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民法を約120年ぶりに大改正

2013年03月05日 | 気になるネタ

法制審議会の民法(債権関係)部会がまとめる「中間試案」が明らかになった。民法を約120年ぶりに大改正するたたき台で、債権法のうち約300項目について改正の方向が示されるという。債権関係を規定する民法の改正とあって、融資を専業とする金融機関の注目度は極めて高い。

      

 関係者が胸をなで下ろしているのが「連帯保証、個人保証の見直し」に関わる部分だ。中間試案では「連帯保証人制度は、経営者などを除き廃止の方向で検討する」にとどまる公算が大きい。

 中小企業の75%は金融機関から融資を受ける際、経営者本人の個人保証を付している。これが経営者のチャレンジ精神を失わせ、企業再生を阻害しているとして民主党政権時から見直しを求める声が強まっていた。

 特に民主党はマニフェストで「連帯保証制度、個人保証の廃止を含めた見直し」をうたっていたことから、中堅・若手議員を中心に抜本的な見直しを求める声が強まり、法制審議会は2009年、民法の契約・債権分野を今の時代に合ったものに改めるよう、千葉景子法相(当時)から諮問され、専門部会を設けた経緯がある。

 融資の保証はすでに04年の民法改正で、保証人が極度や期限の定めなく責任を負う「包括根保証」は廃止され、特定の貸出について保証を求める「特定債務保証」、期限や債務金額に限度を設けた「限定根保証」が一般的となっている。また、第三者による個人連帯保証も、金融庁は11年11月に金融機関の監督指針・金融検査マニュアルを改訂し、原則非徴収とした。残るは経営者本人の個人保証の見直しのみとなっていた。

 しかし、この動きに対して金融機関は「本末転倒」と強く反発。「経営者本人の個人保証は、企業の経営者のモラルハザードを回避するための措置として有効であるだけでなく、仮に経営者の個人保証を廃止すれば、中小企業向け融資は縮小しかねない」(中小金融機関幹部)と危機感を強めた。「個人保証を付けることで融資金利や期間、融資金額が優遇できるので、なくなれば厳しく査定することになる」(同)というわけだ。

 一方、日弁連は、個人保証した経営者が自殺するケースも少なくないことから、民法の規定に個人保証の禁止を盛り込むべきとの意見書を提出するなど、全面廃止も視野に入っていた。

       

 中小企業ではオーナー経営者が多く、企業の資産と経営者本人の資産の区別は必ずしも明確ではない。中小企業金融円滑化法でもこうした中小企業の現状を踏まえ、経営者の資産も加味して与信判断を行い、企業の債務者区分を決めるよう指導されている。

 「中小企業では取締役会のチェックも甘く、企業の勘定と経営者の勘定の区分は曖昧なのが実情だ。社長の報酬や接待費なども融通むげなところがある」(メガバンク幹部)と指摘される。

 中小企業のモラルハザードを防止、牽制するために個人保証という形で経営者の財産を押さえておく必要があるということであろう。

 ■森岡英樹(もりおか・ひでき) 1957年、福岡県出身。早大卒。経済紙記者、埼玉県芸術文化振興財団常務理事などを経て2004年4月、金融ジャーナリストとして独立。



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