何を見ても何かを思い出す

He who laughs last laughs best

神聖な御力とともに

2016-04-05 12:50:37 | ひとりごと
お彼岸にワンコ聖地とワンコ実家を訪問したこと、ワンコ聖地には次々とお参りの人が訪れ花が溢れんばかりに供えられていたと書いたが、実は書いていなかったことがある。 「桜よりぼた餅かい ワンコ」
ワンコ実家で、ワンコ聖地の様子を話した時に、ワンコ実家両親の顔が曇った理由についてだ。
「どうして ''ワンコ生まれてます'' ''子犬います''の看板をはずしたと思う?」と質問された。
そういえば、いつもの場所に、それがない。

話して下さった理由は衝撃的だった。
ワンコ両親はただ売りっぱなしではなく、引き渡した後も季節ごと年齢ごとに様々なアドバイスを下さったが、それは犬の命を大切にするワンコ実家が、売れ残った犬を処分することなく手元で全て育てるなかでの経験と情報によるものなので、初めてワンコを迎えた我が家は勿論のことワンコ生活に慣れた他の飼い主達さんも100%の信頼をおいていた。
そして、そんなワンコ実家を中心に、年齢ごとに生じる問題などの情報交換をはかるのは、皆がひとえにワンコを大切に想いワンコに一日でも長く生きて欲しいと願うからだった。
だが、最近とんでもない客が現れるようになり、ワンコ実家両親は、子犬を店頭に出さないという決意をされたのだ。
「子犬の時期を過ぎて、かわいくなくなったから保健所で処分してもらった」
「思うような性格に育たなかったから、保健所に連れていった」

夏休みを前に、二年続けて犬を求めにきた客は、こう言ったそうだ。
「''犬と一緒にコテージで過ごした去年の夏休みは楽しかった'' と子供が言うので、今年も犬が欲しい」 
「?」
なんと、犬との一夏の経験が済めば用済みとばかりに、犬を別荘地へ放置してきたというのだ。

こんな客が現れ出したのを見て、ワンコ実家は「子犬います」の看板をおろし、まず客とじっくり話し「大丈夫だ」と確信してから子犬を見せることにされたそうだ。

本やニュースで、人間の身勝手により殺処分されるペットの数が多いことは知っていたが、身近にそれを見聞きした衝撃は大きく、本屋でふと目にとまった絵本を手に取るのは、勇気が必要だった。 「犬と私の物語」

「ある犬のおはなし」(kaisei)
犬の目線で書かれた絵本はページ数は少ないが内容は重く、立ち読みするなり目頭が熱くなった。
涙でにじむ目線の先には、殺処分の阻止を願う本が何冊も平積みで置かれている。

「“いのち”のすくいかた 捨てられた子犬、クウちゃんからのメッセージ」(児玉小枝 2015,6/5初版)
「お家に、帰ろう~殺処分ゼロの願い」(尾崎たまき 2105,8/2初版)
「犬に名前をつける日」(山田あかね 2015,10/30初版)

これまでも多くの本とその作者の名を記してきたが、今回それに加えて初版の年月日を記したのには理由がある。

敬宮愛子内親王殿下 その人だ。

皇太子御夫妻は敬宮様ご誕生前から犬を飼われていたが、それが捨て犬だということはあまり知られていないかもしれない。
多頭飼いのうちの一匹(まり)が亡くなった後、残された犬(ピッピ)のために、もう一匹飼ったほうが良いという獣医師の勧めに従い新たに家族に加わった犬(由莉)も、保護された犬だった。
生まれる前から家族の一員だった犬と暮らす喜びも、犬を見送る悲しみも、犬の生態も御存知なうえ、捨て犬・猫という言葉を厭い「保護された動物」と表現される繊細な愛子様が初等科卒業文集のテーマ「夢」で書かれたのは、ペットの殺処分を無くすことだった。

『動物達の大切な命』       敬宮愛子
道徳の授業で、「ペットの命は誰のもの」という番組を見て、私は、年間27万頭以上もの犬猫が保健所などで殺処分されている現実を知りました。動物達にも命があるのに、なぜ殺されなければならないのか、かわいそうに思いました。
私の家では犬一頭と猫2頭を飼っています。みんな保護された動物です。前に飼っていた二頭の犬も保護された犬でしたが、どのペットも、可愛がって育てたらとても大切な家族の一員になりました。動物がいることで癒されたり、楽しい会話がうまれたりして、人と動物の絆は素晴らしいものだと実感しています。私が飼っている犬は、病院に入院している子供達を訪問するボランティア活動に参加し、闘病中の子供達にもとても喜ばれているそうです。
また、耳の不自由な人を助ける聴導犬や、体に障害のある人を助ける介助犬は、保健所に収容された、飼主の見つからない犬達の中から育成されて、障害のある人々の役に立つ素晴らしい仕事をしているそうです。
私はこのような、人と動物の絆の素晴らしさや、命の大切さを広く伝えていかれたらよいと思います。そして、犬も猫も殺処分されない世の中の実現に向けて、たくさんの人に動物の良さが理解され、人も動物も大切にされるようになることを願っています。「受け継がれる命を育む御心」) 

殺処分から動物を守る活動を長年にわたり地道に取り組んでこられた方々のご努力あっての出版であるのは確かだが、それが次々と出版された年月日を見ると、2014年の春に敬宮様の作文が発表されたことの意味の大きさを感じずにはおれない。
あの時、作文をきっかけに大きく殺処分問題が取り上げられたわけではない。
しかし、敬宮様の作文が目に見えぬ力となり、命を救う活動に光を当てたように私には思えるのだ。
むしろそのような間接的な御力こそ皇族としての神秘性であり、本来皇族方の御活動や御存在とは、斯くあるべきだと思うのだ。
あれやこれやの名誉総裁に就き式典や会合に箔をつけることも重要かもしれないが、皇族方が関心を寄せておられる分野が、気がつけば脚光を浴び、命が救われたり文化や芸術の裾野が広がる、ここにこそ私は神聖な力を感じる。

そして、先月末には「殺処分ゼロ」活動について嬉しいニュースがあった。

<犬の「殺処分ゼロ」にふるさと納税殺到4億円、対象犬全引き取り実現へ 広島のNPO>
産経新聞 3月31日(木)10時12分配信より引用  http://www.sankei.com/west/news/160331/wst1603310020-n1.html
犬の殺処分ゼロの取り組みに共感した人から「ふるさと納税」が相次いでいる広島県神石高原町に本部があるNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」(PWJ)が30日、県内で殺処分対象となった犬のすべてを引き取ると発表した。6月15日から県内の犬の殺処分をゼロにするという目標が2カ月半前倒しされた形で、PWJの大西健丞代表理事は「ゼロを維持していく新たな取り組みがスタートした。県民の皆様にも協力頂きたい」と述べた。
PWJは平成25年9月、「1000日(今年6月15日)以内に県内の犬の殺処分をゼロにする」目標を打ち立てて活動を開始。神石高原町とも連携して、犬舎建設などのための募金活動を同町の「ふるさと納税」を使って展開した結果、これまでに1万人以上から4億円近くの寄付が寄せられた。
これらの寄付金は犬舎の建設や新しい飼い主が見つかるまでの飼育費(食事代、医療費など)、動物福祉の啓発活動などに活用。広島市と神奈川県藤沢市に保護犬譲渡センターも開設した結果、これまでに567匹を保護して293匹を譲渡、返還してきた。
平成23年度に2342匹だった県内の犬の殺処分数は、27年度になっても4~12月の9カ月間で566匹。ゼロには至っていないが、神石高原町のキャンプ場跡地に約600匹が収容可能な犬舎4棟が6月までに完成見込みとなった。
4月には一部犬舎の完成に目処が立ち、目標より約2カ月半早く、殺処分対象となったすべての犬を引き取れるようになった。引き取った犬は人になつくためのトレーニングなどをしたうえで、譲渡先を探す。
大西代表理事は、殺処分直前に保護、PWJで訓練した災害救助犬「夢之丞」とともに県庁で会見。「手を抜くと殺処分は始まる。今後は、猫も早くゼロにする計画も進めていきたい」と話した。

この記事の最後で紹介されている「夢之丞」は以前「命をつなぐ夢」で紹介している。
<広島の災害救助犬「夢之丞」ネパールで活躍>日本テレビ系(NNN)4月30日(木)19時38分配信 ここをクリック!

殺処分直前だった「夢之丞」が救助犬として活躍するまでを記す本に何度も書かれる『命があればそれでいい』『生きていることが大切』と、敬宮様の作文の言葉「たくさんの人に動物の良さが理解され、人も動物も大切にされるようになることを願っています」の根っこは同じだと思う。

『国の偉大さと道徳的発展は、その国における動物の扱い方で分かる』
(インド独立の父 モハマト・ガンジー)

「夢之丞」の本については、つづく