山口、島根両県を襲った「これまでに経験のないような大雨」(気象庁)では1人が死亡し、29日現在、3人が行方不明となっている。東京でも先週末、激しい雷雨で隅田川花火大会が中止になるなど今夏の天候はまさに大荒れ。大気が不安定な状態は今週の中ごろまで続くため、全国各地でゲリラ豪雨に見舞われる危機は去っていない。大雨、雷をともなう異常気象の原因は何なのか。
日本列島の各地で突如襲来する大雨の被害が相次いでいる。山口、島根など中国地方を28日未明から襲った記録的豪雨では犠牲者が出た。
7月に入ってから18日には山形県鶴岡市で1時間に64・5ミリの激しい雨を記録。同県のほぼ全域に土砂災害警報が出されたほか、26~27日には岩手県や宮城県を中心とした東北地方の一部地域で、豪雨による避難指示が出されるなど大荒れの天気が続いている。
なかでも山口と島根を襲った記録的豪雨は、8月30日から運用が始まる「特別警報」に相当する激しい雨だった。元NHK気象キャスターの気象予報士、村山貢司氏が解説する。
「特別警報は雨量などが『50年に一度あるかないか』とのレベルに達するときに発表される。一生に一度、経験するかどうかという災害が全国で頻発している。地球温暖化による海水温の上昇により、海から蒸発する水蒸気の量が増加。その分、降る雨の量も増えている。現在、海水温は平年より1~2度高く、北日本は3度ほど高い」
海水温の上昇を受けて近年の日本周辺では、まさに「これまでに経験のないような大雨」が頻発。2008年8月、東京都豊島区で下水道工事をしていた作業員5人が死亡した局地的な大雨のあたりから、「ゲリラ豪雨」との表現がよく使われるようになった。
今週の中ごろまで大気の不安定な状態が続くという。気象庁では「東日本を含む各地で局地的豪雨が発生する可能性がある」と警告。東京、大阪など大都市を中心に突然のゲリラ豪雨に襲われる可能性がある。
週末には太平洋高気圧の勢力が強まり、局地的な豪雨の危険性は弱まるとみられているが、油断はできない。
「海水温が高いと、海から陸地に吹き込む風の温度も高く、風が吹いても涼しさを感じない。熱中症のリスクが高まるので要注意だ」(村山氏)
一難去っても、また一難。ゲリラ豪雨の向こうには猛暑が控えている。
■ゲリラ豪雨への対処法
東京や大阪など都市部でゲリラ豪雨に遭ったらどうすればいいのか。
危機管理コンサルタントで「リスク・ヘッジ」社長の田中辰巳氏は「ずぶぬれになると真夏でも低体温症になるためこれだけは避けたい」とし、次のようにアドバイスする。
「基本的なことだが、常にレインコートを携帯しておくといい。500円程度で買えるものがある。家庭用ゴミ袋を代用する方法もあり、首を出す部分だけ切ってかぶれば一時しのぎになる」
高い建物、ビルの2~3階に上るのもテで「近くにビルがあればそれを目指すといい」。
意外なのは車での移動という。「東京なら渋谷や五反田は盆地状のため、冠水する恐れがある。そこを走ろうものならエンジン停止やそれに類するダメージを受けかねない。車にいるから安全と考えてはならない」
ただ、最も大切なのは「天気情報をあなどらないこと」だ。
「スマートフォンなどを活用すれば相当精度が高い降雨情報が得られる。これをチェックしさえすればリスクを前もって軽減できる」。情報も金なり-。
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