郷土教育全国協議会(郷土全協)

“土着の思想と行動を!”をキャッチフレーズにした「郷土教育」の今を伝えます。

船橋のリサイクルセンターと清掃工場を見学して ③

2017年11月30日 | 日記
「船橋市環境部資源循環課」という部署があるのを初めて知りました。
清掃工場の見学の前に行われた座学でのことです。



若い職員3人が担当されていましたが、そのうちの2人はまだ新採1〜2年というフレッシュさに溢れていました。
彼らには、課から与えられた課題を熱心に学習して市民に伝えるべく努力している様子がうかがえました。

A4の印刷物37ページに及ぶ資料を使っての説明は、間にクイズを採り入れたりして受講者の興味を引くための工夫がされていました。
まるで、新人の教員が社会科の研究授業をしている様でもありましたが、データが資料でしっかり示されているため説明は受けなくても大方は理解できるものでした。


船橋市は今年、市政80周年を迎えましたが、人口は増え続け今年で63万人を突破しました。
私が船橋市で教員になった頃は30数万人で、「もうすぐ40万人になるんだよ」と子どもたちに語っていたことが思い出されます。
首都圏の中でもこれほど人口が増え続けている都市は多くはないでしょう。
そして、今後も当分は増加が予想されます。

先日も80周年を記念して映画会があり、市が作成した11本の記録映画を観る機会がありましたが、いつの時代にも人口急増による「ゴミ問題」が大きな課題になっていました。

それでは、人口増加とゴミ排出量がリンクして増えているかというと、近年はそうでもありません。
過去10年に遡っても家庭からのゴミは年々減少しています。
これは、法規制やリサイクル施設の整備によるものと、小学校から老人大学に至るまであらゆる機関と機会を通じてゴミ減少化の啓発活動がなされてきたのが功を奏しているのかもしれません。
家庭から出されるゴミはある程度まで減らすことが可能なのです。

職員の話は、当然ながら更なるゴミの減量化を訴えていましたが、結論的にはゴミ処理に関わる経費節減を目指すものでした。
いかにゴミ処理にお金がかかっているかを、具体的に示すために家庭から出される45Lゴミ袋を例にあげていました。
「45Lを一袋あたり、約200円かかっています!」
これは、収集・焼却・灰リサイクル・埋立費用の総額から算出された数字です。
厳密な見方をするなら、リサイクルによる収益は差し引かなければなりませんが、市民向け説明・宣伝には分かりやすいでしょう。

ゴミ処理経費が年間70億円を超え、その半分以上を占める家庭系可燃ゴミ処理経費を削減する必要性は認めますが、ここ数年の実態を見ると、排出されるゴミの量もゴミ処理経費も低下しています。
もちろん一人当たりの排出量も処理経費も少なくなっているのです。
それにもかかわらず、今、市側はゴミ収集回数の削減を提案しています。
さらに、未だ提案には至っていませんが、家庭系可燃ゴミ収集の有料化を検討課題に載せています。



今でも粗大ゴミは有料ですし、可燃ゴミの袋は市指定の物を買わなければなりません。
以前は、どんな袋でも良かったし、その以前はポリバケツで出していた時もあります。
収集との関わりもあるのでしょうが、これ以上に負担を課すのは行政の怠慢であり責任放棄とも言えます。
私たちは、住民福祉を享受すべく法に基づいて税金を払っているのです。
これが実施されるなら、税の二重取りともいうべきものです。


ゴミ収集の回数減は許容範囲ですが、これにより経費はさらに削減されます。
少なくともデータ上からは、ゴミ有料化の必然性はありません。

百歩譲って、市の財政を他の福祉等に向けていく方策を考えてのことだったとしたら、その点について明確にしなければなりません。
少なくとも環境部が、いや資源循環課の課題ではありません。
もっぱら市内の環境が良くなるように、純粋に資源循環型社会を作るために、自分たち専門分野でしかなし得ない行政策を講じるのが務めではないでしょうか。


しかし、この座学で再確認したり認識を新たにしたことはありました。
それは、無用な生ゴミを生む食品ロスを減らすことであり、焼却灰が遠く秋田県や山形県まで運ばれて埋め立てられていることです。
特に埋立では、原発による汚染土の埋立処理を想起します。
新たな環境汚染にも絡む問題が日々進行している事実は、しっかり見ていく必要があります。
家庭ゴミ処理負担金とは別に、あらためて考えていきたいと思います。



-S.S-




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