アンジョルラスが好き

おもにAaron Tveitについて
彼に興味が無ければつまらないです。
コメント欄が面白いので読んで下さいね。

リラの恋・パリの空の下・2

2015-03-26 | 妄想のアーロン

イタリア映画のサントラですが、『誘惑されて棄てられて』ってすごい題名ですね。
どんな映画なんでしょう?題名だけだとファンティーヌの物語みたい。

リラはパリに残ると心を決めました。

約束の一ヶ月が過ぎて、リラは宿泊していた未亡人の家を去りました。
そして、新しい住まいに移り住みました。
故郷の家には、手紙を出しました。
必ず、毎月、消息を知らせるつもりです。
けれど、住所は書きません。
本当にひどい娘だと、自分でも思います。

奥様からいただいた帰りの旅費も、だんだんと少なくなります。
これがあるうちに、仕事を見つけなければなりません。

未亡人の家の使用人に、それとなくパリで仕事に就く方法を聞いてみましたが、
どうやら、女中や店員になるには、身元保証人や紹介状が無ければ難しいようです。

洗濯女や、牛乳売り、古着屋、門番女、料理番、酒場の女将、踊り子、娼婦

アンジョルラスを探していた時には気付かなかった色々な職業の女が、リラの目に
飛び込んで来ます。

一握りの女たちを除いて、働く女たちは、皆、貧しく疲れきっています。
その姿を見て、リラは、今まで自分がどんなに恵まれていたのか気付きました。

リラは、親切そうなミュザンの女将さんに、雇ってくれないかと頼んでみました。
女将さんは首を縦に振りません。酔客相手で、しかも安酒場です。
貧しい女将さんには、リラは充分、良家の娘に見えました。
「ちゃんと家に帰ったほうが良いよ。」
ミュザンには、他にも耳の遠い年寄りが働いています。彼女の職を奪うわけにはいきません。


いつも、歴史的なことは、ほぼ鹿島茂さんの本からの知識なんですが、
『この時代、ブルジョワか労働者かを決めるのは、ただひとつ、そこの家の女性が働いているか否か・・・』と
『職業別・パリ風俗』という本に書いてありました。男も働かないほうが偉い時代だし、女性の職場はほぼ底辺労働。
女性は、仕事に生きがいを感じる時代じゃなくて、仕事が無ければ何の保障もない時代。


アンジョルラスの母はリラが帰ってこないのではないかと危惧していました。
養父母たちも、それは同じです。
心配で胸が張り裂けそうでしたが、パリには兄のようなアンジョルラスがいる。
彼とは逢えたようだ。なぜかアンジョルラスも、リラの住所を教えてこないけれど
リラのことは見守ると返事をしてきました。

アンジョルラスも、両親には今の住所を教えていません。
今やろうとしていることが知れたら、大変なことになるでしょう。
連れ戻されるのを怖れているのは、自分も同じだと思いました。

リラとは、なるべく逢いたくないと思っていました。
あの吸い込まれそうな瞳を見るのが怖いのです。


カフェ・ミュザンの連中がリラに興味を持つのも嫌でした。(ふぅ~んw)
なるべく関りあいたくないけれど、母に頼まれたのでは仕方ありません。

 自分が逢いたいのではなく、逢わなければならないんだ・・・・・・ママンの命令だから

 言い訳ができて良かったですね!


アンジョルラスの母は、パリでリラが世話になった未亡人にも手紙を書きました。
リラの住居を知っていたら教えて欲しい。そして、リラが困ったら助けてやって欲しい。

夫人は、昔、アンジョルラスの両親に大変に世話になっていました。
だから、今回、しぶしぶリラを引き受けました。
彼女にはリラの存在が不思議でなりません。どうして、ここまで面倒を見るの?
夫の隠し子を、世話をしているのかしら?
でも、それなら、一生修道院にでも閉じ込めてしまえば良いのに。

上流の人間には礼を尽くすけれど、なぜ、あんな身分の低い小娘のことを
気にかけなくてはならないのでしょう。
恩返しはしたわ。

『承知しました。出来る限りのことはしたいと思います。ですが、あの娘さんは
 行方も告げずに出て行かれて、私は、何もできない状態なのです。
 できる限りお探ししますし、何かわかり次第、お伝えします。』

返事を書くと、夫人はそれきり、リラのことは忘れました。


世間的には、夫の死後も貞節な未亡人ですが、実は夫人はメリー・ウィドウ。
若くして資産目当てで老人と結婚したので、次は若くて美しい男と結婚したいのです。
今の愛人は、容姿は端麗だけど、彼女のお金目当て。
そういえば、アンジョルラス家の息子は評判の美男だって聞いたわ。
どんな子なのかしら?(リラが彼を追ってきたとは知らないのです。)


 あ、別にそこまで美男じゃないかも・・・(と言われることも多いですよねw)


リラは、毎日、色々な通りを廻って、仕事を探しました。
(えっと、地理も、時代考証も、無視した話が続きますので、よろしく)
そして、ある日、リラはそれまで見たこともないほど美しい通りに出ました。

装飾的な形に曲げられた鉄ときらめくようなガラスの優美な天井のある通りです。
両側には、見たこともないような豪奢な店が並んでいます。
それはパリで大流行のパサージュ(アーケード街)というものでした。
道路には美しいタイルがひかれています。
通りには、美しい淑女と、それに付き従う紳士であふれています。


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■「パサージュの歴史」(NHK世界ふれあい街歩きのサイトから引用してます。)

「通り抜け」を意味するパサージュ。その歴史は200年以上前までさかのぼることができます。
18世紀の終わりに始まったフランス革命により、当時、王家や貴族が独占していた土地や建物は
資本家の手に渡りました。彼らは、遠まわりをしなければならない通りと通りを近道で結び、そこを新しいタイプの
商業地区にすることを考えつきました。それが、18世紀の終わりから始まった「第一次パサージュブーム」です。
19世紀のはじめ、パリにはなんと100ものパサージュがありました。
当時の道路は泥道が多く、歩道もありませんでした。靴を汚さず馬車も気にしないでウィンドウショッピングが
できるのは画期的でした。鉄とガラスを組み合わせた屋根は、当時としては最先端の技術で、明るく、雨の心配もない
空間が実現し、その下には人々があふれ返りました。
「散歩する」「ぶらぶら歩く」という楽しみの概念も、パサージュから市民に広まったと言われています。
時は流れ、現在のパリには10数か所のパサージュしか残っていません。
19世紀のパリを感じることができる貴重な存在と言えます。
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香水瓶が並んだ店、芸術的な細工を施された扇が飾られた店・・・
何よりリラの目をひいたのは、美しいドレスと帽子が飾られた店でした。

細かな刺繍に、艶やかなリボンと、煌くようなビーズ、帽子には美しい造花と
鳥の羽と、チュールがかかっています。


多分、これは、もう少し前の時代かも。ナポレオンの帝政時代かな?

美しいものが大好きなリラは、引き寄せられるように、店の前に立っていました。

中にいた女主人は、先程からリラを見て、お客なのか、グリゼットなのかを
決めかねていました。
グリゼットにしては、身なりが良いし、品がある。
けれど、良家のお嬢様というには、粗末な服だし、お供もいない。
いや、やはり、客では無さそうだ。
落ちぶれた良家の娘が、仕事を探しているんだろうか?

「お嬢さん、何か仕事でも探してるの?」

リラは、それを聞いて、飛び上がりそうになりました。仕事がここにあるの?
実はリラは、手仕事が大好きでした。奥様にレース編みや、刺繍を教えてもらったり
していました。
そうだ、私が刺した刺繍がある・・・リラは手提げを探しました。

(手提げを、この時代の人が持ってたかどうかは知らないけど)

それを見た女主人は驚きました。こんな精緻な刺繍を、こんな小娘が!
どうやら話をすると、非常にうぶで世間を知らない様子です。
まあ、それは悪いことでもないわ。あばずれより、ずっと良い。
それに、この娘、とても可愛らしいじゃないの。
貴族やブルジョワの家に出入りするのにも、品があるので連れて行けそうだ。
奥様がたに帽子をお見せするときに、この娘にかぶらせたら引き立つわ。

リラは雇われることになりました。
洗濯女でも、物売りでも仕方がないと思っていたリラは天にも昇る気持ちになりました。
あんなに綺麗な店で、素晴らしいドレスを作らせてもらえるなんて・・・
自分は何て幸運な娘だろう。

リラはお針子の現実を知りません。
今はただ、このパリで暮らせることになった幸せをかみ締めていました。


まだ既製服が無い時代、人は非常に高価な服を仕立てるか、古着屋で買うか、
安い布を買って、自分で仕立てるかしか方法はありませんでした。
ミシンが発明されたのが1810年、ファッション大国フランスでは、意外に普及が遅かったとか。
それはグリゼットが大量にいて、賃金が安かったからというのも一因らしい。
フランスのバーシレミー・シモニア(Barthelemy Thimonnier)が1830年に特許をとったミシンが、
軍服を縫う目的で1840年に80台生産されたが、失業を恐れた他の仕立て屋によって破壊されたと
いう話もあります。←wikiより丸写しです。

奥方様たちの非常に手の込んだ衣装を、期日までに仕上げるのは大変、酷な仕事です。
徹夜で暗い明かりの下、ずっと手を動かし続けることも珍しくはありません。
なのに払われる賃金は、本当に生活するのがやっとな金額です。


エディは、コゼットとエポニーヌだと、エポニーヌの方が好きって言ってたっけ。
バカげた帽子かぶってないからとか。 これがバカげてるなら、マリー・アントワネットの帽子はどうなる?

貴婦人は、どれだけでも手をかけて凄い帽子をかぶってた。さすがに、この時代にはこんなのは無いけど。

一方、庶民はこんなの。↓
 


これは、ラ・ボエームの『私の名はミミ』という曲です。
本当の名前はルチアです。って、なんでミミなのかというと、当時のグリゼットは
勝手に可愛い通り名を付けて(あるいは付けられて)いたからだとか。

ファンティーヌも金髪(原作)だから、遊び仲間からブロンド(blonds)と呼ばれていたよね。
ファンティーヌの仲間たちも、好き勝手な名前を付けていた。


お針子のミミが、灯りを借りに来て、詩人のロドルフォと恋に落ちる場面です。
何かを思い出すと思ったら、これです。『月の光に』の3番
あの当時、火が消えたら、炎を借りて火を点けるのって普通だったのかな?

でも、暗がりで探し物をして、それで恋に落ちるって、そっくりw


なんか、このミミ、結核で死にそうにはない感じ。

とても面白いブログをみつけました。ラ・ボエームの原作について書いてあります
特にsawaさんにお勧めです。他の記事も面白いよ。

リラの恋・パリの空の下・1

2015-03-21 | 妄想のアーロン

リラがパリを去る日は、刻一刻と近づいていました。

家では、両親や弟たちが、帰りを心待ちにしているでしょう。
それを思うと、リラは胸が締め付けられます。


けれど、決心は変わりません。
残った十日の間に、リラは仕事と住家を探しました。
パリに残るのです。


これからのことを思うと、なるべく安い部屋を見つけなければなりません。

リラはカフェミュザンから、そう遠くない古いアパルトマンの屋根裏部屋を
借りました。爽やかな季節だったので、リラは気付きませんでしたが、
実は、この時代の屋根裏部屋というものは、夏は暑く冬は冷え込むという最悪のもので、
しかも、当然、長い階段も登らなければなりません。

けれど若く元気なリラは、少しも気にすることなく、この部屋に決めました。

古いとはいえ、堅牢で立派な建物でした。内装もとても綺麗です。
でも、実は、立派なのは四階まで。リラの住む屋根裏部屋は5階です。
この建物はもとは裕福な商人のものでした。四階までは主人たち家族の住まい。
五階の屋根裏は使用人たちの部屋です。
四階から五階に行く階段は、がらっと変わって、急勾配で狭く粗末になっていました。
屋根裏部屋の壁は斜めに迫ってきて、天井は低く、とてもみすぼらしい印象です。
小さな鉄製のベッド、欠けた水差し、申し訳程度に開く窓、古い暖炉は火が焚けるのでしょうか。

普通に見たら、心が冷え込むような貧しい部屋です。
でも、リラはパリにいられるのなら、橋の下でも良いのです。


アンジョルラスの母が持たせてくれたお金を、こんなことに使うのは裏切りでしょうか。

私は罪深い娘です・・・ごめんなさい。
いつか、きっとご恩返しします。そして、いつか、きっと・・・

いつか、きっと、何?

いつか、きっと帰ります?
いつか、きっと、アンジョルラスの花嫁になります?

リラの目に急に涙が溢れてきました。

アンジョルラスと再会した日のことを思い出したのです。

ひどく疲れている様子のリラを見て、アンジョルラスはカフェミュザンに
連れて行き、水で割った葡萄酒とパンとスープを食べさせました。


※子供には水で割ったワインを飲ませていたって箱車というフランスの短編小説で
読んだことがあります。上水道の無い時代の話でしょうけど。
他にも、貧しい人は1番絞り(ワイン)でなく、何度も絞ったピケットという
度数の低い薄い葡萄酒を飲んでいたとか。水より安全だった?

リラの泊まっている屋敷は、それほど遠くはありません。
アンジョルラスは、リラを送るために席を立ちました。
ふたりきりで道を歩くのはどれだけぶりでしょう。
リラは胸の高鳴りを抑えることができませんでした。

「いつ帰るんだ?」とアンジョルラスが聞きました。

「帰るつもりは無いの。」


アンジョルラスは驚いて、リラの顔を見ました。

「無理だ、リラ。お前は世間の厳しさを知らない。」


リラは黙ったままです。

「だけど、なぜ? なぜ帰らない?」

アンジョルラスはぼそりと聞きました。
そして、なぜか、それ以上聞いては来ません。

月明かりに照らされた横顔を見て、リラはこの上ない幸せを感じていました。
何があってもいい、彼と同じ場所にいられるなら、どんな苦労をしてもいい。

アンジョルラスは、なぜもっとリラを叱れないのか、自問していました。
自分では認めていませんが、実はリラにパリにいて欲しかったのです。
けれど、パリは誘惑の多い街です。そしてリラに何ができるのでしょう?
アンジョルラスの頭に、ふと嫌な想像がめぐります。

いや、あれでなかなかリラは強かった・・・そんなことにはなるまい。
自分は、今はリラのことを考えてはいられないんだ。


「色ボケ・マリウスって言われますけど、先輩だって、リラのことは考えない~という考えに
 とらわれてますよね。」
「じゃあ、思い切って、リラに・・・革命終わったらつきあってくれますか?っていうべき?」
「うーん、入試ならいざしらず、革命って、そんなちゃんと終わってくれますかねぇ・・・」
・・・・・・と恋バナにふける若き革命家ふたり。



アンジョルラスが去ったあと、故郷でのリラの生活は一変しました。

毎日リラの思うことは、ただの二つだけになったのです。

 リラの弟の女装趣味は続いていた

「今から少し前までは、彼はここにいたのに・・・」

「今から、どれだけ待てば、彼はここに帰るの?」

リラは、こっそり蔵書室に入り、鵞ペンでパリの地図を写しました。

拾った鳥の羽をナイフで削ってペンを作っていたのです。
紙は、以前に奥様からいただいた宝物の天使の絵の裏でした。
そして、野葡萄の実を絞ってインクにしました。

隠れながら、少しづつ写しますが、すぐに色が褪せてしまいます。
紙はざらざらで、ひっかかって上手く描けません。

奥様はとうに気付いていました。そして、いじらしさに胸が一杯になりました。
いっそ地図を与えようかと思いましたが、それより書き写すほうが
悲しみを忘れるかもしれないと思い直しました。

奥様は、新しい紙を数枚と、インク壷、そして鵞ペンを与えました。
屋敷の仕事と、家の手伝いが済んだら、好きに地図を写して良いと
リラに言いました。

叱られると思っていたリラは驚き、喜びました。
早く仕事を済ませて、毎日地図を見て書き写しました。
みな、少し呆れつつ、それでも、ずっと元気の無かったリラが
少し生き生きしたのを見て安堵しました。

実はリラが写しているのは、19世紀初めの地図でした。
今は色々変わっているでしょう。
新しい地図は、旦那様の書斎でした。
でも、リラが実際に地図を使うわけではないので、奥様はそのまま
リラに古い地図を与えておきました。

めまぐるしく変わるパリの街ですが、アンジョルラスの通うパリ大学は
変わっていません。彼の住むアパルトマンのある通りも載っています。
リラはそっとアンジョルラスの住まいのあたりを指でなぞります。
今、彼は何をしているんだろう?

パリ大学ってどんな所だろう?友達と語り合っているのかな?
どんな学問をしているんだろう?
私が聞いてもわかるはずもないけど・・・・・・

そもそもリラには大学か何かなどは、わかりません。
リラが今まで見たうちで1番壮麗な建物を思い出します。
マルセイユの丘の上に立つノートルダム・ド・ラ・ガルド(教会)です。
大学は、きっとあんなところかしら?

アンジョルラスが
「マルセイユは港町だけど、パリは内陸にあるんだ」と教えてくれました。

「大きな川が流れているけど、海は見えないんだ」

リラは彼の言葉を思い出しながら、毎日毎日、地図をなぞりました。
なぞっても、あまり外に出してもらえないリラには、街を想像することはできません。

でも、いい。いつか、歩いてでも行くんだ。だって、彼は帰ってこない。


そして、いま、私はパリにいるんだ。
だったら、先が見えなくても、もう泣くのはやめよう。
ここには、アンジョルラスがいるんだから。
この街で生きるのがどんなに苦しくても、私はここで生きていくんだから。


しかし、それには、1日も早く仕事を見つけなければなりません。
アンジョルラスを見つけたリラに、もう怖いものはありませんでした。




Once I had a secret love
that lived within the heart of me
All too soon my secret love
Became impatient to be free

ただ1度秘密の恋をしたの
その愛は私の心に秘めている
あっけないくらいに、恋が自由に
羽ばたく日が来る日がくればいいのに


So I told a friendly star
The way that dreamers often do
Just how wonderful you are
And why I am so in love with you

だから私はあの優しい星に語るの
夢想家がよくやることよね。
あなたがどんなに素敵で、そして
私がどんなにあなたに夢中かを語るのよ


Now I shout it from the highest hills
Even told the golden daffodils
At last my heart's an open door
And my secret love's no secret anymore

でも、今、私は一番高い丘に登って叫ぶの
あの金色の水仙にすら語るのよ
ついに、心の扉を開けて
私の秘密の恋が、誰にも秘密でなくなるの

リラの恋・あなたはどこに・・・ 2

2015-03-17 | 妄想のアーロン

これ、なんと、俳優のアンソニー・ホプキンスの作曲です。若い頃、音楽家を目指していたとか。
素人の作曲じゃないですよね。現代のワルツ王アンドレ・リュウが50年間陽の目を見なかったこの曲を演奏したんだとか。


アンジョルラスを探し始めてから、もう20日以上経ちました。

リラは故郷の人々に、ひと月で帰る約束をしてきました。
帰る日が刻々と近づいています。

彼の消息は、未だに、まったくわかりません。
前の下宿も度々訪ねましたが、あれから1度も来ていないようです。
リラは毎日、あてもなく探し続けました。

まさか彼が住まいを変えているとは思っていないアンジョルラスの母は、
リラがパリに立つ前に、固い約束をさせました。

パリを見て歩くときは、必ず明るい大通りを歩くこと
一歩たりとも、裏道に入ってはいけない。
歩きまわるのは昼間だけ。夕方にはお屋敷に帰ること。

マルセイユも大きな港町で、それなりに危険はありますが、
リラをひとりで歩かせることはありません。


これ、マルセイユじゃなくて、多分リヴァプールだけど、マルセイユのつもりで。

リラはお屋敷のまわりのほんの狭い世界しか知りません。
小さいころは冒険好きでしたが、今は考え深い娘に成長していました。


表通りこそ街灯が輝いていますが、一歩入った裏通りは暗い闇に包まれています。
そして、少し郊外の城塞の近くは貧民外で、深い闇に包まれた何が起こるか
わからない世界です。実際、毎日のように夜警は十数体もの遺体を
回収していると聞きます。

今日も大学、パンテオン、リュクサンブール公園など、考えうる限り回りました。
そして、やや怪しげな路地にも足を踏み入れました。しかし、道は思ったより複雑です。
ぐるぐると路地を迷ったリラは、ひたすら来た道を戻ろうとしました。
早く大きな通りに出なければ帰りの道がわかりません。
実はここはカルチェラタンの学生街で、非常に危険な貧民街ではなかったのですが、
リラにはそんなことはわかりませんでした。



アンジョルラスが住まいを密かに変えていると知っていたら、アンジョルラスの母は、決してリラを
パリにやることは無かったでしょう。

医者に見せて、何か気が紛れるようなことをさせてやったでしょう。
けれど、彼女は、リラがすぐにアンジョルラスに会えたと思っていました。


「喉が渇いたなぁ」
ふと見ると『カフェミュザン』という看板が見えました。


カフェがどういうものかは、リラも知っていました。が・・・
もちろん、入ったことはありません。
若い娘、ひとりで入れるような場所ではなさそうです。とにかく帰ろう。

数人の若い男たちがやって来て、カフェに入ろうとしています。
ふと風に乗って「・・・ァンジョルラス」と聞こえたような気がしました。

思わず男たちを見つめたリラに、数人が優しげな笑みを浮かべて
中に入っていきました。

リラはいつも耳をそばだてていました。どこかでアンジョルラスの消息が掴めないかと。

サン=ジョルジュがそう聞こえたり、アンジェだったり、 アンリ・ジョルラスだったり・・・

恥ずかしさをこらえて、リラは見知らぬ人に問いかけます。

何度も何度も、たくさんの人に尋ねても、いつも聞き間違いでした。
けれど、今、確かに・・・アンジョルラスって聞こえた・・・
追いかけて聞きたい。

どうしよう、もう直に日が暮れる・・・
明日、出直してこようか。間違えずに、またこの場所に来れるでしょうか?
それに、彼らが明日いる保証はありません。
今すぐ入っていって、彼らに聞きたい。でも、すぐに帰らないともう時間がない。
そして、なにより、居酒屋などに一人で入るのはリラにとって大変な恐怖でした。
知らない男に何をされるかわからない、そう思い込んでいました。

日が暮れて知らない街に取り残されるのも、とんでもなく怖ろしいことです。
この路地から表通りに出るのはどうしたらいいのか、一抹の不安がよぎります。

鹿島茂の『パリ時間旅行』に、鹿島先生が体験した暗闇の恐怖が書かれてました。
新月の夜に、ボヘミアの森で、車のヘッドライド以外は何も光源がない状態になって、
ただひたすら続く際限のない漆黒の闇、それは背筋が凍るほど怖ろしいものだったそうです。
私たち現代の日本人は、暗いといっても、街灯や家からの明かりや、コンビニ、車のライト
自販機・・・普通に人が暮らしているところでは、漆黒の闇はありませんよね。
パリには街灯がすでにあって、大通りを照らしていたそうですが、路地の隅々までは
明るくなかったんじゃないかと思います。
家の中の灯りも、外にもれるほどは明るくなかっただろうし。
1830年くらいのパリって、女性ひとりで夜歩いたりできたのかな?
エポニーヌは別として。


今日は道を覚えながら帰ろう、暗くならないうちに。
けれど、土地勘の無いリラにとって、それはなかなか難しいです。

無計画に建てられた高い建物と入り組んだ狭い路地。
さらに無数の袋小路があり、まるで巨大な迷路のような有様です。
大通りに出るはずが、なんと元の場所に戻ってしまいました。
日は傾き、徐々に闇がせまってきます。

さきほどの数人の若者が思い出されます。
優しそうな顔をした育ちの良さそうな若者たちでした。

勇気を出して、あの店に入ってみよう。
優しそうな人たちだったし、そんなひどい事にはならないだろう。
彼らに道を聞こう。

それに、あの人たち、確かにアンジョルラスって言ってた。

しかし、すでに彼らは帰ったあとでした。

(実はミュザンにはABCの友の部室が奥にあって、普通の客は入れなかった。
 多分、リラが会った青年たちは、奥の部屋にいたんだよ。)
 はーい、壁に並んで、出席番号!
リラは思い切って、店の女将さんにアンジョルラスの事を聞きました。
けれど、女将さんは、そんな名前は知らないようでした。

(ファンの女の子は追い返すように言われてたので)
 ごめんね

外に出たリラは恐怖に包まれます。
完全に日が沈んでいたからです。

あたりは、カフェから漏れるわずかな灯り以外、真っ暗でした。
わずかな月明かりも、雲間に隠れてしまいました。

このまま居ても仕方がない、リラは勇気を振り絞って歩きだしました。

少し行った時です。いきなり誰かに腕をつかまれました。

「きれいなお嬢さん、さっきから酒場の前でうろうろしてたけど、酒でも飲みたいの?」

「俺たちといっしょに行こう。」

とても優雅に着飾った伊達男のふたり組でした。

男たちに囲まれて、リラは動けなくなりました。どうしよう、大声を上げなくちゃ・・・
でも、誰か出てきてくれるだろうか?
ふたりはリラを連れて行こうと、引っ張ります。
リラは声を挙げますが、細い声は、闇に吸い込まれるだけです。

「グリゼット風情がもったいぶるんじゃないよ。」
男たちが嘲笑います。

すると、そのとき、急にリラの手が自由になりました。
誰かが、リラを掴んでいた腕を、おもいっきり何かで叩いたのです。
もともとからかい半分だった相手は、面倒を避けるように去って行きました。

「大丈夫ですか?お嬢さん」

リラは、その声を聞いて驚きました。

月かりが差して、少し回りが見えてきました。

1日たりとも忘れることのなかった人が、そこに立っています。
月光に映えて金色に輝く髪、厳しいけれど、暖かな瞳。
大人っぽく逞しくなったけれど、変わらぬ彼の姿があったのです。

「アンジョルラス!」リラは我を忘れて叫びました。

「・・・まさか、リラ? どうしてこんなところに?」

答えようとした次の瞬間、リラは彼に抱きとめられました。
1日、飲まず食わずで歩き続けて、今、緊張が解けて倒れそうになったからです。

いつもなら、あわてて離れたでしょう。でも今のリラは・・・
やっと会えたアンジョルラスに夢中でしがみついて、決して離れようとはしませんでした。

そして、このとき、リラは決心したのです。
もう二度と、アンジョルラスとは離れないと。




もしもある日、運命が私からあなたを奪い取っても、
もしもあなたが死んでしまい、私から遠く離れ去っても、
そんなことはかまわない
あなたが私を愛していたのならば、私も一緒に死ぬのだから
そして永遠の愛を得るのだから



有名な『愛の讃歌』です。これも、怖ろしいほどリラの歌詞ですね。
訳はこちらにありました。お世話になります。
それにしても、すごい巻き舌。機械音みたいw


リラは、自分を抱いているアンジョルラスの手が、いつまでも緩まないのに気付いてはいませんでした。
いや、むしろ二度と離さないように固く抱きしめていたのは、アンジョルラスの方かもしれません。
故郷を離れていても、リラを忘れた日はありません。
アンジョルラスは、それを単なる郷愁だと思っていました。
けれど、今、リラの黒い目にみつめられて、言葉ではいえない気持ちが湧き上がるのを抑えることができません。
彼はリラを離したくないと思うと同時に、近づいてはいけないという思いにかられました。
今の自分には、何をおいてもやらねばならない事がある・・・・・・




もう、遅いよ、アンジョルラス。お前はすでに敵(リラ)の手に落ちた・・・



むかし、ヴィリアという森の妖精がいました
ある狩人が岩山でヴィリアを見つけ
一目で恋に落ち、じっと見つめていました

それまでに覚えのない震えが若者をおそい
彼はせつないため息をつき始めたのです

ヴィリア おおヴィリア 森の妖精よ
私をつかまえ お前の恋人にしておくれ
ヴィリア おおヴィリア
どんな魔法をかけたのだ?
恋に悩む男は訴えたのです

森の妖精は男を捕らえ
岩屋の中に引きずり込み
気も遠くなるほどキスをした
普通の娘はこんな風にキスはしない

キスに満足した彼女はやがて消え去った
もう1度あえた時、彼女にむかって若者は言った

ヴィリア おおヴィリア 森の妖精よ
私をつかまえ お前の恋人にしておくれ
ヴィリア おおヴィリア
どんな魔法をかけたのだ?
恋に悩む男は訴えたのです




 1801年のパリは市街地が城壁の中に縛られており、人口は54万6856人(←何月何日の何時何分のデータでしょうか)
広さは意外と狭くて34.5平方キロメートルでした。

 ということは、人口密度は15,851人/km2

 仮に正方形だとすると、√34.5=5.87キロ四方 いくらなんでも20日では・・・・・・

 日本でいうと、杉並区 面積・34.02平方キロ 人口・543,190人(H26.7.1)
そう考えると、コゼットをすぐにみつけたエポニーヌは神だな。

ご都合主義すぎてごめんなさい。
デパートではぐれても、携帯も館内放送も無ければ、めぐり合うことできないよね。
愛しあう二人の力ってすごいね(棒)





のんとアーロンの恋 / 愛を育むホワイトデー編

2015-03-15 | 妄想のアーロン

「ハーイ、のん、
今帰って来たよ。
そっちは、朝だね、おはよう、ダーリン。」

「お疲れ様、アーロン。
朝ご飯食べて、会社行ってくるわね。」

「何食べてるの?トースト?」

「うん。あと、ヨーグルト。」

「オー!ヨーグルト、大好き!
あっ、ちょっと待って、今、僕も食べる。
冷蔵庫に... 入ってるんだ、よいしょっと、いつもね、きらさない。」

「いっただきまーす。うん、美味しい。僕達、今、同じ物食べてるんだね。
NYと日本、遠く隔ててるのに、なんか不思議。ちょっと近づいた気がするよ。嬉しいなぁ。」

「ほんと、アーロンと同じ物食べていると思ったら、いつもより美味しく感じる!
まあ、私のは、何の変哲も無い、"明治ブルガリアヨーグルト"なんだけど。」

「うん?何?何ヨーグルトだって?」

「ううん、いいの。オシャレじゃない、日本の普通のヨーグルトって言ったのよ。」

スーパーの特売で89円だったのよ。

「日本の食べ物は全て美味しいよー。僕、好きだよ。」

「ねえ、のん、会いたいなぁ。愛してる。
 隣で一緒に食べたいよ。早く撮影終わらないかなぁ。」

「そうね、私も会いたい。でも、夏までは来れないんでしょう?」

「うん、ちょっと難しいなぁ。はあ、辛いよ。」

「待っててね、5月になったら、ゴールデンウイークがあるから、会いに行けるわ。」

「そうだね!待ってるよ。早く来て!ただ、ごめん。夜ぐらいしか一緒に過ごせないけど。」

「いいのよ、貴方の顔が見れれば、もう十分。」

「うん、のんにキスができるし、もっといいことも、できるしね!
 のんの、柔らかい肌に早く触れたいよ。あー、待ちきれない!」

「もう、アーロンたら、恥ずかしい。こっちは、朝なのよー。」

「あっ、会社!時間がー。じゃあね、アーロン、またね、行ってきます。」

「のん、いってらっしゃい。君を抱きしめている夢を見て眠るよ。」
今日も、ラブラブの2人です。

一週間後のことでした。
アーロンから、電話。
「のん、考えたんだけど...14日のホワイトデー、
 ほら、日本では、バレンタインデーと同じくらい、恋人達にとって大切な日だろう?
 だからさ、僕らも一緒過ごしたいなぁと思って。のん、僕とバーチャルデートしない?」

「バーチャルデート?」

「うん、同じお店でー、同じ物食べるのさ!」

「えっ?よくわからない。」

「サラベス、そっちにもあるよね?そこで、フレンチトースト食べるんだよ。同じ時に。
 NYは、3/14の朝7時、TOKYOは、3/14の夜9時。で、いっただきまーす、ってさ。ホワイトデーを一緒に過ごせるよ。」

「うわぁ、そういうこと!さすがにお店だから、電話で会話は無理だろうけど、LINEでトークは出来るものね。」

「そう、バーチャルだけど、リアルデート!」

「素敵ー!する、する、」

「僕は、朝、サラベスに並ぶよ。ちょっと寒いけど。だから、空いてるかもね。」

「私は、夜、サラベスに行けばいいのね。
 ちょっと待って、PCで検索する。うーん、品川店は、24:00までオープンだから...余裕ね、そこにする!」

「じゃ、決まり!マイハニー。ホワイトデー、バーチャルデートだー!」

それ、バーチャルちゃうわ、節子!バーチャルなめたらあかん。

SNSでだけ三桁の友達を誇るとか
二次元の彼氏(映画スター、アイドルも含む)が本命とか
お洒落スポットに行く服を買いに行く・・・ための服がないので、いつまでも服が買えないとか
恋バナを都市伝説だと本気で思ってるとか
「モテるためのテクはたった三つ?」などの特集を鼻で笑いつつ目で追うとか
抱き枕と猫以外は自分の人生で抱けるものがないと諦観してるとか
I dreamed a dreamより、On my own派であるとか
将来、科学が発達して、人間と変わらないアンドロイドが出現して、アーロンそっくりな恋人ができると信じているとか
将来、科学が発達して、現実世界と変わらない夢を自由に見せてくれるマトリックスの世界が来ると信じているとか
将来、科学が発達して、全員、美人で年をとらない世界が来ると・・・いや、これはつまらん。

自分だけ美人になりたい・・・

そんな寂しい人間が、のんとアーロンの恋ってどんな曲が似合うかなとか、しょうもないことを
バレンタインでもホワイトデイでも考えてるとか、そこまでやれてバーチャル人間と言えるんだよ!

 yuri先輩、自己紹介はもうわかりましたから、次行きますよ!



There's a kind of hush
All over the world tonight
All over the world
You can hear the sound of lovers in love
You know what I mean

今はとても静かだね
世界中全部が、みんな静かだ
君の耳に聞こえるのは恋におちた者たちの
愛を交わす言葉だけ
わかるよね

Just the two of us
And nobody else in sight
There's nobody else and I'm feelin good
Just holding you tight

今はふたりだけ
誰の姿も見えない
誰ひとりいないから、とても幸せだ
だって君を強く抱きしめられるから

So listen very carefully
Closer now and you will see what I mean
It isn't a dream
The only sound that you will hear
Is when I whisper in your ear I love you
For ever and ever

よく聞いておくれ
もっとそばに来て、そうすればわかるよ
これは夢じゃないってことが
君に聞こえてくる唯一の音、それは
僕がささやく愛の言葉
いつまでも、いつまでも



ホワイトデー当日。
NYは快晴、アーロンは、サラベスの入店の列にならびました。

夕べは深夜まで撮影があり、ほとんど寝られませんでしたが、早起きも辛くはありません。
のんとのデートですから。

一方、のんは、品川のサラベスへ。

夜9時、こんな時間にフレンチトーストなんて食べたら太りそう。
しかも、お一人様って、可哀想な人みたい?ちょっと恥ずかしいけど。と、少々戸惑いながらお店に入りました。

2人のオーダーは、もちろん、"フラッフィーフレンチトースト"
LINEで、連絡を取り合います。
まずは、店内の写メから。
周りの人に迷惑にならないように、極力こそっとシャッターを切ります。
余計、怪しさが増しますが。(笑)


アーロンがスマホを持ってる画像、これしか無かった。グレイスランドでジャングルズを探してる場面。

日本のお店、綺麗だね。
駅ビルの4階なの
へー、駅ビル? 

不思議よね。
いや、便利でいいね。
土曜の夜だから、カップルが多い。
そっかあ、こっちは朝だから、ファミリーが多いかなぁ。


頼んだ?
うん、頼んだ。
ドキドキする
うふっ、ほんと。
こないなぁ。
あっ、きたー!フラッフィー!

えっ?こっちは、まだー。
大丈夫よ、待ってる、待ってる
ごめん。
うーん、早くこい!来い!
大丈夫、急いでないから。
でも、のんのが、冷めちゃうし...


どうみても自撮りには見えないか。それらしい画像ないので、ピストル画像ですみません。

あっ、きたー!イエース!
と、アーロンから着信。
「のん、お店だから小声でね。
I Love You!心から愛してる。」
「私もよ、アーロン。I Love You Too!」
「Happy White Day!」
「Happy White Day!」
「せーの、いっただきまーす。」
私たちは、フレンチトーストを切って口に入れました。
美味しい!
美味しい!
お互いに、フレンチトースト食べてる写真を自撮りしてLINEに送り合いました。
恥ずかしかったけど、かまいません。
ちょっと冷静に考えたら、随分と変な人です。
お隣の席の方、本当にごめんなさい。

でも、誰がどう思っていようと、今の2人には全く関係ありませんでした。

バーチャルデート中なのです。
1人なのに、寂しくない。
遠いのに、近く感じる。
それだけで嬉しい2人でした。
仮想なんて虚しいだけと、考える余裕はありませんでした。
同じ時間を一緒に過ごせる喜びで、胸がいっぱいだったのです。
アーロンは、午後からは、またお仕事。

わずかな時間をやりくりして、2人は愛を育もうと努力していました。
のんは、今日は、いい夢が見れそうです。
もっとも、お腹も胸もはちきれそうで、まだ眠れそうにはありませんが。
甘い、甘い、ホワイトデーを過ごした、のんとアーロンでした。


さて、そろそろ帰らないとね。
て、あれ、あの人・・・うそ、まさか~~~

きゃーきゃー、い、飯村さんだよ、間違いないよ~

「のん、どうしたの?さっきから反応ないけど」

「失礼ですが、飯村さんですよね?」

「え、あ、そうです。(にこり)
きゃー、なんて素敵な笑顔。
優しそう~思い切って、ファンだって言っちゃえ

「飯村さんは、私にとって最高のフィエロなんです。お会いできて感激です。
 ああ、もう頼んだものが入らない感じです。」


「アハハ・・・嬉しいけど、せっかくの素敵な食事がもったいないよ。
(あれ、でも、ほとんど全部食べてるよね・・・w)
 これからも頑張るから、よかったら応援してくださいね。

「のん、なに? どうしたの?のん」

あー、もうアーロン、邪魔!電源切ろうっと。
「あ、今、映画館なの、アーロン、電源切るね!」

「ええ?今サラベスじゃなかったの?え?これから映画って遅くない?」

浮気を繰り返す彼女を、それでも僕は浮気なんてしない、君を待ってるっていう歌です。
和訳はここです。お世話になります。

絶対、おかしい。


いくら純情な天使のアーロンでも、今、背後に聞こえた男性の声を
聞き逃したりはしません。
(あれ、Lineでメッセージだったんじゃないかって?細かい設定はいいのw
それと、飯村さんは物静かだから、声が聞こえるわけないよというツッコミもなし!)
大体、突っ込もうと思えば、のんとアーロンは何語でメッセージをやり取りしてるんだという
「それを言うとお終い」なツッコミも出てくるし。

そういえば、前に寝言で「ウルスさん、好きよ~」って言ってたっけ。
誰だよ?ウルス?

ていうか、なんで映画館なんだよ?
ステーションビルに映画館が入ってるの?

夢見心地で帰宅したのん。スマホの電源は切ったまま。可哀そうなアーロン・・・
さあ、これからどうなる?

あ、ユリ先輩から、アーロンにホワイトデイのプレゼントに一曲 you、そんな子、やめちゃいなよ!
ただいま、乗り換えキャンペーン中ですよ!


リラの恋・あなたはどこに・・・ 1

2015-03-06 | 妄想のアーロン


リラは1度もアンジョルラスにクリスマスの贈り物を貰ったことがありません。

物語を読んでくれたり、迷子のリラを探してくれたり、とても優しいのに
なぜか誕生日もクリスマスも忘れているようなところが彼にはありました。

12月、パリには雪が降っています。
故郷のマルセイユでは、あまり雪は降りませんでした。
暖かく穏やかな気候の故郷、
けれど、どんな極寒の夜よりも辛い日々もありました。

アンジョルラスがパリへと旅立った日・・・そして・・・
いつか帰ってくると信じていたのに、4年経っても帰らないと聞かされた日。
彼の母から二人が結ばれることは無いと告げられた日。

希望を失ったリラに、アンジョルラスの母は、とうとうパリ行きを許してくれました。
もちろん、それが結婚を許してくれたのだなどとは、リラも思ってはいません。
第一、アンジョルラスがリラに愛を語ったことなど無いのだから。

パリに出てきた日のことをリラは思い出していました。
それはリラが庭先で拾われたのと同じ、ちょうどリラの花の季節でした。


数日の馬車の旅にも、リラはまったく疲れを感じませんでした。
一人旅にも、恐怖や不安は感じません。
寂しげな育ての両親の顔や、何かを思っているようなアンジョルラスの母の顔
別れが辛くて泣いている幼い弟たち、可愛がってくれた他の使用人たち

リラも別れは辛かったのですが、それにも増してアンジョルラスに逢える喜びに
満たされていました。

ひとつ大きな不安がありましたが。

リラにとっては、天にも昇るようなアンジョルラスとの再会。
けれど、彼にとってはどうなんだろう?
もう私のことなど忘れただろうか? だって、故郷に帰りたいと思ってはくれないのだから。
これから待つのが天国なのか地獄なのか、リラは指先が冷たくなるほど緊張していました。


リラがパリに来るのに乗ったのはディリジャンス(乗り合い馬車)
蒸気機関車はまだ走っていません。馬車の速度とか、途中で泊まったのかとか、色々と
わからないんだけど、途中で馬を替えたりしたのかな?食事やトイレなんかはどうしていたんだろう?
パリ→マルセイユ間は860キロって・・・あれ、私、前に655キロって書いてる。いい加減ですみません。
地図上の直線距離(都市の境から境の最短距離かな)と、路線の距離(駅から駅の距離)の違い?

で、860キロを信じるとしたら、東京→広島間くらいだそうです。
もちろん、この時代は道路も橋も今と大違いだろうし、馬や御者も休みがいるだろうし
山道だと、スピードは出ないだろうし・・・乗り心地も悪いだろうし
リラ、大変だっただろうな。
・・・と思ってたら、実は他にも大変なことが。
ジャン・バルジャンが囚人用の旅券を持っていて色々差別される場面があるけど、
この時代、囚人ではなくても、国内で旅をするのには旅券(パスポート)が必要だったそうです。
旅券を手に入れるには身元保証人がいるし、パリに入るには市門から入らなくてはならない。
パリは城砦都市だから、関所を通るような感じかな?
18世紀以前は外敵の侵略を防ぐものでも、19世紀の市門は入ってくる品に関税をかける場所だったとか。
徴税人の壁と呼ばれて、パリに税収は入るものの、当然物価は高くなって貧民には住み難い。
税金、何に使ってたんだろう。



リラがパリでしばらく住むのは、アンジョルラスの母の知人の家です。
ひっそりと静かに暮らす未亡人の家・・・
数人の召使いがいるだけで、あまり人の出入りはありません。

おかしな男に目をつけられることも、召使いの身分なのか養女なのか、パリにまで
行かせてもらうリラの身分を詮索する人間もいない静かな家です。

到着の翌日、早速、リラはアンジョルラスの下宿を訪ねました。
想像していたよりパリの街は汚く、華やかな表通りを一歩入ると、
じめじめと荒廃した貧民街が広がっていました。

アンジョルラスの住む場所は、そんな荒廃とは無縁な地域。
大学にもほど近いところに立つ瀟洒な建物です。
立派な門構えで門番夫婦も住んでいます。

リラはおずおずと門番の女房らしき女性に声をかけました。
「アンジョルラス? ここには、そんな名の人いないよ。」

リラは慌てて故郷の奥様の書付けを取り出しました。
若い娘が会いにいっても、通してくれないと思ったので、一言、事情を書いてくれて
いたのです。

それを見た門番の女房の態度は一変しました。
「あの人、ときどき変な女たちからつけられてたからね。ちゃんとした知り合いだったんだね。」
やや気の毒そうに
「本当にもう1年くらい前から、ここにはいないんだよ。たまに、そうだね、ひと月に2度ほど
 手紙を取りに来るくらいで。少し前に来たから当分来ないんじゃないかと思うよ。」

アンジョルラスは、最初に両親が手配した上等な下宿を少し前に出ていました。
人の出入りの多い、華やかな社交の雰囲気に何年経っても馴染めなかったのです。
そして、今の彼は、ある目的のためにお金を貯めていました。

宿を変えたのを両親に知られたくない彼は、門番の女に手紙の保管を頼んでいました。
アンジョルラスを気に入っていた門番の女は、たまに彼が手紙を取りに来るのを
むしろ楽しみにしていました。


門番の女はアンジョルラスの住所を知りません。
彼が今度来たら、リラのことを伝えてくれると約束してくれましたが、それがいつかは
わからないのでした。

リラは目の前がまっくらになりました。どうしたらいいの?


・・・ここ2日ほど、これを考えてたんですが、ここで止まりました。続きはまだ浮かんでないw


ちょっとした番外編w


そうだ、大学、大学の前で待てば・・・
リラは恥ずかしいのをこらえて、パリ大学の校内に入り(当時、部外者入れたのかは知らない)
聞いてまわりました。


「どなたか、アンジョルラスという人をご存知ないですか?ブロンドのイケメンです。」

 僕はブロンド、イケメンなアンジョルラスだけど、何か?

その青年の名はアントワーヌ(アントン)・ヴタイバーン・アンジョルラス

 あ、ぼく、ロベール(ロブ)・ズットゥ・マリウス・ポンメルシーです。

どの青年も、とても親切に話を聞いてくれましたが、誰もアンジョルラスを知りません。
(アンジョルラス、在籍すれどもミュザンに入り浸りだからね。)
 外では目立ってるんだけどなぁ(うるさくて)

けれど皆、リラの少ない言葉からでもリラの恋心を読み取りました。

「何かあったら教えるから、またここにおいで」
そういうと、学生たちは去って行きました。


アントワーヌ(アントン)は密かにため息をつきました。
彼も叶わぬ恋をしていたのです。
相手は修道女、道に倒れた浮浪者や乞食を助ける美しい女性でした。
(まだこの時代はナースという職業はないんだよね?)

決して結ばれることは無い恋でした。

尼僧院に入る前はアキレッタと呼ばれていて、小柄で愛らしい良く笑う少女だったそうです。
彼女がなぜ修道女になったのかは知りません。

そして気のせいでしょうか?彼女の目にときどき彼への熱い想いが見えるのは。
いや、思い過ごしだ、うぬぼれるな、アントワーヌは自分をいさめました。

白いかぼそい彼女の手が起す小さな奇跡を見て、アントワーヌも自身のあり方を考えていました。
そして、彼はやがて革命へと身を投じて行くのです。


て、ちょっと困ったなw
バリケードにアンジョルラスがふたり。
あ、マリウスもふたりになっちゃうw

それと、アキ&アントンジョルラス、美化しすぎちゃった。ぜんぜん別人w