─光る波の間─

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今日の音読

2005-10-07 11:16:52 | つれづれ
立ち止まって、空を見上げて、一呼吸ついたらまた、歩き出す…。


2000年7月5日(水)。石川直樹はカナダの国境を越えた。
北極を出発して3ヶ月が過ぎ、ミキマック・インディアンの地で
彼は夜空を見上げる。
 
 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
 日が暮れると、あたりの草原に小さな黄緑の光が
 灯りだした。
 弧を描き、宙に浮かび、舞う。
 英語ではファイヤーフライと呼ばれるホタルだった。
 草原はホタルの聖地と化し、見る者の目を引きつけてやまない。
 石につまづいても、木に足をとられても、
 しばらくは暗闇のなかで歩くことを楽しみたい。

 暗中模索という言葉があるが、闇のなかでぼくは模索などしない。
 自然と道は開かれる。
 導かれるままに進むだけだ。
 
 空には天を満たすほどの無数の星が瞬き、
 ふりむくと力いっぱい弦を引いた弓のような、
 細くしかし力強い三日月が浮かんでいた。

 この地を踏みしめていることに、
 そして生かされていることに感謝。
 


『この地球(ほし)を受け継ぐ者へ』(講談社)/石川直樹

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