最大ピーク電力を何で確保するか
上の図は、電気事業連合会HPの図です。1日のピーク電力を時間ごとに表しています。下図はドイツ人エネルギー問題専門家のマイケル・シュナイダー氏が講演で使用したノースカロライナ州の実測データに基づいた図(出所:原子力資料情報室)です。
日本の図は政府と電力会社がこれまでめざしてきた途上の図と言ってよいでしょう。
下記図に原子力発電はありません。大きな役割を果たしているのは風力発電と太陽光発電です。
原子力発電と自然エネルギー、電源こそ違いますが共通しているのは最大ピーク電力の確保をになっていることです。
風力でピーク電力の確保
電力の需要はこれまで見てきたとおり、昼と夜の時間帯で大きく違います。電力供給で一番の問題は昼間の最大ピーク電力の確保です。
電気事業法は電力事業の認可条件として管内の電力需要を供給することを認可条件にしています。電力の供給ができなければ認可しない。この認可条件をクリアするため、あるいはそれを口実に電力会社は過大とも言える発電施設を巨費を投じて造ってきました。(これが日本の電気料金が高い原因)
この問題は別稿を起こして触れるとして、話を戻します。
電力の出力調整に優れている揚水
最大ピーク電力はコンピュータ管理で予想できますから電力会社はその予想に基づいて発電したり、稼動をとめる調整をこまめにします。
原子力発電は調整ができません。原子力発電はひとたび稼動させるとその原子炉の出力(供給力)で発電し続けます。昼も夜も同じ量の電力を供給し続けるわけです。
出力調整が一番優れているのは水力発電です。ゲートを開けて放水すればたちまち発電機が回って発電します。火力発電は燃料を炊いて蒸気を作り、その蒸気圧で発電機を稼動させますから時間がかかります。
調整に優れている水力発電の中で、揚水発電がさらに優れているのは、水を「繰り返し使える」からです。
夜間電力で下の貯水湖(池)の水を汲み上げ、昼間に発電するのが揚水発電です。ノースカロライナ州は夜間電力に風力発電を利用しています。日本は原子力発電を補完する施設の位置づけですから原子力発電が余剰になった時、稼動させることにしているので2009年度の稼動率は3%。活用はほぼゼロです。
(写真:稚内空港から見た宗谷岬の風車群57基)
原子力発電はなくても必要電力はまかなえる
結局、原子力発電中心のエネルギー政策が宝の揚水発電を持ち腐れにしています。
このふたつを見比べたとき、大切なことは原子力発電がなくても必要電力をまかなっているところがある事実です。(問題は「量」だという声については、後に答えます)
日本の政府や電力会社・財界は、「日本はエネルギーに乏しい国」を口癖のように言っています。乏しいのは「化石燃料」です。自然エネルギーに目を転じると日本は世界でも有数の恵まれた国です。(次回に続く)