会で、「社会保障の保険料を下げるためには、われわれは高齢者医療、とくに終末期医療の見直しにも踏み込みました。尊厳死の法制化も含めて。こういったことも含め医療給付を抑え、若い人の社会保険料給付を抑えることが、消費を活性化して、つぎの好循環と賃金上昇を生み出すと思っています」と発言しました。また、「国民民主党 2024年重点政策」の中では、「3.人づくりこそ、国づくり」の中で、「尊厳死の法制化を含めた終末期医療の見直し」を掲げています。これでは、さっさと死を選ばない者は、国に負担をかける非国民だ、と言っているようなものではないでしょうか。  
 「尊厳死」を肯定する考え方の底流には、病気や障害、高齢であることを、否定的にとらえる価値観が流れていると考えます。自殺は止めることが当然とされながら、「尊厳死・安楽死」を肯定するとすれば、それは、病者・障害者・高齢者を「生産性のない社会のお荷物」と、その存在を否定しているからに他ならず、優生思想と言えるのではないでしょうか。 
 「尊厳死」をめぐる様々な報道も行われる中で、わたしたちはこの問題にどう向き合うべきか、生命倫理、日本と世界の動向を研究・注視されてきた方々をお招きし、ともに考えあう場を作りたいと思います。 


講演 
◆小松美彦(こまつ よしひこ)さん(東京大学大学院客員教授) 【安楽死・尊厳死の歴史的特質と、優生思想の本質(予定)】 
◆香川知晶(かがわ ちあき)さん (山梨大学名誉教授)     【諸外国の動向、アメリカとフランスの場合】 
◆冠木克彦(かぶき かつひこ)さん (弁護士)         【公立福生病院事件裁判和解条項と国民民主党の政策】 

 国会議員ご挨拶/発言(「バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~」他)/質疑 

 

★当日の資料と、当日のユーチューブライブ配信URL は、ネットで確認できるように、 当日朝までに準備します。下のURLからどうぞ。 
 https://sites.google.com/view/songenshi-hantai0522/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0 

 

【合同主催】 しょうがいしゃ大フォーラム/臓器移植法を問い直す市民ネットワーク/やめて!!家族同意だけの「脳死」臓器摘出!市民の会/尊厳死法いらない連絡会/バクバクの会~人工呼吸器とともに生きる~/日本脳性マヒ者協会全国青い芝の会/特定非営利活動法人こらーるたいとう/障害者福祉を考える杉並フォーラム/障害者の生きる権利を奪い返す会・大田 

【連絡先】 しょうがいしゃ大フォーラム


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第21回市民講座 「京都ALS嘱託殺人事件と、自己決定による死の後にくるもの」 2025年2月8日(土)午後2時~4時40分

2025-01-30 10:26:29 | 活動予定

第21回市民講座
「京都ALS嘱託殺人事件と、自己決定による死の後にくるもの」

 

 

日時:2025年2月8日(土)午後2時~4時40分
会場:江東区亀戸文化センター(カメリアプラザ)5階 第1・第2研修室
アクセス:JR総武線亀戸駅北口下車徒歩2分 https://www.kcf.or.jp/kameido/access/
講師:渡邉 琢さん(わたなべ たく、日本自立生活センター事務局員、介助者、介助コーディネーター)


開催方法:会場&オンライン(zoom)申込者への事後配信あり
参加申込み方法:会場参加の方は、直接、会場にお越しください。資料代は会場でお支払いください。
        
オンライン(zoom)をご希望の方は、下記の申し込みフォームより申込みの上、フォーム記載の口座に資料代500円の振り込みをお願いします。
        第21回市民講座申込フォーム
        注:オンライン参加のお申込み期限は2025年2月7日(金)の午前中12時まで
主催:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

 

 2024年3月5日、京都地裁は、ALSを患う女性・林 優里さんを本人の依頼だと薬物を投与して殺害した医師・大久保愉一被告に対して18年の実刑判決を言い渡しました。この裁判では、5年前(2019年11月30日)に引き起こされた殺人事件だけでなく、精神病患者であった山本直樹被告の父親を、大久保と山本母子の3人で共謀して殺害した10年前の事件など3件の罪が問われました。
 第21回市民講座では、「京都ALS嘱託殺人事件と、自己決定による死の後にくるもの」と題して、この裁判をかかさず傍聴されてきた日本自立生活センターの渡邉 琢さんにお話ししていただきます。
 渡邉 琢さんは、介助者・支援者という立場から、障害者の自立生活運動の課題を幅広く考察しておられます。この間、雑誌『世界』に多くの論考を発表され、注目されている方です。
 2024年10月に行われた総選挙の討論会で国民民主党の玉木代表が、“若者が負担する保険料を下げるために、尊厳死法制化を含む終末期医療の見直しに踏み込む。それは消費を活性化し好循環と賃金上昇を促す”と発言し、多くの疑問と批判が出されています。
 高齢者・障害者・病者は「社会のお荷物」と生きていてはいけないかのような風潮が強まっています。 映画『プラン75』に描かれた制度が法制化され、同調圧力で死へと誘われる、「自己決定」させられる時代がもうそこに迫っているかのようです。
 林 優里さんの父親は、「ALS患者が娘のように『他人によって生かされている』とめげてしまわないよう、介助や介護の体制をもっとよくすることにつながってほしいです」と訴えたと、報道されています。
 誰がいつどんな難病に罹患するか、障害を負うか、これは私たち全ての人に起き得ることです。「尊厳死、安楽死」といった、各人の意思に基づく「自己決定」とされる死が、どういう事態を引き起こすのか、講師・渡邉 琢さんのお話を傾聴したいと思います。是非ご参加下さい。  

 

【講師プロフィール】  渡邉 琢 (わたなべ たく) さん
 1975年生まれ。日本自立生活センター事務局員、介助者、介助コーディネーター。知的障害者の当事者団体ピープルファースト京都支援者。近刊に『障害者の傷、介助者の痛み』(青土社、2018年)。
 近年、雑誌『世界』(岩波書店)に、「トラウマ、死の刻印、安楽死希求――障害者運動と安楽死を望む声の対立をめぐって」、「安楽死は自殺問題の解決なのか――障害者運動と安楽死を望む声の対立をめぐって(続)」、「『ALS嘱託殺人』と隠蔽されたもうひとつの事件(前・後篇)」などを寄稿している。

 

【講演概要】

 ALS嘱託殺人事件の大久保被告に対して懲役18 年の判決が出されたことが多くのメディアでとりあげられました。一部、嘱託殺人なのに罪が重すぎるのではないか、という意見もありました。
 しかし、大久保被告が、知り合いの山本母子と共謀して、精神障害のある山本父の殺害計画に関わっていたことはあまり注目されません。迷惑をかけ社会のお荷物である老人や障害者は早く死なせるのが正しいといった考えのもとにその殺害は実行されました。そんな大久保被告が、ALS 患者の林優里さんも手にかけ、患者をろくに診察もせず、初対面わずか 15 分でやすやすと殺害しました。
 それらの事件あわせて懲役18年の判決でした。
 それにもかかわらずインターネット上では、大久保は患者の願う安楽死を叶えてあげたのだから称賛に値する、減刑するべき、というような意見が数多く投稿されます。まず、きちんと、ALS嘱託殺人事件以前に大久保被告の犯行の全容を理解する必要があります。
 今回の報告では、大久保被告がどのような背景や前科のもとにALS患者の嘱託殺人を犯したのかをまずお伝えします。
 その後、大久保被告の犯罪を肯定する人たちの「自己決定による死」の肯定が、次いでどのような事態を引き起こすかについて、ぼくなりの考えをお伝えしたいと思います。

 


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第20回市民講座 【座談会】 教育現場で語られる脳死と臓器移植 ~中学・高校の教員を招いて~ 2024年6月23日(日)

2024-06-13 22:34:11 | 活動予定

第20回市民講座「座談会」 
座談会】 教育現場で語られる脳死と臓器移植
~中学・高校の教員を招いて~

 

日時:2024年6月23日(日)午後2時~4時40分 
会場:江東区亀戸文化センター(カメリアプラザ)5階 第1・第2研修室 
開催方法:会場&オンライン(zoom)申込者への事後配信あり 
資料代:500円 
参加申し込み:会場参加の方は、直接、会場にお越しください。資料代は会場でお支払いください。
       オンライン参加の方は、下記の申し込みフォームより申込みの上、フォーム記載の口座に資料代の振り込みをお願いします。
       第20回市民講座:申し込みフォーム (google.com)

主催:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク    

 

発題 
福田将之さん(中学校・社会科) 
橋爪悠祐さん(中学校高等学校・社会科) 
小宮山裕輔さん(高等学校・理科) 

 厚労省は2022年8月に臓器移植法施行規則(ガイドライン)を改訂して、臓器提供者の拡大政策を強力に推し進めています。特に若年層をターゲットにした普及啓発では、小学校・中学校・高等学校で「臓器提供を誇りに思う気持ちを醸成する教育」を行うとしています。これは「臓器提供は任意でなければならない」と規定した臓器移植法の理念に反するものです。 
 前回の市民講座では、生まれてすぐに脳死に近い状態と診断された帆花さん(現在16歳)のお母さんにお話ししていただきました。多くの方と支え合う帆花さんのいのちの営みを感じ、心にしみるお話でした。臓器提供の普及啓発教育は、“臓器提供の選択肢を提示する”とされている重度脳不全患者のいのちと生活を伝えようとしていません。いじめや登校拒否、虐待、貧困、ヤングケアラー問題…、生きづらさを抱える子どもたちのことが社会問題になっている現状で、「いのちを大切にする教育の一環としてとりあげられる臓器移植」とは何でしょう? 
 今回の市民講座では、中学・高校で教鞭をとっている現役の教員の方をお招きして座談会を行います。「脳死や臓器移植」がどのように取り上げられ、子どもたちはどんな意識を持っているのか?現場から報告していただきます。 
 初めての企画です。ともに議論をしたいと思います。皆様のご参加お待ちいたします。 

 

 

発題者からのメッセージ 

 

福田将之さん 「脳死をめぐる問題と『人間の死』」 
 
 八王子市立ひよどり山中学校で社会科を担当しています福田将之です。公立学校教員は今年度で5年目で、それまでは東京外国語大学大学院に長いこと所属していました。私からは、中学校社会科というフィールドでどのように「脳死」がとり上げられているのか(授業としてどんなアプローチが出来るのか)、また義務教育学校での「道徳」の授業において、「脳死」をめぐる問題、さらに「人間の死」はどのような現象として捉えてられているのか、まとめてご報告できればと思っています。 

 

橋爪悠祐さん 「脳死と臓器移植から考える『命の選別』」 
 
 埼玉県飯能市にある中高一貫校の自由の森学園で社会科教員をしている橋爪悠祐と申します。今年で8年目に入り、現在は中学1年生の担任をしています。これまで中学三年生の「公民」、高校三年生の「現代社会」の授業で生徒と共に脳死状態と臓器移植について考えてきました。かつてナチスの優生思想の根底にあった「命の選別」を大きなテーマとして、相模原障害者施設殺傷事件や安楽死制度、そして脳死と臓器移植を学び、“命”や“社会の在り方”を考えることを目指した授業実践を報告すると共に「命の選別」という観点で脳死と臓器移植についてみなさんと考えてみたいと思っています。 

 

小宮山裕輔さん 「教育現場で扱われる『脳死』とは」 
 
 東京の世田谷区にある私立の大東学園高校で、理科教員の小宮山裕輔と申します。当日は、以下の3点について紹介したいと思っています。①高校の教科書で「脳死」がどのように取り扱われているのか。②15年以上の教員経験の中で、周りの高校教員の「脳死」に関する意識がどのようなものであったか。③生物や総合の授業で「脳死」をとりあげて授業もしてきましたので、その授業と生徒の反応がどんなものであったか。高校のカリキュラムの中で「脳死」は、2022年度まで社会科の「現代社会」のトピックスの扱いであったのが、2023年度から理科の「生物基礎」の単元に変わりました。これが意味することは何なのか、みなさんと考えてみたいと思っています。


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第19回市民講座(2024年2月3日)のご案内

2023-12-23 04:09:13 | 活動予定

第19回市民講座


◆講演 西村理佐(にしむら りさ)さん

(生後すぐに「脳死に近い」と宣告された帆花ちゃんの母/一般社団法人ケアの方舟設立者)

「わたしはここにいます」

~“超重症児”のわたしらしい生き方の実現のために~

 

 

 2022 年に公開されたドキュメンタリー映画『帆花』(監督:國友勇吾)をご覧になりましたか。
 生後すぐに「脳死に近い状態」と宣告された帆花ちゃん。この映画は 3 歳~小学校入学前までの帆花ちゃんと両親の日常を伝えた映像作品です。
 現在 16 歳、髙校生になった帆花さん。言葉を発することも口から食べることもない 24 時間ケアを必要とする超重症児ですが、柔らかく温かいぬくもりと息づかい、帆花さんの存在が周りの人に「いのち」の営みの大切さを教えてくれます。学校では友達と遊園地や水族館にも出かける経験も。そんな16年間の生活、成長、悩み、社会への発信など、帆花さんの母・西村理佐さんが語ってくれます。
 「長期脳死」と言われる状態とは?同じ社会に生きる私たちに問われることは?共に考えましょう。

 

講演概要(西村理佐さんより)

「わたしはここにいます」~“超重症児”のわたしらしい生き方の実現のために~

 生後すぐに「脳死に近い状態」と宣告された娘、帆花。さまざまな医療的ケアをマスターし帆花との在宅生活を開始して間もなく改正臓器移植法が成立。我が子をどう受け止め、どのように育てていくのか、この子の人生とはいのちとは……。「超重症児」にカテゴライズされた娘は医療に管理され、障害福祉サービスにあてはめた生き方しか選ぶことができないのか。苦悩する母をよそに、たくさんの人と関わり合いながら逞しく成長する姿に学ばされてきた16年。心身共に健やかに成長していく帆花の“思い”を汲みとろうと、支援者と共に彼女の考える“わたしらしい生き方”を探る日々。「わたしはここにいます」という帆花の声にならない声に耳を傾けてください。

 

◆日時 2024年2月3日(土)14時~16時45分(13時30分開場)
◆会場 江東区亀戸文化センター(カメリアプラザ)第1第2研修室(5F)
◆アクセス JR総武線亀戸駅北口下車3分https://www.kcf.or.jp/kameido/access/
◆会場参加の方は直接お越し下さい。
 オンライン参加の方はメールでの申込みをお願いします。申込者への事後配信あり
 申込みアドレスは主催の臓器移植法を問い直す市民ネットワーク連絡先e-mail:abdcnetの後に@gmail.comをつけて送信願います(迷惑メール対策のため変則表記)。  
◆資料代:500円
オンライン(zoom)の方はメールで申込みの上、以下の口座に資料代の振り込みをお願いします。
郵便振替口座 記号:00110-6 番号:466422 加入者名:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク 

***********************************

映画『帆花』配信情報(現在、以下の4媒体で配信サービス中)

*アマゾンプライム https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0CHMKJH47/ref=atv_dp_share_cu_r

*GooglePlay https://play.google.com/store/movies/details?id=w8qyYyIZ7fM.P

*FOD https://fod.fujitv.co.jp/title/90jj/

*YouTube https://www.youtube.com/watch?v=x8LyMd70MR4

 


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第18 回市民講座のご案内(2023年5月14日)

2023-04-09 09:46:08 | 活動予定

第18回市民講座 


講演 香川 知晶(かがわ ちあき)さん

(山梨大学名誉教授 日本学術会議連携会員 日本生命倫理学会会長 哲学/生命倫理学)

 

≪命は誰のものか≫

 

日時: 2023年5月14日(日) 14 時~16 時 45 分(開場 13 時 30 分)
会場: カメリアプラザ(亀戸文化センター)第2研修室(5F)
交通:JR 総武線亀戸駅北口より徒歩2分https://www.kcf.or.jp/kameido/access/

会場とオンライン(zoom)を併用して開催します。
オンライン参加をご希望の方は右記のフォ-ムから申し込んで下さい。https://forms.gle/XKBmD5CTdtTZCL149
またはメールでの申し込みはabdcnetの後に@gmail.comをつけて送信願います(迷惑メール対策のため変則表記)。 

資料代:500円
【ゆうちょ銀行からの振込】記号001106 番号466422  名義:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク
【他銀行からの振込】ゆうちょ銀行 店名〇一九(ゼロイチキュウ) 当座預金  番号0466422
*オンライン参加の方は上記口座に振り込みをお願いします。会場参加の方は会場で資料代をお支払い下さい。
*会場参加は30人まで、オンライン参加は80人まで。本講座は収録し、後日、資料代をお支払いの方限定で配信します。

主催:臓器移植法を問い直す市民ネットワーク

 改定・臓器移植法が施行されて10年余が経過し、厚労省や移植医は臓器適出対象を拡大するための施策を次々に出しています。子どもの「知的障害者」を臓器提供対象とする、臓器提供に誇りを持つ教育(重症患者の命を軽視し、命の線引きを当然視する)を行う、心停止ドナーにエクモを装着し血液を循環させて臓器を摘出する、脳死者が出たら国に報告する義務を病院に課す法律の制定を画策・・・などが進められています。
 私たちは「いのちの選別」に反対してきました。臓器移植は他人のいのちの犠牲の上に成り立つ医療です。ではこの 3 年間のコロナ禍でいのちはどのように扱われたでしょうか。
 今回の講座では、日本生命倫理学会会長の香川知晶さんをお招きして、コロナ禍で提案されたトリアージや厚労省が進める ACP(アドバンス・ケア・プランニング)についても考えてみたいと思います。

 

■講師・香川知晶(かがわちあき)さんのプロフィール
 1951 年、北海道生まれ。筑波大学大学院博士課程修了。現在、山梨大学名誉教授・大学院医学研究員、日本学術会議連携会員、日本生命倫理学会会長。専門はフランス哲学・生命倫理学。
最近の著訳書としては『命は誰のものか 改訂増補版』(単著、2021、ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『人のゲノム編集をめぐる倫理規範の構築を目指して』(共編著、2022、知泉書館)、アドリアン・バイエ『デカルトの生涯 校訂完訳版』上下 2 巻(共訳書、2022、工作舎)、『「人間の尊厳」とは―コロナ危機を経て―』(共著、2023、日本学術協力財団)、『コロナ・トリアージ 資料と解説』(共著、2023、知泉書館)。

 

■講演概要(講師の香川知晶さんより)
 Covid-19 によるパンデミックは医療をめぐる社会的差別を一挙に顕在化させることになりました。その差別は以前から根強くあったもので、高齢者や障害者は命を助けられなくても「仕方がない」という空気を醸し出しています。パンデミックの初期に活発に議論されたトリアージをめぐる議論を見ても、そのことは分ります。現在、この「仕方がない」という空気は「お金がない」という経済的な理由とともに、患者本人の意思を根拠とする体裁をとって肯定され、抗いがたい力をもって人々を支配しているように見えます。その点は「人生会議」という日本版 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の展開にも見て取れます。ここでは、映画「PLAN 75」(早川千絵監督)のデストピア的な近未来がリアリティをもつような、そうした日本の現状を改めて考えてみようと思います。


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