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He who laughs last laughs best

乙女は頂上(てっぺん)に立つ

2016-07-12 20:55:55 | ニュース
世界七大陸の最高峰制覇者をセブンサミッターというが、今日その最年少記録更新という嬉しいニュースが飛び込んできた。

<南谷さん7大陸最高峰制覇 19歳女性、日本人最年少>  2016/7/12 00:34共同通信より一部引用 
早稲田大2年で19歳の南谷真鈴さんが、日本人最年少で世界7大陸の最高峰制覇に成功したことが11日、分かった。最後の一つとなっていた北米大陸のデナリ(旧称マッキンリー)山(6190メートル)の登頂に成功したと、同日までに支援する博報堂DYスポーツマーケティングに連絡が入った。
同社によると、7大陸の最高峰を極める「セブンサミッター」の従来の記録は2004年の故渡辺大剛さんの22歳だった。南谷さんの公式サイトを手がけるゼロスタート社によると、デナリには今月4日に登頂した。
http://this.kiji.is/125214981343297539
(マッキンリー改め「デナリ」となった件につき参照 「偉大なる山」 「偉大なる人の山」

「一歩一歩」を掛け声にしながら、「3歩登って5歩下がる」を地で行くような歩みの私なので、この快挙を心から讃えたい。

19歳の彼女が何時から山に目覚めたのかは分からないが、「山ガール」という言葉が巷で聞かれるようになりつつあった数年前は、まだそこは中高・高・高年登山の世界だった。

数年前のある夏、奥穂からの下山中、旅行会社が企画したらしき20~30人ほどの団体登山の集団とすれ違った。
登り優先だの下り優先だのと文句を言うつもりはないが、中高年の団体登山の人達は、総じて多勢に無勢で「自分達優先」を決め込んでいるように見受けられる。この時も多勢に無勢的ご一行だったので、てっきり中高年onlyの登山団体だと思っていたら、中高年のなかに20才前後と思しきイケメンな男子たちが数人いて、しかも彼らは(団体の通過を)待ちくたびれている登山者に道を譲るため山側にへばりついていたのだ。「こんにちは。ありがとうございます」と声をかけながら彼らの装備を見ると、山初心者であることが明白なことから、なぜ彼らは中高年登山団体に交じりながら穂高を目指しているのだろうか、と訝しく思ったその時、彼らのボヤキ声が耳に届いた。
「山ガールなんて、いないな。アウトドア派のイケテル女子に会えると思ってキメて来たのに」

あれから数年で、山はいっきに若返り、山ガールだけでなく山ボーイも山を闊歩する時代となった。
そして、総じて若者はマナーが良い。
そんな若者の象徴のようなニュースに心を沸き立たせながら、かつての「山ガール」の本を手に取った。

「山を楽しむ」(田部井淳子)
本書は、女性として世界で初めて世界最高峰エベレストおよび七大陸最高峰への登頂に成功したことで知られる田部井氏が2002年・国際山岳年を記念して書かれたもだが、そこには今につながる指針が記されている。

国際山岳年のスローガンは’’we are all mountain people’’であり、活動指針は「脆弱な生態系の管理、持続可能は山岳開発」だったそうだが、国土の7割が森林である日本にもかかわらず、その指針は活かされていない。
間伐・伐採など森林の手入れがなされないために荒廃がすすみ、本来ならば山が有していたはずの「自然のダム」としての機能が失われてしまったことが、昨今の土石流災害に繋がっている事や、森林の荒廃や異常気象のために山で食糧が賄えない熊などが、里に出没して甚大な被害を及ぼしている事を考えると、国際山岳年から遅れること14年目の今年ようやっと制定される「山の日」が果たしていかねばならない役割は、ただ観光業の旗振り役だけではないはずだと改めて気付かされる。

また、国内の記録を「女性」が塗り替えたという点から本書をみれば、「森の女性会議」という章で紹介されている女性の生き方は、昨年成立した女性活躍推進法の先駆けともいえ、励まされるものがある。
ある女性。
家庭の事情で大学進学を断念し、二年間のスチューワーデス勤務のあと専業主婦となったが、母の糖尿病と癌にはじまり、夫の癌さらに父の入院と、「私の半生は看病ずくめだった」という人生にあって、通信教育で大学を卒業し、46歳で司法試験に合格する。何回も何回も不合格を繰り返し、母の死に続き父が亡くなった時には、火葬場でさえ基本書を読んでいたという。
46歳で司法試験に合格し、検事となったその女性は「本当に継続は力よ」と「森の女性会議」で語ったという。

人生は山に例えられることがあるし、山を歩くことが人生に重ねられることもある。
一歩を踏み出さなければ、一歩一歩を重ねていかなければ、山も人生も前へ進まない。

弱冠19歳で偉業を達成した南谷氏の功績を讃えながら、人生という山でも先駆者となって欲しいと願っている。

南谷氏に先んじること14年、2002年に史上最年少でセブンサミッターとなったのは、現役東大生(23歳)だった。
史上最年少のセブンサミッターとなった山田淳氏は経済学部卒業後、外資系企業に就職し、現在は自身が立ち上げたベンチャー企業(山道具のレンタルなど)を運営されているが、著名な若者が手掛けた「山道具のレンタル」が山への間口を広げた、という面があると思う、多分。

南谷氏は19歳、これから大いに学び大いに登り、かつての「山ガール」が切り開いた道を、更に高みへと続かせて欲しいと願っている。

乙女は、人生でも山でも、てっぺんに立つのだ!



乙女猫の小豆ちゃん

今日も、かりかりさんを食べましたか?

アナログ人間なためブログの流儀を知らず、御挨拶もせぬまま読者登録させていただき、毎日ご機嫌麗しい小豆ちゃんに、ほっこりさせていただいていました。
今や、小豆ちゃんのおっさん顔と、ママしゃんとお姉ちゃんのツブヤキにメロメロで、小豆ちゃんがカリカリさんお代わりをねだる熱視線と同じくらいの熱い視線で、小豆ちゃんを見つめています。
「ママしゃん、変な人がじっと見つめてる」と心配しないで下さいね、熱い視線を感じたら、それは3106moriranです。

ママしゃんの背中をかけあがり、今では小豆ちゃん家の頂上(てっぺん)に君臨している小豆ちゃんが元気に楽しく過ごしていかれることを心から祈っています。

これからも、どうぞ宜しくお願いいたします。


反省の追記
中高・高年登山者団体のマナーをあれこれ書いたが、今となっては自分もりっぱな中年登山者。だかたこそ自戒の気持ちをこめて厳しい意見を書いてみた。
田部井氏が本書で記している「野外には野外のマナーがあることを子供に教えるためには、まず大人や親がそれを知らなければならない」の言葉を胸に、今年も山を歩こうと思っている。