何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

たとえ明日地球が滅びようとも②

2018-04-02 20:00:00 | 
「明日地球が滅びようとも① オマケ「速報 地球外生命体と交信」より

ホーキング博士を偲ぶ記事は、ホーキング博士が語っていた恐ろしい未来を紹介している。

<ホーキング博士が「人類の未来」について語っていたこと 「地球に留まることは絶滅の要因」>
産経新聞 2018.3.15 11:45配信より一部引用
宇宙物理学者のスティーヴン・ホーキング博士が亡くなった。家族の代理人が2018年3月14日に明らかにした。「車いすの天才科学者」として知られるホーキング博士は、全身の筋肉が徐々に動かなくなる筋委縮性側索硬化症(ALS)と闘いながら独創的な宇宙論を発表し続けてきた。ホーキング博士の死去を受け、2017年6月20日付の『WIRED』UK版で掲載した「人類の未来」に関するスピーチの内容を紹介する。
物理学者のスティーヴン・ホーキングは、近い将来に人類が恒星間に生きる種となるか、さもなければ「絶滅する」おそれがあるとの自身の見解を再び主張した。
ノルウェーのトロンハイムで開かれたスタームス科学会議で、ホーキングはヴィデオを通じて次のように語った。「地球はさまざまな分野からの脅威を受けており、わたしにとって楽観的になるのは難しいのです」
ホーキングは以前から、気候変動や伝染病、人口増加のすべてが地球上でのわれわれの生存に大きな脅威をもたらすと予測してきた。16年11月、彼は人類が今後1,000年以内に新たな惑星を見つける必要があると述べた。そして17年5月には、彼はその予測を1000年にまで短縮した。
「ほかの太陽系を探索すべきときが来ています。外へと広がることこそが、われわれを、われわれ自身から救う唯一の手段です。わたしは人類が地球を離れる必要があると確信します」とホーキングは語った。「地球に留まることは、絶滅の要因となるのです」
彼は1960年代の宇宙旅行への「興奮を再燃させる」ための国際的な努力を呼びかけ、次なる飛躍をもたらすために必要な技術は「ほとんどわれわれの手の届く範囲にある」と主張した。彼は今後30年以内に月面基地の建設がなされると予測し、今後50年以内に人類は火星に到達する可能性が高いと述べた。
さらに、2020年までの月面基地と、25年までの有人火星着陸という野心的な目標を掲げることは、数十年にわたって見られなかった「宇宙計画に再び火を点け、存在意義を与えるだろう」と彼は語った。「宇宙へと広がっていくことは、人類の未来を完全に変えるでしょう。このことは、われわれが未来そのものをもつか否かをも決定するかもしれません」


この記事で二冊の本を思いだし、少し読み返していた。
「ラプラスの魔女」(東野圭吾)
「Cosmos」(カール・セーガン)

ホーキング博士のスピーチは、’’地球の未来に明るいものを見ていない'’ という点で「ラプラスの魔女」「Cosmos」と一致し、その解決策として ''視野と行動範囲を宇宙に広げる'' という点で「Cosmos」と一致する。

まず「ラプラスの魔女」だが、これは脳の外科手術により特異な能力を得た二人の若者の物語だ。
タイトル「ラプラスの魔女」は、数学者にして物理学者にして天文学者でもあるフランス人ピエール・シモン・ラプラスが立てた仮説から、その名を取っている。(『 』「ラプラスの魔女」より)
『もし、この世に存在するすべての原子の現在位置と運動量を把握する知性が存在するならば、その存在は、物理学を用いることでこれたの原子の時間的変化を計算できるだろうから、未来の状態がどうなるかを完全予知できる―』
『ラプラスは、このような仮説を立てました。その存在のことは後年、ラプラスの魔女と呼ばれるようになります。』

本書に登場する二人の若者は、脳の開頭手術で、物理学の応用による予測能力を体得したのだが、そのような特殊能力をもった若者は、「この世界の未来は、一体どうなっていくのか」という問いに対し、深い溜め息とともに答える。
『それはね、知らないほうがきっと幸せだよ』

その知らない方が幸せな未来を、ホーキング博士と「cosmos」カール・セーガンは「人類絶滅」という言葉で語っているが、ホーキング博士とカール・セーガンは絶望だけを語るのではなく、宇宙へ視点を転じることが人類が生き延びる道だとも語っている。

カール・セーガンは、「自己破滅を避けることができるなら、私達は遅かれ早かれ、宇宙計画を実行することだろう」と述べているが、これは「自己破滅を避けるためには、早晩、宇宙開発を実行するべきだ」と同意語だと私は思う。
それは、カール・セーガンが、地球が生き延びることは宇宙への義務だと述べているからだ。
『私達の忠誠心は、全人類と地球に対するものでなければならない。私達は、地球のために発言する。私達は生き延びなければならない。その生存の義務は、私達自身のためだけのものではない。私達は、その義務を宇宙に対しても負っている。時間的には永遠、空間的には無限の、その宇宙から私達は生まれてきたのだから・・・・・。』
そして、そのために必要なのは、’’愛’’と’’科学’’なのだと述べている。

科学に二面性があるのは、「ラプラスの魔女」の特殊能力を持った二人のうちの一人が、それを復讐に使い、もう一人は人助けに使おうとしたことを例に出すまでもなく、至る所で見られることだ。
だが、科学を適切に用い平和をもたらすのは肉体的な愛だという、「cosmos」の説は珍しいのではないだろうか。

しかし、物理学を応用する特殊能力を復讐にしか用いることができなかった理由が、まさに愛情の欠如だったことを思うと、世界を救う科学の根幹は’’愛’’ということになる。

今更 物理や科学を云々する能力は如何ともし難いが、物理や科学を正しく云々できる人を愛をもって応援することなら、できそうな気がしている。
Even if I knew that tomorrow the world would go to pieces,
I would still plant my apple tree.


だから、愛をもってリンゴの木を育てたいと思っている。

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