詩・ホイヤーソレソレ

2016-09-16 03:50:29 | 
    ホイヤーソレソレ

プロヴァンスの軽い赤ワインを飲んだのは
ディナーの時だったから
もうとっくに酔いは醒めていた
終電車が出てしまってから
ビルの中の密閉した部屋で
ジョージア・オン・マイ・マインドに声を嗄らした
ぼくにはジョージアがない
壁から襲ってくる寒気
こんな時なのかもしれない
あなたにいて欲しいのは
ぼくはまだ眠らない
ひたすら歩く
ホイヤーソレ
港町までひたすら歩く

ぼくに向って吹く真夜中の砂嵐
その先にぼくは何を見ようとあがいているのか
振り払ってもふりはらってもつきまとうものを
絞め殺す力が足りない
寝静まった家々の戸口でぼくはつぶやく
いつか決着をつけよう
そして歩く
地球のデコボコを
踏んで踏んで踏んで踏んで
ホイヤーソレソレ
午前三時
ミッドナイトはこれからさ
ぼくのジョージアはどこだ

冷たいワゴン車の床
こんなところでも
海老になってあなたを抱いて寝たいが
待っている女よ
ぼくたちの距離はちぢまらない
あなたは何億光年も先にいるお方だ
無理な話さ
光にでもならないかぎり
それでも叶わぬことかもしれない

鬼さんこちら 手の鳴る方へ
耳をすましてぼくは眠らない
執行人よりも素早く
死を完結するふりをして
だらしなく横になっている
朝が来てしまう
ホイヤーソレ
あなたの合いの手が聞こえない
ホイヤーソレソレ
あなたに会うための時間が
どんどん足りなくなる

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