検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

飛行機から見た成層圏

2012年02月29日 | 温暖化問題
ジェット機のはるか下に雲があり、その上に雲はありません。飛行機は雲一つない空を飛んでいます。成層圏では雲が発生しませんから飛行機は成層圏を飛んでいると言えます。(雲の合間に見えるのは海です)

 空の色に注目すると地上で見る空色と違い、紫になっています。成層圏は対流圏と比べて浮遊物質が少ないこと、水蒸気濃度が稀薄であるため空の色は紫色になります。
 浮遊物質や水蒸気が多い対流圏では太陽光線の短い波長が当たって、散乱する割合が多くなります。ただ浮遊物質(粉塵や水滴、排ガス)が多いと空は白っぽく見えます。春かすみは黄砂飛来が主な原因です。

大気の対流活動はごく狭い範囲

2012年02月28日 | 温暖化問題

 地球の大気は対流圏、成層圏、中間圏、電離層(熱圏)の4つに区分されています。雲や風は対流圏で発生します。その高度は赤道付近が一番高く、約1万8000m、日本付近は約1万2000m、極地では約8000mです。(季節によって変動する)
 図左の赤線は温度です。対流圏では高度が上がると共に温度は下がるため大気は不安定で対流が起こります。しかし成層圏との境目から温度上昇は止まり、高度とともにやや温度を増しながら、3万m付近から気温は急上昇します。このため成層圏では対流活動は起こりません。(最近の研究で起こることが分かり、気象研究の大きなテーマになっています)
 右の雲は成層圏まで成長した積乱雲が上昇を阻まれ、行き場がなくなって横に広がってできた絹雲です。
 ジェット機雲は低気圧接近(天気下り坂)のときによく発生します。ですから飛行機雲が発生すると雲が増え、雨になる可能性が大きいです(降らないこともあります)。また飛行高度は成層圏との境界付近が多いのでジェット機雲が見えるとそこが対流圏の上部と考えてよいと思います。
 地球は半径6,378kmの楕円球体です。対流圏の平均高度を13kmと仮定し、地球をサッカーボールに例えると対流圏はサッカーボールにガムテープを張った厚さです。そう見ると地球の大気活動はごく狭い範囲で発生しているといえますがとんでもない豪雨や暴風、寒波、大雪などをもたらすのです。

春夏秋冬がやってくる仕組み

2012年02月27日 | 温暖化問題

 写真上は地球儀です。地球の地軸は太陽との軌道面に対して23.3度傾いているのを表しています。日本の春夏秋冬、太陽の光を受ける様子です。真ん中の太い線は赤道です。地球はこの姿勢で太陽のまわりを1年かけてまわっています。光を受ける量に違いがあるため地球の北半球が夏のとき、南半球は冬になります。
 
 下図は気象庁の全球赤外線画像の日の出と日の入り、夏至と冬至です。白い部分は太陽光が当たっている部分です。この写真で重要なポイントは黒い部分です。黒い部分は太陽の光を浴びていないだけではありません。熱が宇宙に逃げているのです。
 黒い部分は、1日の太陽から受ける熱より逃げる熱の方が多いため、日数を経るごとに平均気温が下がり夏から冬になります。そして再び、冬から夏に向かいます。その中間が春と秋です。日本の春夏秋冬は地球が傾いて、太陽を1年かけて回っているために起こる周期的現象なのです。

飛行機に乗ると頭をかけめぐるもの

2012年02月26日 | つぶやき
 飛行機に乗って空港周辺、関東の市街地を眼下に見るといつも「すごい」と思います。
 びっしり埋まった住宅とビル群、帯になって走る車。夜景は特に壮観です。下界は光のじゅうたんです。臨海工業地帯もオレンジ色に輝き浮かび上がっています。
 毎日、ものすごいエネルギーを消費し、ものすごい量の食べ物を1日3回、食べています。それが繰り返されていることに驚きます。
 快晴の日、飛行機から下界を観察するのが好きです。気づくのは山が多いことです。平地は山から広がった扇状地がほとんどでそこに建物がぎっしり埋まっています。建物群は道路に沿って山の中に伸びています。そこに見えるすべての人たちが毎日、3回食事をしているのです。ものすごい量だと思います。

 建物群をみながら水田などの耕作地を探します。しかしあまり目につきません。 日本人が食べる食料の多くは輸入に依存しているのですがもし食料輸入の歯車が狂ったら、食料価格は高騰すると思います。それでも輸入をすれば食料輸出国の食料価格が高騰して現地の人たちが大変なことになります。苦しむのは常に弱者です。
 飛行機に乗ると、そんなことがとりとめなく頭をかけめぐるのです。

二酸化炭素がなぜ温室効果ガスになるのか

2012年02月25日 | 温暖化問題
 温室効果ガスには5種類あります。二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)、一酸化二窒素(N2O)、ハイドロフルオロカーボン類(HFC)、パーフルオロカーボン類(PFC)、六フッ化硫黄(SF6)
 水蒸気(H20)は上記5種類よりもはるかに大きな温室効果をもっていますが地球上に存在する量は不変であるため気温変動の監視物質にはなっていません。
 5種類の中で二酸化炭素は全体の95%を占めるため増加による影響は特に大きいので排出量削減が重視されているのです。

二酸化炭素が温室効果ガスになる仕組み
 これを理解するのは物理とは縁遠い仕事をしている者には難題です。要点は分子の結合には距離があり、この距離が伸びたり縮んだりする分子(CO2など)と変化しない分子(O2など)があります。変化しない分子は温室効果ガスになりません。
 CO2の分子の結合距離は地球の地表から放射された赤外線の波長と一致(相性がよい)します。そのため地表から宇宙に向けて放射された赤外線は大気に存在するCO2にキャッチされます。同時に分子間振動(電気双極子モーメントの変化)が起こり、この振動でとりついた赤外線ははじき飛ばされ、地表に向かいます。(CO2の結合は元の形に戻る/フックの法則)
 宇宙に放出された太陽エネルギーが再び地表に戻るわけです。これがCO2が温室効果を発揮する仕組みです。ですから大気中にCO2が増えるとこの効果が高まるので地球の表面温度はどんどん上昇するわけです。
 CO2は4種類の挙動モードをもっています。(図出典:琉球大学HP)



自然エネがつくる社会の姿

2012年02月24日 | 原子力発電の再稼働

図出典:国交省「世界各国の降水量」

自然エネがつくる社会は経済停滞から抜け出す
 美しい地球を美しいまま、子や孫、未来の子どもたち、地球のすべての生物に渡したい。そのために温室効果ガス排出を抑えなければいけない。
 「日本はエネルギーに乏しい国」という。何をして「乏しい」というのでしょうか。ばくぜんとわかったような気持ちできたように思います。しかし温暖化問題に関心を持ち、勉強すると日本は年間降水量が世界3位だということを知りました。そして写真を撮ったり散歩したりする畑を改めて見ると水路がないことに気づきました。
 水田地帯には水路があるのですが畑地帯には水路はありません。しかし四季折々、さまざまな作物が植えつけられ、収穫しています。日本に降る雨の年間降水量は約1800mmです。この降水量は世界第3位です。(上の図参照)

 川は私たちのすぐそばにあり、山は木でおおわれています。四方を海に取り囲まれています。日本は化石燃料は少ないですが多様な自然エネルギーに恵まれた国です。この自然資源に着目すれば日本は「エネルギー豊かな国」です。
 化石燃料の場合、代金は産油国に行ってしまいます。しかし地域資源を利用すると、お金は地域に落ち、お金の地域循環が起こります。
 自然エネはローテク技術が生かされますから中小企業が参入できる分野です。製造・保守・管理の多様な分野を中小企業がになうことができますから地域に新規企業と新規雇用が生まれます。脱原発、脱火力発電で自然エネルギーに舵をきる社会は内需が増え、国民所得が増えて、経済停滞から抜け出すのです。

 以上は脱原発、脱火力発電がめざす社会の姿です。そこにむけてすすむためには脱原発、脱火力発電になぜ舵を切らないといけないのか。そもそも論をしっかりすることだと思います。
 その素材を提供する気持ちで、第2章「美しい地球を未来に伝えるために」を次回から始めます。


温暖化問題は火力発電問題

2012年02月23日 | 原子力発電の再稼働

図は環境省HPより引用
 気温が上昇すると気象がダイナミックになるのは物理法則にのっとった現象です。その気温上昇をもたらしているのは石炭、石油、天然ガスの化石燃料の燃焼による二酸化炭素の増大です。もしこのまま燃焼をつづければ地球温度は21世紀末までに平均気温が最大で6.4℃上昇するとIPCC報告書(気候変動に関する政府間パネル)は予測しています。

 平均気温の上昇が1.5~2℃を超えると、生物種の20~30%は絶滅の危機に瀕し、2~3℃を超えて上昇すると、毎年洪水被害に遭う人が数百万人にのぼるといわれています。
 そこで強調されているのが2020年までに気温上昇を2℃以内に抑えることです。その場合、二酸化炭素の濃度を445~490ppm(2005年379 ppm)にする必要があります。これを実現するために火力発電の抑制が大きな課題になっています。

 日本では電力10社の火力発電から出る二酸化炭素の排出量は全体の33%(2009年)を占めます(図の38%は熱事業者など5%を含んだ数値)。
 一気とはいきませんが計画的に減らす取り組みに着手することが大変重要なのです。排出源が10社と限られているので集中対策がとりやすい。問題は国と電力会社のやる気。やらせるのは国民の声、世論だと思っています。

脱原発、脱火力発電を主張する理由

2012年02月22日 | 24年夏の電力需給問題
 暮らしと命の安心・安全、地球温暖化防止を考えると原子力発電と火力発電は廃止するのが一番よいからです。脱原発、脱火力発電の理由はこれに尽きます。
 しかし、原子力発電がすべて停止すると「電力不足が起こる」。そうなると「企業の海外移転が起こる」と言う評論家が相変わらずテレビに登場します。この心配は無用です。火力発電の稼働率を上げ、「節電」をすすめることで電力はまかなえます。この場合、問題は二酸化炭素の排出量が増え、発電単価が上がることです。

発電単価の上昇要因
 火力発電の燃料費は原発の燃料費より高いの火力発電で発電するとどうしても発電コストは高くなります。しかしこの場合も原子力発電が発電していた量のすべてが火力発電で代替することにはなりません。「節電」による電力需要の減少があるからです。さらに火力で供給した電力は販売していますから発生する燃料費の増加分は差額分についてだけです。(電力会社は全量の燃料費を言っていますがこれは水増しです)
 第2点は、原子力発電を停止しても維持・管理、人件費などに費用はかかるためです。

発電単価の上昇はこれにとどまらない
 自然エネルギーの比重を高めるには電力会社による自然エネ発電所建設も必要です。その場合、新規事業費が発生します。自然エネの発電価格は火力発電と比して高コストであるため電力単価は高くなります。こうした問題を理解して、どう脱原発、脱火力発電を実現するか。自然エネでまかなう場合、この解決と展望を説明できることが大事だと思っています。


火力発電は資源浪費の典型

2012年02月21日 | 24年夏の電力需給問題
 火力発電は化石燃料(一次エネルギー)を燃焼させて蒸気をつくり、蒸気の力でタービンを回して電気を作ります。電気になるのは一次エネルギーの約4割、6割は蒸気のまま大気や海に放出されます。
 そしてこの電気で私たちはお湯をわかします。考えると電気事業の熱効率が悪く資源を浪費しています。
 地球環境を汚染し、温暖化を加速させる火力発電はめざす未来エネルギーにはなりません。

火力発電からも撤退する

2012年02月20日 | 24年夏の電力需給問題

上「日本のエネルギー2010」下「電気事業連合会」より

 化石燃料は限りある資源、地球温暖化の元凶です。石炭は天然ガスの2倍、石油より3割多くの二酸化炭素を排出します。しかし日本は石炭は「安い」ことから火力発電の燃料を石油から石炭に移してきました。その結果、電気事業者は二酸化炭素排出量を削減どころか増やしています。地球温暖化防止をかんがえると火力発電からも撤退するのが一番、よい選択です。