「神聖な御力とともに」のつづき
「神聖な御力とともに」で、<犬の「殺処分ゼロ」にふるさと納税殺到4億円、対象犬全引き取り実現へ 広島のNPO>のニュースについて書いたが、そのニュースにあるNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ・大西健丞代表理事)の取材協力を得て書かれた本を読んだ。
「命を救われた捨て犬 夢之丞~災害救助 泥まみれの一歩」(著・今西乃子 写真・浜田一男)
ネパール大地震の災害救助に駆けつけたことで広くその名を知られるようになった「夢之丞」は、多くの人に夢と力を与えているが、それは海外で日本の犬が活躍したという誇らしさだけが理由ではない。
捨て犬として動物収容所でまさに明日をも知れぬ命だったところを救われ、災害救助犬として世界で活躍するまでになった、そこにこそ多くの人が感動するのだと思う。
大西健丞夫妻が災害救助犬育成のための犬を探すために動物愛護センターを訪問した、2010年11月24日。
その日の殺処分が多すぎたため処分機に入りきらずに一匹取り残されブルブル震えていたのが、後に夢之丞と名付けられる、子犬だった。
日本各地にある動物愛護センターは、大西夫妻が訪問したものと同様のシステムだと思うので、一般にはあまり知られていないセンターの様子を書いてみる。(『 』は「命を救われた捨て犬 夢之丞~災害救助 泥まみれの一歩」より引用)
『動物愛護センターは、行政施設で主に二つの業務を行っている。
一つは、動物と人間とが幸せに共生できるようアドバイスや相談を受けたり、行き先のない犬や猫の飼い主探しやしつけ教室を開催したりすることで、これを主に愛護業務という。
もう一つは、野犬の捕獲や飼い主から不要とされた飼い犬・猫の引き取りや殺処分で、これを管理業務と呼んでいる』
つまり、譲渡用犬舎の犬たちと、一定期間が過ぎたら二酸化炭素ガスで殺処分される収容室の犬では、同じ捨て犬でも天国と地獄ほど違う運命となるのだ。
畳二畳ほどのステンレスの箱 『殺処分は、この箱の中に犬たちを追い込み、扉を閉めて、二酸化炭素ガスを流して行われる。その間、数分から十数分と言われるが、犬たちはもがき苦しみ最後は窒息して息絶える』
その一歩手前で、大西夫妻の目にとまった夢之丞は救われるのだが、捨て犬という経験のみならず殺処分を知った犬は一般論としては、災害救助犬には向かない。
厳しい訓練を要しハンドラーと一体になり活動する救助犬は、人間と強い信頼関係を築けることが重要な条件だが、夢之丞のような犬には、それが難しいのだ。
殺処分を伝える報道によると、先に殺処分された犬の断末魔の苦しみの気配を感じ取った犬たちは、次に自分の身に起ることを知り、その時を待つことになるので、激しい人間不信に陥っているという。
つまり、夢之丞ほど救助犬に向かない犬は、いないかもしれない。
だが、大西夫妻とくに健丞氏が夢之丞を選んだのには理由がある。
健丞氏は国内外で災害紛争の緊急人道支援や復興開発支援を続けるNPOの代表を務めているが、彼が数多くの紛争・災害地で活動するなかで行きついた結論が 『命があればそれでいい』という思いだった。
『命があればそれでいい』
『死ぬ以上の「リスク」は、この世に存在しない。
命があれば、どんな状況であれ、人はまた希望に向かって前に進むことができる、
死んだら終わりだ。だから救える命は、何としても救いたい』
この精神が、殺処分から夢之丞を救ったのだ。
夢之丞の訓練と広島・ネパールでの活躍については、またつづく
ところで昨日(5日)、「ペットにも忌引制度を適用する会社」という記事を読んだ、と聞いた。
早速検索してみると、朝日新聞2016年4月4日16時30分配信の「(へぇな会社)日本ヒルズ・コルゲート ペットに不幸、忌引休暇」を指しているようだ。
記事によると、身内に不幸があった時に取る忌引休暇制度がペットにも使えたらという期待に応えて、日本ヒルズ・コルゲートは2005年11月、就業規則に「扶養ペット慶弔規程」を定めたという。
アメリカではペットのための忌引制度はかなり広がっているらしく、記事の日本ヒルズ・コルゲートはアメリカに本社をおく会社である、という側面もさることながら、ヒルズ社はワンコが17年2か月食べ続けたあのサイエンス・ダイエットの会社でもあるので、この制度を取り入れているのも納得だ。
自分勝手な都合でペットを殺処分に追い込む人間がいる一方で、忌引制度が導入されるほどにペットとの別れに心を痛める人もいる。
ペット忌引きが制度として認知されればそれにこしたことはないが、ペットを家族とする者同士の優しい気遣いこそが、心を痛める者を慰めるのだとも思っている。
我家も、学校や職場を早退・遅刻して、皆で見送った。
家人に早退や遅刻を勧めてくれたのは上司・同僚だというし、私も介護や最期の別れについての上司の理解とアドバイスが支えとなったし、クラスには「魔女犬ボンボン」を貸してくれた子もいる。
ペットは、内にあっては家族の潤滑油になってくれるが、外での関係性でも潤滑油となってくれる。
これが人間のことなら聞き苦しいような自慢話でも、ペットだと皆が笑顔で聞いているし、介護や病の相談もペットのことなら突っ込んだ情報交換が行われ、それを切っ掛けに話の輪が広がっていくのだ。
ペットは、家だけでなく外でも、話題の中心ヒーローだよ
ワンコ
だが、
ワンコよ
今年は君が旅に出てしまって
一緒に桜を見ることができない
ワンコよ ワンコよ
君が地上で遊ばなくなり
星のなかで暮らし始めて まもなく
桜は満開を迎えたのだよ
ワンコよ ワンコよ
今年は君が旅に出てしまって
一緒に桜を見ることができない
寂しい
「神聖な御力とともに」で、<犬の「殺処分ゼロ」にふるさと納税殺到4億円、対象犬全引き取り実現へ 広島のNPO>のニュースについて書いたが、そのニュースにあるNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ・大西健丞代表理事)の取材協力を得て書かれた本を読んだ。
「命を救われた捨て犬 夢之丞~災害救助 泥まみれの一歩」(著・今西乃子 写真・浜田一男)
ネパール大地震の災害救助に駆けつけたことで広くその名を知られるようになった「夢之丞」は、多くの人に夢と力を与えているが、それは海外で日本の犬が活躍したという誇らしさだけが理由ではない。
捨て犬として動物収容所でまさに明日をも知れぬ命だったところを救われ、災害救助犬として世界で活躍するまでになった、そこにこそ多くの人が感動するのだと思う。
大西健丞夫妻が災害救助犬育成のための犬を探すために動物愛護センターを訪問した、2010年11月24日。
その日の殺処分が多すぎたため処分機に入りきらずに一匹取り残されブルブル震えていたのが、後に夢之丞と名付けられる、子犬だった。
日本各地にある動物愛護センターは、大西夫妻が訪問したものと同様のシステムだと思うので、一般にはあまり知られていないセンターの様子を書いてみる。(『 』は「命を救われた捨て犬 夢之丞~災害救助 泥まみれの一歩」より引用)
『動物愛護センターは、行政施設で主に二つの業務を行っている。
一つは、動物と人間とが幸せに共生できるようアドバイスや相談を受けたり、行き先のない犬や猫の飼い主探しやしつけ教室を開催したりすることで、これを主に愛護業務という。
もう一つは、野犬の捕獲や飼い主から不要とされた飼い犬・猫の引き取りや殺処分で、これを管理業務と呼んでいる』
つまり、譲渡用犬舎の犬たちと、一定期間が過ぎたら二酸化炭素ガスで殺処分される収容室の犬では、同じ捨て犬でも天国と地獄ほど違う運命となるのだ。
畳二畳ほどのステンレスの箱 『殺処分は、この箱の中に犬たちを追い込み、扉を閉めて、二酸化炭素ガスを流して行われる。その間、数分から十数分と言われるが、犬たちはもがき苦しみ最後は窒息して息絶える』
その一歩手前で、大西夫妻の目にとまった夢之丞は救われるのだが、捨て犬という経験のみならず殺処分を知った犬は一般論としては、災害救助犬には向かない。
厳しい訓練を要しハンドラーと一体になり活動する救助犬は、人間と強い信頼関係を築けることが重要な条件だが、夢之丞のような犬には、それが難しいのだ。
殺処分を伝える報道によると、先に殺処分された犬の断末魔の苦しみの気配を感じ取った犬たちは、次に自分の身に起ることを知り、その時を待つことになるので、激しい人間不信に陥っているという。
つまり、夢之丞ほど救助犬に向かない犬は、いないかもしれない。
だが、大西夫妻とくに健丞氏が夢之丞を選んだのには理由がある。
健丞氏は国内外で災害紛争の緊急人道支援や復興開発支援を続けるNPOの代表を務めているが、彼が数多くの紛争・災害地で活動するなかで行きついた結論が 『命があればそれでいい』という思いだった。
『命があればそれでいい』
『死ぬ以上の「リスク」は、この世に存在しない。
命があれば、どんな状況であれ、人はまた希望に向かって前に進むことができる、
死んだら終わりだ。だから救える命は、何としても救いたい』
この精神が、殺処分から夢之丞を救ったのだ。
夢之丞の訓練と広島・ネパールでの活躍については、またつづく
ところで昨日(5日)、「ペットにも忌引制度を適用する会社」という記事を読んだ、と聞いた。
早速検索してみると、朝日新聞2016年4月4日16時30分配信の「(へぇな会社)日本ヒルズ・コルゲート ペットに不幸、忌引休暇」を指しているようだ。
記事によると、身内に不幸があった時に取る忌引休暇制度がペットにも使えたらという期待に応えて、日本ヒルズ・コルゲートは2005年11月、就業規則に「扶養ペット慶弔規程」を定めたという。
アメリカではペットのための忌引制度はかなり広がっているらしく、記事の日本ヒルズ・コルゲートはアメリカに本社をおく会社である、という側面もさることながら、ヒルズ社はワンコが17年2か月食べ続けたあのサイエンス・ダイエットの会社でもあるので、この制度を取り入れているのも納得だ。
自分勝手な都合でペットを殺処分に追い込む人間がいる一方で、忌引制度が導入されるほどにペットとの別れに心を痛める人もいる。
ペット忌引きが制度として認知されればそれにこしたことはないが、ペットを家族とする者同士の優しい気遣いこそが、心を痛める者を慰めるのだとも思っている。
我家も、学校や職場を早退・遅刻して、皆で見送った。
家人に早退や遅刻を勧めてくれたのは上司・同僚だというし、私も介護や最期の別れについての上司の理解とアドバイスが支えとなったし、クラスには「魔女犬ボンボン」を貸してくれた子もいる。
ペットは、内にあっては家族の潤滑油になってくれるが、外での関係性でも潤滑油となってくれる。
これが人間のことなら聞き苦しいような自慢話でも、ペットだと皆が笑顔で聞いているし、介護や病の相談もペットのことなら突っ込んだ情報交換が行われ、それを切っ掛けに話の輪が広がっていくのだ。
ペットは、家だけでなく外でも、話題の中心ヒーローだよ
ワンコ
だが、
ワンコよ
今年は君が旅に出てしまって
一緒に桜を見ることができない
ワンコよ ワンコよ
君が地上で遊ばなくなり
星のなかで暮らし始めて まもなく
桜は満開を迎えたのだよ
ワンコよ ワンコよ
今年は君が旅に出てしまって
一緒に桜を見ることができない
寂しい