何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

遠き日の約束、祈り③

2020-10-31 23:58:03 | 
ワンコお告げ本のおかげで思い出した本を二冊も再読でき有難かったのだけど、
そのご報告が遅れてゴメンよ ワンコ
 
サラブレッドを主題にすれば、
JRAの云うところの優勝劣敗の原則(男の遺伝子のみが重要)は仕方がないのかもしれないけれど、
今は特に、それを思い出させるあらゆる事を拒否しているので、
本書の感想文に手をつけるのが億劫だったというのもあるし、
仕事上トラブル続きで参っているというのもあるんだよ
 
でも新しい月を気持ちよく迎えるためにも、
ワンコお告げの本のおかげで再読した本について記しておくね
 
「ザ・ロイヤルファミリー」(早見和真)
話そのものは、ストーリー展開も良く面白かったんだよ
ただ、
その中で繰り返される言葉が、タイミング的に私の鼻について仕方なかったので、
本書の独特の筆致から思い出し再読した本について記しておくよ
しかも、それこそ人生も後半戦に入った今、心に留めておくべきことかもしれないからね
 
「日の名残り」(カズオ・イシグロ 訳・土屋政雄)
 
どうして、お馬さんの話から、イギリスの執事の話を思い出すのかって?
 
「ザ・ロイヤルファミリー」は、
成り上がり者が栄光と名誉を得るため馬主(道)に血道をあげる話なんだけど、
(注、馬に血道をあげるこの人物を成り上がり者と表現したいわけではないが、書評にそう記されているため、便宜的にそう表現している)
その成り上がり者をひょんなことから支える役割を負った青年の語りで、物語は進むんだよ
その青年の語り方が、「日の名残り」の名執事を思い出させるんだよ
今どきの30そこそこの若者が、ポジションとして執事のような仕事についたからといって、
突然、20世紀前半のイギリスの名執事のような物腰と口調が身に付くはずもないので、
本書の語りによる進行は、それだけで多分に違和感があるのだけれど、
そこは恐らく作者・早見氏も分かっているようで、
あえて、成り上がり者に「(語り部の主人公について)どっかの国の執事のようだ」と言わせているんだよ
 
ちょっと一文を引用するね
『部屋の空気がひっと軽くなるのがわかりました。おもむろに際出された社長の右手を、私は両手で握り返します。そこに血が通っていることに、それも驚くほど湿度の高い血が流れ流れていることに、どうしようもなく安堵しました。
鼻先がつんと熱くなりました。白髪の男性が「社長、例のものはいいんですか?」と口を挟んでくれなければ、涙をこぼしていたかもしれません。』
 
まぁ万事この調子だよ
これで、「日の名残り」を思い出すな、という方が無理だろう?
 
でも、そのおかげで「日の名残り」を再読することができ、
そこに、今心に留めるにふさわしい言葉を見つけることができたから、
やっぱりワンコが本書をお告げしてくれたのは、正しかったんだよ
チェロちゃんのおとさんにもお知らせしたいからね
 
その言葉については、又つづくとするね
 
 
 
 
 
 
 
本当はさ、
もっと早くに感想を記したかったのだけど、
例の後輩部下とやっちまって、
どうしようもなく腹立たしい日々を送っていたから、
遅くなってしまったさ
「今どきの若者」なんてセリフを口にするようにはなりたくなかったけれど、
あの意味不明な自信はどこから湧いてくるのだろう?
開いた口が塞がらなくって、
一緒の空気を吸っているのもバカらしくなってしまって、
金曜は、「疲れたわ さようなら」と言ってその場を離れるのが精一杯だったよ
来週は右腕くんが来てくれるので、相談もでき有難いけれど、
それが又きっと、彼を刺激してしまうんだろうな
いやそうでもないか
前回あまりに優秀な右腕を目の当たりにしたので、
落ち込み自分を卑下してしまっては可哀そうだと気遣い、(無理やり)褒めたら、
私の誉め言葉を、勝手に100万倍の称賛に置き換え悦に入ってるもんね
もはや私にとっては新人類どころか異星人だよ
しんどいよ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

番外編 新しき約束 祈り 

2020-10-25 23:30:04 | 
前回「遠き日の約束、祈り①」で、「人生も後半戦、重賞レースに参加できる機会は少ないだろうけれど、ここぞという時には、三拍子そろうように、日々研鑽は積まないといけないね そんな三拍子については、又つづくとするね」と書いて以来、又また日が過ぎてしまったけれど、思いがけず嬉しいニュースを拝見したので、ようやく重い腰をあげブログに向かっている。

ここぞという時にそろって欲しいのは、「調子が良い」「運が良い」「強い」の三拍子。

競馬好きには知られた文句なのかもしれないが、「優駿」(宮本輝)のなかには、印象的な言葉がある。

『皐月賞は調子の良い馬が勝つ
 ダービーは運の良い馬が勝つ
 菊花賞は強い馬が勝つ』

この言葉で思い出すのは、お馬さんではなく、平成の皇太子殿下だ。

2014年6月1日、皇太子様は日本ダービーを観戦されたのだが、このご観戦で話題をさらったのは、誕生日についてだ。
なんと、この時、優勝した馬が2011年2月23日生まれで、馬上の横山騎手が1968年2月23日生まれで、馬のオーナーの前田幸治氏が1949年2月23日生まれ。
そして、この日観戦された皇太子様が1960年2月23日御誕生。
 
2月23日は日本一高い富士山の日でもある。

ダービーは、もちろん運だけでは勝てないだろうが、この日の馬には間違いなく’’運’’があった。
そして、この馬の名が、ワンアンドオンリー唯一無二

競馬をしない私は、競馬が話題となると真っ先に、この言葉と2月23日 日本一の日の勝利に思いを馳せるのだが、この事に併せてワンコお告げの本のタイトルを記すのは、ちくとふざけているようで、躊躇われた。

「ザ・ロイヤルファミリー」(早見和真)

父から息子への血の継承のみが血統の由緒正しさの証と くどいほど書かれているので時節柄 辟易としてしまうのだが、本書は(成り上がり者が最後に求める栄光、に絡めた)お馬さんのお話であって、あちらのお話しではない。
 
ただ、敬宮さまの爽やかなニュースを拝見すると、血の継承における真に大切なものについて改めて考えさせられる。

<愛子さま、学習院大に初通学 4月に入学、オンライン授業続> 10/24(土) 16:34時事通信配信より一部引用
 天皇、皇后両陛下の長女愛子さま(18)は24日午後、新入生向けのガイダンスを受けるため、入学後初めて学習院大(東京都豊島区)に通学された。 
 4月に文学部日本語日本文学科に進学したが、新型コロナウイルスの感染拡大で入学式は中止となり、オンライン授業が続いている。  愛子さまは午後2時前、マスクを着用しキャンパスに姿を見せた。「半年遅れではありますが、キャンパスを実際に訪れ、先生方や学生の皆さんにお会いできることをうれしく思います」と笑顔で話し、「新型コロナウイルスの感染拡大が終息し、皆さまが普段通りの生活や活動ができるようになることを心より願っております」と述べた。  宮内庁によると、この日は教員紹介や施設の利用案内、2年生で選択する専門分野の説明などがあった。愛子さまは「日本文学講義」や「日本語学講義」などの専門科目や外国語などをオンラインで連日受講しているという。


コロナ禍

思えば皇室から、メッセージが届く機会は限られたものだった。
限られているからこそ、数少ないメッセージは大きなインパクトを持っても良かったはずだが、少なくとも私の心を打つものは・・・・

だが、敬宮さまのお言葉は、なぜか真っすぐ心に響いてきた。
それは、様々な活動が再開されて尚オンライン授業という形態が続く大学の、まさに一番の被害者だと云われる一回生である敬宮様のお言葉であるからかもしれないが、「学ぶ」ということの本質をサラリと語られているからでもある、と思う。

大学生になられてから初めてのキャンパスはいかがですか?という記者の問いかけに、

敬宮さまのお言葉全文
『半年遅れではありますが、キャンパスを実際に訪れ、先生方や学生の皆さんにお会いできることをうれしく思います。
 大学では新しい知識を得た時に感じられる喜びを大切にしながら、様々なことに取り組んでいければと思っております。
 また、新型コロナウイルスの感染拡大が収束し、皆様が普段通りの生活や活動ができるようになることを心より願っております』

対面授業が行われないことばかりが問題視されることに対し、大学生にもなって教えてもらわなければ何も学べないのか、という疑問を感じていた私は、「新しい知識を得た時に感じられる喜び」という言葉にハッとしたのだ。
敬宮さまは、キャンパスで直接先生方や学生さんたちと会う喜びと、学ぶ喜びを、きちんと分けておられるように、私には感じられ、そこに学びの本質を教えられたと云うと、我田引水が過ぎるだろうか。

もう一点は、やはり、多くの人の健康と経済と(まだ)自学できない児童生徒の学習を守るため、大きな負担を負っている大学生の言葉だからこそ、「皆様が普段通りの生活や活動ができるようになること」を願うお気持ちに真実が滲み出ているように感じられるのかもしれない。

何より凝縮されたお言葉だからこそ、真っすぐ響いてくるのだと思う。

爽やかな感動に包まれていると、「ザ・ロイヤルファミリー」で繰り返される、父から息子にしか血の継承はなされない、という言葉が寧ろ滑稽に思えてきたが、来月8日には、まさにそれゆえの儀式が、このコロナ禍 多くの国民が年を越せるかと憂いている最中に行われる・・・・・。
 
 
 
 
 
 
兄の一世一代の儀式には、身の丈にあったもので、と注文をつけながら、ご自分は住まいの改築増築に33億(その間の仮住まい新築に更に10億)をかけさせ、そうして男だという理由だけで嗣ぐ儀式を、多くの企業や国民が年を越せるかと心配しているコロナ禍の最中に、強行する。
 
いやはや「座ロイヤルファミリー」だ、と今はもう諦めている。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

遠き日の約束、祈り ①

2020-10-20 09:51:25 | 
ワンコが天上界の住犬となって4年と9カ月
最近では忙しさのあまり、自分のブログにタッチすることすら出来ないでいるけれど、
ワンコお告げの本だけは、しっかと受け留め読んでいるんだよ

今月のお告げ本は、「優駿」(宮本輝)が好きだった本仲間を経由して届けられたから、
「優駿」も再読しつつ、読んだんだよ

ともに、サラブレッドの産出と競馬を主題とする話で、
「優駿」では、「祈り」が牧場関係者の「良い馬が生まれてきますように」というものであるのに対し、
お告げ本では今まさに出走しよかというサラブレッドたちに対しての、様々な人々の様々な「祈り」を描いているんだよ

しっかし、ほんとワンコは私の気持ちなんて お見通しだよね
お告げ本で繰り返される「良い血は父から息子へ継承される」「息子は父を越えていかねばならない、そうすることだけが時代を進化させる」というセリフが、かなり鼻につき、
これがお告げ内容かと、来月8日を前に、少々腹立たしくもあったんだよ

だから今月は、ワンコお告げ本の内容よりも、
それを契機に読み返した二冊についてのみ記そうかと思っていたのだけど、
そんな時に飛び込んできたニュースが、モヤモヤを吹っ飛ばしてくれたよ
ワンコの仕業だな
そう書くと、長年努力されてきた方々には申し訳ないけれど、
私的には、これはワンコの仕業なんだな

<小さな牧場生まれの馬、0歳時は買い手なくても…史上初の「無敗牝馬三冠」達成>
10/19(月) 7:32読売新聞オンライン配信より引用
北海道の小さな牧場から始まったシンデレラ物語が、歓喜の瞬間を迎えた。18日に京都市伏見区の京都競馬場で開催された秋華賞(GI)で勝利を飾り、デビュー以来5戦全勝で史上初の無敗牝馬(ひんば)三冠に輝いたデアリングタクト(3歳)。0歳時の競りでは買い手もつかなかった牝馬が打ち立てた金字塔に、生産地の牧場でも喜びがはじけた。 
■家族経営の牧場「孝行娘」  この日、北海道日高町の長谷川牧場では、牧場主の長谷川文雄さん(69)がテレビ中継でレースを観戦。三冠が決まると長谷川さんは「こんな小さい牧場から生まれた馬が、よく三冠を取ってくれた」と涙をにじませた。  1948年開場の長谷川牧場がサラブレッドの生産を始めたのは約30年前。2代目の長谷川さんと妻の律子さん(69)、母親とパート従業員の4人で営んできた牧場で、毎朝4時に馬に「おはよう」と声をかけ、強い競走馬を作るために、餌になる牧草が育つ土壌や、餌そのものの改良に取り組んだ。しかし、昼夜分かたず働いても家族経営では限界がある。中央競馬のGIレースで勝てる馬を作ることは「夢のまた夢」だった。  2017年の生産頭数はわずか5頭。その中の小さな牝馬がデアリングタクトだった。「普段は(足元が)フラフラしているけど、こちらが危ないと思うほど跳びはねていた。賢くて、でもそんなに走るとは思いもしなかった」と長谷川さん。
■0歳時の競り 買い手つかず  競走馬は血統や父母の実績などが重視される。デアリングタクトの父はGIで2勝しているが、母はレースで1勝もしていない。そのため長谷川さんらが0歳で売りに出した時は落札されなかった。「悔しさもあったけど、仕方ない思いも強かった」。育成施設で馬の体を鍛え、翌年、1200万円で買われた。同じ競りで落札された1歳馬の平均額は約4600万円。1億円超の買い取り額も珍しくない世界では目立たない存在だった。  牧場を離れてからも、長谷川さんらは勝利を重ねる姿を見守ってきた。「いつも最後の直線で羽が生えて飛んでいるかのように追い込んでくる。孝行娘です」  海外から血統に優れた繁殖牝馬を集める大手グループの生産馬が多くのビッグタイトルを手にする時代。デアリングタクトは押され気味の中小の牧場が多い馬産地・日高にとっても希望の星だ。長谷川さんは「日高も盛り上がるし、これからも大舞台で羽ばたいてほしい」と期待を膨らませた。

読売新聞さん、全文引用をどうか許しておくんなせい

お告げ本で繰り返される「良い血は父から息子へ」「息子が父を超えることのみが時代を繋ぎ進化させる」という言葉が、いいかげん鼻についていたので、
この、売れ残った牝馬が大活躍するニュースには、胸のすく思いがしたんだよ

お告げ本、話の展開は小気味良く面白かったのだけど、
今回は、ワンコがお告げ本を通じて再読させてくれた「優駿」から印象に残った件を記しておくね

『坊や、人間、何か事をやろうと決めたときにゃあ、必ずその行き脚をさえぎるような禍が起こってくるもんだ。俺は学もねェただのつまらねェ博労だが、長生きしているうちに、それが判ってきた。不思議なことだが、その禍ってのは、自分の一番弱いところをついてくるぜ。それでみんな前へ進めなくなっちまう。ところがこれも不思議なことに、ちくしょう、こんな禍なんかふっとばしてやらあ、俺は行くんだって腹くくったら、禍はいつのまにか消えちまう』(「優駿」より)

長く生きてるとさ、
何か事をやろうとするたび、その行き脚を遮るような禍が起こってくることも、
それが、狙いすましたように自分の一番弱いところをついてくることも、
十分すぎるほど分かっているよ
それだけでなく、ちくしょう、こんな禍なんて吹っ飛ばしてやらあ、と気勢をあげても禍が消えないことも身に染みて分かっているんだよ
それとも、私は行くんだっていう腹の括り方が、いつもいつも私には足りなかったのかな

人生も後半戦、
重賞レースに参加できる機会は少ないだろうけれど、
ここぞという時には、三拍子そろうように、日々研鑽は積まないといけないね
 
そんな三拍子については、又つづくとするね
 
追記
「優駿」には、良い馬が生まれるようにという牧場の純粋な青年の祈りと対照的に、
欲望にまみれた競馬関係者の身勝手な願い(あえて祈りとは書かない)が描かれていて、
「祈り」と「願い」の違いについて考えさせられる言葉があるんだよ
『期待が過剰すぎると、落胆は憎しみに変わる』(「優駿」より)
これは、期待外れだったことに落胆している今の私に対する、
ワンコからの大いなる警告だね
肝に銘じておくね ワンコ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

見えざる手? part3

2020-10-01 22:30:32 | ニュース
ワンコお告げの本の第二弾をなかなか書けないでゴメンよ ワンコ
こんなニュースがあったから、これもワンコの警告のような気がして今日こそは!と記録しているよ

<東証:全銘柄の売買を停止、相場情報の配信に障害> Bloomberg 10/1(木) 8:49配信より一部引用 
東京証券取引所は1日の株式全銘柄の売買を停止すると発表した。
広報担当者は、相場情報の配信に障害が発生していると説明。注文受付についても不可になるとして、復旧については現時点で未定だと述べた。

出口戦略の見えない異次元の国債発行の危険性については、ここでも何度か書いてきたけれど、
昨年冬から今年の2月にかけて、新型インフルパンデミックやワクチン支給の優先順位や医療崩壊についての本ばかりお告げしてきたワンコが、このタイミングでお告げしてくれたのが、金融危機関連の本であることが、
怖いよ ワンコ
 
「大暴落 ガラ」(幸田真音)
 
ワンコお告げの本の第一弾が「国債暴落」(桐谷新也)なので、だいたいの予想はつくのだけれど、
読み始めて驚くのは、クラッシュの引き金になるのが、東京を襲う大洪水だというから、恐ろしいよ
それは、近年降れば50年に一度の大雨で「命を守る行動を!」と言われる日本にとって、絵空事ではないからね
 
本書はね、大暴落ガラになりそうなところを、
日本初の女性首相(しかも経済のプロフェッショナル)が、
個人的知己を頼りに危機一髪のところで日本を救う話なのだけど、
現実には、そんな顔は思い浮かばないね
いや、日本初の女性首相の足を引っ張ろうとするオッサン(もとい、Y染色体の持ち主ゆえに周囲が勝手に忖度したくなるような殿方)の顔なら、次々あれこれ思い浮かぶんだけどね
 
それはともかく、
本書のなかで、金融が果たす役割が書かれているんだよ
 
『かつて国を中心とする債券市場というのは、政府や金融当局が誤った政策を進めようとするとき、「暴落」という形をとって強く警鐘を鳴らす存在だった。だから政府や当局側も市場側も、互いの力量を怖れもし、またそれゆえリスペクトもし合いながら、真正面から対峙してきたものだった。』
(『 』「大暴落 ガラ」より)
 
もともと護送船団方式だったことを考えると、
本書の’’市場が警鐘を鳴らす’’とか’’真正面から対峙してきた’’とかも微妙な気がしないでもないけれど、
政府日銀一体となって、大量の国債を無限ループのようにグルグルさせ、
国の借金が1千兆をこえても、市場が何の反応も示さないというのは、
さすがに、異常だね
 
それに「強く警鐘を鳴らす」のが、
桐谷氏や幸田氏のような元金融機関勤務の作家の本だけというのは、哀しいね
 
ただ本書はね、強い言葉で危機感を煽るのではなく、
静かに考えさせられる一言が、あるんだよ
 
『はたして、今のこの国に、どこまで希望が残っているかだ』
 
未曽有の水害に東京が襲われているのに、国債市場がピクリとも動かない状況について発せられる言葉なんだよ
 
繰り返し襲ってくる大規模な自然災害や、一千兆をゆうに超えるまで積み上がってしまった巨額の公的債務、
にもかかわらず、適切に動けない政治と、国民
 
幸田氏は、本書で国民の責任には言及していないけれど、
そのような政治を許し続けている国民に、一番問題があるのは確かなんだよ
 
悪いニュースどころか、良いニュースにも動かなくなってしまった国債市場は、
もしかすると、「動かない」ことこそが、我々国民にとっての警鐘なのかもしれないね
 
少し前に、若者に「希望という言葉で何を連想するか?」という調査をすると、
「戦争」という答えが一番多かったことが話題となったけれど、
 
ピクリとも動かない国債市場は、「希望は戦争」と云うほどの絶望を示しているのかもしれないね
いや、「戦争」と答えていた頃はまだ何某かの変化を待っていたかもしれないね、
今なら差し詰め、「べつにー」とか聞こえてきそうだね
 
本書はね、金融のプロフェッショナルでもある女性首相の個人的才覚で、危機一髪数われるのだけど、
現実社会では、そうそう上手く事は運ばないし、
本書の救われ方も、実はかなり問題を孕んでいるから、
(AIIBあたりに救われるくらいなら一旦破綻した方がましだと叫ぶ輩が目に浮かぶけど、現状では破綻すらできなんだな)
だから、作者は救われた体をとりながら、それでいいのかと問題提起をしているんだと思うんだよ
 
そんなことを今朝一番の「東証全面停止」のニュースは思い出させたよ
 
シュウメイギク 花言葉 忍耐
 
 
 
昨夕久しぶりに、会社法について一席ぶったけれど、
人が資源の国だから、人を応援しなければいけないね
 
そう思わせてくれた本をお告げしてくれてありがとう ワンコ
 
でも、ガラはごめんだよ

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする