アンジョルラスが好き

おもにAaron Tveitについて
彼に興味が無ければつまらないです。
コメント欄が面白いので読んで下さいね。

リラの恋 / あなたがいないクリスマス

2016-04-11 | 妄想のアーロン

ぱたぱたぱた…リラは大急ぎで歩いています。
顔を少し紅くして、手はエプロンのポケットをしっかり押さえながら。
ポケットの中には、一通の封筒が入っています。
ついさっき、お屋敷の執事さんがにこにこしながら渡してくれました。

リラ宛の手紙です。13歳のリラが、生まれて初めてもらった手紙です。
それは…大好きな大好きなアンジョルラスからの手紙なのです。

去年、アンジョルラスは大学へ入るために、遠い遠いパリへ行ってしまいました。

リラの額に、一度だけ、そっとキスして…。
あの日から、リラはどれだけ泣いたことでしょう。アンジョルラスに会いたくて会いたくて…。

あれから数ヶ月…リラは、アンジョルラスにたくさんの手紙を書きました。
字を書くのはあまり得意ではないけれど、アンジョルラスに会えないことが淋しくて、一生懸命に書きました。
おかあさんやおとうさんのこと、弟達のこと…、美味しいお菓子の作り方を幾つも覚えたこと

具合が悪かった猫が元気になったこと…そして、アンジョルラスに言われたとおり、きちんと勉強しているということも。

ところが…アンジョルラスは全く返事をくれなかったのです。

リラは、毎日々々アンジョルラスからの手紙を待ちました。
もしかしたら自分の手紙が届いていないのではないかと思い、また何通も手紙を書き、返事を待ちました。

それでもアンジョルラスからの手紙は来ませんでした。
アンジョルラスは、自分の両親宛には、ごくたまには手紙を書いているようなのです。
アンジョルラスの母が、彼は元気でやっているようだと言いましたから。

リラは心配になりました。あんなにたくさん手紙を書いても、やっぱり届いていないのかしら…
ううん、それとも…。

ひょっとしたら…アンジョルラスは、リラのことが嫌いになって、リラからの手紙なんて迷惑なのかもしれません。
そうでなければ…新しい友達がたくさんできて…もしかしたら恋人ができて…
幼馴染みのリラのことなんて忘れてしまったのかもしれません。
リラは哀しくてたまりませんでした。


What'll I do
When you are far away
And I am blue
What'll I do?

これからどうしたらいいの
あなたが遠くへ行った今
私はとても悲しいの

What'll I do?
When I am wond'ring who
Is kissing you
What'll I do?

どうしたらいいの?
あなたが誰かにキスされてるんじゃないかって
思い悩んでいるの・・・

What'll I do with just a photograph
To tell my troubles to?
When I'm alone
With only dreams of you
That won't come true
What'll I do?

どうしたらいい?
私が悩みを話せるのは、あなたの写真だけ?
願いは決して叶わない、あなたの夢を見るだけなんて
私はとても寂しいの


ひと月ほど前、クリスマスがやってきました。アンジョルラスのいない初めてのクリスマス…
リラは、とても淋しい気持ちで迎えました。
クリスマスに間に合うように、リラは、また、アンジョルラスに手紙を書いたのです。
本当の気持ち…クリスマスには帰ってきてほしいという気持ちは隠して、
「元気で楽しいクリスマスを過ごしてください。」と。。。

でも、アンジョルラスからは、クリスマスの手紙は届きませんでした。

……それが、とうとう…今日やっと、初めて、アンジョルラスからリラに宛てた手紙が届いたのです。

クリスマスって、大事な人といっしょに暖かな家で過ごせたら素晴らしい季節なんだろうけど、
そうではない人にとっては、より寂しさが増す季節ですよね。

でもね、リラ、世の中には、もっと大変なクリスマスを送ってる人もいるんだよ。


 納豆1年分が当たって・・・
そしていきなり、クリスマスに365個送られてきた人がいたんだそうですよ。(実話
※なお1月1日が賞味期限である。


 でも、今年はうるう年だから、366個いるはず。足りん!

 ・・・・・・

 デパートの飾りつけ担当も悲惨ですよね。
クリスマス飾りを外すだけでなく正月飾りもあるし、死ぬほど忙しい。
海外だと1月までクリスマスの飾り置いておけるのにね。


 そうそう、郵便局職員もクリスマス時期は大変ですよね。
年賀状と、お歳暮などの各種宅配
そして昨年はマイナンバーの配達もあったし・・・

 ところで、先輩、ここでクイズです。
バルジャンと、ジャベールと、エポニーヌ、ファンテーヌ、コゼット、私(マリウス)にあって
先輩に無いものはなんでしょう?

 欠点とか?

 弱点とか?

 難点とか?

 短所とか?

 ・・・・・・

 ブリング・ヒム・ホーム他(バルジャン)スターズ(ジャベール)オン・マイ・オウン(エポニーヌ)
夢破れて(ファンテーヌ)雲のお城(コゼット)カフェ・ソング(マリウス)
そう、もうお気づきですね。

 先輩にはマイ・ナンバー(ソロの歌)がありません!

 うるさい。俺様には取り巻きが常にいるから、すぐ合唱になっちゃうの!
ていうか、カフェ・ソングなんて、ぼっちソングだし。


オン・マイ・オウン、夢破れて、雲のお城、カフェ・ソング・・・全部ひとりぼっちの歌
バルジャンも、孤独でないのは束の間だし、ジャベールは天蓋孤独だし。

 その点、俺様は死ぬ時すら、ファンがいっしょだしね。

 ・・・・・・ていうか、俺は死なないし。彼女もいっしょだし。


レミゼって主要人物の死亡率が半端じゃないですよね。
マリウス・コゼット、宿屋夫婦以外は全滅!(原作ではおかみさんは死亡)
神父さまも、フォーシュルバンさんも死亡(多分、安らかな死)

案外、ファンティーヌをセクハラした工場長とか、ファンティーヌを苛めた女工とか、
ファンティーヌを棄てたトロミエスとか、ファンティーヌの背中に雪を入れた男とか、
ファンティーヌを買った男とか、ファンティーヌの歯を抜いた男とかは、のうのうと生きてたりして。
ファンティーヌの髪の毛を買った女は死んでるかもしれないけど(老婆だったから)

Lilasさん、ものすごく遅くなってごめんなさい。
今度こそ、本当に再開です。


そうそう、mihoさんのブログ更新されてますね。アーロンのことも載ってたよ。
nonomさんも、せっかく書いてくださったお話、長いこと放置してすみません。
sawaさんは、今年はどんなお仕事されるのかな?それから、アーロンのコンサート行かれるんだよね?
A.Z.さんは、鉄お君の小学校の入学ですね。どきどきするよね。
アントンのラウルも見に行かれるんですよね?ラウルは名曲揃いなので、きっと素晴らしいだろうな。

りょんさん、書き込んでくださったのに、気付くの遅くてすみませんでした。
れりごーちゃん、元気?
KAOさん、去年の10月に書き込んでくださってたので、もう見ておられないかな?
初めて書いてくださったのに、本当に失礼しました。もし見ておられたら、またいらして下さいね。

なんか本当に色々すみません。












リラの恋・遠い空のどこかに

2015-04-19 | 妄想のアーロン


ひとりの青年がアンジョルラス邸を目指して歩いていました。
茶色の髪に青い目、愉快そうな表情の若い男の名前はアンリ。

彼がこのマルセイユの地に帰るのは2年ぶりでした。
海外貿易の船乗りになっていました。

彼は自分を引き取って育ててくれた叔母と、自分に船乗りの仕事を世話してくれた
アンジョルラス家の当主を訪ねて来たのです。

屋敷の様子はまったく変わってはいませんでした。美しい花々、とりわけ美しいリラの木。

そういえば、ここには女の子がいたな。
確か、名前は・・・そうだ、リラの木から取ったとか聞いた・・・リラだ。

自分よりひとつ下だったから、今はもう嫁いでいるだろうか?
とても可愛がられていて、羨ましくて、時々いじめたりしたっけ。
再会したら、昔のことを怒られるだろうか。彼は苦笑しました。

そうそう、お坊ちゃまもいたな。金髪で絵から抜け出したような貴公子。
こちらがふて腐れた態度をとっても、不思議と怒ってはこなかった。
だけど、1度だけ、リラを叩いたとき、手をつかまれて怒られたっけ。
あの時は、こっちのほうが、あの女の子に滅茶苦茶に叩かれたんだけどな。
でも、あの王子様、案外、暖かくて親切な人だった。

リラは、アンリの不幸な境涯を知りませんでした。
アンリの両親は生きています。けれど父親はアンリを身ごもった母を棄てました。
母は幼いアンリを邪魔にして、邪険に当たり、次々と新しい恋人を作ります。

そんな妹を見かねて、リラの母の友達で近所の家で働いている女中さんが、ふたりを呼び寄せます。

数年の間、姉と一緒に働いていたアンリの母ですが、やがて男を作って出て行きました。

アンリの母の姉にあたる女中さんは、親切な人ではありましたが、仕事が忙しくて、アンリに構う暇は
ありません。

アンリはリラが羨ましかったのです。
棄てられた孤児なのに、幸せそうなリラ。

不幸な子供時代でしたが、今となっては、懐かしさがこみ上げてきます。



あれは、いつのことだったでしょう。アンリは母が知らない男と笑い合っているのを見ました。
母は、アンリを見つけると、いつになく優しい声で、外に遊びに行くように言いました。
いつもなら喜んで遊びに行くアンリですが、その時は行きたくはありませんでした。
けれど、母は無理やりアンリを追い出します。

幼いアンリは、時々、頭の中に火が燃えているかと思うほど腹を立てます。
そして、近くにいる小さい子に乱暴したりします。

石でも飲み込んだように、体が苦しくなる日もあります。
今日のアンリはそうでした。
彼は家から少し離れると、平たい岩をみつけて、そこにボンヤリと座りました。
さきほどから、涙が止まりません。

どのくらい座っていたのでしょう。ふと見ると、あの天使ような坊ちゃまがアンリを
じっと見つめていました。手に何やら平たい物を抱えています。

「僕について来て」
それだけ言うと、彼は、いきなりアンリの手を取って歩き出しました。
かなり年が離れていたので、アンリはふりほどく事もできずについていきました。

やがて二人は小高い丘に着きます。
坊ちゃまは、アンリの手に糸巻きのようなものを握らせました。そして
「風に向かって思いっきり走ってごらん。」と言います。
とても優しい声でした。

アンリは思いっきり走り出しました。
あまりに優しい声だったので、なぜだか素直な気持ちになれたのです。

「あ、あがった!」
後ろから坊ちゃまの声がしました。ふり返ったアンリは思わず声をあげます。




アンリは凧を知りません。初めて見た空高く上がる凧を見て、心の底から驚きました。
坊ちゃまが横に来て、アンリにコツを教えます。

糸を緩めたり、引いたり、少し走ったり・・・アンリは夢中になりました。
やがて、うまく気流に乗って、凧はゆうゆうと上空を泳ぎはじめました。
いつのまにか、アンリの涙は止まっています。
まわりで見ていた人々も、楽しそうな歓声をあげました。

実は、アンリが泣き続けているのを見つけて彼はとても心配していたのです。
少しだけ、事情を漏れ聞いていました。
でも、どうしたら良いのでしょう。彼は人を慰めたりしたことがありません。
どちらかというと、人と接するのが苦手です。

「そうだ!」彼は思いつくなり、家に凧を取りに帰りました。
アンリの楽しそうな顔を見て、彼は心底ほっとしました。

 アンリ君、凧はね、向かい風でないと上がらない。
人も、辛い向かい風に吹かれた時こそ、高く昇るんだよ。
追い風では上昇できないんだ。(あ、きれいにまとまった)

 あ、でも、俺たちは、向かい風が強すぎて、上がる前に糸切れちゃいましたけどね。

 ・・・・・・・・・・・・

 人生をマラソンに例えると、追い風のほうが絶対有利ですけどね。

 ・・・・・・・・・・・・

 それに、有利にことを運べそうな時の事を『追い風が吹いてきた』って言いませんか?

 ・・・・・・・・・・・・


アンジョルラス邸に入ったアンリは、中に漂う寂しげな空気にとまどいます。
当主は、アンリの帰還を喜んでくれましたが、2年ぶりとは思えないほど年を取ってみえました。

奥方さまは、病気で臥せておられるそうです。

アンリは驚きました。いったい、この屋敷に何が起きたというのでしょう。

そして、アンリは叔母の口から、悲しい事実を知らされます。
坊ちゃまが、パリで革命に参加して命を落としたこと。
坊ちゃまを慕って、パリに行った女の子も、その後、病気で亡くなったこと。
奥様は、そのリラをいう娘をとても可愛がっておられたので、まるで息子と娘を同時に失ったかのような
悲しみに沈んでおられること。

奥様は、毎晩泣いておられるそうです。
あるときは、ご自分の着た古いウェディングドレスを出してきて
「こんなことなら、アンジョルラスをパリにやらずに、ふたりを結婚させれば良かった」と言われたとか。

しかしながら、この屋敷と貿易の仕事を継がせるために、ふたりは後継者を選ばざるをえなかったそうです。
幸いなことに、坊ちゃまの従弟にあたる青年が、後を継ぐことを引き受けました。
誠実で真面目で頭も良い、申し分のない青年です。
けれど、実の子を失った悲しみは簡単に消えるわけもありません。
事件以来ずっと、屋敷は静まり返っているのだとか。
 赤ん坊のころのアンジョルラスの肖像?

叔母の友人である、リラの育ての両親も、打ちのめされていました。
ふたりの息子が一生懸命、働いて、両親の悲しみを癒そうとしているそうです。
血のつながりはなくても、優しい大好きな姉を失って、弟たちも辛いに違いないのに
それをこらえて、ふたりは明るくふるまいます。

そういえば、俺がリラって子をよく苛めたのも、あの子が弟をとても可愛がってて・・・
本当の母親がいる自分より幸せそうだったからだよなぁ。悪いことをした。


坊ちゃまとは、数えるほどしか口をきいたことが無かったけど・・・
1度、凧揚げをさせてくれたっけ。そして、凧の作り方も教えてくれた。

思えば、あのころからだ、自分が少し変わったのは。
あの人のようになりたいと思ったのかもしれない。あんなに優しい人に。

そうか、あの人は革命で亡くなってしまったのか。

アンリは、あのとき、ふたりで作った凧を今でも大切に持っています。


明日、あの時の丘に登ろう。
そして、凧を飛ばそう。
神の国にいるふたりに届くほど高く・・・・・・・
      

リラの恋・あなたを守りたいから

2015-04-17 | 妄想のアーロン

お昼ごはんを食べ終わった時、リラは、おかあさんに言いました。
「…おかあさん。あたし、今日から、もっとたくさんお手伝いするわね。」
おかあさんは、にっこりしました。「おや、どうしたの?」
リラは、ごはんを食べながら心の中で考えていたことを言います。

「あのね…。あたし、昨日が7つのお誕生日だったでしょう?
だから、もっとお手伝いしなくっちゃって思ったの。もう7つなんだもの。」
「まあ、ありがたいこと。」おかあさんは笑いながら言いました。

「じゃあ、まずはいつものようにお皿を片づけるのを手伝ってもらおうね。
でも、そのあとは…遊びに行っておいで。」

リラは少しがっかりしました。
「もっとお手伝いすることないの?」

「夕方早く帰っておいで。そうしたら手伝ってもらうから。
明日、旦那様と奥様がパーティーを開くから、その準備をするのよ。」

「うん!」おかあさんの言葉に、リラは元気よく返事をしました。

…いつものように、リラは歌をうたいながらスキップしています。
今日も良いお天気…それだけで嬉しくてたまりません。


向こうのほうから、男の子が跳びはねながらやって来ました。
リラは、はっとして立ち止まります。その子のことが、リラは苦手なのです。


男の子はアンリという名前でした。
近くのお屋敷の使用人に、リラのおかあさんと仲良しの女中さんがいます。
しばらく前に、その女中さんの妹が遠くの村からやって来て、働くようになりました。
アンリは、その人が連れてきた子供です。

まだたまにしか会ったことがなく、ほとんど話をしたこともありませんが、
リラは、アンリをあまり好きではありません。
アンリは誰にでも生意気な口をきき、乱暴なふるまいをします。
そして、リラのことは、馬鹿にしたような顔で見るのです。
たった1つ年上なだけなのに。

アンリはリラの近くまで来ると、「なんだ、リラか。」と言いました。
リラは、「こんにちは。」とだけ答えて、そのまま通り過ぎようとしました。
その時、アンリが言ったのです。「おまえ、捨て子だったんだってな。」
リラは、びっくりしてアンリを見ました。

「赤ん坊の時、リラの木の下に捨てられていたんだってな。
だから、リラっていう名前なんだって?…うちの母さんやおばさん達が話してた。
なんて可哀相な子なんだろうって。」

リラは、自分がリラの木の下で拾われた赤ちゃんだったことは知っていました。
でも、今まで、そのことをこんなふうに誰かに面と向かって言われたことはありません。
リラは何も言えずに、アンリの顔を見つめていました。

「おまえは自分のところの奥様に可愛がられているんだろう?坊っちゃまにも気に入られているんだって?
…みんな、おまえのことを可哀相に思っているんだな。」

7歳になったばかりのリラは、今までそんなふうに考えたことがありませんでした。

…あたし、かわいそうな子なの。。。?

リラがじっと黙っているので、アンリはにやにやしました。
「おまえのところの坊っちゃまって、綺麗な顔はしているけど、なんだか怖そうだよな。
いっつも怒っているみたいでさ。きっと、高慢ちきな嫌なやつなんだろう?」

「…ちがうわ!」突然、リラは大きな声を出しました。

「うちの坊っちゃまは、とってもいい人よ。とてもとてもやさしい人よ。
 あたしにもいつも親切にしてくれて…。ひどいこと言わないで!」

「おまえに優しいのは、哀れな子だって思っているからさ。
本当は、ただの我儘坊っちゃんに決まっているよ。」

「そんなことない!…あんたみたいないじわるな子より、ずっとずっとすてきな人よ!」

いきなり、アンリが腕を伸ばしてリラの頭を叩きました。
リラはびっくりしましたが、その腕を叩き返します。
アンリは、ますますリラを叩きます。頭も腕も肩も…。

リラは眼をつぶって腕を振り回しました。
怖くてたまらず、悲鳴をあげながら。

急に、アンリが静かになりました。リラはおそるおそる眼を開き…あ!と思いました。
アンリの後ろにアンジョルラスが立っていたのです。その手は、アンリの腕をしっかり、つかんでいました。

「…小さな女の子を叩いて良いと思っているのか?」アンジョルラスは落ち着いた声で言いました。

アンリは、突然現れたアンジョルラスに驚いているようでした。
「そうじゃないけど…。」

アンジョルラスはアンリの腕を離しましたが、そのまま黙って睨んでいます。
ふくれっつらのアンリはアンジョルラスを見返していましたが、やがて、「ふん!」と鼻を鳴らすと
リラをじろっと見て、行ってしまいました。

リラは、ほっとして大きな溜息をつきました。アンジョルラスが、リラの頭にぽんと手を置きます。

「…なぜ、こんなことになったんだ?」

リラはアンジョルラスを見上げましたが、返事ができません。
やっと安心したためでしょうか、涙が一粒こぼれます。
アンリにどんなに叩かれても泣かなかったのに…。

アンジョルラスは少し微笑んで、「行こう。」と言いました。

二人は、いつものリラの木の傍までやって来ました。木には、優しい香りの花がたくさん咲いています。
アンジョルラスが腰をおろし、リラも草の上にぺたんと座りました。

「…いったいどうしたんだ?」アンジョルラスが訊きました。

リラは、しばらくアンジョルラスの顔を見ていました。それから、うつむいて小さな声で言います。
「アンリが…あなたの悪口を言ったの…。あたし…そんなことない、そんなこと言わないでって…。
 そうしたら、アンリが叩いたの…。」

リラは口を閉じ、考え込みました。それから、また、アンジョルラスをじっと見つめます。
「あのね、おしえてほしいの…。」「何を?」「あたし…かわいそうな子なの?」
アンジョルラスもリラを見つめました。「なぜ、そんなことを訊く?」

「アンリが言ったの。みんな、おまえのことをかわいそうだと思っているって…。
あたしが捨てられていた赤ちゃんだったから。
 だから、奥様も坊っちゃまも、おまえにやさしくするんだって…。」

「俺は…そんなふうに思ったことはないな。リラは…」
アンジョルラスは言葉を切り、ふと眼をそらしました。それから、またリラを見て微笑みます。

「リラは、いつか言っていたじゃないか。自分はリラの花のお姫さまだったんだって
 お姫さまをやめて、木から下りてきて、人間の赤ん坊になったんだろう?
リラは…可哀相なんかじゃない。」

アンジョルラスの言葉に、リラはにっこりしました。
座ったまま、花をたくさんつけたリラの木を見上げます。
…そう、あたしは、この木のてっぺんに住んでいたんだっけ。。。

それから、リラはやっと気がつきました。
さっきアンジョルラスに助けてもらったのに、まだお礼も言っていません。

「助けてくれて、ありがとう…。」

リラは、自分もアンジョルラスに何かしてあげたいと思いました。…何がいいかしら。。。?
少しの間、リラは考えていましたが、いいことを思いつきました。

「あのね。もし、あなたが誰かに叩かれたりしたら…こんどはあたしが助けてあげるわ。」

アンジョルラスは、一瞬、眼を丸くしました。そして噴き出します。
「リラは、俺よりずっと小さいじゃないか。そんなことできるのか?」
「小さいけど…今は小さいけど…大人になったら、きっとできるでしょ?」

「大人になっても、きっとリラは俺より小さいな。」アンジョルラスは、ますます可笑しそうに言います。
「もし誰かが俺を叩いたり殴ったりするなら…それは、きっと、俺より大きな男だな。
 熊のような大男かもしれないぞ。どうする?」
「もしも…もしも…長い棒を使えば、あなたを叩く人を叩き返せるかも…。」
困ってしまい首をかしげながら言うリラを、アンジョルラスはおもしろそうに眺めています。

そのうち、ふとリラは気がつきました。小さな声で言います。
「あたしね…ほんとは、誰も叩きたくないの。ほんとは…そんなことしたくないの。」
アンジョルラスは真面目な顔になりました。「…そうだな。」

「叩いたりしたくないけど…でも、誰かがあなたの悪口を言うのはいやなの。
誰かがあなたを叩くのは…もっといやなの…。」

え?そう?私は誰かがアンジョルラスを殴るシーンが大好きだよ!

また、リラはしばらく考え込みました。そして、アンジョルラスの眼を見つめて訊きます。
「強くなるには、どうしたらいいの?」
アンジョルラスは、かすかに微笑みました。「リラは、強くなりたいのか?」リラは黙って頷きます。
「強くなる、か…。」アンジョルラスは呟いて、宙を見つめました。しばらくそのまま考えていましたが、
やがて、リラの眼を見つめて言います。

「強くなりたいと…強くありたいと、ずっと思い続けることかな。」

それか、束になって、熊さんを襲うとかね(それでも殴られたけど)

リラは、アンジョルラスの言葉を、小さな頭の中で考えます。
強くなりたいと…強くありたいと、思い続けること…。

リラがあまりに真剣な顔だったのでしょうか…アンジョルラスは、ふっと笑いました。
「あまり考え過ぎなくていいんだぞ。リラは、今、自分ができることをすればいい。」

いち早く逃げるために、足を鍛えるとかね

嬉しくなったリラは、にっこりしました。
「今日ね、おかあさんに約束したの。あたし、もっとたくさんお手伝いするって。
 もう7つになったんだもの。」

リラは元気よく立ち上がりました。

「あのね、たくさんお手伝いしたら…強くなれる?」
アンジョルラスは、さっとリラから眼をそらしました。肩と口許が少し震えているようです。
それから、アンジョルラスはリラのほうを向いて、「…なれるかもしれないな。」と言いました。

あ、そういえばリラを見たら、早く帰るようにって伝えてくれって言われたんだっけ。
お手伝いする約束してたんだろう?
うーんと、こういうあなたとの触れ合いの時間は、ちょっと手伝いより優先することにしてるの。

リラは、おひさまのような笑顔になり、アンジョルラスに手を振って歩き始めます。
強くなれたらいいな。いつか、あの人を助けられるように…。
今は、たくさんたくさんお手伝いしよう…。

強くありたいと思い続けること・・・とアンジョルラスは言いました。
しかし、なぜ強くありたいのか、アンジョルラスはリラの気持ちまではわかっていません。
リラが強くなりたいのは、愛する人を守るためです。

人は守りたいものがあれば強くなるのだと、後にリラは知ります。
貧しさも、寒さも、リラを打ち砕くことはできませんでした。



I'll walk with God from this day on
His helping hand, I'll lean upon
This is my prayer, my humble plea
May the Lord be ever with me

今日から私は彼の手を支えに
彼を頼りに生きて行きます
あなたが私と共にいつまでもいてくれるように
それが、わたしのささやかな祈りです

There is no death though eyes grow dim
There is no fear when I'm near to Him
I'll lean on Him forever

たとえ光が薄れてきたとしても
ふたりに死など訪れません
彼が傍にいる限り、怖いものなどありません
彼が私をずっと支えてくれるかぎり

And He'll forsake me never
He will not fail me
As long as my faith is strong
What ever road I may walk alone

彼は決して私を見捨てません
裏切ることもありません
私が彼を信じる限り
たったひとりで道を歩くときですら
(彼は私と共にいる)

I'll walk with God, I'll take His hand
I'll talk with God, He'll understand
I'll pray to Him, each day to Him
And He'll hear the words that I say

私は彼と歩きます 
彼の手をとって、彼を理解して
いつでも彼のことを祈りながら
そして、彼には私の祈りが届くでしょう

His hand will guide my path aright
And I'll never walk alone
While I walk with God

いつでも、彼は私を導いてくれる
私は決してひとりではないのです
彼が共に歩いてくれるから



※すみません、もちろん、これは神のことを歌った歌だけど、
神の部分を彼(アンジョルラス)に変えてます。

アンジョルラスと共に生きる限り、リラに怖いものなどありません。
けれど、彼がいなくなったら・・・・・・それだけが怖い

そして、十二年後、リラのたったひとつの恐怖は消えました。
本当に、彼を失ってしまったのです。

お花見をしようよ・夜桜編

2015-04-05 | 妄想のアーロン
フィエロの話題で盛り上がってたので。ノーバートさんもいるよ。

youtubeで消えてたけど、ニコニコには残ってた。前に貼ったような気もしますが・・・
アダム・ランバートとアーロンが人気だけど、アーロンの踊りって軽やか。
必死で動きすぎてるような気もするけど、垂直に飛ぶとき、本当にすっと飛ぶんだよね。

あ、足長王子を出さないと怒りそうな人がいるんで、ほれ。

あー確かに足が(全員)長いわw 
アントン様のウィキッド動画はアスペクト比がおかしいのが多いね。
すごーい、万里の長城どころか、月までの距離くらいある?・・・・・・・・・額の広さが。

とっても華やかな舞台なんですね。見たくなった。綺麗~

日本のフィエロの動画ってほとんど無いんですね。なので代わりを探しました。

この桃次郎、飯村さんだよね?もう見てたらごめんね。



さて、楽しい時間は過ぎて、すっかり日が暮れました。

みんなで夜桜を見る・・・・・・


のも忘れて、飲めや歌えの大騒ぎ。そしてカラオケ大会に!

昼間、棺おけに隠れてたルークさん、こんばんは。

え?歌う?キングクリムゾン(真紅の王)の曲。ぴったりですね。


 また君に~恋してるぅ~~♪( と歌いたくなると言われている曲です)

 きゃーーと一人盛大な拍手を送る夏木マリ
違うわ、マレフィセント@mihoよ、あ、まれって呼んでね!みんな
今日はお友達も連れてきたわ。

 こんばんは、マツコ・デラックスです。じゃなくて、アースラよ!

 ああ、歌いたい。
2012年12月から、2013年の半ばまでしか、俺は歌っていないんだ。よし、次、俺に歌わせてくれるかい?



 歌う機会を狙うTみ~♪(もはや呼び捨て)




 良い曲ね、39秒で終わるところが。
じゃあ、お待ちかね、雪の女王をタコの女王が歌うわ!


踊るタコを見ているとお腹が空いてきた一同。
sawaが、自慢げにクーラーボックスを開けると北海道名物ジンギスカンの材料が!
皆の喝采を浴びて、調子にのって歌いだすsawa!
女性陣では唯一のシンガーなのに、なんと歌わせてもらえなかったのだ。
そして、やはり歌えなかったイルだけのイル・ディーボ。後ろで踊り狂うのであった。

ジンギスカン(歌じゃなくて焼肉のほう)が始まると、みんなマイクを置いた。

sawaと同じく歌わせてもらえなかったビリー。おもむろにマイクを取り、感動的な歌を歌いだす。
みんな食べるのに夢中で、聞いちゃいないけど。

ひとつだけ聞いて良いかしら、ビリー?
君が歌ってる間に、皆がお肉食べつくしたけど、今どんな気持ち?

うまく説明できません。
どう言ったらいいのかわかりません。

誰も(食欲を)コントロールできない
みんな自分が誰だか(食い物を前にすると)すっかり忘れてます。
耳の中で、焼肉のジュージュー言う音だけが演奏されてる感じです。
ぼくはそれを聞いて それを聞いて

 腹が減った~~~

それ(空腹)は、ちょっと怒りにも似ています。
ちょっと怖くもある。(←子供に残そうと思わない気持ちが)
僕は(胃が)からっぽみたいだし
みんなは(腹が)はち切れそうだし


ビリー、他にも食べてない人たちがいるよ。

ああ、ごめんね、ビリー。浮気も落ち着いたんで、フィリップ@アーロンを縛ってたのよね。
え?ローソクは何に使うのかって?・・・

えっと・・・ビリー、もう寝なさい!(By Miho)





お花見しようね~♪・第2弾

2015-04-01 | 妄想のアーロン
去年は、ヒュー様や、ラミン様のお陰で、とても豪華なお花見になりました。
さて、お花見第2弾を開催したいと思います。
それでは、よろしくお願いします。


あ、A.Z.さん、ゴザ持ってきた?
あんた、相変わらず、ゴザ(とアントン)しか持ってこないのね
 ぐだ~~~
アントン、真昼間からぐだぐだしてるんじゃないよ!・・・じゃなくて

God dag(グダー)こんにちは。
スウェーデン語なんですよ。

ゴザに座ったら、マイク? 

ぎゃー、ゴザを撃たないで!
節子、それガザ(グレイスランドの敵の組織)ちゃう、 ゴザや!

すみません、ヒュー様。すぐに始めますね。
あ、いつもすみません。うわー美味しそう。
 


ラミン様は、おおー可愛い。プチフールだぁ~

あ、でも、その格好で、これ買ってきたんですか?
 「姉の子が食べるパンが無いから、パンが無ければお菓子を食べればよろしいのよって思って」


そして、これは、なんとフォションの詰め合わせ!て、誰だろう、これ?

おお~ウルスさんだけじゃなく、皆さん来て下さったんですか。

スイートなパンと、サンドイッチなんですね。
3000円と3500円高い!って思ったけど、ドミノピザと同じくらいの値段ですね。
こちらは、半額サービスがないだけで
イルディーボが来ると、ちょっと高級ホストクラブみたいで嬉しい・・・って、ファンに殴られる発言かしら。


え?アーロン、今年も何か作って来てくれたの?(去年に続き嫌な予感)
 朝早く起きて、飯炊いたから寝不足?

なんじゃこりゃ~~~

アーロンに良く似て、睫毛バシバシだけど・・・

え?アントンはデザートを作ってきた?
どれどれ・・・
大変だったよ

なんじゃこりゃ~~~第2弾

よくできてるような気もするけど・・・誰?これ


あ、そこにいるのはルーク。初めまして!

あ、手ぶらなんですね。ふ~ん、じゃあ、アーロンの特性弁当だけ食べていいよ。
アントンの変なバナナはA.Z.さんが持ってったから。

あ、ヒュー様がカラオケを始めた・・・・・・

ああ、僕たちが通り抜けてきたすべての過去
僕たちが見たもののすべてが
今となっては、本当に美しい
ふたりがみつけた愛、その記憶

もし、今でも続いていたならば
もっと、二人が思い描いたように強かったなら
かつては、そうであったように

僕は君を自由にする方法を学ぶべきだったんだ

僕はまだ君の愛を待ち望んでいるよ
かつての宝物をもう1度みつけたいんだ


 すごい、カラオケの達人だ。歌唱まで素人のカラオケレベルを再現するとは!

・・・・・・と思ってるのは、もちろんブログ主ですが、うまい?

あれ、いつのまにかTみ~さんが。野外ライブをやってくれる?
頼んでないけど、ありがとうございます。


そういえば、前にアーロンに歌って欲しい歌で、Lilasさんが『夜桜お七』を
リクエストされて、へ?って思ったことがあったんですが・・・
これをみつけて納得しました。ギター、うまい!(ブログ主はギターの上手い下手はわかりませんが)
あ、でも、回りからウルサイって苦情が・・・ 

騒音の出ないレクリエーションは・・・
え?桜を見ながら一句読むんですか・・・えーー(絶句)
日本に造詣の深いヒュー様の提案で、俳句をよむことに。お弁当もらったし、仕方ないよ。
季語は、もちろんサクラです。

 『 出会い系 キレイだったら サクラだな 』 
メール打ってるのは大半が男だしね。

 『 さくら咲く されど先月 さくら散る 』 
・・・・・・春は悲しい季節でもあります。合格、不合格、出会いに別れ。
あるいは、変化の無い自分に世間からの置いてけ堀感を感じるとかもあるよね。

『 咲くまでは どの木が桜か わからない 』 
 咲いてもわからない人もいますから。薔薇にも興味ない人とか(アンジョルラス)
梅と桃も似てますが、意外とアーモンドの花が、桜と区別がつかないんですよ。
 アーモンドの花です。


『 安藤と 横峰、上原 惣五郎 』
安藤さくら、横峰さくら 上原さくら 佐倉 惣五郎って、わかりにくい句です!
固有名詞並べただけで俳句になるのか?季語もないし。
『松島や ああ松島や 松島や』もあるから良い?

それでは、そろそろ校長先生の閉会の言葉です。

 スピーチ大好き、ヒュー先生

『皆さん、今日の美しい桜の木にひとつ誓って欲しいのです。
 みなさんの人生でも、木を育てて下さい。
 やるき ほんき こんき ゆうき げんき の、5本の木です。
 忘れないで頑張って下さい。』

感動したyuri先輩は、その後 ・・・

やるきまんまん(何を?)で、アーロンに告白したら
ほんきで嫌がられたので、こんきを逃しちゃった。
そっちが、そうゆうきなら、見返してやるわ
今は、げんき(ん)を貯めるのに必死な人生です。
私のことは嫌いでも、お金はすきでしょう?

・・・・・・yuri先輩の人生にも、いつか花咲く時は来るのでしょうか

まあ、それはともかく、最後、みんなで合唱しましょう。
sawa先生、指揮お願いします。


1番、2番、3番、少しメロディが違うんですね。
モーツァルトやシューベルトの歌曲みたい。
滝廉太郎、長生きしたら、どんなに色々な曲を作曲したでしょうか?
21歳で亡くなるなんて、本当にもったいなさすぎる。

実は私は、長いこと歌詞の意味がわかってませんでした。
箱根八里ほどじゃないけど、結構、難しい。
こんな意味なんですね。

良かったら、コメント欄で宴会の続きを繰り広げて下さいね。
飯村さんとか、エリオット・ハンナ君とか、いろいろ出し忘れた人もいるし。
ていうか、マリウス(エディ)、呼んでないかも。

リラの恋・パリの空の下・2

2015-03-26 | 妄想のアーロン

イタリア映画のサントラですが、『誘惑されて棄てられて』ってすごい題名ですね。
どんな映画なんでしょう?題名だけだとファンティーヌの物語みたい。

リラはパリに残ると心を決めました。

約束の一ヶ月が過ぎて、リラは宿泊していた未亡人の家を去りました。
そして、新しい住まいに移り住みました。
故郷の家には、手紙を出しました。
必ず、毎月、消息を知らせるつもりです。
けれど、住所は書きません。
本当にひどい娘だと、自分でも思います。

奥様からいただいた帰りの旅費も、だんだんと少なくなります。
これがあるうちに、仕事を見つけなければなりません。

未亡人の家の使用人に、それとなくパリで仕事に就く方法を聞いてみましたが、
どうやら、女中や店員になるには、身元保証人や紹介状が無ければ難しいようです。

洗濯女や、牛乳売り、古着屋、門番女、料理番、酒場の女将、踊り子、娼婦

アンジョルラスを探していた時には気付かなかった色々な職業の女が、リラの目に
飛び込んで来ます。

一握りの女たちを除いて、働く女たちは、皆、貧しく疲れきっています。
その姿を見て、リラは、今まで自分がどんなに恵まれていたのか気付きました。

リラは、親切そうなミュザンの女将さんに、雇ってくれないかと頼んでみました。
女将さんは首を縦に振りません。酔客相手で、しかも安酒場です。
貧しい女将さんには、リラは充分、良家の娘に見えました。
「ちゃんと家に帰ったほうが良いよ。」
ミュザンには、他にも耳の遠い年寄りが働いています。彼女の職を奪うわけにはいきません。


いつも、歴史的なことは、ほぼ鹿島茂さんの本からの知識なんですが、
『この時代、ブルジョワか労働者かを決めるのは、ただひとつ、そこの家の女性が働いているか否か・・・』と
『職業別・パリ風俗』という本に書いてありました。男も働かないほうが偉い時代だし、女性の職場はほぼ底辺労働。
女性は、仕事に生きがいを感じる時代じゃなくて、仕事が無ければ何の保障もない時代。


アンジョルラスの母はリラが帰ってこないのではないかと危惧していました。
養父母たちも、それは同じです。
心配で胸が張り裂けそうでしたが、パリには兄のようなアンジョルラスがいる。
彼とは逢えたようだ。なぜかアンジョルラスも、リラの住所を教えてこないけれど
リラのことは見守ると返事をしてきました。

アンジョルラスも、両親には今の住所を教えていません。
今やろうとしていることが知れたら、大変なことになるでしょう。
連れ戻されるのを怖れているのは、自分も同じだと思いました。

リラとは、なるべく逢いたくないと思っていました。
あの吸い込まれそうな瞳を見るのが怖いのです。


カフェ・ミュザンの連中がリラに興味を持つのも嫌でした。(ふぅ~んw)
なるべく関りあいたくないけれど、母に頼まれたのでは仕方ありません。

 自分が逢いたいのではなく、逢わなければならないんだ・・・・・・ママンの命令だから

 言い訳ができて良かったですね!


アンジョルラスの母は、パリでリラが世話になった未亡人にも手紙を書きました。
リラの住居を知っていたら教えて欲しい。そして、リラが困ったら助けてやって欲しい。

夫人は、昔、アンジョルラスの両親に大変に世話になっていました。
だから、今回、しぶしぶリラを引き受けました。
彼女にはリラの存在が不思議でなりません。どうして、ここまで面倒を見るの?
夫の隠し子を、世話をしているのかしら?
でも、それなら、一生修道院にでも閉じ込めてしまえば良いのに。

上流の人間には礼を尽くすけれど、なぜ、あんな身分の低い小娘のことを
気にかけなくてはならないのでしょう。
恩返しはしたわ。

『承知しました。出来る限りのことはしたいと思います。ですが、あの娘さんは
 行方も告げずに出て行かれて、私は、何もできない状態なのです。
 できる限りお探ししますし、何かわかり次第、お伝えします。』

返事を書くと、夫人はそれきり、リラのことは忘れました。


世間的には、夫の死後も貞節な未亡人ですが、実は夫人はメリー・ウィドウ。
若くして資産目当てで老人と結婚したので、次は若くて美しい男と結婚したいのです。
今の愛人は、容姿は端麗だけど、彼女のお金目当て。
そういえば、アンジョルラス家の息子は評判の美男だって聞いたわ。
どんな子なのかしら?(リラが彼を追ってきたとは知らないのです。)


 あ、別にそこまで美男じゃないかも・・・(と言われることも多いですよねw)


リラは、毎日、色々な通りを廻って、仕事を探しました。
(えっと、地理も、時代考証も、無視した話が続きますので、よろしく)
そして、ある日、リラはそれまで見たこともないほど美しい通りに出ました。

装飾的な形に曲げられた鉄ときらめくようなガラスの優美な天井のある通りです。
両側には、見たこともないような豪奢な店が並んでいます。
それはパリで大流行のパサージュ(アーケード街)というものでした。
道路には美しいタイルがひかれています。
通りには、美しい淑女と、それに付き従う紳士であふれています。


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■「パサージュの歴史」(NHK世界ふれあい街歩きのサイトから引用してます。)

「通り抜け」を意味するパサージュ。その歴史は200年以上前までさかのぼることができます。
18世紀の終わりに始まったフランス革命により、当時、王家や貴族が独占していた土地や建物は
資本家の手に渡りました。彼らは、遠まわりをしなければならない通りと通りを近道で結び、そこを新しいタイプの
商業地区にすることを考えつきました。それが、18世紀の終わりから始まった「第一次パサージュブーム」です。
19世紀のはじめ、パリにはなんと100ものパサージュがありました。
当時の道路は泥道が多く、歩道もありませんでした。靴を汚さず馬車も気にしないでウィンドウショッピングが
できるのは画期的でした。鉄とガラスを組み合わせた屋根は、当時としては最先端の技術で、明るく、雨の心配もない
空間が実現し、その下には人々があふれ返りました。
「散歩する」「ぶらぶら歩く」という楽しみの概念も、パサージュから市民に広まったと言われています。
時は流れ、現在のパリには10数か所のパサージュしか残っていません。
19世紀のパリを感じることができる貴重な存在と言えます。
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香水瓶が並んだ店、芸術的な細工を施された扇が飾られた店・・・
何よりリラの目をひいたのは、美しいドレスと帽子が飾られた店でした。

細かな刺繍に、艶やかなリボンと、煌くようなビーズ、帽子には美しい造花と
鳥の羽と、チュールがかかっています。


多分、これは、もう少し前の時代かも。ナポレオンの帝政時代かな?

美しいものが大好きなリラは、引き寄せられるように、店の前に立っていました。

中にいた女主人は、先程からリラを見て、お客なのか、グリゼットなのかを
決めかねていました。
グリゼットにしては、身なりが良いし、品がある。
けれど、良家のお嬢様というには、粗末な服だし、お供もいない。
いや、やはり、客では無さそうだ。
落ちぶれた良家の娘が、仕事を探しているんだろうか?

「お嬢さん、何か仕事でも探してるの?」

リラは、それを聞いて、飛び上がりそうになりました。仕事がここにあるの?
実はリラは、手仕事が大好きでした。奥様にレース編みや、刺繍を教えてもらったり
していました。
そうだ、私が刺した刺繍がある・・・リラは手提げを探しました。

(手提げを、この時代の人が持ってたかどうかは知らないけど)

それを見た女主人は驚きました。こんな精緻な刺繍を、こんな小娘が!
どうやら話をすると、非常にうぶで世間を知らない様子です。
まあ、それは悪いことでもないわ。あばずれより、ずっと良い。
それに、この娘、とても可愛らしいじゃないの。
貴族やブルジョワの家に出入りするのにも、品があるので連れて行けそうだ。
奥様がたに帽子をお見せするときに、この娘にかぶらせたら引き立つわ。

リラは雇われることになりました。
洗濯女でも、物売りでも仕方がないと思っていたリラは天にも昇る気持ちになりました。
あんなに綺麗な店で、素晴らしいドレスを作らせてもらえるなんて・・・
自分は何て幸運な娘だろう。

リラはお針子の現実を知りません。
今はただ、このパリで暮らせることになった幸せをかみ締めていました。


まだ既製服が無い時代、人は非常に高価な服を仕立てるか、古着屋で買うか、
安い布を買って、自分で仕立てるかしか方法はありませんでした。
ミシンが発明されたのが1810年、ファッション大国フランスでは、意外に普及が遅かったとか。
それはグリゼットが大量にいて、賃金が安かったからというのも一因らしい。
フランスのバーシレミー・シモニア(Barthelemy Thimonnier)が1830年に特許をとったミシンが、
軍服を縫う目的で1840年に80台生産されたが、失業を恐れた他の仕立て屋によって破壊されたと
いう話もあります。←wikiより丸写しです。

奥方様たちの非常に手の込んだ衣装を、期日までに仕上げるのは大変、酷な仕事です。
徹夜で暗い明かりの下、ずっと手を動かし続けることも珍しくはありません。
なのに払われる賃金は、本当に生活するのがやっとな金額です。


エディは、コゼットとエポニーヌだと、エポニーヌの方が好きって言ってたっけ。
バカげた帽子かぶってないからとか。 これがバカげてるなら、マリー・アントワネットの帽子はどうなる?

貴婦人は、どれだけでも手をかけて凄い帽子をかぶってた。さすがに、この時代にはこんなのは無いけど。

一方、庶民はこんなの。↓
 


これは、ラ・ボエームの『私の名はミミ』という曲です。
本当の名前はルチアです。って、なんでミミなのかというと、当時のグリゼットは
勝手に可愛い通り名を付けて(あるいは付けられて)いたからだとか。

ファンティーヌも金髪(原作)だから、遊び仲間からブロンド(blonds)と呼ばれていたよね。
ファンティーヌの仲間たちも、好き勝手な名前を付けていた。


お針子のミミが、灯りを借りに来て、詩人のロドルフォと恋に落ちる場面です。
何かを思い出すと思ったら、これです。『月の光に』の3番
あの当時、火が消えたら、炎を借りて火を点けるのって普通だったのかな?

でも、暗がりで探し物をして、それで恋に落ちるって、そっくりw


なんか、このミミ、結核で死にそうにはない感じ。

とても面白いブログをみつけました。ラ・ボエームの原作について書いてあります
特にsawaさんにお勧めです。他の記事も面白いよ。

リラの恋・パリの空の下・1

2015-03-21 | 妄想のアーロン

リラがパリを去る日は、刻一刻と近づいていました。

家では、両親や弟たちが、帰りを心待ちにしているでしょう。
それを思うと、リラは胸が締め付けられます。


けれど、決心は変わりません。
残った十日の間に、リラは仕事と住家を探しました。
パリに残るのです。


これからのことを思うと、なるべく安い部屋を見つけなければなりません。

リラはカフェミュザンから、そう遠くない古いアパルトマンの屋根裏部屋を
借りました。爽やかな季節だったので、リラは気付きませんでしたが、
実は、この時代の屋根裏部屋というものは、夏は暑く冬は冷え込むという最悪のもので、
しかも、当然、長い階段も登らなければなりません。

けれど若く元気なリラは、少しも気にすることなく、この部屋に決めました。

古いとはいえ、堅牢で立派な建物でした。内装もとても綺麗です。
でも、実は、立派なのは四階まで。リラの住む屋根裏部屋は5階です。
この建物はもとは裕福な商人のものでした。四階までは主人たち家族の住まい。
五階の屋根裏は使用人たちの部屋です。
四階から五階に行く階段は、がらっと変わって、急勾配で狭く粗末になっていました。
屋根裏部屋の壁は斜めに迫ってきて、天井は低く、とてもみすぼらしい印象です。
小さな鉄製のベッド、欠けた水差し、申し訳程度に開く窓、古い暖炉は火が焚けるのでしょうか。

普通に見たら、心が冷え込むような貧しい部屋です。
でも、リラはパリにいられるのなら、橋の下でも良いのです。


アンジョルラスの母が持たせてくれたお金を、こんなことに使うのは裏切りでしょうか。

私は罪深い娘です・・・ごめんなさい。
いつか、きっとご恩返しします。そして、いつか、きっと・・・

いつか、きっと、何?

いつか、きっと帰ります?
いつか、きっと、アンジョルラスの花嫁になります?

リラの目に急に涙が溢れてきました。

アンジョルラスと再会した日のことを思い出したのです。

ひどく疲れている様子のリラを見て、アンジョルラスはカフェミュザンに
連れて行き、水で割った葡萄酒とパンとスープを食べさせました。


※子供には水で割ったワインを飲ませていたって箱車というフランスの短編小説で
読んだことがあります。上水道の無い時代の話でしょうけど。
他にも、貧しい人は1番絞り(ワイン)でなく、何度も絞ったピケットという
度数の低い薄い葡萄酒を飲んでいたとか。水より安全だった?

リラの泊まっている屋敷は、それほど遠くはありません。
アンジョルラスは、リラを送るために席を立ちました。
ふたりきりで道を歩くのはどれだけぶりでしょう。
リラは胸の高鳴りを抑えることができませんでした。

「いつ帰るんだ?」とアンジョルラスが聞きました。

「帰るつもりは無いの。」


アンジョルラスは驚いて、リラの顔を見ました。

「無理だ、リラ。お前は世間の厳しさを知らない。」


リラは黙ったままです。

「だけど、なぜ? なぜ帰らない?」

アンジョルラスはぼそりと聞きました。
そして、なぜか、それ以上聞いては来ません。

月明かりに照らされた横顔を見て、リラはこの上ない幸せを感じていました。
何があってもいい、彼と同じ場所にいられるなら、どんな苦労をしてもいい。

アンジョルラスは、なぜもっとリラを叱れないのか、自問していました。
自分では認めていませんが、実はリラにパリにいて欲しかったのです。
けれど、パリは誘惑の多い街です。そしてリラに何ができるのでしょう?
アンジョルラスの頭に、ふと嫌な想像がめぐります。

いや、あれでなかなかリラは強かった・・・そんなことにはなるまい。
自分は、今はリラのことを考えてはいられないんだ。


「色ボケ・マリウスって言われますけど、先輩だって、リラのことは考えない~という考えに
 とらわれてますよね。」
「じゃあ、思い切って、リラに・・・革命終わったらつきあってくれますか?っていうべき?」
「うーん、入試ならいざしらず、革命って、そんなちゃんと終わってくれますかねぇ・・・」
・・・・・・と恋バナにふける若き革命家ふたり。



アンジョルラスが去ったあと、故郷でのリラの生活は一変しました。

毎日リラの思うことは、ただの二つだけになったのです。

 リラの弟の女装趣味は続いていた

「今から少し前までは、彼はここにいたのに・・・」

「今から、どれだけ待てば、彼はここに帰るの?」

リラは、こっそり蔵書室に入り、鵞ペンでパリの地図を写しました。

拾った鳥の羽をナイフで削ってペンを作っていたのです。
紙は、以前に奥様からいただいた宝物の天使の絵の裏でした。
そして、野葡萄の実を絞ってインクにしました。

隠れながら、少しづつ写しますが、すぐに色が褪せてしまいます。
紙はざらざらで、ひっかかって上手く描けません。

奥様はとうに気付いていました。そして、いじらしさに胸が一杯になりました。
いっそ地図を与えようかと思いましたが、それより書き写すほうが
悲しみを忘れるかもしれないと思い直しました。

奥様は、新しい紙を数枚と、インク壷、そして鵞ペンを与えました。
屋敷の仕事と、家の手伝いが済んだら、好きに地図を写して良いと
リラに言いました。

叱られると思っていたリラは驚き、喜びました。
早く仕事を済ませて、毎日地図を見て書き写しました。
みな、少し呆れつつ、それでも、ずっと元気の無かったリラが
少し生き生きしたのを見て安堵しました。

実はリラが写しているのは、19世紀初めの地図でした。
今は色々変わっているでしょう。
新しい地図は、旦那様の書斎でした。
でも、リラが実際に地図を使うわけではないので、奥様はそのまま
リラに古い地図を与えておきました。

めまぐるしく変わるパリの街ですが、アンジョルラスの通うパリ大学は
変わっていません。彼の住むアパルトマンのある通りも載っています。
リラはそっとアンジョルラスの住まいのあたりを指でなぞります。
今、彼は何をしているんだろう?

パリ大学ってどんな所だろう?友達と語り合っているのかな?
どんな学問をしているんだろう?
私が聞いてもわかるはずもないけど・・・・・・

そもそもリラには大学か何かなどは、わかりません。
リラが今まで見たうちで1番壮麗な建物を思い出します。
マルセイユの丘の上に立つノートルダム・ド・ラ・ガルド(教会)です。
大学は、きっとあんなところかしら?

アンジョルラスが
「マルセイユは港町だけど、パリは内陸にあるんだ」と教えてくれました。

「大きな川が流れているけど、海は見えないんだ」

リラは彼の言葉を思い出しながら、毎日毎日、地図をなぞりました。
なぞっても、あまり外に出してもらえないリラには、街を想像することはできません。

でも、いい。いつか、歩いてでも行くんだ。だって、彼は帰ってこない。


そして、いま、私はパリにいるんだ。
だったら、先が見えなくても、もう泣くのはやめよう。
ここには、アンジョルラスがいるんだから。
この街で生きるのがどんなに苦しくても、私はここで生きていくんだから。


しかし、それには、1日も早く仕事を見つけなければなりません。
アンジョルラスを見つけたリラに、もう怖いものはありませんでした。




Once I had a secret love
that lived within the heart of me
All too soon my secret love
Became impatient to be free

ただ1度秘密の恋をしたの
その愛は私の心に秘めている
あっけないくらいに、恋が自由に
羽ばたく日が来る日がくればいいのに


So I told a friendly star
The way that dreamers often do
Just how wonderful you are
And why I am so in love with you

だから私はあの優しい星に語るの
夢想家がよくやることよね。
あなたがどんなに素敵で、そして
私がどんなにあなたに夢中かを語るのよ


Now I shout it from the highest hills
Even told the golden daffodils
At last my heart's an open door
And my secret love's no secret anymore

でも、今、私は一番高い丘に登って叫ぶの
あの金色の水仙にすら語るのよ
ついに、心の扉を開けて
私の秘密の恋が、誰にも秘密でなくなるの

リラの恋・あなたはどこに・・・ 2

2015-03-17 | 妄想のアーロン

これ、なんと、俳優のアンソニー・ホプキンスの作曲です。若い頃、音楽家を目指していたとか。
素人の作曲じゃないですよね。現代のワルツ王アンドレ・リュウが50年間陽の目を見なかったこの曲を演奏したんだとか。


アンジョルラスを探し始めてから、もう20日以上経ちました。

リラは故郷の人々に、ひと月で帰る約束をしてきました。
帰る日が刻々と近づいています。

彼の消息は、未だに、まったくわかりません。
前の下宿も度々訪ねましたが、あれから1度も来ていないようです。
リラは毎日、あてもなく探し続けました。

まさか彼が住まいを変えているとは思っていないアンジョルラスの母は、
リラがパリに立つ前に、固い約束をさせました。

パリを見て歩くときは、必ず明るい大通りを歩くこと
一歩たりとも、裏道に入ってはいけない。
歩きまわるのは昼間だけ。夕方にはお屋敷に帰ること。

マルセイユも大きな港町で、それなりに危険はありますが、
リラをひとりで歩かせることはありません。


これ、マルセイユじゃなくて、多分リヴァプールだけど、マルセイユのつもりで。

リラはお屋敷のまわりのほんの狭い世界しか知りません。
小さいころは冒険好きでしたが、今は考え深い娘に成長していました。


表通りこそ街灯が輝いていますが、一歩入った裏通りは暗い闇に包まれています。
そして、少し郊外の城塞の近くは貧民外で、深い闇に包まれた何が起こるか
わからない世界です。実際、毎日のように夜警は十数体もの遺体を
回収していると聞きます。

今日も大学、パンテオン、リュクサンブール公園など、考えうる限り回りました。
そして、やや怪しげな路地にも足を踏み入れました。しかし、道は思ったより複雑です。
ぐるぐると路地を迷ったリラは、ひたすら来た道を戻ろうとしました。
早く大きな通りに出なければ帰りの道がわかりません。
実はここはカルチェラタンの学生街で、非常に危険な貧民街ではなかったのですが、
リラにはそんなことはわかりませんでした。



アンジョルラスが住まいを密かに変えていると知っていたら、アンジョルラスの母は、決してリラを
パリにやることは無かったでしょう。

医者に見せて、何か気が紛れるようなことをさせてやったでしょう。
けれど、彼女は、リラがすぐにアンジョルラスに会えたと思っていました。


「喉が渇いたなぁ」
ふと見ると『カフェミュザン』という看板が見えました。


カフェがどういうものかは、リラも知っていました。が・・・
もちろん、入ったことはありません。
若い娘、ひとりで入れるような場所ではなさそうです。とにかく帰ろう。

数人の若い男たちがやって来て、カフェに入ろうとしています。
ふと風に乗って「・・・ァンジョルラス」と聞こえたような気がしました。

思わず男たちを見つめたリラに、数人が優しげな笑みを浮かべて
中に入っていきました。

リラはいつも耳をそばだてていました。どこかでアンジョルラスの消息が掴めないかと。

サン=ジョルジュがそう聞こえたり、アンジェだったり、 アンリ・ジョルラスだったり・・・

恥ずかしさをこらえて、リラは見知らぬ人に問いかけます。

何度も何度も、たくさんの人に尋ねても、いつも聞き間違いでした。
けれど、今、確かに・・・アンジョルラスって聞こえた・・・
追いかけて聞きたい。

どうしよう、もう直に日が暮れる・・・
明日、出直してこようか。間違えずに、またこの場所に来れるでしょうか?
それに、彼らが明日いる保証はありません。
今すぐ入っていって、彼らに聞きたい。でも、すぐに帰らないともう時間がない。
そして、なにより、居酒屋などに一人で入るのはリラにとって大変な恐怖でした。
知らない男に何をされるかわからない、そう思い込んでいました。

日が暮れて知らない街に取り残されるのも、とんでもなく怖ろしいことです。
この路地から表通りに出るのはどうしたらいいのか、一抹の不安がよぎります。

鹿島茂の『パリ時間旅行』に、鹿島先生が体験した暗闇の恐怖が書かれてました。
新月の夜に、ボヘミアの森で、車のヘッドライド以外は何も光源がない状態になって、
ただひたすら続く際限のない漆黒の闇、それは背筋が凍るほど怖ろしいものだったそうです。
私たち現代の日本人は、暗いといっても、街灯や家からの明かりや、コンビニ、車のライト
自販機・・・普通に人が暮らしているところでは、漆黒の闇はありませんよね。
パリには街灯がすでにあって、大通りを照らしていたそうですが、路地の隅々までは
明るくなかったんじゃないかと思います。
家の中の灯りも、外にもれるほどは明るくなかっただろうし。
1830年くらいのパリって、女性ひとりで夜歩いたりできたのかな?
エポニーヌは別として。


今日は道を覚えながら帰ろう、暗くならないうちに。
けれど、土地勘の無いリラにとって、それはなかなか難しいです。

無計画に建てられた高い建物と入り組んだ狭い路地。
さらに無数の袋小路があり、まるで巨大な迷路のような有様です。
大通りに出るはずが、なんと元の場所に戻ってしまいました。
日は傾き、徐々に闇がせまってきます。

さきほどの数人の若者が思い出されます。
優しそうな顔をした育ちの良さそうな若者たちでした。

勇気を出して、あの店に入ってみよう。
優しそうな人たちだったし、そんなひどい事にはならないだろう。
彼らに道を聞こう。

それに、あの人たち、確かにアンジョルラスって言ってた。

しかし、すでに彼らは帰ったあとでした。

(実はミュザンにはABCの友の部室が奥にあって、普通の客は入れなかった。
 多分、リラが会った青年たちは、奥の部屋にいたんだよ。)
 はーい、壁に並んで、出席番号!
リラは思い切って、店の女将さんにアンジョルラスの事を聞きました。
けれど、女将さんは、そんな名前は知らないようでした。

(ファンの女の子は追い返すように言われてたので)
 ごめんね

外に出たリラは恐怖に包まれます。
完全に日が沈んでいたからです。

あたりは、カフェから漏れるわずかな灯り以外、真っ暗でした。
わずかな月明かりも、雲間に隠れてしまいました。

このまま居ても仕方がない、リラは勇気を振り絞って歩きだしました。

少し行った時です。いきなり誰かに腕をつかまれました。

「きれいなお嬢さん、さっきから酒場の前でうろうろしてたけど、酒でも飲みたいの?」

「俺たちといっしょに行こう。」

とても優雅に着飾った伊達男のふたり組でした。

男たちに囲まれて、リラは動けなくなりました。どうしよう、大声を上げなくちゃ・・・
でも、誰か出てきてくれるだろうか?
ふたりはリラを連れて行こうと、引っ張ります。
リラは声を挙げますが、細い声は、闇に吸い込まれるだけです。

「グリゼット風情がもったいぶるんじゃないよ。」
男たちが嘲笑います。

すると、そのとき、急にリラの手が自由になりました。
誰かが、リラを掴んでいた腕を、おもいっきり何かで叩いたのです。
もともとからかい半分だった相手は、面倒を避けるように去って行きました。

「大丈夫ですか?お嬢さん」

リラは、その声を聞いて驚きました。

月かりが差して、少し回りが見えてきました。

1日たりとも忘れることのなかった人が、そこに立っています。
月光に映えて金色に輝く髪、厳しいけれど、暖かな瞳。
大人っぽく逞しくなったけれど、変わらぬ彼の姿があったのです。

「アンジョルラス!」リラは我を忘れて叫びました。

「・・・まさか、リラ? どうしてこんなところに?」

答えようとした次の瞬間、リラは彼に抱きとめられました。
1日、飲まず食わずで歩き続けて、今、緊張が解けて倒れそうになったからです。

いつもなら、あわてて離れたでしょう。でも今のリラは・・・
やっと会えたアンジョルラスに夢中でしがみついて、決して離れようとはしませんでした。

そして、このとき、リラは決心したのです。
もう二度と、アンジョルラスとは離れないと。




もしもある日、運命が私からあなたを奪い取っても、
もしもあなたが死んでしまい、私から遠く離れ去っても、
そんなことはかまわない
あなたが私を愛していたのならば、私も一緒に死ぬのだから
そして永遠の愛を得るのだから



有名な『愛の讃歌』です。これも、怖ろしいほどリラの歌詞ですね。
訳はこちらにありました。お世話になります。
それにしても、すごい巻き舌。機械音みたいw


リラは、自分を抱いているアンジョルラスの手が、いつまでも緩まないのに気付いてはいませんでした。
いや、むしろ二度と離さないように固く抱きしめていたのは、アンジョルラスの方かもしれません。
故郷を離れていても、リラを忘れた日はありません。
アンジョルラスは、それを単なる郷愁だと思っていました。
けれど、今、リラの黒い目にみつめられて、言葉ではいえない気持ちが湧き上がるのを抑えることができません。
彼はリラを離したくないと思うと同時に、近づいてはいけないという思いにかられました。
今の自分には、何をおいてもやらねばならない事がある・・・・・・




もう、遅いよ、アンジョルラス。お前はすでに敵(リラ)の手に落ちた・・・



むかし、ヴィリアという森の妖精がいました
ある狩人が岩山でヴィリアを見つけ
一目で恋に落ち、じっと見つめていました

それまでに覚えのない震えが若者をおそい
彼はせつないため息をつき始めたのです

ヴィリア おおヴィリア 森の妖精よ
私をつかまえ お前の恋人にしておくれ
ヴィリア おおヴィリア
どんな魔法をかけたのだ?
恋に悩む男は訴えたのです

森の妖精は男を捕らえ
岩屋の中に引きずり込み
気も遠くなるほどキスをした
普通の娘はこんな風にキスはしない

キスに満足した彼女はやがて消え去った
もう1度あえた時、彼女にむかって若者は言った

ヴィリア おおヴィリア 森の妖精よ
私をつかまえ お前の恋人にしておくれ
ヴィリア おおヴィリア
どんな魔法をかけたのだ?
恋に悩む男は訴えたのです




 1801年のパリは市街地が城壁の中に縛られており、人口は54万6856人(←何月何日の何時何分のデータでしょうか)
広さは意外と狭くて34.5平方キロメートルでした。

 ということは、人口密度は15,851人/km2

 仮に正方形だとすると、√34.5=5.87キロ四方 いくらなんでも20日では・・・・・・

 日本でいうと、杉並区 面積・34.02平方キロ 人口・543,190人(H26.7.1)
そう考えると、コゼットをすぐにみつけたエポニーヌは神だな。

ご都合主義すぎてごめんなさい。
デパートではぐれても、携帯も館内放送も無ければ、めぐり合うことできないよね。
愛しあう二人の力ってすごいね(棒)





のんとアーロンの恋 / 愛を育むホワイトデー編

2015-03-15 | 妄想のアーロン

「ハーイ、のん、
今帰って来たよ。
そっちは、朝だね、おはよう、ダーリン。」

「お疲れ様、アーロン。
朝ご飯食べて、会社行ってくるわね。」

「何食べてるの?トースト?」

「うん。あと、ヨーグルト。」

「オー!ヨーグルト、大好き!
あっ、ちょっと待って、今、僕も食べる。
冷蔵庫に... 入ってるんだ、よいしょっと、いつもね、きらさない。」

「いっただきまーす。うん、美味しい。僕達、今、同じ物食べてるんだね。
NYと日本、遠く隔ててるのに、なんか不思議。ちょっと近づいた気がするよ。嬉しいなぁ。」

「ほんと、アーロンと同じ物食べていると思ったら、いつもより美味しく感じる!
まあ、私のは、何の変哲も無い、"明治ブルガリアヨーグルト"なんだけど。」

「うん?何?何ヨーグルトだって?」

「ううん、いいの。オシャレじゃない、日本の普通のヨーグルトって言ったのよ。」

スーパーの特売で89円だったのよ。

「日本の食べ物は全て美味しいよー。僕、好きだよ。」

「ねえ、のん、会いたいなぁ。愛してる。
 隣で一緒に食べたいよ。早く撮影終わらないかなぁ。」

「そうね、私も会いたい。でも、夏までは来れないんでしょう?」

「うん、ちょっと難しいなぁ。はあ、辛いよ。」

「待っててね、5月になったら、ゴールデンウイークがあるから、会いに行けるわ。」

「そうだね!待ってるよ。早く来て!ただ、ごめん。夜ぐらいしか一緒に過ごせないけど。」

「いいのよ、貴方の顔が見れれば、もう十分。」

「うん、のんにキスができるし、もっといいことも、できるしね!
 のんの、柔らかい肌に早く触れたいよ。あー、待ちきれない!」

「もう、アーロンたら、恥ずかしい。こっちは、朝なのよー。」

「あっ、会社!時間がー。じゃあね、アーロン、またね、行ってきます。」

「のん、いってらっしゃい。君を抱きしめている夢を見て眠るよ。」
今日も、ラブラブの2人です。

一週間後のことでした。
アーロンから、電話。
「のん、考えたんだけど...14日のホワイトデー、
 ほら、日本では、バレンタインデーと同じくらい、恋人達にとって大切な日だろう?
 だからさ、僕らも一緒過ごしたいなぁと思って。のん、僕とバーチャルデートしない?」

「バーチャルデート?」

「うん、同じお店でー、同じ物食べるのさ!」

「えっ?よくわからない。」

「サラベス、そっちにもあるよね?そこで、フレンチトースト食べるんだよ。同じ時に。
 NYは、3/14の朝7時、TOKYOは、3/14の夜9時。で、いっただきまーす、ってさ。ホワイトデーを一緒に過ごせるよ。」

「うわぁ、そういうこと!さすがにお店だから、電話で会話は無理だろうけど、LINEでトークは出来るものね。」

「そう、バーチャルだけど、リアルデート!」

「素敵ー!する、する、」

「僕は、朝、サラベスに並ぶよ。ちょっと寒いけど。だから、空いてるかもね。」

「私は、夜、サラベスに行けばいいのね。
 ちょっと待って、PCで検索する。うーん、品川店は、24:00までオープンだから...余裕ね、そこにする!」

「じゃ、決まり!マイハニー。ホワイトデー、バーチャルデートだー!」

それ、バーチャルちゃうわ、節子!バーチャルなめたらあかん。

SNSでだけ三桁の友達を誇るとか
二次元の彼氏(映画スター、アイドルも含む)が本命とか
お洒落スポットに行く服を買いに行く・・・ための服がないので、いつまでも服が買えないとか
恋バナを都市伝説だと本気で思ってるとか
「モテるためのテクはたった三つ?」などの特集を鼻で笑いつつ目で追うとか
抱き枕と猫以外は自分の人生で抱けるものがないと諦観してるとか
I dreamed a dreamより、On my own派であるとか
将来、科学が発達して、人間と変わらないアンドロイドが出現して、アーロンそっくりな恋人ができると信じているとか
将来、科学が発達して、現実世界と変わらない夢を自由に見せてくれるマトリックスの世界が来ると信じているとか
将来、科学が発達して、全員、美人で年をとらない世界が来ると・・・いや、これはつまらん。

自分だけ美人になりたい・・・

そんな寂しい人間が、のんとアーロンの恋ってどんな曲が似合うかなとか、しょうもないことを
バレンタインでもホワイトデイでも考えてるとか、そこまでやれてバーチャル人間と言えるんだよ!

 yuri先輩、自己紹介はもうわかりましたから、次行きますよ!



There's a kind of hush
All over the world tonight
All over the world
You can hear the sound of lovers in love
You know what I mean

今はとても静かだね
世界中全部が、みんな静かだ
君の耳に聞こえるのは恋におちた者たちの
愛を交わす言葉だけ
わかるよね

Just the two of us
And nobody else in sight
There's nobody else and I'm feelin good
Just holding you tight

今はふたりだけ
誰の姿も見えない
誰ひとりいないから、とても幸せだ
だって君を強く抱きしめられるから

So listen very carefully
Closer now and you will see what I mean
It isn't a dream
The only sound that you will hear
Is when I whisper in your ear I love you
For ever and ever

よく聞いておくれ
もっとそばに来て、そうすればわかるよ
これは夢じゃないってことが
君に聞こえてくる唯一の音、それは
僕がささやく愛の言葉
いつまでも、いつまでも



ホワイトデー当日。
NYは快晴、アーロンは、サラベスの入店の列にならびました。

夕べは深夜まで撮影があり、ほとんど寝られませんでしたが、早起きも辛くはありません。
のんとのデートですから。

一方、のんは、品川のサラベスへ。

夜9時、こんな時間にフレンチトーストなんて食べたら太りそう。
しかも、お一人様って、可哀想な人みたい?ちょっと恥ずかしいけど。と、少々戸惑いながらお店に入りました。

2人のオーダーは、もちろん、"フラッフィーフレンチトースト"
LINEで、連絡を取り合います。
まずは、店内の写メから。
周りの人に迷惑にならないように、極力こそっとシャッターを切ります。
余計、怪しさが増しますが。(笑)


アーロンがスマホを持ってる画像、これしか無かった。グレイスランドでジャングルズを探してる場面。

日本のお店、綺麗だね。
駅ビルの4階なの
へー、駅ビル? 

不思議よね。
いや、便利でいいね。
土曜の夜だから、カップルが多い。
そっかあ、こっちは朝だから、ファミリーが多いかなぁ。


頼んだ?
うん、頼んだ。
ドキドキする
うふっ、ほんと。
こないなぁ。
あっ、きたー!フラッフィー!

えっ?こっちは、まだー。
大丈夫よ、待ってる、待ってる
ごめん。
うーん、早くこい!来い!
大丈夫、急いでないから。
でも、のんのが、冷めちゃうし...


どうみても自撮りには見えないか。それらしい画像ないので、ピストル画像ですみません。

あっ、きたー!イエース!
と、アーロンから着信。
「のん、お店だから小声でね。
I Love You!心から愛してる。」
「私もよ、アーロン。I Love You Too!」
「Happy White Day!」
「Happy White Day!」
「せーの、いっただきまーす。」
私たちは、フレンチトーストを切って口に入れました。
美味しい!
美味しい!
お互いに、フレンチトースト食べてる写真を自撮りしてLINEに送り合いました。
恥ずかしかったけど、かまいません。
ちょっと冷静に考えたら、随分と変な人です。
お隣の席の方、本当にごめんなさい。

でも、誰がどう思っていようと、今の2人には全く関係ありませんでした。

バーチャルデート中なのです。
1人なのに、寂しくない。
遠いのに、近く感じる。
それだけで嬉しい2人でした。
仮想なんて虚しいだけと、考える余裕はありませんでした。
同じ時間を一緒に過ごせる喜びで、胸がいっぱいだったのです。
アーロンは、午後からは、またお仕事。

わずかな時間をやりくりして、2人は愛を育もうと努力していました。
のんは、今日は、いい夢が見れそうです。
もっとも、お腹も胸もはちきれそうで、まだ眠れそうにはありませんが。
甘い、甘い、ホワイトデーを過ごした、のんとアーロンでした。


さて、そろそろ帰らないとね。
て、あれ、あの人・・・うそ、まさか~~~

きゃーきゃー、い、飯村さんだよ、間違いないよ~

「のん、どうしたの?さっきから反応ないけど」

「失礼ですが、飯村さんですよね?」

「え、あ、そうです。(にこり)
きゃー、なんて素敵な笑顔。
優しそう~思い切って、ファンだって言っちゃえ

「飯村さんは、私にとって最高のフィエロなんです。お会いできて感激です。
 ああ、もう頼んだものが入らない感じです。」


「アハハ・・・嬉しいけど、せっかくの素敵な食事がもったいないよ。
(あれ、でも、ほとんど全部食べてるよね・・・w)
 これからも頑張るから、よかったら応援してくださいね。

「のん、なに? どうしたの?のん」

あー、もうアーロン、邪魔!電源切ろうっと。
「あ、今、映画館なの、アーロン、電源切るね!」

「ええ?今サラベスじゃなかったの?え?これから映画って遅くない?」

浮気を繰り返す彼女を、それでも僕は浮気なんてしない、君を待ってるっていう歌です。
和訳はここです。お世話になります。

絶対、おかしい。


いくら純情な天使のアーロンでも、今、背後に聞こえた男性の声を
聞き逃したりはしません。
(あれ、Lineでメッセージだったんじゃないかって?細かい設定はいいのw
それと、飯村さんは物静かだから、声が聞こえるわけないよというツッコミもなし!)
大体、突っ込もうと思えば、のんとアーロンは何語でメッセージをやり取りしてるんだという
「それを言うとお終い」なツッコミも出てくるし。

そういえば、前に寝言で「ウルスさん、好きよ~」って言ってたっけ。
誰だよ?ウルス?

ていうか、なんで映画館なんだよ?
ステーションビルに映画館が入ってるの?

夢見心地で帰宅したのん。スマホの電源は切ったまま。可哀そうなアーロン・・・
さあ、これからどうなる?

あ、ユリ先輩から、アーロンにホワイトデイのプレゼントに一曲 you、そんな子、やめちゃいなよ!
ただいま、乗り換えキャンペーン中ですよ!


リラの恋・あなたはどこに・・・ 1

2015-03-06 | 妄想のアーロン


リラは1度もアンジョルラスにクリスマスの贈り物を貰ったことがありません。

物語を読んでくれたり、迷子のリラを探してくれたり、とても優しいのに
なぜか誕生日もクリスマスも忘れているようなところが彼にはありました。

12月、パリには雪が降っています。
故郷のマルセイユでは、あまり雪は降りませんでした。
暖かく穏やかな気候の故郷、
けれど、どんな極寒の夜よりも辛い日々もありました。

アンジョルラスがパリへと旅立った日・・・そして・・・
いつか帰ってくると信じていたのに、4年経っても帰らないと聞かされた日。
彼の母から二人が結ばれることは無いと告げられた日。

希望を失ったリラに、アンジョルラスの母は、とうとうパリ行きを許してくれました。
もちろん、それが結婚を許してくれたのだなどとは、リラも思ってはいません。
第一、アンジョルラスがリラに愛を語ったことなど無いのだから。

パリに出てきた日のことをリラは思い出していました。
それはリラが庭先で拾われたのと同じ、ちょうどリラの花の季節でした。


数日の馬車の旅にも、リラはまったく疲れを感じませんでした。
一人旅にも、恐怖や不安は感じません。
寂しげな育ての両親の顔や、何かを思っているようなアンジョルラスの母の顔
別れが辛くて泣いている幼い弟たち、可愛がってくれた他の使用人たち

リラも別れは辛かったのですが、それにも増してアンジョルラスに逢える喜びに
満たされていました。

ひとつ大きな不安がありましたが。

リラにとっては、天にも昇るようなアンジョルラスとの再会。
けれど、彼にとってはどうなんだろう?
もう私のことなど忘れただろうか? だって、故郷に帰りたいと思ってはくれないのだから。
これから待つのが天国なのか地獄なのか、リラは指先が冷たくなるほど緊張していました。


リラがパリに来るのに乗ったのはディリジャンス(乗り合い馬車)
蒸気機関車はまだ走っていません。馬車の速度とか、途中で泊まったのかとか、色々と
わからないんだけど、途中で馬を替えたりしたのかな?食事やトイレなんかはどうしていたんだろう?
パリ→マルセイユ間は860キロって・・・あれ、私、前に655キロって書いてる。いい加減ですみません。
地図上の直線距離(都市の境から境の最短距離かな)と、路線の距離(駅から駅の距離)の違い?

で、860キロを信じるとしたら、東京→広島間くらいだそうです。
もちろん、この時代は道路も橋も今と大違いだろうし、馬や御者も休みがいるだろうし
山道だと、スピードは出ないだろうし・・・乗り心地も悪いだろうし
リラ、大変だっただろうな。
・・・と思ってたら、実は他にも大変なことが。
ジャン・バルジャンが囚人用の旅券を持っていて色々差別される場面があるけど、
この時代、囚人ではなくても、国内で旅をするのには旅券(パスポート)が必要だったそうです。
旅券を手に入れるには身元保証人がいるし、パリに入るには市門から入らなくてはならない。
パリは城砦都市だから、関所を通るような感じかな?
18世紀以前は外敵の侵略を防ぐものでも、19世紀の市門は入ってくる品に関税をかける場所だったとか。
徴税人の壁と呼ばれて、パリに税収は入るものの、当然物価は高くなって貧民には住み難い。
税金、何に使ってたんだろう。



リラがパリでしばらく住むのは、アンジョルラスの母の知人の家です。
ひっそりと静かに暮らす未亡人の家・・・
数人の召使いがいるだけで、あまり人の出入りはありません。

おかしな男に目をつけられることも、召使いの身分なのか養女なのか、パリにまで
行かせてもらうリラの身分を詮索する人間もいない静かな家です。

到着の翌日、早速、リラはアンジョルラスの下宿を訪ねました。
想像していたよりパリの街は汚く、華やかな表通りを一歩入ると、
じめじめと荒廃した貧民街が広がっていました。

アンジョルラスの住む場所は、そんな荒廃とは無縁な地域。
大学にもほど近いところに立つ瀟洒な建物です。
立派な門構えで門番夫婦も住んでいます。

リラはおずおずと門番の女房らしき女性に声をかけました。
「アンジョルラス? ここには、そんな名の人いないよ。」

リラは慌てて故郷の奥様の書付けを取り出しました。
若い娘が会いにいっても、通してくれないと思ったので、一言、事情を書いてくれて
いたのです。

それを見た門番の女房の態度は一変しました。
「あの人、ときどき変な女たちからつけられてたからね。ちゃんとした知り合いだったんだね。」
やや気の毒そうに
「本当にもう1年くらい前から、ここにはいないんだよ。たまに、そうだね、ひと月に2度ほど
 手紙を取りに来るくらいで。少し前に来たから当分来ないんじゃないかと思うよ。」

アンジョルラスは、最初に両親が手配した上等な下宿を少し前に出ていました。
人の出入りの多い、華やかな社交の雰囲気に何年経っても馴染めなかったのです。
そして、今の彼は、ある目的のためにお金を貯めていました。

宿を変えたのを両親に知られたくない彼は、門番の女に手紙の保管を頼んでいました。
アンジョルラスを気に入っていた門番の女は、たまに彼が手紙を取りに来るのを
むしろ楽しみにしていました。


門番の女はアンジョルラスの住所を知りません。
彼が今度来たら、リラのことを伝えてくれると約束してくれましたが、それがいつかは
わからないのでした。

リラは目の前がまっくらになりました。どうしたらいいの?


・・・ここ2日ほど、これを考えてたんですが、ここで止まりました。続きはまだ浮かんでないw


ちょっとした番外編w


そうだ、大学、大学の前で待てば・・・
リラは恥ずかしいのをこらえて、パリ大学の校内に入り(当時、部外者入れたのかは知らない)
聞いてまわりました。


「どなたか、アンジョルラスという人をご存知ないですか?ブロンドのイケメンです。」

 僕はブロンド、イケメンなアンジョルラスだけど、何か?

その青年の名はアントワーヌ(アントン)・ヴタイバーン・アンジョルラス

 あ、ぼく、ロベール(ロブ)・ズットゥ・マリウス・ポンメルシーです。

どの青年も、とても親切に話を聞いてくれましたが、誰もアンジョルラスを知りません。
(アンジョルラス、在籍すれどもミュザンに入り浸りだからね。)
 外では目立ってるんだけどなぁ(うるさくて)

けれど皆、リラの少ない言葉からでもリラの恋心を読み取りました。

「何かあったら教えるから、またここにおいで」
そういうと、学生たちは去って行きました。


アントワーヌ(アントン)は密かにため息をつきました。
彼も叶わぬ恋をしていたのです。
相手は修道女、道に倒れた浮浪者や乞食を助ける美しい女性でした。
(まだこの時代はナースという職業はないんだよね?)

決して結ばれることは無い恋でした。

尼僧院に入る前はアキレッタと呼ばれていて、小柄で愛らしい良く笑う少女だったそうです。
彼女がなぜ修道女になったのかは知りません。

そして気のせいでしょうか?彼女の目にときどき彼への熱い想いが見えるのは。
いや、思い過ごしだ、うぬぼれるな、アントワーヌは自分をいさめました。

白いかぼそい彼女の手が起す小さな奇跡を見て、アントワーヌも自身のあり方を考えていました。
そして、彼はやがて革命へと身を投じて行くのです。


て、ちょっと困ったなw
バリケードにアンジョルラスがふたり。
あ、マリウスもふたりになっちゃうw

それと、アキ&アントンジョルラス、美化しすぎちゃった。ぜんぜん別人w

のんとアーロンの恋 / アーロンのバレンタインデー

2015-02-23 | 妄想のアーロン
アーロンは、指輪の箱を眺めて一人ニヤついていました。
「のん、びっくりするだろうなぁ。」
「のん、喜ぶだろうなぁ。」
と。


Qwandoはイタリア語で、いつ?っていう意味だそうです。
いつになったら、プロポーズしてくれるの?待てないの!っていう歌。
和訳はこちらです。お世話になります。

バレンタインデーは、会えないと、のんには言ってあります、撮影があるからと。
でも、本当は、日本に行くつもりなのです。
3日間のオフができたのでした。
もう、航空券は買ってあります。

「明日行く!」
と言って、驚かせる予定でした。
のんの顔が目に浮かびます。
きゃーって、絶叫するかもしれないな。
興奮して、携帯放り投げちゃうかも。

「もしもし?聞いてる?のん?のん!」
って、僕は叫ぶんだろうな。
想像して、嬉しくて頬が緩みっ放しのアーロンでした。

ついでに頭のネジも緩みっぱなし~~

クリスマスに買った、ペアのポージーブレスレット。
手首でキラキラと光ります。

ポージー‐リング(poesy ring/posy ring)
《「ポジーリング」とも》内側に詩やメッセージを刻んだ指輪。
ヨーロッパで13世紀から18世紀に行われていたといわれるが、近年日本でプレゼント用に流行している。


日本とアメリカ、遠く離れていても繋がっている気がして寂しさが半減します。
でも、本当は、いつも側にいたい。
のんも、口にはだしませんが、きっと同じ気持ちのはずです。

健気な彼女の為に、指輪を買ってあげたいと思っていました。
バレンタインデーは、愛する人に贈り物をする日。
アーロンは、ジュエリー店を回ってのんに似合う物を探しました。

サイズは、彼女が身につけている物をこっそり計ったのです。
のんは、小さくてかわいい手(え?)をしています。
その白くて華奢な指(え?)に似合う、指輪。
細身の物がいいなぁと思っていました。
やっと見つけました。
小さなパールが一粒ついたリングです。
ポージーブレスレットに合うように、同じゴールドにしました。
そして、今回は、「with love」と彫ってもらったのです。


 To Yuri with love とアーロンの体に彫ってやる!いつか

ていうかね、のんがリングを受け取る瞬間に、TVからずるずる出てきてやるからね!きっとくる~~♪

リングのテーマを貼ってやろうかと思ったけど、さすがに怖い人がいるとまずいので、
ここはふたりの愛への嫌がらせでこの歌を

誰か買わない?
このダイヤモンドの指輪
僕の彼女は指から外したんだ
だから、もう何の意味もないんだ
もう僕には輝いてくれないんだ

君に本当の愛する人がいるのなら、
僕のかわりにこの指輪を輝かせてよ

本物のダイヤだよ
愛が本物あって欲しいように
君の彼女が僕の恋人より誠実であれば
このダイヤは美しく輝けるんだ




アーロンは、指輪の箱を抱きしめてバレンタインデーまでの日を指折数えてまちました。
「のんの笑顔、かわいいなぁ、(え?)
 早く会いたいなぁ。
 指輪を見たら、どんな顔するだろう。
 薔薇の蕾(え?)がひらくように、フワッと柔らかい微笑みかなぁ。
 うわあ、
 そんな顔されたら、抱きしめてキスをしたくなっちゃうよー。
 空港の到着ロビーの真ん中でさ。
 熱烈なキス!
 のんは、恥ずかしがり屋さん(え?)だから、きっと嫌がるだろうな。
 でも、抱きしめて離さないんだ。 ああ、愛しい。待ち遠しいよ。」



ついに、バレンタインデーまであと3日となりました。
のんに電話しなくちゃ、と
ワクワクしていた時です。

マネージャーから連絡がありました。
フロリダでプロモーションを撮るというのです。
「えっ、オフのはずじゃ...
 はい、はい... わかりました。支度しておきます。」

...
...
アーロンは、放心状態でした。
のん、
日本。
計画が泡と消えてしまったのです。

「のん!のーん!」
アーロンは叫びました。
本当に仕事になってしまったなんて、
はは、ははは


nonomさんが曲を選んでくれました。
歌詞はこちらです。
いきなり突き落とされた気分のアーロン、もうわけわかんなくなってるって感じの歌ですね。
血でサインするなら、あなたの夢を叶えてあげるって、悪魔の契約書かw


大きな声をたてて自嘲ぎみに笑うと、アーロンの目からは、一筋の涙がこぼれ落ちていました。

「こんなことだと思ってたさ。そうは、上手くははいかないさ。」


「のん、ごめん。なるべく早く会いに行くから。
 本当に会いに行くから。だから、待っててくれ。絶対に、待っててくれよ。」
アーロンは、指輪の箱にそっと口付けをすると、クローゼットの引き出しの一番奥にしまったのです。

仕事です。
のんへの気持ちはひとまず封印。
今年は、寂しいバレンタインデーになりそうです。

 街角で聞いてみました。あなたにとってバレンタインデイとは?

 学年一可愛い子が自分に告白してくれる   ・・・・・・という妄想にふける日

 コンビニで半額チョコが売ってないかどうかを探す日  の前日

わりと皆さびしいんですよ。多分・・・・・・




ははは・・・その点、僕なんて毎年トラックいっぱいのチョコをもらうからさ!


可愛いですね、アントン(泣けるね!)
この画像はこちらからお借りしました。

のんとアーロンの恋 / 甘いバレンタインデー

2015-02-18 | 妄想のアーロン


「ワオ、チョコレートマウンテン! やりたかっんだよねー、これ!
凄ーい、チョコレートの滝だあ。」

節子、落ち着け、それはチョコレートファウンテンや。マウンテンやない。
チョコレートの滝やない。チョコレートの噴水や。

「NYにもあるでしょう?」

「知らないよー。女の子達が行くような店には、あまり行かないから。やっぱり日本はいいなぁ、
美味しくて面白いものが沢山ある。うーん、イエス!
このチョコの滝にイチゴをとおして!うーん、この感覚最高!次は、キウイ、オー、イエス!」



「....、ねー、アーロン、子供が見てるよ。静かにできない?恥ずかしいよ。」

「うーん? 何?待って、今集中してるんだ。もうちょっと...。バームクーヘンもと。
はい、完璧!のん!できたよ。さあ、食べよう!」

「だからぁ、声が大きいって...もう。」

「うん?あー、のん、そういえば、さっき何か言ってなかった?なんの話?」

「えっ? ああ、何でもない。もう、いいの。」

「そう?? じゃ、いっただきまーす!うーん!イエース!おいしい!思ってたとおり、最高だ!」


アーロン、グレイスランドでいつもヨーグルト食べてるよね。設定?それとも、ヨーグルトが好き?
で、なんで裸で食べてるんだろう?サービスシーン?カットされてるけど

「はいはい...だから声が大きいんだって...はあ、 よかったね、アーロン。
顔中が嬉しいって言ってるよ。とろけてるもの。」

「うん、最高だよ!来て良かった!でも...、あれ?のんは、あまり食べてないね。どうしたの?」

「えっ?ああ、あなたを見てたら、もう十分って感じで。お腹いっぱい。
( なんか、疲れたし...はあ。)」

 調子に乗ってるアーロン

「それに、私、チョコレートフォンデュ、あまり得意じゃないし。
チョコレートケーキのほうが好き。チョコレートプリンも。これ、おいしいよ。食べる?はい、あーん。」

「うん、美味しい。でも、僕はやっぱり、チョコレートフォンデュだなぁ。このトロトロが最高!
 うん、やっぱり、マシュマロが合うなぁ、あっ、バナナもいいけどね。」


対訳はこちらです。お世話になります。

「はぁ、ねぇ、浸ってるところ悪いけど、
アーロン、唇チョコレートで真っ黒よ。。
あーあ、顔にもチョコレートついちゃってるし。」
「いいって、いいって、気にしない。
それより、
はい、のん。あーん、」
「えっ?それはちょっと」
「いいじゃん、はい、あーん。」

「えー?恥ずかしいよ。それに、ドロドロだし。」

「のん、はい!はい!」
「あー、どうしてもなのねぇ。わかりました。」
「のん、あーん、よいしょっと。」ニヤッ。
 軽そうなアーロン

「きゃっ、ひどーい。アーロン!
もう、頬っぺたが、ベトベト。」
「あははは、ごめんごめん。
でも、チョコレートだらけでも可愛いよ。」




先輩、さっきから、yuriさんがバレンタインに男性が欲しいものを
聞いてきてるんですが



バレンタインに何を貰うか気にする男はそんなにいない。
誰にもらうかを気にするもんだ。


そ・・・そんな(本当のことを)



「もう、アーロンたら。」
「のん、舐めてとってもあげようか?」
「えっ?何言ってるの?あー、いいって、大丈夫だから。」
「ダメだよー、きれいにしなくちゃ。ねっ!」
「ううん、ほんとに、大丈夫。
でも、もしかして...それがやりたくて、わざとつけたの?」
「うーん?なあに?ほら、じっとして、のん。」
      
「ペロッ、うん、おいしい。甘~いね、のんの顔。チュッ。唇も、柔らかくていい感じ。ペロッ。」
「やだ、ここ、レストランよー!
あはっ、くすぐったいー。
恥ずかしいって、もう、アーロン、いいよー、うふっ。」

びびっ、びびびっ! びびびびっ!!
うーん、ぴぴびっ?
ぴぴっ?
って、何?うるさいなぁ。
もう、うるさい!って。
あっ、あー?、この音は...

 びびび! びびび!
目覚まし時計?
えっ、てことは、家...

 ああ・・・むなしい

何?えっ?
えー?えー?
はぁ...

あー、夢だったの?
チョコレート...アーロン...
はあ。なんだ。夢かぁ。あーあ。

って、朝なの?うーん、まぶしい。
今日は、...あー、月曜日ね?
月曜日...
...
きゃー、ミーティング!
のんびり浸ってる場合じゃないー!
と、
慌てて飛び起きたのんでした。
アーロンとの甘~い、夢の世界にいたかったのにね。

もうすぐバレンタインデー、
でも、今年は会えないのです。
アーロンの、お仕事が最優先。
我慢の、のん、なのでした。



アーロン、結構、うるさいので大丈夫か?と思ったよ。夢落ちで良かったw

ていうか、のんだけじゃなくて、みんな我慢した。甘すぎて・・・イチゴにチョコかけるとか・・・う・・・


ほい、これ


そしてこれ


続く(そのうち)

冬の部屋のリラ

2015-02-06 | 妄想のアーロン


大きな机に向かって、リラは、ちょこんと座っています。
ちょっぴり唇をかんで、とても真剣な表情で。

小さな手には、アンジョルラスが貸してくれたペンをしっかり握りしめています。
その手をゆっくりゆっくり動かして…リラは、1つずつ文字を書いてゆきます。

ここはアンジョルラスの部屋です。今、リラはアンジョルラスの机の前にいるのです。
去年、リラが6歳になった頃から、アンジョルラスは、字の読み方を教えてくれるようになりました。
そして、今日、リラは初めて書くことを教えてもらったのでした。

アンジョルラスは、紙にリラの名前を書いてくれました。それをお手本に、リラは一生懸命に練習中です。
何回も繰り返して書いてみますが、まだ上手ではありません。特に“S”の字は、どうしてもふらふらしてしまいます。
でも、少しは書けるようになってきました。

ふぅ…っと小さな溜息をついて、リラは手を休めました。ソファに座っているアンジョルラスのほうを見ます。
アンジョルラスは本を読んでいました。ろうそくの炎に、髪や横顔が照らし出されています。

きれいだな…ぼんやりと眺めながら、リラは思いました。
リラは知りませんでした。ついさっきまで、アンジョルラスが、一生懸命に字を書く練習をしているリラを、
微笑みながら見つめていたことを。

…アンジョルラスがこちらを見ました。「…どうだ?」

リラはにっこりします。「見てくれる?」
アンジョルラスは歩いて来ると、リラの手元を覗き込みました。「初めてにしては、うまく書けるようになったな。」
そして、くすっと笑います。「もっと練習は必要だけど。」
リラは、ちょっぴり頬をふくらませました。

それからリラは言いました。「あのね…ほかにもおしえてほしいことがあるの。」
「何だ?おかあさんの名前の書き方か?それとも、おとうさんの名前か?」
「ううん…次はね…。あなたの名前を書けるようになりたいの。」

ほんの少しの間、アンジョルラスはリラをじっと見つめました。
そして、かすかに微笑むと、黙ったままペンを手に取りました。
リラはにこにこして、アンジョルラスの手元を見つめます。
「ぜんぶ書いてね。最初のお名前も、真ん中のお名前も…最後までぜんぶ。」
また、アンジョルラスは、くすっと笑いました。



なんてことだ、僕はあなたの名前もしらない。僕はマリウス・ポンメルシー
あなたのお名前は?

 ・・・・・・教えないんじゃなくて教えられないんだ(未設定で)・・・・・・すまん(苦悩)

 コゼット、なんて可愛い名前・・・
あれ、先輩こんにちは。いたんですか? え?名前、別に先輩でいいですよ、興味ないし。


…再び、リラは机に向かいます。アンジョルラスが新しく書いてくれたお手本を、じっと見ました。
アンジョルラスの名前は、リラの名前よりずっと長いのです。
難しそうです。ゆっくりペンを動かし始めます。
アンジョルラスは、リラの後ろに立って見ていました。

リラは、丁寧に1つずつ書いてゆきますが、少し手が震えました。
ふいに、アンジョルラスの手が、リラの小さな手に添えられます。
リラは少しびっくりしましたが、すぐにとても嬉しくなりました。
だって、アンジョルラスが一緒に手を動かしてくれると上手に書くことができるのですもの。
“S”の字だって、少しもふらふらしません。

でもね、とリラは思います。『フランス語におけるSの無駄遣いについて』
これを放置して、Sを綴ることに納得がいきません。

 フランス語の語尾のSって読まないことが多いのになんで書くの?
Paris(パリ)とか。
他の子音もわりと読まないのに書くし。
Mitterrandはミッテルランドじゃなくてミッテラン。
Chiracはシラクだけど、名前がJacquesでジャック。読まない字、いっぱい書いてさ・・・
英語とくらべて長いよ~~ぶつぶつ

EnjolrasはなんでSを読むの?アンジョルラじゃないの?
なんの法則があって、読んだり読まなかったりするの?
そこをちゃんと筋立てて説明してくれない限り、リラは綴りを
おぼえられないよ!

その通り、岩波版ではアンジョーラになってるんです。
どちらでも良いようです。

 yuriが、どうせ苦労して覚えても、社会に出たら使わないし忘れるって
言ってたよ。苦労して勉強したけど無駄だったってさ。

 yuriは勉強する時間に寝てたんだ。時間を無駄にしたのは自分だ。
あいつが苦労したことは、テストの時、いかにして1の知識10に見せるかだけだ。

(∩゜д゜)アーアーきこえなーい



最後まで書き終わり、リラは満足の吐息をつきます。
アンジョルラスと一緒に書いた字を、おひさまのような笑顔で眺めます。
「これから一生懸命に練習して…クリスマスまでには自分で上手に書けるようにするわね。」
…そう、もうすぐクリスマス。。。今は、とても楽しい素敵な季節です。



…ところが、急にリラの顔が曇りました。
アンジョルラスの部屋に来る前におかあさんに言われたことを思い出したのです。
今日、リラは少し重い気持ちを抱えてここに来たのでした。
でも、アンジョルラスに会えて嬉しくて、今まですっかり忘れていたのです。


「…どうした?」リラの表情が変わったのを見て、アンジョルラスが言いました。
リラは、しばらく黙っていました。それから、下を向いて口を開きます。
「…おかあさんに言われたの。クリスマスが過ぎたら、もう、坊っちゃまのお部屋に行ってはいけませんよって。」

「なぜ?」アンジョルラスは、うつむいたままのリラを見つめながら訊きました。
「坊っちゃまは、クリスマスが過ぎたら、今までよりもっとたくさんお勉強するようになるんだから…って。
お忙しくなるのだから、もう、お邪魔をしてはいけないよって…。」

「特に忙しくなるわけじゃない。」アンジョルラスは言いました。
「リラが来たって邪魔にはならない。これまでどおりに来ていいんだ。」

リラは顔を上げました。
「今までもね、ときどき言われていたの。おかあさんにも、おとうさんにも…。
あまり、坊っちゃまや奥様のお邪魔をしてはいけませんって。リラは坊っちゃまとはちがうのだからって。」

アンジョルラスは、無言でリラの眼をじっと見ました。そして言います。
「確かに…リラは俺とは違うな。リラは小さな女の子だから。」

「そうじゃないの…。」リラは遠慮がちに言いました。
「それだけじゃなくてね…そういうことじゃないみたいなの。」

アンジョルラスは、また黙ってリラの眼を見つめます。リラは、なんとか説明しようとします。
「あのね…あなたのお母様とあたしのおかあさんは…同じ女の人だけど、ちがうでしょ?

着ている服も、お顔も、お話しする言葉も。そういうことみたいなの…。」

リラは、もうひとつ思いつきました。
「それからね…。おうちもちがうでしょう?あなたのおうちとあたしのおうち…。」
リラは部屋を見回しました。

「このお部屋は…あなただけのお部屋でしょ?でも、あたしのおうちぜんぶよりも大きいの。」



 あ、でもぉ今だったら、こんな感じでお洒落なカフェとかありますよね?シャビーでいい感じっていうかぁ~(特別出演:りょん)


黙ったままリラの言葉を聞いていたアンジョルラスが口を開きます。
「…違うということはわかったよ。だけど。。。」
アンジョルラスは、少し強い口調になりました。
「なぜ、それで、リラが俺の部屋に来てはいけないことになるんだ?」

リラはアンジョルラスを見つめました。アンジョルラスは、とても強い瞳でリラを見ています。
その眼を見ていると、リラはなんだか吸い込まれそうな気がしてきました。
リラは初めて気がつきました。本当にアンジョルラスの言うとおりです。
おかあさんとおとうさんは、“リラは坊っちゃまとは違うのだから、お部屋に行ってはいけない”と言います。
なぜ、違うということは、行ってはいけない理由になるのでしょう?
リラはアンジョルラスが大好きなのに。会いたいのに…。


首をかしげてリラは考え続けています。アンジョルラスが、ふっと笑いました。
「リラ、クリスマスの後もこれまでどおりにここへ来ていいんだぞ。おかあさんやおとうさんには…俺が、
勉強を教えてやるから来いと言っていたと言えばいい。」

リラは、ほっとしました。嬉しくてたまらなくなり、また、おひさまのような笑顔になります。
今年も、リラは、クリスマスを楽しみに待つことができるのです。
アンジョルラスの名前を上手に書けるように一生懸命に練習しながら…。
クリスマスの日、リラは、アンジョルラスに見てもらおうと思います。
アンジョルラスの名前と自分の名前を、並べて上手に書くところを。




愛だけが思い出を甦らせる
ただ愛だけが最後まで甦る

あなたがここにいた頃
言葉はまだぎこちなく
歌が歌われたこともなかったけれど

あなたを思い出すとき
それは愛がすべてを支配するとき

私たちは愛に生きて
あなたはすべての愛を私にくれた

愛されているとき、私は解放された
私はあなたの一部であり
あなたは私のすべてだった

思い出すのは暖かい日々
日の光で私の暮らしを彩ってくれた

すべての言葉と夢、そして涙は
今も私の心に生きている

人生はまだ始まったばかりで
生きていくのは辛かったけれど
一枚づつ物語を綴る日々
私はあのころのあなたを忘れない


…………………………

……のちに、何年も経ってから。。。リラは、この日のことをかすかに思い出すことになります。

パリで、初めてアンジョルラスの部屋に入った時です。
アンジョルラスは、リラが驚くほど質素な部屋に住んでいました。

それを見た時、リラは不思議な気持ちがしたのでした。
…故郷では、私の家とは全く違う大きな部屋に住んでいたこの人。。。私とは何もかもが違っていた人なのに。。。
今、このパリでは、私と同じような小さな部屋で暮らしている。。。

でも、ぼんやりとした不思議な気持ちは、すぐに泡のように消えました。
思いもかけなかったことをアンジョルラスに告げられ、そして…強く強く抱きしめられたために。。。



『ただ憧れを知る者だけが(None But The Lonely Heart) 』です。

チャイコフスキーがゲーテの詩につけた美しい歌曲です。
下の私の適当な訳はゲーテの美しい詞とは似てもにつかないけど
英語版の詞があったんで、まあ、こんな感じかなと。
ちょっと大げさな歌い方の人が多いので曲だけのバージョンにしてます。
でも、歌詞、リラにあってるよね。


ただ憧れを知るものだけが
私の苦しみをわかち合える
すべての喜びや幸せは消えて
はるか遠い虹をみつめるだけ

私を愛し、わかりあえた、あの人は
どこか遠くにいってしまった
うつろな気持ちで、胸は痛むだけ

ただ悲しみを知るものだけが
私の苦しさをわかちあえる
心は弱り業火に焼き尽くされる
喜びから遠く離れた私の心

ただ孤独を知るものだけが
私の悲しみをわかちあえる


None but the lonely heart
Can know my sadness
Alone and parted
Far from joy and gladness

Heaven's boundless arch I see
Spread about above me
O what a distance dear to one
Who loves me

None but the lonely heart
Can know my sadness
Alone and parted
Far from joy and gladness
Alone and parted far
From joy and gladness

My senses fail
A burning fire
Devours me
None but the lonely heart
Can know my sadness



ryon / 帰り道の夜

2015-01-31 | 妄想のアーロン


アルバイト先のカフェを出て、暮れかけた街を歩くアーロンとりょん。

雪の粒も大きく、そしてだんだんと風も強くなってくる。
次第に景色は真っ白に変わる。
車のクラクションがあちこちで鳴り響き、交差点ではタクシーや車が連なり渋滞している。

「りょん!
あたま真っ白になってるよ!」
口元までぐるぐる巻に覆ったマフラーからはアーロンの優しい眼差しがのぞく。
そして、りょんの頭に積もった雪を優しくはらうアーロン。

「嵐になりそうだ。急ごう!」
アーロンに手を引かれるまま、走る。

風が強くて息ができないくらい。
「はぁ、はぁ。アーロン、早いよ。ちょっと待って。」
白い息を吐きながら、ついて行こうと一生懸命走るりょん。
しかし、バイトの立ち仕事で疲れた脚では、慣れない雪道で思うように足が動かない。

「ごめんごめん!もうすぐうちだよ!ここからはゆっくり行こうか。」
再びアーロンから優しい眼差しで見つめられると、もう何も言えなくなる。

「ぼくのアパート、ここなんだ。
今晩は大雪で地下鉄も動かないみたいだよ。りょん、大丈夫?こんな天気じゃ帰れないよね?
よかったらうち、寄っていく?」

バイト先のカフェまでは、いつも地下鉄かバスを使って通っている。
アーロンのアパートがあるこの辺りからでも、天気の良い時でさえ、歩くと1時間ほどかかってしまう。

服も靴もびしょびしょに濡れて、寒くて凍えそう。今日はアーロンの言葉に甘えてしまおうかな。

「ありがとう。でも、いいの?急だし、迷惑じゃない?」
「大丈夫だよ。気にしないで。こんな寒そうなりょん、ほっとけないよ。行こう!」

アーロンと手をつないで建物に入り、階段を上る。3階へ。




りょんは本当に夢を見ている気持ちでした。
大好きなアーロン、多分彼も私が好き。
でも、忙しいふたりは、あれからデートもできないでいました。
真面目なふたりは勤務中はもくもくと仕事をします。目で合図すらしないのです。
凍えそうな体・・・でも、今、りょんの心は燃え上がっていました。
これから、どんなことが始まるの?

NHK/朝の連続TV小説・花子とりょん
これから始まる~ふたりの物語♪

 想像の翼を広げるのよ、りょん

彼の部屋で二人っきりということは・・・●×★♪√π∬※∞Σ

 特別出演:ブラックバーン校長

はい、こぴっと頑張ります。 あ・・・あ・・ん・・アン

 てぇ~~

※もちろん校長先生はこんな意味では言ってません。お許しください。

 マッサンで外人使うのなら、アーロンも使って下さい!でもオッサンという題名は嫌ですからね!

 NHKに告ぐ!つまらんドラマばかり放映するなら、いっそグレイスランド2を放映せよ!

 確かに『キング・オブ・つまらんドラマ』になれそうですよね。

脱線が長くなりました。りょんが部屋に入るところからですよ。では続きます。

「さあ、はいって。寒かったね!」

部屋に入ると、とてもあたたかい。
「ホットミルクを用意しておくよ。バスルームであたたまってくるといいよ。」

前にsawaさんが面白いコメントを残してくれてました。
入ってすぐのアーロンのアパートがなぜ暖かいか、その謎が解けます。
NYの興味深い暖房事情 (sawa)

NYでの滞在中、アパートメントの部屋の中が暖かくてとても快適だったんですよ。
特に自分達で何もしなくても、どの部屋も常に暖かかったんです。むしろ暑いくらい。
(その代わり、室内超乾燥しており、夜寝る前に手洗いした洗濯物が、翌朝にはカラカラに乾いてる位。
日本から簡易加湿器持参して大正解でした。)

友人に聞いたところ、とても興味深いNY暖房事情!←私こういう話大好きでーw。(ryon様も?)

NYのアパートメントの管理者は、全ての部屋を常にある程度の温度に保つよう、法律で定められているそうです。
ここに短くわかりやすい説明が

すご!
住人が外出してようがしてまいが、家を空けようが、常に常に暖かく保たれてる部屋。
省エネという観念はないのか・・と思うけど、あの快適さは非常に羨ましい。
暖房費ケチって部屋が寒いと、大家さん訴えられるんだって!さすが裁判大国。

NYの街の冬の風物詩といってもいい、ビルや地上から出ている水蒸気。
街じゅう全てスチーム暖房なんですね。
コンドミニアムの部屋の中にも、隅にスチーム管が通っていて、シューッとか、
カンカンカンとか、音がしていました。
(父によると、日本でも昔はよくあったそうで、カンカンカンという音は、蒸気の圧力を逃す音?
なんだとか。よくわかりませんが。とにかく昔からの古い装置だそう)

ちなみに、友人によると温度コントロールはできないそうで(私が泊まったとこもそうだった)
たいていの場合暑すぎて、家でもオフィスでも半袖の人が多いんだって。
友人のアパートメントでも半袖でした。。

それを踏まえて考えるとね・・
アーロンて冬でもタートルとか厚いセーターとか着ないじゃないですか?
屋内があんなに暑ければ、納得もいくわ。。と思いました。

友人によると、通常、暖房費と水道代は家主さん持ち、電気代とガス代は借り主持ちだそう。
まぁ、アパートによって違う場合もあるから何とも言えないらしいですが。
暖房費、水道代、タダなの?!と聞いたら、
共益費に入ってるんだよー、だって。なるほどね。
あ、もちろん一軒家は別。全て自分管理だそうです。

mihoさんやsawaさん、また色々教えてね。

脱線が長くなりました。りょんがお風呂に入るところからですよ。では続きます。

バスタブに湯を張り、手足の指先から体の芯まであたたまる。

髪を洗おうとシャンプーを探すが、見つからない。
シャワーカーテンから外の洗面台をのぞくと、鏡の前にシャンプーが置いてあるのが見える。

「よいしょっ」
シャンプーをとろうとカーテンを開けると、タオルと着替えを手に持ったアーロンとはちあわせ。

 湯気の中から出てきたアーロンです。雲の中からじゃありませんから。

「きゃ!」
「ごめんごめん!そんなつもりなかったんだ!気にしないで!ここにタオルと着替えおいとくね」

(どうしよう!見られちゃったかな?)←ありがち

いそいそと髪と体を洗い、アーロンが用意してくれた、洗いたての白いTシャツとインディゴブルーのシャツに着替える。
アーロンの香りに包まれるりょん。
(いい香り。。)

すみません、ここちょっとわかんないです。つまりトップスを二枚貸してくれて、下はなしですか?
まあ、パンツの替えないもんね。そうだよね・・・

「とってもあたたかかったわ。シャワーありがとう」

シャワールームから出ると、アーロンからあつあつのホットミルクを受け取る。
濃いネイビー色の布張りのソファに座り、ミルクを飲むと、体の内側からあたたまってくる。
りょんの頬はピンク色に。

「さっきまでりょんの唇が紫色だったから、心配だったんだ。もうあったまってきたみたいだね。
 ぼくもシャワー浴びてくるよ。ゆっくりしてて」

シャワールームからはシャワーが流れる音とともにアーロンの歌声が聴こえてくる。


独り、ソファに座り、部屋を見回す。
ちょっと豪華すぎ?
1Kの部屋にはグレーのラグが敷かれ、ベッド、キャビネット、ソファ、そして二人がけの小ぶりのダイニングテーブルが置いてある。
シンプルなインテリア。
 片付きすぎ?

 散らかりすぎ?

そして、キャビネットの上には台本や楽譜が無造作に積まれている。
楽譜の隣には、手の平ほどの大きさのかわいらしいクリスマスツリーが飾られている。
楽譜を開いてみると、音符が複雑に散りばめられている。一体これはどんな旋律?リズム?難しくてわからない。

「あったまったー!」
腰にタオルを巻いただけの、笑顔のアーロンが、シャワールームから出てくる。
まだ水分を含んだライトブラウンの髪の毛は、無造作に後ろ向けてになでつけてある。
「きゃー、ちょっとアーロン、そんなの困るよー」
目のやり場に困るりょん。

「ゴメン!驚かせちゃった?すぐ着替えてくるね!」
アーロンは髪の毛をタオルで拭きながら、Tシャツとスウェット姿に着替えて、再びシャワールームからでてくる。

「ふぅ。今日の天気には参ったな!
 でも、りょんがうちに来てくれることになったから結果オーライだ!
 嬉しいな!」

りょんの隣に座るアーロン。
アーロンからはシャンプーの香りが漂う。
部屋は薄暗いが、白熱球のあたたかなオレンジ色の光が2人を照らしている。
あらためて近くでアーロンの瞳を見つめると、大きな瞳に吸い込まれ、体が固まってしまう。
なんて綺麗な瞳。

「……」
無言で見つめ合う2人。
アーロンの顔はゆっくりとりょんへと近づいてくる。


そして、ついに2人の唇と唇が重ね合い、次第に交じり合う唇。
アーロンのたくましい腕に強く抱きしめられ、胸に顔をうずめる。
ドクドクドク。アーロンの胸の鼓動が伝わる。
「りょん、ずっとこうしたかった。愛してる。」
「私も、愛してる、アーロン」

君はすべてを魔法にかけてしまう
君みたいな娘は今まで誰もいなかった
誰も、誰一人も
僕は決して迷わない
ねえ、だから

僕は、そんな扱いには慣れてるんだ
君から突然呼ばれるのが好き
なぜって予想がつくものなんて嫌いだから
だから、君が気になってしょうがない
君が、君だけが、君の事だけが
気になるんだ

なぜって君は完璧
いつだって1番、価値がある
君だけが、それに値するんだ
君が手がけると1番稼げるんだよ
1番価値を生み出せるんだよ

この恋が悲劇になると思ってるね
君は何も支払わないで
何も犠牲にしないで
何も気に病むことはない
ウソなんてないからさ
ねえ、いいかい
君がもたらしてくれる夜は最高だよ



激しいキスを何度も繰り返し、ソファへと倒れこむ2人。
ブルーのシャツのボタンはするりとはずされ、ショーツ1枚になったりょんの体があらわになる。

あれ、パンツ持ってきてたんですか?って、まあそれはいいかw

 

そして、アーロンはりょんの頭の先からつま先まで優しい口づけを繰り返す。
アーロンの背中に必死にしがみつくりょん。
そして、2人はひとつに。
2人の激しい動きに、一晩中ベッドの軋む音が続く。

翌朝、りょんはアーロンの腕の中で目を覚ます。
・・・・・・いや、アーロンはいない。ベッドの横には誰もいない。
 ぐぅ~~~ZZZZ
ふと不安になってくる。
どこに行ったの?

窓からは明るい日差しが注いでいる。外はもう嵐が去り、快晴。

でも、いない。もう出かけたの?私に声もかけずに?
手紙も置いてないし、メールもない。

アーロンにとって、こんなことってよくあることなのかな。
だんだん不安がつのってくる。
実は昨日のことは、りょんにとっては初めての体験だった。
心臓が飛び出しそうなほどの緊張と幸せの絶頂の恍惚感で、りょんは
知らず知らずのうちに疲労困憊していた。

「昨日は素敵だったよ、また気がむいたらよろしくね。」って軽く言われたら
どうしよう。いやそれどころか、もうりょんに興味を無くしてるかも。
前に舞台の後のお茶に誘われたときに、なんで私を誘ってくれたのって聞いたら
「君の思ってる通りの理由だよ。」って言ってくれた。けど
あれって、本当に愛してるっていう意味だったのかな?

もちろん、こうなったら絶対恋人になれって言うつもりはない。
だって自分だって、そうしたかったんだから。
だけど、そうしたかったからこそ、私はずっと一緒にいたいんだよ、アーロン
どこに行ったの?涙があふれてくるよ。

ガチャと音がした。アーロン帰ってきたんだ。
息をはずませて紙袋をテーブルに置いてる。
そして、りょんの涙を見て、驚いてる。

「前にりょんが好きだって言ったベーグルサンドの店、早朝から開いてるから買いにいってたんだ・・・
 だけど、ひとりして悪かった。まさか泣くとは思わないから。」

ベーコンと野菜のベーグルサンドとクロワッサンを取り出して、コーヒーを淹れるアーロン。
「昨日、あんまり食べないで寝ちゃっただろう、お腹すいたよね?」



にゃ~にゃ~腹減った~~食わせろ~~(アーロン猫、優しいなぁ。箸も使えるのね)

そして、恥ずかしそうに一輪の赤い薔薇を差し出した。

「花屋さんって、早くから開いてるんだね。」



ブルーなレディに赤い薔薇を贈りたいんだ
花屋のご主人、注文を聞いてくれる?
先日、僕たちはつまらない喧嘩をしたんだ
だから、彼女のブルーを追い払うような
綺麗な花を揃えてほしい

赤い薔薇を不機嫌な彼女に包んでくれるかな
街1番の綺麗な女の子にそれを贈りたいから
それが奇跡を起してくれたら
僕は大急ぎで戻って、彼女のウェディングガウンのために
1番素敵な真っ白な蘭の花を買うよ


 赤に青に白・・・といえば

 トリコロール(三色旗)我れらのテーマソングになりそうな歌だな

 赤い旗を持った青二才の学生どもよ~♪
最後は白旗をあげるがいい!(作詞担当ジャベール)

  あ、お久しぶりです。作詞 歌よりは うまいですね。

いかん、後半、ロマンチックでもなんでもなくなってしまった。
りょんさん、また続き書いて下さいね。


ryonが見つけたものは

2015-01-18 | 妄想のアーロン

ryonさん、遅くなってごめんね。書いて下さってた駆け出し劇団員アーロンと留学生りょんの物語です。
少し短かったので、勝手に延長しました。また色々書いて下さいね。
アンジョルラスやフランクでもいいし、これをシリーズ化もいいですよね。

りょん。ニューヨークで留学中の大学生。アルバイト。
アーロン。バイトで生活費を稼ぐかけだしの劇団員。

今日はカフェのアルバイト初日。
「こっちだよ。」
腰にはカフェエプロン、コーヒーポットを片手に持った、さわやかな笑顔のお兄さんがこっちを見て声をかける。

 

「名前は?僕アーロン。
君、今日初日だよね?よろしく!出身はどこ?もう街には慣れたかい?」

「りょんといいます。日本から来ました。食べ物はおいしいし、街並みも素敵。
生き生きとしていてワクワクする街ですね。今日はよろしくお願いします!」

「ここ気に入ってくれたんだね? うれしいよ。」
(笑顔が素敵な人だな。)

お客さんとジョークを飛ばしながら楽しそうにコーヒーを淹れて、お店をまわしている。

「りょん!こちらにマフィンお願いね!
 えっと、12番にチョコマフィンとコーヒー、5番にサーモンサンド、6番にチョコバナナとシナモンチョコのマフィン
 9番にメープルチョコマフィンとクランベリーケーキ、2番にターキーとトマトのサンドイッチそれと・・・」

「12番にチョコマフィンとコーヒー、5番にサーモンサンド、あ、これオニオン抜きですね。
 6番にチョコバナナとシナモンチョコのマフィン
 9番にメープルチョコマフィンとクランベリーケーキ、2番にターキーとトマトのサンドイッチ、以上運び終わりました。」

うふ!軽いもんですわ。

 すごいなぁ、君、Hooters以外なら、どこでも通用するよ。

フーターズでしか通用しないと言われたほうが嬉しいかも・・・
いや、まあ、ありがとうございます。一応ほめていただいて。



 すみません、  ベンティアドショットヘーゼルナッツバニラアーモンドキャラメルエキストラホイップキャラメルソース
モカソースランバチップチョコレートクリームフラペチーノ
お願いします。


 あ、おれカフェオレのミルク抜きで

新人の子がいたので、からかうつもりでアホな注文をしたアンジョルラス。まるでアントンジョルラスのような軽さ!
だが、真面目なりょんは考えに考えて、ミルクと同量のコーヒーを同時に注ぐからと、コーヒーとエアミルクで作った。
当然、コーヒーは半量、価格はカフェオレの料金である。

後の慎重で賢いアンジョルラスは、こうした数多の失敗の体験を経て作られたのであった。

 おれ、カフェに入るとABCカフェ(Red&Black)歌いたくなるんだよね。

 いやいや、そこはやはりカフェソングでしょう♪



ここはカフェミュザン?私はリラ?(しばし、うるうるのりょん)
いかんいかん、仕事ですよ!と我に返る


今日中にメニュー全部おぼえちゃうんだ。味見できたら、もっと早く覚えられるんだけどな・・・ぐぅ~~

私にむかって軽くウィンクするアーロン。

アーロンが親切に指示をしてくれたお陰で、(一組を除き)なんとか無事に初日を終える。
外はもう暗い。

「1日おつかれさま! 実は今度の土曜、僕、舞台にでるんだ。まだチョイ役だけどね。
良かったら、来ない? 気軽に、友達も誘って!」

「あ、はい。そうですね。あ、でも私、行けるかどうか、、レポートがあっ、、」

「はい、これチケット!まってるよ!」


どうしよう。
来週が期限のレポートが三つ残ってる。

それはとても憂鬱なレポート。
ひとつは1度提出したのに、つき返されたものだから。
ネイティブでないりょんにとって、授業について行くのは至難の技。
簡単な言い回しや幼児でもわかる言葉でつまづくこともしばしばだった。
でも、誰も助けてはくれない。言い訳なんかできない。
もし言い訳をしようものなら、じゃあ、別の道を探せと言われるだけだろうから。
このままじゃF判定だよ、書き直せと乱暴に返されたレポートが涙ににじんで見えた。

舞台当日になった。
朝から机に向かい憂鬱なレポートを作成。
前も頑張ったつもりだったけど、どこが悪いのか・・・
泣いてはダメだよ、りょん。もう1度落ち着いて調べなおすんだよ。

お腹すいた。今日ご飯食べたっけ?
気付くと外は太陽が沈みかけている。1日早かったな。
出来る限りはやってみた。これでダメなら・・・ううん、今は考えない。
そうだ、アーロンの舞台、気分転換に観に行ってみようか。

本当はどうしても行きたいと思ってる。
自分の気持ちはわかってる。私、あの人を好きになってるんだ。
でも、それでどうなるんだろう?きっと彼はたくさんの人にチケットをあげてるんだろう。
私は単にその中のひとり・・・

一緒に観に行こうと思っていたルームメイトはデートに行ってしまった。
デリでサンドイッチとコーヒーを買い、一人でとぼとぼ劇場へ向かう。

まだ僕が子供で、世界が手の内にあったころ、
それはほんの昨日のことだけど
人生なんてお子様がプレイできる簡単なゲームみたいだと
思ってたんだ

善悪を語るのなんて容易なことだと思えたし
強さや弱さというものは、簡単に語れることだと思ってた
立ち止まって戦うのか、単に進むのか、
そんなの別に難しくもないだろうと

でも、今の僕にはわからない 今が昼か夜かさえ
何が暗黒で、何が光なのか
何が黒なのか、白なのか
今はただ灰色の影にしか思えない

すべてがわりきれると信じてたころを思い出すよ
そのころは怖いものも、疑いの心も持たなかった
でも、今の僕にはぼんやりした灰色の影しかわからないんだ


アーロンの教えてくれた劇場は、華やかなブロードウェイを抜けて、もっとずっと先。
うらぶれた路地のアパートの地下にあって、小さな看板だけが目印だった。

不安を感じながら入って行くと、意外なくらい中は混んでいて、熱気に溢れていた。

しばらくして灯りが落とされた。
開演だ。


あ、アーロンだ!
舞台の上のアーロンを見つける。
素敵、、、
なんと伸びやかな歌声。こんな素敵な歌、今まで聴いたことない。
輝いてる。
主人公の親友の役。主役でこそないが、ちょい役ではない。
確かに主人公の人、歌がうまい・・・けど、アーロン、負けてないよ、ううん、もっと素敵だよ。
なんでだろう。涙が出てくる。

ハートの形に壊れた心、ふたりでやりなおさないかっていう歌です。対訳はこちら。お世話になります。
急ごしらえで作られた大道具、簡単な背景画、最小限の小道具、照明は単調で、演奏はピアノとバイオリンだけ。
でも、すぐにそんなこと忘れた。
素晴らしい街並みが目に浮かぶし、月明かりの下、恋人たちのそぞろ歩く公園もそこにある。
そして、なぜか誰よりも目を奪う素晴らしいアーロン。

息つく暇もなく、終演。

観客から拍手の嵐。鳴り止みそうにない。

カーテンコールに出てくるアーロンの表情は笑顔で、とても晴れ晴れしている。
思わずりょんも立ち上がり、ありったけの拍手を送る。

無理してでも観に来て良かった。

帰ろうと出口に向かうと、後ろから声がした。アーロンだ。

「りょん!来てくれたんだね!とってもうれしいよ!」
「良かったらこれからお茶しない? ここでちょっと待ってて。すぐ準備するから」

あっという間に、コートを脇に抱え、Tシャツとジーンズに着替えたアーロンが、楽屋から飛び出して来る。

「お待たせ!」
アーロンの額には汗が光っていた。
一回の舞台でかなりの体力を使うんだろうな。それにしても、本当にさっきの舞台に立っていた人と同じ人?

劇場近くのカフェに入る。
アーロンはコーヒー、りょんはカフェラテを注文した。

こんなこと、アメリカに来て初めてだな、ふと、りょんは思った。
高い学費を払ってくれている両親には早く恩返しをしたかった。
石に齧りついてでも単位を取らなくてはならなかった。
生活費くらい自分で稼がなくちゃと色々なバイトもして、生活は出来る限り切り詰めた。
恋もしないと決めた。デートにでかけるルームメイトをうらやんだりはしないと決めた。

恋もしないと決める? りょんは自分で自分を笑いたくなった。
恋も知らなかったくせに。恋は、知らずに落ちるものなのに。

りょんは震える心を抑えることができないでいた。
なんで彼は大成功の舞台の後の大切な時間を、私だけと過ごしてくれてるの?



「本当に今日はおつかれさま!アーロン!とても良い舞台だったわ。誘ってくれてありがとう。来て良かった!」

「そう言ってもらえると嬉しいな!良かったらまた観に来てくれる?
 今度は君をメンバーに紹介したいんだけど。」

アーロンは舞台やオーディションの話を教えてくれた。それは、りょんが大学で受けた事よりずっと過酷な世界だった。
頑張らなくてはならないけれど、頑張ってもどうにもならないことだらけの世界。
実力があっても人気が無ければ通用しない世界。人気が続く保証など何もない世界。
けれど、一度でも舞台にたったなら、その魅力に取り付かれてしまう。

りょんも、自分の悩みを打ち明けていた。不思議なくらい悩みは小さくなっていた。
今できる努力はした。ならば、もう自分を責めても仕方がない。


「アーロン、ひとつ聞いていい?なんで私をお茶に誘ってくれたの?」

お茶が飲みたかったから

「いきなりだねw そうだね、君が思うとおりの理由だよ。」



カフェを出る2人。
外は雪がちらつき始めている。

「寒いね!マフラーもしてくれば良かったな」
「こっちへおいで」
アーロンの大きな手で、私の肩を強く抱きしめる。
「これでもう寒くないよ!」

2人は夜道をゆっくりゆっくり歩きながら、ニューヨークの街に消えて行った。

終わり(あ、ryonさん、いつでも続き書いて下さいね!)

突然ですが、アーロンに歌って欲しいというか、出て欲しいプロモーションビデオ、その1

えっと、なんでワンダイレクションかというと、これってPVが5種類のバーチャルデートになっているから。
アーロンと5種類のデートをするのもいいし、違う5人を考えるのも楽しそう。
浮気な(w)皆さんは誰を妄想しますか?A.Z.さんとか、nonomさん、mihoさん、5人じゃ足りない?

ここでアーロン王子ひとすじなのって、私とsawaさんくらい?ryonさんも?
私にいたっては、アーロンひとすじどころか、髭アーロン嫌い、坊主アーロンきらい、TVのアーロン、ものによる
舞台のアーロン、ものによる、アンジョルラスだけは全部好き!という偏食ですから。威張るとこじゃないですけどね。

なんとなく、いつもより落ち着いたバラードで、歌詞は 若さが消えるのを怖がって、刹那的な一瞬の輝きみたいなものを
追い求めてる恋人に、確かに時は過ぎるけれど、一晩で何もかも変わることもあるけれど、変わらないものもあるんじゃないかと
静かに語りかける・・・あれ、この人たち、こんなに大人っぽかったっけ?という歌です。

でね、これをいうと怒られるかもしれないけど、私、なんとなくアントンを見てるとハリー・スタイルズを思い出すんですよ。
このPVだと、スケートをやってる人です。

で、画像検索して驚いた・・・わりとブサイクw顔だけでいうなら、いや、歌もアントンの圧勝でしょうね。
でも動いてるとわりとかっこいい。ミック・ジャガーにも似てるし。
すみません、思いつきで書いたので、A.Z.さん、気にしないで。
ハリーのファンで、アントン・ゼッターホルム氏よりずーーっとかっこいいって思ってる方も、気にしないで。