検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

脱原発、脱火力発電を主張する理由

2012年02月22日 | 24年夏の電力需給問題
 暮らしと命の安心・安全、地球温暖化防止を考えると原子力発電と火力発電は廃止するのが一番よいからです。脱原発、脱火力発電の理由はこれに尽きます。
 しかし、原子力発電がすべて停止すると「電力不足が起こる」。そうなると「企業の海外移転が起こる」と言う評論家が相変わらずテレビに登場します。この心配は無用です。火力発電の稼働率を上げ、「節電」をすすめることで電力はまかなえます。この場合、問題は二酸化炭素の排出量が増え、発電単価が上がることです。

発電単価の上昇要因
 火力発電の燃料費は原発の燃料費より高いの火力発電で発電するとどうしても発電コストは高くなります。しかしこの場合も原子力発電が発電していた量のすべてが火力発電で代替することにはなりません。「節電」による電力需要の減少があるからです。さらに火力で供給した電力は販売していますから発生する燃料費の増加分は差額分についてだけです。(電力会社は全量の燃料費を言っていますがこれは水増しです)
 第2点は、原子力発電を停止しても維持・管理、人件費などに費用はかかるためです。

発電単価の上昇はこれにとどまらない
 自然エネルギーの比重を高めるには電力会社による自然エネ発電所建設も必要です。その場合、新規事業費が発生します。自然エネの発電価格は火力発電と比して高コストであるため電力単価は高くなります。こうした問題を理解して、どう脱原発、脱火力発電を実現するか。自然エネでまかなう場合、この解決と展望を説明できることが大事だと思っています。


火力発電は資源浪費の典型

2012年02月21日 | 24年夏の電力需給問題
 火力発電は化石燃料(一次エネルギー)を燃焼させて蒸気をつくり、蒸気の力でタービンを回して電気を作ります。電気になるのは一次エネルギーの約4割、6割は蒸気のまま大気や海に放出されます。
 そしてこの電気で私たちはお湯をわかします。考えると電気事業の熱効率が悪く資源を浪費しています。
 地球環境を汚染し、温暖化を加速させる火力発電はめざす未来エネルギーにはなりません。

火力発電からも撤退する

2012年02月20日 | 24年夏の電力需給問題

上「日本のエネルギー2010」下「電気事業連合会」より

 化石燃料は限りある資源、地球温暖化の元凶です。石炭は天然ガスの2倍、石油より3割多くの二酸化炭素を排出します。しかし日本は石炭は「安い」ことから火力発電の燃料を石油から石炭に移してきました。その結果、電気事業者は二酸化炭素排出量を削減どころか増やしています。地球温暖化防止をかんがえると火力発電からも撤退するのが一番、よい選択です。

関電の今夏ピーク電力需給対策、試算

2012年02月18日 | 24年夏の電力需給問題
関西電力は原子力発電の「再稼働がゼロなら、この夏の供給責任は果たせない」(朝日2月17日)と言い切っているようです。この2月20日に高浜2号機が定期検査に入り、11基すべての原発が停止するからです。
 関西電力は発電量の54%を原子力発電がまかなっています。その原発がすべて停止するのですから影響は大きいです。しかし原発を再稼働させなければどうにもならないのか。検証結果が上の表です。結論は原発再稼働しなくてもなんとかやりくりできます。

 政府と関電が予想している一つの問題点は、最大予想電力を22年夏のピーク電力に想定していることです。これを23年夏のピーク需要にすることで事情は大きく変わります。
 つぎに揚水発電の設備容量は488万kWあります。この6割稼動をめざし(292万kW)ます。第3点は、他社受電が入っていません。関西電力管内には電源開発の設備容量260万kW、特定電気事業者225万kWがあります。ここから電力を調達(買電)します。第4点は関電管内の府県(兵庫・大阪・和歌山・奈良・京都・滋賀)に太陽光発電36万4000kW、風力発電11万2000kwがあります。この発電も計画に算入します。これでも少し不安があるのであれば少し余裕がある中国電力、北陸電力から融通してもらうようにします。
 これで23年夏程度の「節電」で23年夏のピーク需要はまかなえる。
 無理のない「節電」でやりくりできます。原子力発電が再稼働しなければ「供給責任は果たせない」というのはおどしです。

節電は電力会社の一大事

2012年02月13日 | 24年夏の電力需給問題
  「節電」が広がり、定着しています。ところがこれは電力会社にとって一大事です。電力会社は電力を売ってなんぼの世界、販売量が減っても人件費など固定経費は変わりません。結局、「節電」は利益を減少させる災いの元。
 落ち込んだ利益を確保するため、手っ取り早い方法は東京電力のように電気料金の大幅値上げです。しかしこれはあまりにも一方的で根拠が不透明すぎると各方面から非難の的。世論の非難を避け、販売電力量を以前の水準に戻す一番いい方法は原子力発電の再稼動です。
 
太陽光発電の普及も電力会社の一大事
  電力会社から言えば、発電所は電力会社が所有する発電所だけしかないのが理想です。ところが技術の進歩は市民が太陽光発電所を所有するようになりました。地域に無数の発電所が生まれたのです。これは電力会社としては経営基盤を脅かす一大事です。
  なぜなら太陽光発電の将来は蓄電池の普及によって自家発電で電力をまかなう家庭が増える世界です。これは電力会社にとって販売量は減る一方の世界です。
  この流れはもはや止めることはできません。しかし対抗しなければ電力事業の将来は先細りする一方です。先細りをさせずこれまでの権益を守るためには原子力発電の再稼動を実現しなければいけない。電力会社はその作戦を最優先で考えていると見て間違いないでしょ。

火力発電の燃料費増加は経営を圧迫しない

2012年02月12日 | 24年夏の電力需給問題
 上記表は関西電力について整理したものです。
 この表から一ヶ月平均を求めると22年度は1,834億円、23年第3四半期は1,745億円です。23年度は月平均、89億5000万円ほど営業費が少なくなっています。
 一方、販売電力の月平均は22年度の平均137億kwhが23年度第3四半期には119万kwhと減少しています。
 営業費は圧縮しているが販売量が減少したため、結果として1kwhあたり発電コストは22年度13円38銭から23年度第3四半期には14円62銭になっています。
 つぎに火力発電の燃料である石炭、石油、ガスの輸入価格を見ます。平成22年9月~11月の平均25,500円が23年6月から8月平均では33,800円に上昇。上昇率は1.3倍です。この価格上昇分について、電力会社は毎月、燃料費調整をして電気料金に転嫁して回収しています。したがって電力会社としては痛くもかゆくもありません。
 ただ原子力発電が停止した関係で火力発電の稼働させて増えた燃料費は燃料費調整に組み込むことはできません。電力会社はここを問題にして経営を圧迫しているといいます。
だが「増加分」は無料供給しているわけではありません。きちんと販売していいます。
 従って、問題になるのは火力発電の燃料費コストと販売コストです。燃料費コストより販売コストが安いとこれは経営を圧迫します。
 それでは火力発電の燃料費コストはいくらなのか。22年度有価証券報告書の貸借対照表にある石炭、油、ガスの燃料費を合計して火力発電の発電量で割ると関西電力の燃料費コストは6.9円です。
 一方、電気料金は普通の家庭が対象になる従量電灯Bの場合、1Kwh当たりの料金は120kwhまで16円76銭、120kwh以上300kwhまで19円83銭、300kwh以上20円70銭です。
 このように火力発電を稼動させると経営を圧迫するどころか、確実に利益を増やします。問題は火力発電の燃料費増加ではなく、販売電力の減少です。
 原子力発電を再稼動する要求は電力量を増やすのが目的です。「節電」の取り組みなど止めて、じゃんじゃん電力を消費して欲しいというのが本音です。だが今は高度経済成長で電力需要が右肩上がりで増えた時代ではありません。省エネ・熱効率が進み、消費電力は現在からさらに減少する可能性があります。また原子力発電が再稼動すれば電力会社は、いま国民が関心を寄せている再生可能エネルギー、自然エネルギーを排除する挙に出るのは目に見えています。

大飯原発の再稼動を認めないたたかいを支援します
 再生可能エネルギー、自然エネルギーを本気で取り組む、取り組ませるためには、原子力発電の再稼動を許さないこと。その意味で大切な関西電力の「大飯原発」の再稼動を許さないたたかいを支援します。


電力供給力と電力不足

2012年02月10日 | 24年夏の電力需給問題

 上のグラフ、いずれも東京電力についての供給力(出力)と特定日のピーク電力です。曲線は時間帯別の電力需要を表しています。
 赤い銭は昨年8月18日のピーク電力、緑色は今冬(2月2日)のピーク電力、黒色の曲線は22年夏に記録したピーク電力です。もし22年と同じ電力の使用があると、今年夏は東京電力の供給能力を超える。そういうことを表しているグラフです。
 原子力発電を再稼働させないと電力需要をまかなえない。燃料費も増大するので大幅な電気料金の値上げをしなければならない。電力会社と政府はこぞって言っています。

 この主張を論破して、「すべての原子力発電が停止しても電力はまかなえる」「電気料金も言うような大幅な値上げはしなくてもすむ」。
 これを政府と電力会社の資料をもとに立証しているのが当ブログです。

ピーク電力とは何か、冬と夏の違い

2012年02月09日 | 24年夏の電力需給問題

 電気の使用量は昼と夜とでは大きく違います。ピーク電力とはその日の最大電力使用のことをいいます。その推移は上記図(小さい)をイメージする人もいると思いますがこれほど急激な変動はしません。
 その下の図は東京電力の今冬と昨年夏の時間帯別の電力推移です。昼と夜とでは大きく違いますが電力需要の曲線はなだらかです。
 電力需要は一般に冬は夏と比べると需要は少ない(北海道は逆)ですが今年冬、東京電力のピーク需要は昨年夏を上回りました。
 現在、東京電力の供給力は原子力発電を除いて5,706万kWあります。2月7日、東京電力富津火力発電所の一基が故障で停止しましたが出力は50万7千Kwです。供給力に余力があるので今冬電力不足は起こりません。
 しかし22年夏のピーク電力は5,706万kWを超えました。その時間帯推移は次回にご紹介します。

今年夏の電力需給問題、不足電力はどれだけ?

2012年02月08日 | 24年夏の電力需給問題
上記表は電力9社別に見た原子力発電ゼロとした場合の電力供給力(出力)です。
 これを「最大電力需要予想」で差し引いた数字が今年夏に予想されている不足電力です。全国累計では1,249万kW。不足電力が最も多いのは関西電力の784万kWです。
 この不足電力を解消するためには原子力発電を早く再稼働させる必要があると電力会社は主張しています。
 だが再稼働しなくても大丈夫です。
(次号に続きます)