アンジョルラスが好き

おもにAaron Tveitについて
彼に興味が無ければつまらないです。
コメント欄が面白いので読んで下さいね。

リラの恋・いつもふたりで・・・・・・

2014-06-25 | 妄想のアーロン


夜の街を、リラは歩いていました。カフェミュザンからの帰り道、アンジョルラスに送ってもらっているところです。

二人とも黙ったまま、ただ、歩いています。道に足音だけが響きます。
二人は、いつもそうなのです。
でも、話をしなくても、リラにとっては、アンジョルラスと一緒に歩くことができるとても大切なひとときでした。

少し寒いな…と、リラは思いました。
そろそろ冬も終わりに近づき、昼間は春の光を感じる日もありました。
とはいえ、やはり夜はまだまだ真冬とあまり変わりません。

…くしゅん!と、リラは、くしゃみをしました。
「…リラ、風邪か?」アンジョルラスが言いました。
うつさないでね

「ううん、風邪じゃないと思う…大丈夫よ。」
「気をつけろよ。まだ寒いから。」

アンジョルラスにしては珍しい言葉です。リラは、ちょっぴりおかしくなりました。
寒さがもっと厳しかった頃、アンジョルラスは熱を出したのです。
たいしたことはなかったのですが、彼はミュザンから帰れなくなり、そのまま一晩泊まりました。
リラは明け方まで付き添いました。
アンジョルラスは、自分が熱を出したことを思い出したのかもしれません。

リラの胸に、ふっと、遠い遠い…幼い日のことがよみがえりました。



と、ここで余計なお話です。
最近、ダウントンアビーというドラマを見ていて、ふと召使いは、自由に結婚したり子育てしたりできなかったんじゃ
ないかと思いまして・・・ 
リラは捨て子、奥様が可哀そうに思って拾ってくれます。
娘が欲しかった奥様は自分で育てたかったけれど、親類の反対にあって召使い夫婦に育ててもらうことにした
・・・という設定なんで、召使たちが子育てに時間を取られても、奥様は怒らないし、自分でも気にかけてくれてる。

でも、英国ドラマとか、召使いの出てくるものを見てると、使用人の生活というのは、それは過酷です。
電化される前の社会における家電のような存在の下級使用人(姿を見せるのを嫌われるので、まるで存在しないかの
ように、目に触れない時に暖炉の掃除やトイレの始末、調理や食材の調達などの全ての雑用をやる)と、
綺麗なお仕着せを着せられ、旦那様や奥様の身の回りのことをするまるでインテリアの一部のような上級の使用人がいる。
ご主人夫婦と心が繋がっていて、比較的人間的な生活ができる使用人もいたかもしれないけど、どちらかというと
使用人と主人は別の世界の人間。長年つかえていても顔も合わせない召使いもいたとか。

ダウントンアビーは今から100年前の世界(第一次大戦のころ)ですが、まだまだ一般には自動車より馬車が
使われていて、家庭では、人力や馬力が機械より主力だった時代です。
やがて工業化の波が押し寄せてきて、戦争もそれを後押しするし・・・ここから時代は大きく変わって行きます。
工場労働者や炭鉱労働者、女性も女工や店員など、大量の雇用が生まれて、人々の生活は一変して行く。

アンジョルラスが生きた時代は、それよりさらに100年近く前、すべての動力はほぼ馬や人。
リラはお針子をしてパリで生計をたてていたけれど、実はフランスはファッション大国のわりに、ミシンの
普及が遅かったそうです。それは大量にいるグリゼットの賃金が非常に安かったからだとか。
召使たちは、朝から晩までこき使われていたので、リラを育てることなどできなかったかなとふと思いました。
現実には、アンジョルラス坊ちゃまの顔を見ることも難しかったかも。

でも、まあ、それは無視。ここはイケメンファンタジーブログですからね!

では、本編に戻ります。


あれは、リラが6歳の時のことだったでしょうか。
いいえ…季節はちょうど今頃、春先でした。だから、6歳になる少し前だったはずです。


お天気が良く、ぽかぽかと暖かい日でした。
まるですっかり春が来たかのような陽気に、リラはとても嬉しくなり、外へ遊びに出かけたのでした。


歌をうたいながらスキップをしていたリラは、1羽の小鳥に出会ったのです。丸い目をしたきれいな小鳥でした。
その可愛い歌声を聴いたリラは、ますます嬉しくなりました。
リラを誘うように飛ぶ小鳥を、もう、夢中になって追いかけたのです。

小鳥が、急に、ぱっとその姿を消した時、リラは初めて見る道に立っていました。
あまり広くはなく、馬車一台が通れそうな道です。いったいどこへ続いているのでしょう…。

リラは、小鳥が自分をここへ連れて来てくれたのだ、と思いました。
それなら、この道を辿って行けば…きっと何か素晴らしいことがあるはずです。
小鳥を追いかけてきて、すっかり身体が温かくなったリラは、毛糸のショールを肩からはずし、
ちょうど近くにあった大きな石の上に置きました。
そして、その道を元気よく歩き始めたのでした。

リラは、いつも、こうなのです。何かに夢中になると、一人でどんどん歩いて行ってしまうのでした。



道は、くねくねと曲がりながらどこまでも続きます。
リラは、スキップをしたり歌をうたったり…にこにこしながら進んで行きました。



やがて、道は小高い丘の傍を通りました。リラは道をそれて、丘を登って行きました。
丘の頂上からは、広い野原と、大きな大きな青い空が見渡せました。
歩き疲れたリラは、ぼんやりと、その景色を眺めたのでした。



 なんで鬱蒼とした森を歩いてきたリラが、いきなりこんな牧草地みたいな丘にいるんだ?

気にしない!


Lilasさん、すみません。適当な画像がなかなか無くて・・・


…ふと、リラは、冷たい風を感じました。
いつのまにか、夕暮れが近づいていたのです。
今日は暖かい日でしたが、それでも、春本番はまだまだ先のようです。寒くなってきました。

帰らなくっちゃ…。引き返そうと振り向いたリラは、あ!と思いました。
向こうの方にアンジョルラスが立っていたのです。手には、リラが途中で置いてきた毛糸のショールを持って。
「リラ…こんなところにいたのか。探したんだぞ…。


「おーい、リラ~これ、毛糸のショール(の・・・つもり)」

思いがけずアンジョルラスが来てくれたので、嬉しくなったリラは、おひさまのような笑顔でそちらに走って行きました。
ところが、アンジョルラスは、とても怖い顔をしたのです。

「だめじゃないか、リラ。こんな遠くまで、また黙って一人で来たりして…。おかあさんがとても心配しているぞ。」
リラはびっくりしました。大きな眼がますます大きく、丸くなります。
アンジョルラスが、時々、少年らしくない厳しい表情をすることは知っていました。
でも、リラは、今まで彼のこんな怖い顔を見たことがありませんでした。

 説教してるというより、脅してるような顔
びっくりした眼のまま、リラはアンジョルラスを見上げていました。
そして、知らない間に口が動き、「ごめんなさい。」と小さな声が出ました。
アンジョルラスは、まだ怖い顔をしています。
でも、やがて…ふっと笑い、手を伸ばしてリラの髪をくしゃくしゃっとなでました。

「リラは…どうして、こんなに遠くへ行くのが好きなんだろうな。」アンジョルラスは独り言のように言いました。
「いったい、どこへ行きたいんだ?」
そんなことを訊かれても、リラには返事ができません。
リラは、自分では、遠くへ行きたいとも、どこかへ行きたいとも、思っていないのです。
ただ…いつのまにか、一人でどんどん歩いて行ってしまうだけなのでした。
どうしてなのか、リラにもわかりません。




また、冷たい風が吹きました。アンジョルラスが空を見上げます。夕暮れの美しい空です。
ばら色の小さな雲がたくさん浮かんでいます。
リラは、アンジョルラスの顔を見上げました。そして、思ったのです。
なんだか、この人のほうが遠くへ行きたいような顔をしている…と。

「遠くへ…行きたい?」リラは訊いてみました。
「わからない…ただ、行かなければならないような気がする時がある。なぜだか…。」
アンジョルラスは、空を見つめながら言いました。


それから、アンジョルラスはふと思い出したようにリラを見て、ほんの少し微笑みました。
「…帰ろう。」
その途端、リラは、くしゅん!と、くしゃみをしました。
アンジョルラスは、持っていた毛糸のショールを慌ててリラの小さな肩にかけます。

二人は丘を下りてゆきました。幼いリラの小さな足は、たくさん歩いたのですっかりくたびれていました。
それに、おなかも空いてきました。ついついアンジョルラスから遅れがちになります。
アンジョルラスは、たびたび振り返ってリラを待ちます。

丘を下りきって少し歩いたところで、アンジョルラスはまた立ち止まり、振り返りました。
ちょっとの間、そのままリラを見ていましたが、戻ってくると、リラに背中を向けて、黙ったまましゃがみます。
一瞬、リラは途惑いましたが、すぐに、にこっとすると、その背中にきゅっとしがみつきました。
アンジョルラスはリラを背負って立ち上がり、歩き始めます。

アンジョルラスの背中は、リラのおとうさんの広い背中とは違いました。
でも、小さなリラは、なんだかとっても安心したのです。
その背中に、頬をぴったりとくっつけてみます。そして、眼を閉じて考えたのでした。
…あたしは、今は、どこにも歩いて行きたくない。
このまま、ずっと…こうしていたい。。。あなたのそばにいたい。。。


………今、パリの街の石畳を歩きながら、リラは思いました。
今の私は、やっぱりどこにも行きたくない…あなたのそばにいたい。それは、あの頃と何も変わっていないわ…。

リラは、そっと、アンジョルラスの横顔を見上げました。この人は、あの日のことを覚えているだろうか…。
きっと、アンジョルラスは覚えていないでしょう。でも、それでもいい…と、リラは思います。
想い出は…とっても大切。でも、今、この瞬間は、もっともっと大切…。

リラの下宿の前に着きました。
「リラ、寝る時はあったかくしろよ。それから…」言いかけたアンジョルラスは口を閉じました。
そして…くしゅん!と、くしゃみをしました。

ふふふ…と、リラは笑ってしまいます。
「…あったかくしてね。」リラは笑顔で言いました。



・・・すると、そこに現れたのは

尾行していたのか?

 「あ、先輩、これをはおってください。」

 「それとコーヒー(一人ぶん)。最近はコンビニコーヒーもバカにできませんよね。」

実はマリウスはコゼットから「いつまでABCの友の会とかやってるの?いい加減ちゃんと就職して」と言われていたのです。
言い出すチャンスをうかがうマリウス。心証を良くするため、せっせと雑務をこなしていた。
バカマリウスは、役に立たないほうが組を抜けやすいという常識すらなかったのである。

 「あ、俺の部屋、めっちゃ散らかってたんだけど」

「はい、ベッドの上も、テーブルの上も綺麗に片付けておきました。
Empty table and empty bedです。」

 「あ、リラ、まだいたの?早く部屋に帰れよ。」