検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

おおい町財政の特徴

2013年12月30日 | 検証・電力システム
  上のグラフ・表はおおい町と滋賀・竜王町、埼玉・長瀞町の固定資産税、地方交付税、国・県支出金の実額(単位千円)です。竜王町の町人口は1万2千人、おおい町8千600人、長瀞町は7千9百人(いずれも22年国勢調査)。
 竜王町がおおい町より4千人多いのですが、おおい町の3つの歳入合計は竜王町の2.1倍、長瀞町の3.1倍です。しかし国・県支出金を見るとおおい町は竜王町の5.2倍、長瀞町の6倍です。「支出金」とは、国・県からの補助金や交付金などですが「電源立地地域交付金」は、この支出金に含まれています。「電源立地地域交付金」の使途は公表されています。
 おおい町も暦年「電源立地地域交付金事業評価報告書」をHPで公表しています。最新の「報告書」は平成23年度。その報告書を整理したのが今回の資料です。

48事業を実施、充当割合は85%
 おおい町が「電源立地地域交付金」で実施した事業は48事業にのぼり、内訳は表の通りです。25億7800万円の事業費のうち、21億8200万円を「電源立地地域交付金」で充当し、充当割合は85%です。 
  一方、竜王町や長瀞町に原発は立地していませんから「電源立地地域交付金」はありません。単純に比較してもそれだけの違いがあり、おおい町はいろいろな事業ができます。原発から入る固定資産税も巨額です。しかし固定資産税は減価償却資産ですから年々減少します。「電源立地地域交付金」は原発が廃炉にならない限り、毎年交付されます。しかも金額は固定資産税に匹敵する金額です。この「交付税」はとても魅力です。だがアリ地獄に似たワナがあります。

 (1月15日まで正月休みします。またのご訪問、お願いします)

電源立地地域対策交付金について

2013年12月27日 | 検証・電力システム
  上の見出し言葉は資源エネルギー庁パンフ「電源立地制度の概要」23年度版の一節です。原発を建設するため国はお金で建設容認の自治体をつくってきました。

 日本の行財政は国が握っています。税収も国税収入が地方税収入を圧倒的に上回り、地方自治体の税収は予算の3割程度です。一方、医療・福祉事業、上下水道、清掃や町道整備など地方自治体負担の事業が幅広くあり、市町村税収だけではとてもまかなえません。
 事業は国や県の補助100%事業以外できないところは少なくありません。そうした自治体の多くで少子高齢化、過疎化に打つ手を欠き、集落消滅が生まれています。

 電力会社はそうした地域・自治体を見つけて、地域振興、営業補償、寄付の話をします。国は上記に紹介した「原子力発電所が建設される市町村等には、電源立地地域交付金等による財源効果がもたらされます」の話を持ち出します。

 そうしたやり方で国と電力会社は日本各地に原発を林立させました。ひとたび建設を容認すると「電源立地地域交付金」は増設までも受け入れさせます。なぜそうなるのでしょうか。
 次回、おおい町の場合を見ます。

原発のある町の小学校

2013年12月26日 | 検証・電力システム
 写真上は大島半島にある大島小学校です。児童数は少ないので校舎もこじんまりしていますがおしゃれなRC造りです。大島半島はへき地といってよい地域です。

 今、中山間地を訪問すると廃校、閉校になった小中学校に数多く出合います。下の写真。私が住む所から電車で1時間ほどの埼玉・東秩父村、分校はすべて廃校。廃校になるのは分校だけではありません、小学校そのものが閉校になっています。高知・梼原町に行った時、中学校は1つに統合され、通学できない生徒は宿舎生活をしているとの話を聞きました。
文科省の学校教育基本統計によると小中学校の分校数は下記のように激減しています。
  憲法26条は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」「2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。」と定めています。

 分校はどこに暮らしていても「ひとしく教育を受ける権利」を保障するために作られた学校です。それが「財政」効率化で廃校する。地域から学校がなくなると子育て世代はいなくなり、過疎に拍車がかかり、高齢化も急速に進みます。

 そうしたことが日本各地で当たり前のように起こっている中で、原発がある自治体は別格。原発を受け入れた見返りです。地域の過疎化をすすめ、暮らしの不便な地域を大量に作り出す一方、原発を受け入れる自治体に対しては別格の交付金、補助や寄付をして原発を建設する。そのお金の出どころは電気料金。名目は電源の安定確保。毎月月支払う電気料金の中に、原発建設や原発立地自治体に対する特別交付金が入っていることを知っている人はほとんどいません。
 私のブログを訪問して頂いているみなさん。ご存知だしたか?

大飯原発のある風景

2013年12月25日 | 検証・電力システム
 大飯原発には「青戸の大橋」(下記)を渡ります。橋は原発を建設するために造られました。  
  橋によって大島半島は便利になりました。それ自体は半島で暮らす人たちにとって大きな喜びです。半島は北半分がおおい町、南半分は高浜町。旧大飯町時代、車で大飯町役場に行くためには海岸線に沿って高浜町を通り超して、ぐるっと大回りしなければいけませんでした。それが橋によって大幅に短縮されました。当然、経済効果もあがり、地価も上がりました。

 橋の先に見えるのが大島半島。山の稜線に大飯原発から延びる巨大な高圧電線が走っています。半島は山地です。平地は海岸の入り江に少しあるだけ。海に沿った道をしばらく走ると小さな漁港と集落が見えます。大島漁港です。  
  新しい感じの形の良い家並みが山すそに沿って建っています。関西電力は原発建設の認可を取るため、大島漁業協同組合と漁業補償の覚書を交わします。その漁業補償が家の改装、改築費用の一部になったと思うのですが新しい家がまとまって建っています。原発進出によって暮らしはやはり良くなったのです。

 漁港に係留された漁船はどれも小型船です。小浜湾内と沿岸で漁をする船のように思います。山の稜線を見ると原発の高圧送電線が走っています。イカ釣り漁船と集漁灯ごしの原発送電線、巨大です。  
  しかしこの電線の電力は地元とは無縁です。漁船を越え、山を越え、町を越え、北陸電力の営業地域を越え、関西電力の管内で使われます。原発立地の自治体に、日本のゆがんだ電力、エネルギー行政のすべてがあります。

 この問題、もう少し見ます。次回、小学校です。

おおい町の今

2013年12月24日 | 検証・電力システム
 前号に続いて、今回もおおい町の施設紹介です。下の建物は「里山文化交流センター」。その下は「プレーパーク大飯」。いわゆる運動グランド施設。推測で言ってはいけないのでしょうが、雰囲気から見ると、このグランドも海を埋め立てて造ったように思います。右奥に見える橋は1973年にできた「青戸の大橋」。大飯原発を建造する道路確保のために造られました。  
 下の写真は大飯原発の近くにある「あかぐり海釣り公園」。  
  対岸右に見えるのは小浜市の突端です。小浜市中心からおおい町まで陸路(国道)で行くと20km以上ありますが海で見ると、小浜市とおおい町は目と鼻の先。だが小浜市は原発立地自治体ではないので原発立地について、無関係者扱い。関連交付金の対象になりません。次回は大島半島の集落と原発の巨大送電網。


おおい町の今、立派な施設群2

2013年12月20日 | 検証・電力システム
今回紹介する施設は大飯原発を造るためにつくった「青戸の大橋」のたもとに海を埋めてつくった町の複合リゾート造成地に建っている建物です。造成面積は21.8ha(約21町歩)と大変広大です。ここに現在建っている建物は4つ。前号でその内の1つ福井県「こども家族館」を紹介しました。

 今回の施設は「うみんぴあ大飯」。いわゆる道の駅、今年5月にオープン、今もテナント募集中です。ということは店舗を埋まっていないということです。 その下の建物は関西電力の原発宣伝の施設「エルガイアおおい」、2008年開館です。
   次の上の写真は同じ造成地にあるホテルと「おおいの湯」(温泉施設)です。  
  この他にあるのは「うみんぴあ大飯マリーナ」(おおい町の指定管理者が管理・運営)。 
  約21町歩の造成地にあるのはこの4つだけです。造成地の現在状況は下記の衛星写真と地図の通りです。進出企業を募集中ですが、なかなか埋まらないようです。 

おおい町の今、立派な施設群1

2013年12月19日 | 検証・電力システム
 危険な原発を受け入れた代償として国と電力会社は立地自治体にお金をバラマキます。そのお金で自治体は公共施設を次々建てます。おおい町に建てられた施設群を見ます。  
  最初に紹介するのは「交流センターしーまいる」と「こども家族館」とです。しーまいるの入り口で来訪者を迎えるのは6メートル以上はあると思う鮮やかな色のタイやハマチが踊る門柱。この建物には多目的ホール、室内運動棟があります。  
  もう1つは「こども家族館」。写真の通り立派です。そして玄関脇に写真のような立像。おじいちゃん、おばあちゃんと若夫婦の家族。赤ちゃんを抱き、孫を抱き、犬もいます。

 いいもの、素晴らしいもの、他にないものを追求して出来たのだと思います。いいですね。素晴らしいと思います。すべての自治体でこういうものができるといいですね・・・・・。施設紹介は次回もつづきます。

大飯原発は廃炉しかない

2013年12月18日 | 検証・電力システム
 日本は地震国です。前回も少し触れましたがもう少し詳しく、日本の地震活動を見ましょう。 
  日本には図1のようなさまざまな構造線が走っています。そしてこの構造線以外に活断層が図2のようにあります。しかし地震は活断層以外のところで頻発しています。若狭周辺には活断層が少ないようにみえますが地震は図3のように発生しています。若狭湾も結構、多発してます。とにかく日本は地震が頻繁に発生しています。地震によって断層が発生し、破砕帯が生まれます。大飯原発の周辺は破砕帯がいっぱいあることが分かっています。図4

 地球の地殻活動で生まれた日本、大飯原発はそうした地殻活動の地盤の上に立っています。断層や破砕帯はいつどこに発生するか分かりません。人間の構造物など地球活動から見ればちっぽけなものです。ちょっとした地殻変動で破壊され、経年劣化で崩壊します。

 最終処分に20万年もかかります。処分地がどうなるか、地震国の日本に安全を保証できる場所はありません。そんなものを作り続けるのは未来の子どもたち、後世に禍根を残すだけです。

 大飯原発は再稼動してはいけない。停まった今がチャンスです。このまま廃炉にし、ドイツなどが進めている自然エネルギーで必要な電力・エネルギーをまかなうようにする。この声をあげ続ける、これが本当に大切だと思います。

原発建設は無謀で無責任

2013年12月17日 | 検証・電力システム
 日本列島周辺では「太平洋」「北アメリカ」「ユーラシア」「フィリピン海」の4枚のプレート(岩盤)がぶつかり合い、境目でもぐり込みと乗り上げる地殻活動が行われています。    その境目に出来ているのが日本海溝、伊豆・小笠原海溝や小笠原諸島海溝です。それに沿って走るのが南海トラフ、相模トラフなどで火山はプレート同士の摩擦で生まれたマグマが圧力に耐え切れず、地表に押し出されたのが火山活動です。またひずみがはじけたとき、発生するのが地震であり、津波です。    図は地震活動が多い地域を表しています。いずれもプレートがぶつかり合う場所ですが日本はとりわけ活動が活発で発生する地震規模も大きいことが分かります。
 地球は地殻運動を起こして常に変化しています。その活動がもっとも激しいのが日本、その日本に原発を建設するのは無謀で無責任です。

おおい町職員の1人当たり町民数、他町比較

2013年12月16日 | 検証・電力システム
   表は各町職員の1人当たり町民数です。町民人口を職員数で割った値です。おおい町の1人当たり町民数はもっとも少なく、竜王町はおおい町の2.4倍です。職員が少ないのは住民サービスがどうなっているのかと思います。

 下段のグラフは医療・福祉の従事者を65歳人口で割った値です。おおい町の割合がもっとも少なく、長瀞町はもっとも高いです。この数値だけで言えば、おおい町の医療・福祉体制は一番良いといえます。

 話を「3町の産業構成」に戻しますがこの産業構成は国勢調査に基づく数値です。「公務」の項を見るとおおい町に246人います。一方、総務省統計の行政職員は130人ですからおおい町には行政職員の倍近い「公務員」が暮らしているといえます。

 おおい町で暮らしているおおい町職員でない「公務員」とはどんな人たちなのでしょ。沢山の人が入っているのですが、どんな仕事をしているのでしょうか。またこの「公務員」は住民登録をしているのかただ住んでいるだけなのか。ただ住んでいるだけであれば町に税収が入りません。そんなこともちょっと気になります。