アルバイト先のカフェを出て、暮れかけた街を歩くアーロンとりょん。
雪の粒も大きく、そしてだんだんと風も強くなってくる。
次第に景色は真っ白に変わる。
車のクラクションがあちこちで鳴り響き、交差点ではタクシーや車が連なり渋滞している。
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「りょん!
あたま真っ白になってるよ!」
口元までぐるぐる巻に覆ったマフラーからはアーロンの優しい眼差しがのぞく。
そして、りょんの頭に積もった雪を優しくはらうアーロン。
「嵐になりそうだ。急ごう!」
アーロンに手を引かれるまま、走る。
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風が強くて息ができないくらい。
「はぁ、はぁ。アーロン、早いよ。ちょっと待って。」
白い息を吐きながら、ついて行こうと一生懸命走るりょん。
しかし、バイトの立ち仕事で疲れた脚では、慣れない雪道で思うように足が動かない。
「ごめんごめん!もうすぐうちだよ!ここからはゆっくり行こうか。」
再びアーロンから優しい眼差しで見つめられると、もう何も言えなくなる。
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「ぼくのアパート、ここなんだ。
今晩は大雪で地下鉄も動かないみたいだよ。りょん、大丈夫?こんな天気じゃ帰れないよね?
よかったらうち、寄っていく?」
バイト先のカフェまでは、いつも地下鉄かバスを使って通っている。
アーロンのアパートがあるこの辺りからでも、天気の良い時でさえ、歩くと1時間ほどかかってしまう。
服も靴もびしょびしょに濡れて、寒くて凍えそう。今日はアーロンの言葉に甘えてしまおうかな。
「ありがとう。でも、いいの?急だし、迷惑じゃない?」
「大丈夫だよ。気にしないで。こんな寒そうなりょん、ほっとけないよ。行こう!」
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アーロンと手をつないで建物に入り、階段を上る。3階へ。
りょんは本当に夢を見ている気持ちでした。
大好きなアーロン、多分彼も私が好き。
でも、忙しいふたりは、あれからデートもできないでいました。
真面目なふたりは勤務中はもくもくと仕事をします。目で合図すらしないのです。
凍えそうな体・・・でも、今、りょんの心は燃え上がっていました。
これから、どんなことが始まるの?
■NHK/朝の連続TV小説・花子とりょん
これから始まる~ふたりの物語♪
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※もちろん校長先生はこんな意味では言ってません。お許しください。
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「さあ、はいって。寒かったね!」
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部屋に入ると、とてもあたたかい。
「ホットミルクを用意しておくよ。バスルームであたたまってくるといいよ。」
前にsawaさんが面白いコメントを残してくれてました。
入ってすぐのアーロンのアパートがなぜ暖かいか、その謎が解けます。
NYの興味深い暖房事情 (sawa)
NYでの滞在中、アパートメントの部屋の中が暖かくてとても快適だったんですよ。
特に自分達で何もしなくても、どの部屋も常に暖かかったんです。むしろ暑いくらい。
(その代わり、室内超乾燥しており、夜寝る前に手洗いした洗濯物が、翌朝にはカラカラに乾いてる位。
日本から簡易加湿器持参して大正解でした。)
友人に聞いたところ、とても興味深いNY暖房事情!←私こういう話大好きでーw。(ryon様も?)
NYのアパートメントの管理者は、全ての部屋を常にある程度の温度に保つよう、法律で定められているそうです。
ここに短くわかりやすい説明が↓
すご!
住人が外出してようがしてまいが、家を空けようが、常に常に暖かく保たれてる部屋。
省エネという観念はないのか・・と思うけど、あの快適さは非常に羨ましい。
暖房費ケチって部屋が寒いと、大家さん訴えられるんだって!さすが裁判大国。
NYの街の冬の風物詩といってもいい、ビルや地上から出ている水蒸気。
街じゅう全てスチーム暖房なんですね。
コンドミニアムの部屋の中にも、隅にスチーム管が通っていて、シューッとか、
カンカンカンとか、音がしていました。
(父によると、日本でも昔はよくあったそうで、カンカンカンという音は、蒸気の圧力を逃す音?
なんだとか。よくわかりませんが。とにかく昔からの古い装置だそう)
ちなみに、友人によると温度コントロールはできないそうで(私が泊まったとこもそうだった)
たいていの場合暑すぎて、家でもオフィスでも半袖の人が多いんだって。
友人のアパートメントでも半袖でした。。
それを踏まえて考えるとね・・
アーロンて冬でもタートルとか厚いセーターとか着ないじゃないですか?
屋内があんなに暑ければ、納得もいくわ。。と思いました。
友人によると、通常、暖房費と水道代は家主さん持ち、電気代とガス代は借り主持ちだそう。
まぁ、アパートによって違う場合もあるから何とも言えないらしいですが。
暖房費、水道代、タダなの?!と聞いたら、
共益費に入ってるんだよー、だって。なるほどね。
あ、もちろん一軒家は別。全て自分管理だそうです。
mihoさんやsawaさん、また色々教えてね。
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バスタブに湯を張り、手足の指先から体の芯まであたたまる。
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髪を洗おうとシャンプーを探すが、見つからない。
シャワーカーテンから外の洗面台をのぞくと、鏡の前にシャンプーが置いてあるのが見える。
「よいしょっ」
シャンプーをとろうとカーテンを開けると、タオルと着替えを手に持ったアーロンとはちあわせ。
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湯気の中から出てきたアーロンです。雲の中からじゃありませんから。
「きゃ!」
「ごめんごめん!そんなつもりなかったんだ!気にしないで!ここにタオルと着替えおいとくね」
(どうしよう!見られちゃったかな?)←ありがち
いそいそと髪と体を洗い、アーロンが用意してくれた、洗いたての白いTシャツとインディゴブルーのシャツに着替える。
アーロンの香りに包まれるりょん。
(いい香り。。)
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まあ、パンツの替えないもんね。そうだよね・・・
「とってもあたたかかったわ。シャワーありがとう」
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シャワールームから出ると、アーロンからあつあつのホットミルクを受け取る。
濃いネイビー色の布張りのソファに座り、ミルクを飲むと、体の内側からあたたまってくる。
りょんの頬はピンク色に。
「さっきまでりょんの唇が紫色だったから、心配だったんだ。もうあったまってきたみたいだね。
ぼくもシャワー浴びてくるよ。ゆっくりしてて」
シャワールームからはシャワーが流れる音とともにアーロンの歌声が聴こえてくる。
独り、ソファに座り、部屋を見回す。
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1Kの部屋にはグレーのラグが敷かれ、ベッド、キャビネット、ソファ、そして二人がけの小ぶりのダイニングテーブルが置いてある。
シンプルなインテリア。
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そして、キャビネットの上には台本や楽譜が無造作に積まれている。
楽譜の隣には、手の平ほどの大きさのかわいらしいクリスマスツリーが飾られている。
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楽譜を開いてみると、音符が複雑に散りばめられている。一体これはどんな旋律?リズム?難しくてわからない。
「あったまったー!」
腰にタオルを巻いただけの、笑顔のアーロンが、シャワールームから出てくる。
まだ水分を含んだライトブラウンの髪の毛は、無造作に後ろ向けてになでつけてある。
「きゃー、ちょっとアーロン、そんなの困るよー」
目のやり場に困るりょん。
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「ゴメン!驚かせちゃった?すぐ着替えてくるね!」
アーロンは髪の毛をタオルで拭きながら、Tシャツとスウェット姿に着替えて、再びシャワールームからでてくる。
「ふぅ。今日の天気には参ったな!
でも、りょんがうちに来てくれることになったから結果オーライだ!
嬉しいな!」
りょんの隣に座るアーロン。
アーロンからはシャンプーの香りが漂う。
部屋は薄暗いが、白熱球のあたたかなオレンジ色の光が2人を照らしている。
あらためて近くでアーロンの瞳を見つめると、大きな瞳に吸い込まれ、体が固まってしまう。
なんて綺麗な瞳。
「……」
無言で見つめ合う2人。
アーロンの顔はゆっくりとりょんへと近づいてくる。
そして、ついに2人の唇と唇が重ね合い、次第に交じり合う唇。
アーロンのたくましい腕に強く抱きしめられ、胸に顔をうずめる。
ドクドクドク。アーロンの胸の鼓動が伝わる。
「りょん、ずっとこうしたかった。愛してる。」
「私も、愛してる、アーロン」
君はすべてを魔法にかけてしまう
君みたいな娘は今まで誰もいなかった
誰も、誰一人も
僕は決して迷わない
ねえ、だから
僕は、そんな扱いには慣れてるんだ
君から突然呼ばれるのが好き
なぜって予想がつくものなんて嫌いだから
だから、君が気になってしょうがない
君が、君だけが、君の事だけが
気になるんだ
なぜって君は完璧
いつだって1番、価値がある
君だけが、それに値するんだ
君が手がけると1番稼げるんだよ
1番価値を生み出せるんだよ
この恋が悲劇になると思ってるね
君は何も支払わないで
何も犠牲にしないで
何も気に病むことはない
ウソなんてないからさ
ねえ、いいかい
君がもたらしてくれる夜は最高だよ
激しいキスを何度も繰り返し、ソファへと倒れこむ2人。
ブルーのシャツのボタンはするりとはずされ、ショーツ1枚になったりょんの体があらわになる。
あれ、パンツ持ってきてたんですか?って、まあそれはいいかw
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そして、アーロンはりょんの頭の先からつま先まで優しい口づけを繰り返す。
アーロンの背中に必死にしがみつくりょん。
そして、2人はひとつに。
2人の激しい動きに、一晩中ベッドの軋む音が続く。
翌朝、りょんはアーロンの腕の中で目を覚ます。
・・・・・・いや、アーロンはいない。ベッドの横には誰もいない。
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ふと不安になってくる。
どこに行ったの?
窓からは明るい日差しが注いでいる。外はもう嵐が去り、快晴。
でも、いない。もう出かけたの?私に声もかけずに?
手紙も置いてないし、メールもない。
アーロンにとって、こんなことってよくあることなのかな。
だんだん不安がつのってくる。
実は昨日のことは、りょんにとっては初めての体験だった。
心臓が飛び出しそうなほどの緊張と幸せの絶頂の恍惚感で、りょんは
知らず知らずのうちに疲労困憊していた。
「昨日は素敵だったよ、また気がむいたらよろしくね。」って軽く言われたら
どうしよう。いやそれどころか、もうりょんに興味を無くしてるかも。
前に舞台の後のお茶に誘われたときに、なんで私を誘ってくれたのって聞いたら
「君の思ってる通りの理由だよ。」って言ってくれた。けど
あれって、本当に愛してるっていう意味だったのかな?
もちろん、こうなったら絶対恋人になれって言うつもりはない。
だって自分だって、そうしたかったんだから。
だけど、そうしたかったからこそ、私はずっと一緒にいたいんだよ、アーロン
どこに行ったの?涙があふれてくるよ。
ガチャと音がした。アーロン帰ってきたんだ。
息をはずませて紙袋をテーブルに置いてる。
そして、りょんの涙を見て、驚いてる。
「前にりょんが好きだって言ったベーグルサンドの店、早朝から開いてるから買いにいってたんだ・・・
だけど、ひとりして悪かった。まさか泣くとは思わないから。」
ベーコンと野菜のベーグルサンドとクロワッサンを取り出して、コーヒーを淹れるアーロン。
「昨日、あんまり食べないで寝ちゃっただろう、お腹すいたよね?」
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にゃ~にゃ~腹減った~~食わせろ~~(アーロン猫、優しいなぁ。箸も使えるのね)
そして、恥ずかしそうに一輪の赤い薔薇を差し出した。
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「花屋さんって、早くから開いてるんだね。」
ブルーなレディに赤い薔薇を贈りたいんだ
花屋のご主人、注文を聞いてくれる?
先日、僕たちはつまらない喧嘩をしたんだ
だから、彼女のブルーを追い払うような
綺麗な花を揃えてほしい
赤い薔薇を不機嫌な彼女に包んでくれるかな
街1番の綺麗な女の子にそれを贈りたいから
それが奇跡を起してくれたら
僕は大急ぎで戻って、彼女のウェディングガウンのために
1番素敵な真っ白な蘭の花を買うよ
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最後は白旗をあげるがいい!(作詞担当ジャベール)
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いかん、後半、ロマンチックでもなんでもなくなってしまった。
りょんさん、また続き書いて下さいね。