今季から横浜スタジアム、福岡ヤフオクドーム、米マリナーズの本拠地シアトルのセーフコ・フィールドの3球場が、野球場で初めてナイター照明にLEDを導入。大幅なコストカットが見込まれ歓迎ムードが高いが、選手たちから「まぶしくてボールが見にくい」との声が続出中だ。
「まぶしい」との声は、横浜DeNAナインが3月25日に今季初めて本拠地で行ったナイター練習であがっていた。
左翼手の筒香は「光が強い。ファウルを追って照明塔を見てしまうと、次の投球のときにも目にチカチカが残る」と困惑していた。実際、今季これまでの試合で外野手が見えづらそうにする場面がいくつかあった。
DeNAの右翼手・梶谷は、対策として4月15日・巨人戦からナイターでは異例のサングラスを着用。レンズに特殊なコーティングを施し、まぶしさを和らげるという優れものだ。それでも、6回に巨人・亀井の放った飛球を見失い二塁打に。「サングラスは気休め程度でした」と苦笑した。
球場側によると、照度は昨季までとほぼ変わっていない。米国のサングラスメーカー関係者は「従来のランプの光が拡散しながら広がるのに対し、LEDの光は直線的。選手はそこに戸惑っているのでは」とみるが詳細は定かでない。
LEDの魅力は経済性にある。ハマスタの照明を担当した製造メーカー側によると、消費電力は昨季までの『メタルハライドランプ』に比べ56%も削減。寿命も従来の約6000時間に対し、約6・7倍の4万時間。コストカット額の見通しは未公表だが、関係者の話を総合すると年間約1000万円に上るとみられる。ハマスタはLED化に4億円をかけたが、早々に元は取れそうだ。
さらに、これまでは停電などで照明が消えた場合、再点灯に約20分かかったが、LEDは即時の再点灯が可能。照度の微調整も容易で、試合前セレモニーなどでも演出の幅が広がった。いいことずくめのはずだった。
一方のヤフオクドームは、照明の製造メーカー、屋外とドームという条件も違い単純に比較できないが、やはり「開幕前の練習で外野手から『明るすぎる』という声があがり、70-80%に落としてもらった」(ソフトバンク・飯田外野守備走塁コーチ)という。
「『まぶしい』というのはおそらく慣れの問題。LEDは2、3年のうちに全12球団の本拠地球場に普及するだろう」と予測する声もある中、いち早く導入した球場は球界関係者や他球場の熱視線を浴びている。