立ち止まって、空を見上げて、一呼吸ついたらまた、歩き出す…。
2000年7月5日(水)。石川直樹はカナダの国境を越えた。
北極を出発して3ヶ月が過ぎ、ミキマック・インディアンの地で
彼は夜空を見上げる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
日が暮れると、あたりの草原に小さな黄緑の光が
灯りだした。
弧を描き、宙に浮かび、舞う。
英語ではファイヤーフライと呼ばれるホタルだった。
草原はホタルの聖地と化し、見る者の目を引きつけてやまない。
石につまづいても、木に足をとられても、
しばらくは暗闇のなかで歩くことを楽しみたい。
暗中模索という言葉があるが、闇のなかでぼくは模索などしない。
自然と道は開かれる。
導かれるままに進むだけだ。
空には天を満たすほどの無数の星が瞬き、
ふりむくと力いっぱい弦を引いた弓のような、
細くしかし力強い三日月が浮かんでいた。
この地を踏みしめていることに、
そして生かされていることに感謝。
『この地球(ほし)を受け継ぐ者へ』(講談社)/石川直樹
*
2000年7月5日(水)。石川直樹はカナダの国境を越えた。
北極を出発して3ヶ月が過ぎ、ミキマック・インディアンの地で
彼は夜空を見上げる。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
日が暮れると、あたりの草原に小さな黄緑の光が
灯りだした。
弧を描き、宙に浮かび、舞う。
英語ではファイヤーフライと呼ばれるホタルだった。
草原はホタルの聖地と化し、見る者の目を引きつけてやまない。
石につまづいても、木に足をとられても、
しばらくは暗闇のなかで歩くことを楽しみたい。
暗中模索という言葉があるが、闇のなかでぼくは模索などしない。
自然と道は開かれる。
導かれるままに進むだけだ。
空には天を満たすほどの無数の星が瞬き、
ふりむくと力いっぱい弦を引いた弓のような、
細くしかし力強い三日月が浮かんでいた。
この地を踏みしめていることに、
そして生かされていることに感謝。
『この地球(ほし)を受け継ぐ者へ』(講談社)/石川直樹
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