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コウベタヌキノショクダイ・・・「妖精のランプ」再発見!!

2023-03-05 | 植物etcアルバム
コウベタヌキノショクダイ(タヌキノショクダイ科)は既に絶滅したと考えられていましたが、30年以上の時を経て兵庫県三田市で再発見されました。

コウベタヌキノショクダイは、1992年に1個体が発見されただけで、その後、1993年~1999年の間に行われた追加調査では新たな個体は発見されず、2010年に兵庫県により絶滅が宣言

タヌキノショクダイの仲間は、海外では「fairy lantern (=妖精のランプ)」と呼ばれ、コウベタヌキノショクダイの生きた姿は、まさに暗い林床を照らす「妖精のランプ」のようだったと研究者は記述しています。


今回新たに発見されたコウベタヌキノショクダイ 撮影:末次健司

”絶滅種の光合成をやめた植物を30年ぶりに再発見
 ―妖精のランプ「タヌキノショクダイ」の謎に包まれた進化史に重要な示唆―”

            神戸大学 末次健司教授 らの研究グループ
https://www.kobe-u.ac.jp/research_at_kobe/NEWS/news/2023_02_28_01.html

・タヌキノショクダイの仲間は、光合成をせずに土中の菌類から栄養を奪って生活する植物で、菌類と見紛うばかりの奇妙な花をつけることが特徴

・キノコの一種のように見えますがれっきとした植物で、長芋などの「ヤマノイモ」の仲間に近縁

・茎の高さはわずか1mmほどで、花の大きさも1cmに満たない小さな植物

・日本名のタヌキノショクダイは「狸が燭台 (= ロウソク立て) として利用した」と見立てられての名前

・日本産のタヌキノショクダイ属としては、タヌキノショクダイ、キリシマタヌキノショクダイ、コウベタヌキノショクダイの3種
  ーーキリシマタヌキノショクダイとコウベタヌキノショクダイはすでに絶滅が宣言されていた

コウベタヌキノショクダイは T. americana にも外見のみならず、雄しべに蜜腺がない点や雌しべの柱頭に多くの短い毛が生える点で、極めてよく似ていることが明らかになった
 ーーT. americana は北アメリカで発見された唯一のタヌキノショクダイ属


コウベタヌキノショクダイ (A & B) とThismia americana (C & D) との形態比較
 (A & B) 横から見た花。(C & D) 雄しべ。
 両種は外見が非常に似ているばかりか、葯には蜜腺がない点など花の内部構造も一致する点が多い



今回の研究で提唱されたタヌキノショクダイの仲間の北米への分布拡大の経路

ベーリング地峡を介し移動したと考えられる生物には、マンモス、イヌ、ウマ、ラクダなどが存在し、人類がアメリカ大陸へ進出する際にたどった経路としても有力視

タヌキノショクダイの仲間も、東アジアからベーリング地峡を通って北アメリカへと分布を広げていったと考えることができるでしょう

と、研究グループは指摘しています。


今回新たに発見された個体の証拠標本は、1992年に発見された個体も収蔵されている兵庫県立人と自然の博物館に寄贈され、人と自然の博物館では、近日中に標本展示が予定されているということ、この珍しい植物をぜひ見たいものですね。