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大動脈瘤にご注意

2013年01月19日 | 気になるネタ

心臓から全身に血を送る太い動脈が膨らむ「大動脈瘤(りゅう)」。冬に症状が進みやすく、血管が破裂すると、失血死する可能性が極めて高い。この病気で死亡する人は年々増えており、高齢者などリスクが高い人は、健康診断などで少し注意して調べてもらう必要がある。(佐橋大)

 厚生労働省の統計では、大動脈瘤および大動脈の膜がはがれて血管が破れる「大動脈解離」による死者は、二〇〇二年は九千五百二十八人、一一年は一万五千五百九十九人で、十年間で一・六倍に増えた=グラフ。

 山王メディカルセンター(東京都港区)の重松宏・血管病センター長は「大動脈瘤になりやすい生活習慣病患者と高齢者の増加が要因」と説明する。

 大動脈瘤は、弱くなった動脈の壁が血の流れで外側に押し出され、こぶ状になる病気。壁が弱くなる原因のほとんどは動脈硬化。六十五歳以上、喫煙、高血圧、糖尿病などが危険因子だ。

 膨らんだ部分には、通常より高い圧力がかかり、こぶは徐々に大きくなる。やがて、内部の圧力に耐えきれず破裂。慶応大医学部の川口聡講師(外科・心臓血管外科)は「冬は血圧の変動が大きく、症状が進む危険性が高まる」と警告する。

 破裂で激しい痛みを感じるまで、自覚症状はほとんどない。「普段の検査が大切」と重松さんは助言する。

 しかし、検査でも見つけにくいのが、この病気の厄介なところ。一般的な健康診断で実施するエックス線検査では、胸部の大動脈の異変が分かる可能性はあるが、腹部の異変はほとんど見つからない。腹部には、コンピューター断層撮影(CT)や超音波による検査が有効。ほかの病気でCT検査などを受け、偶然に見つかることが多いという。

 重松さんは「健康診断で腹部の超音波検査などを受けても、検査技師の注意は肝臓や胆のう、膵臓(すいぞう)に行きがち。高齢の人は『大動脈もお願いします』と一声かけるのがいい」と助言する。

     ◇

 治療法は、胸や腹を開き、こぶのできた血管を人工血管に置き換える手術と、ばね付きの人工血管「ステントグラフト」をカテーテルという器具を使って血管内に入れ、こぶの内側に張り付ける「ステントグラフト内挿術」がある。血圧を下げるなどの薬物療法で様子を見る場合もある。

 内挿術は、脚の付け根の動脈に開けた小さな穴から血管内にカテーテルを挿入し、折り畳んだステントグラフトを患部に運ぶ。外部からの操作によってステントグラフトを広げ、患部をまたぐ形で固定する。こうすることで、こぶに血流が届かなくなり、血管の広がりを防ぐ。

 ステントグラフトは、腹部への使用が六年前、胸部への使用が五年前に、それぞれ保険適用された。従来の手術法に比べ、一般的に患者の体への負担が小さく、入院期間も短いため、内挿術を用いた治療が増えている。体への負担の大きさから、従来の手術ができないほど体力の落ちた高齢者でも、ステントグラフトなら治療できる場合もある。

 ただし、こぶのできた場所により、ステントグラフトを入れると、枝分かれする血管の血流も止める危険性がある。医師は危険性や効果を考え、患者に治療法を提案する。

 大動脈瘤は、世界的にも患者が増えており、各国の医療器具メーカーが、新型のステントグラフトの開発にしのぎを削っている。改良型の器具の登場などで、これまで難しいとされてきた場所でも、血管内挿術による治療の可能性が高まってきた。川口さんは「こぶの直径が危険なレベルに達する前の治療が進んでいる」と現状を説明する。

 ステントグラフト内挿術の実施医療機関は、「日本ステントグラフト実施基準管理委員会」のホームページ(委員会名で検索)に一覧がある。



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