検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

太陽光発電の規模 連載小説300

2013年05月29日 | 第2部-小説
「まず志乃さんのご質問にお答えします」
 説明に立ったのは大平町長だった。
「太陽光発電でまかなうことができるのかということですがこれは設置方法によって違います。例えば空き地や山の斜面、住宅の屋根を含め、設置できそうな場所すべてに設置した場合ということであれば、太陽光発電だけでまかなうことはできます。しかし住宅の屋根だけを考えるとすべてのお宅の屋根に設置したとしても太陽光発電だけでまかなうことはできません。なぜなら太陽光発電は昼間しか発電しないからです。私たちは夜も電気を使いますでしょ。もし太陽光発電でまかなおうとすると蓄電池が必要です。こういうお答えでよろしいでしょうか」

「町長さんは自然エネルギーですべての電力をまかなうということをおっしゃっていますよね。もし太陽光発電ですべての電力をまかなおうとすると、どれだけの設置をすればいいのか。それとどれだけの蓄電池が必要なのか。なぜこんなことを質問するかというと、イメージがもう1つ湧かないからです。これだけのものを設置しないといけないのか。この程度でいいんだとか。そういうイメージをつかみたいので、しつこいようですがお願いします」

「わかりました。志乃さんのお気持ち、大切だと思います。今のご質問に答えるには抽象的な説明ではダメだと思います。私たち計算した資料があります。1つは平均的なご家庭の太陽光発電が年間発電する発電量、もう1つは占部町全体の電力消費量。平均的なご家庭の太陽光発電パネルの出力を4.8kWとすると年間発電量は5,596kWhになります。占部町の年間電力消費量は約720万kWhです。この発電量は平均的なご家庭の1,500戸相当です。占部町の住宅戸数は約1,200戸ですからすべてのご家庭の屋根に4.8kWの太陽光発電パネルを設置しても間に合わないわけです。しかし空き地や山の斜面などを利用すれば効率よく設置できる。太陽光発電だけで考えるとそういう規模になります。ご質問に蓄電池についてありましたがこれは災害など非常時、病院や役所に設置は必要だと思いますが、普通のご家庭で蓄電池が必要とは思いません。やはり電力会社の電力供給義務というものがあります。災害時の場合も停電を起こさない、そうした責任の遂行求めることになろうかと思います。あと、自然エネルギーが普及すると電力料金が高くなるというご指摘にありました」