別府や由布院など有名温泉地のある大分県が「おんせん県」の名称の商標登録を特許庁に申請した。「うどん県」を登録した香川県を手本に観光PRを狙ったが、同じく温泉が豊富な群馬県は「他県は温泉県を名乗れなくなるのか」と反発、全国から批判が相次ぎ、釈明に追われる事態になっている。
大分県は温泉の源泉数が約4500、1分当たりの湧出量が約290キロリットルあり、それぞれ日本一を誇る。県は昨夏から「日本一のおんせん県おおいた」をキャッチフレーズに観光振興を図ってきたが、特に宿泊、入浴、娯楽施設や旅行、菓子の宣伝に「おんせん県」の名称を使おうと、昨年10月に登録申請した。
可否は早ければ3月にも決まる見通し。商標登録されれば、大分県は他の自治体や民間による使用を差し止められる。
だが、温泉地の数は北海道が最も多く、ポンプなどの動力を使わない自然湧出量では群馬県の草津温泉が首位に立つなど、どこが本当に日本一なのかは決めにくい。
群馬県は観光パンフレットなどでかねて「温泉県」を名乗っており「大分に許可をもらう形にはしたくない」と反発。登録申請がテレビなどで取り上げられた後、大分県には全国から「日本中に温泉があるのに独占するのか」などとの批判が数十件届いた。香川県も「映画をきっかけにうどんブームが巻き起こるなど、前置きがあった香川とは状況が違う。他県もイメージできる『おんせん県』は難しい面がある」と指摘する。
予想外の反応に、大分県は「第三者に営利目的で登録されるのを防ぐのが目的で、他県の使用を妨げる意図は一切ない」との釈明をホームページに載せたほか、全都道府県に同趣旨の文書を送った。事態の収拾に追われる観光・地域振興課は「どこが1番かではなく、温泉が売りの県で一緒に名称を使って盛り上げていきたい」としている。
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