花を飾る

スーパーに行ったら可愛い花が売られてた。
ヤグルマソウとワレモコウ。

ごっちゃごちゃの部屋に飾った。

暖簾や、パネルや、
部屋を彩っていたものを仕舞いこみ、
彩りがなく雑然とした空間の中に際立った、
こんなささやかな花の、生命の存在感。

ふわり。　きりり。


花を買うとき、必ずと言っていいほど思い出すことがある。
新潟の地震、避難所から一時帰宅をしたおばあさん。
全壊した自分の家。
どうにか形をとどめている玄関の、靴箱の上に、
そこらに咲き残っていた花をたくさん摘んで、花瓶に挿して飾った。

「もう、ここはだめでしょうからねぇ」
と、少し微笑んで向けられたマイクに呟いて、
両手で顔を覆って号泣した。

とても悲しい光景だったけれど、
私もテレビの前でもらい泣きしながら、
「でも、あれほどの災害も、あのおばあさんの人としての品性を
奪うことはできなかったんだな。私もあのようでありたいな。」
と思った。

「花を買うのはお金の余裕ではなく、心の余裕」
と言ったのは、誰だったかな・・・


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