何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

ワンコと人の絆は永遠

2016-04-08 21:33:31 | 
忠・命(倫理)絆一合 
4月8日、今日は何の日と問われれば「お釈迦様の誕生を祝う花祭り」と答えるのが正解なのだろうが、犬好きの自分としては「忠犬ハチ公の日」もあげたい。何故に4月8日が「忠犬ハチ公の日...



グーグルさんは一年前の文を届けてくれる。
日頃は、振り返ることも少ないのだが、今回は''ワンコ繋がり''ということで、振り返ってみた。
時代を超えて ワンコは永遠に不滅です!

「夢が生き 夢で生きる」より  
 『 』 「命を救われた捨て犬 夢之丞~災害救助 泥まみれの一歩」(著・今西乃子 写真・浜田一男)より引用

動物愛護センターで殺処分になるところ、その日の処分犬が多すぎて処分機が一杯になったために、とりあえず生き残った子犬。
次の処分日には命が無くなっていたであろう子犬。
その子犬はNPOに救われ災害救助のための訓練を受けるようになるが、広島豪雨災害やネパール大地震の被災地で活躍できるようになるまでは、困難の連続であった。

捨て犬として殺処分となるのを目前としていた夢之丞は、おそらく激しい人間不信に陥っていたものと思われるが、それは災害救助犬になるには致命的な問題点だった。
夢之丞の訓練にあたった動物専門学校を出たばかりのトレーナー・浩之さんは、初めて夢之丞を任された時は『夢之丞と一緒に、自分もトレーナーとして成長していこう』と決意する。
しかし、その決意はしょっぱなから揺るいでしまう。

センターから連れてこられた夢之丞は、まるで 『僕はここにいません。お願いだから見ないで下さい。僕は「壁」になりました』 と言わんばかりに自らの気配を消しブルブル震えるばかりで、フードも食べない。
人の気配がある限りクレートの奥に体をピッタリ押し付け身を縮めること一週間、ようやっと固まるという行為が和らいでも、人間が誰も見ていないすきを見計らってしか食事はできなかった。
それから更に一週間が過ぎた頃、ようやく人間の気配があっても食事ができるようになるが、ようやく慣れた家が安心できると分かると、今度は家に執着するようになり、家から外に出ても一歩たりとも足を前に進めることは出来なかった。

『普通の子犬がゼロからのスタートなら、夢之丞はマイナス、しかも大きなマイナスからのスタートといえた』

我慢強く接し続けた結果、三か月が過ぎた頃、ようやく浩之さんと一緒に近所を歩けるようにはなったが、少しでも道路に段差があれば立ち止まり固まってしまうし、側溝の上のステンレス製の格子目の蓋も恐がり飛び越えることなど出来ない夢之丞なので、階段の上り下りでは断崖絶壁を前にしたかのように怯え固まってしまう。
『災害救助犬には、場に対する適応力とどんな状況でも屈することなく挑む勇気が必要だ。
 足場の悪い、危険ながれきの上や、流木や泥の上を歩かなくてはならないからだ。』
しかし、夢之丞にはそれが難しい。
『災害救助犬に必要と言われるその正反対の素質「災害救助犬にふさわしくない性質」を100%持っていると言っていい』

外を歩くだけで世紀の大冒険の夢之丞を、トレーナーの浩之はやがて『ダメな犬だ』と思い始めるが、ある時、健丞氏の言葉が思い浮ぶ。
『命をどこまで輝かすことができるのか、その可能性は犬ではなく、人間次第だ』

「ダメな犬」と言っている自分こそが「ダメ」なのではないかと考えを改め、更にトレーニングに励むようになり、何とか家庭犬のレベルをクリアできた頃、夢之丞にライバルが現れたのだ。
一般に災害救助犬が一人前になるには2~3年かかると言われているが、2,3歳になった夢之丞に素質がないと分かれば無理強いはできない。だが、それが判明した時点から新たな救助犬を育成するのでは、頻発する災害に間に合わないので、’’それなりの血統’’の犬を求めたのだ。
それが、警察犬訓練センターにいた、ゴールデン・レトリバーの「ハルク」だった。

おおらかで絶えず人間の動きを優しく見守る「ハルク」に対して、見知らぬ人は大の苦手で相変わらず誰かに見られることも触られることも嫌いな夢之丞
隠れている人を探す訓練、何かを発見したら吠える訓練、災害現場に見立てた場所での訓練と進み、ハルクは国際救助犬試験のがれき捜索部門の検定試験で見事に一位をとるまでになるが、夢之丞の訓練は難しく、ハルクより遙かに遅れながら一歩一歩進んでいくというものだった。

ところが、ある日、驚くべきことが起こるのだ。
災害現場が孤立しヘリコプターでしか救助に向かえないという訓練の時、それは起る。
ヘリに乗ったハルクは恐怖のあまり身動き一つできず、その後一週間は食事すらできないというショック状態に陥ったのに対し、夢之丞はヘリの乗っても恐がりもしなければ食欲すら旺盛だったのだ。
人を見ただけでも怖くて尻尾を下げ、車や物が倒れる音にも体をびくつかせる夢之丞が、ヘリには平気な顔で乗っている。
『何が災いして、何が幸いするのか分からん。
 だから、チャンスをあげることが必要なんだ。
 なかなかのもんだぞ!夢之丞は!』

そして、初陣の日がくる、2014年8月20日 広島県土砂災害
周囲一面の泥でまともに歩くこともできず犬を捜索させるにはあまりに危険な状況のなか、並み居る警察・消防隊・自衛隊の人達をものともせず堂々と足を速めた夢之丞
30キロの体重のせいで体の半分が泥に沈み込み動きがとれないハルクに対して、10キロほどの小柄な夢之丞は軽やかに前進できる。
夢之丞の可能性が本番で次々と見えてきたとき、健丞の言葉が再び心に浮かんでくる。

『生きていればそれでいい』 その言葉に浩之さんの想いも重なる。
『生きている限りは可能性は無限大だ。
 今日出来なくても、明日できなくても、生きている間にいつかできるようになればいい。
 しかし、今できることでも、死んでしまえば出来なくなってしまう。可能性はゼロとなってしまうのだ。
 生きていることが大切―。』

捜索を開始して一時間、夢之丞が浩之さんを見つめ、何かを知らせた、男性のご遺体だった。
命を助けることは出来ずとも、損傷が少ない早い段階でご遺体が発見されることは、残された家族にとって重要なことだった。

人間に捨てられ、人間により殺処分されようとしていた犬が、その人間の役に立った瞬間だった。

その後、ネパール大地震でも活動した夢之丞は、今日この時も、人を助けるために訓練を積んでいるのだと思う。

ワンコと人の絆は永遠に不滅だ!

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