「お答えします。自然エネルギーの利用と活用についてさまざまな調査をしています。その中に電力料金と電力事業についての資料も集めています。その目的は当占部町で電力事業を興す場合の基礎的な知識を持つためでございます。他の国と比較した資料も作っていますがそれをみなさんにお話しし論評する立場にないと思います。ただ電気料金問題は政府において電気料金審査専門委員会において詳細な資料にもとづいて検討されており、経済産業省のホームページにおいて公表されています。それをご覧いただくのが確かな情報だと思います」
将太の説明に、出席者は不満の色を顔に見せ、お互いの顔を見合わせた。だれもが冨田将太からざつくばらんな説明が聞けると思ったのに将太の説明は人が変わったような官僚答弁だったからだ。
その空気を松本副町長も敏感に察知して、立ち上がった。
「冨田室長の説明にみなさんご納得されていないようですので私から少し、補足説明をさせていただきます。よろしいですか」
司会の竹下が「どうぞ」と言ったので松本副町長は立ったまま口を開いた。大平町長はだまって成り行きを見守っている。
「今日は、町と町おこしたいのみなさんとの懇願会ですからざつくばらんな話し合いが趣旨です。その意味で町長もざつくばらんにお話しをしました。ただ私どもが答えることができるのは占部町に行政に関することであり、占部町の行政、職務に関係しない問題について、評論、評価をするようなことはやはり職務を超えると思われますのでお答えできない。この点はぜひご理解いただきたいと思います。みなさんには町が計画している自然エネルギーの普及について、大きなご協力を得たいと思っています。引き続きざつくばらんな意見交換、情報交換を重ねるようにしたいと思います。どうぞよろしくお願いします」
松本は頭を下げて席につくと入れ替わるように大平町長が立った。
「どうも私の行き過ぎた発言がまずかったようです。それは反省しますが私どもは自然エネルギーを推進するためにいろいろな情報を集めています。勉強しています。これはまだ十分とは思っていません。できることなら進んだ取り組みをしているところに視察にも行きたい。専門家や研究者を招いて講演も開くことができればと思っています。その際、やはり住民の方は何を知りたいのか。どういう町にしたいと思っているのか。住民のみなさんに寄り添って、願いを実現するようにしたいと思っています。その意味でみなさんの協力をお願いします」
「行政の立場があるということ良くわかりました。しかし私たちとしてはその線引きはなかなか判断できません。私たちが知りたいことは知りたいこととして今後もお尋ねする。その時、お答えできなければその旨言っていただく。そういうことですすめたいと思いますがよろしいですか」
司会の竹下が話をまとめた。
町と町おこしたいとの懇談はその後、2時間近く行われて終わった。会議室を出る将太に京香が近づき背後から「今日はお疲れ様でした」と声をかけた。
「いや、今日はいろいろ失礼をして申し訳ありませんでした」
「運営について打ち合わせをしていなかったでしょ。それがやはり大きな反省ですね。お互い、分かっている者同士というものがあったと思います。最初の質問があんな形で入りましたから・・・」
「いえ、やはり私の説明がよくなかった」
「お互い、今日のことをよい体験にして、引き続き、ご指導をよろしくお願いします」
京香は丁寧に頭を下げて言った。
「いえ、とんでもないです。こちらこそよろしくお願いします」
「では」と言って、京香は庁舎玄関で待っているだろう仲間のところへ小走りで向かった。
将太の説明に、出席者は不満の色を顔に見せ、お互いの顔を見合わせた。だれもが冨田将太からざつくばらんな説明が聞けると思ったのに将太の説明は人が変わったような官僚答弁だったからだ。
その空気を松本副町長も敏感に察知して、立ち上がった。
「冨田室長の説明にみなさんご納得されていないようですので私から少し、補足説明をさせていただきます。よろしいですか」
司会の竹下が「どうぞ」と言ったので松本副町長は立ったまま口を開いた。大平町長はだまって成り行きを見守っている。
「今日は、町と町おこしたいのみなさんとの懇願会ですからざつくばらんな話し合いが趣旨です。その意味で町長もざつくばらんにお話しをしました。ただ私どもが答えることができるのは占部町に行政に関することであり、占部町の行政、職務に関係しない問題について、評論、評価をするようなことはやはり職務を超えると思われますのでお答えできない。この点はぜひご理解いただきたいと思います。みなさんには町が計画している自然エネルギーの普及について、大きなご協力を得たいと思っています。引き続きざつくばらんな意見交換、情報交換を重ねるようにしたいと思います。どうぞよろしくお願いします」
松本は頭を下げて席につくと入れ替わるように大平町長が立った。
「どうも私の行き過ぎた発言がまずかったようです。それは反省しますが私どもは自然エネルギーを推進するためにいろいろな情報を集めています。勉強しています。これはまだ十分とは思っていません。できることなら進んだ取り組みをしているところに視察にも行きたい。専門家や研究者を招いて講演も開くことができればと思っています。その際、やはり住民の方は何を知りたいのか。どういう町にしたいと思っているのか。住民のみなさんに寄り添って、願いを実現するようにしたいと思っています。その意味でみなさんの協力をお願いします」
「行政の立場があるということ良くわかりました。しかし私たちとしてはその線引きはなかなか判断できません。私たちが知りたいことは知りたいこととして今後もお尋ねする。その時、お答えできなければその旨言っていただく。そういうことですすめたいと思いますがよろしいですか」
司会の竹下が話をまとめた。
町と町おこしたいとの懇談はその後、2時間近く行われて終わった。会議室を出る将太に京香が近づき背後から「今日はお疲れ様でした」と声をかけた。
「いや、今日はいろいろ失礼をして申し訳ありませんでした」
「運営について打ち合わせをしていなかったでしょ。それがやはり大きな反省ですね。お互い、分かっている者同士というものがあったと思います。最初の質問があんな形で入りましたから・・・」
「いえ、やはり私の説明がよくなかった」
「お互い、今日のことをよい体験にして、引き続き、ご指導をよろしくお願いします」
京香は丁寧に頭を下げて言った。
「いえ、とんでもないです。こちらこそよろしくお願いします」
「では」と言って、京香は庁舎玄関で待っているだろう仲間のところへ小走りで向かった。