検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

ナタネ梅雨と日本の農林業

2012年03月12日 | 気象測定と観察
 関東は3月9日朝から10日夕方まで冷たい雨が降りつづきました。春先の典型的なナタネ梅雨です。
 この時、地球の雲をみたのが4つの全球衛星画像です。

 日本の南海上の太平洋は高気圧が発達して、勢力を北に広げ、シベリア寒気団と日本付近で衝突。このために大気が不安定になって雲が発生、雨を降らせてました。
 一方、インドとアラビア半島、アフリカは雲がありません。
雲が発生しているところと発生していないところがあります。その中で、日本は地球の中でも雲がよく発生し、よく雨がふるところです。

 ふたつ目の天気図は9日9時から10日3時の変化です。太平洋高気圧とシベリア高気圧の勢力が同程度のためほとんど変化がありません。南の海上から暖かく水分の多い大気が次々、日本に流れ込んで水分を補給し続けたのでいつまでも日本は雨がふりました。
 しかしこの雨は植物にとって芽吹きの雨です。いっせいにつぼみをふくらませます。春野菜は生長を早めます。
 雨に恵まれている日本は、農業国として世界に貢献できる条件を持っている国です。その国の農林業が衰え、輸入農産物があふれているのはどう考えても異常です。


水が気体から液体に変わる瞬間を簡単に観察する方法

2012年03月11日 | 気象測定と観察
 水が気体から液体に変化する時の温度、湿度を市販の温度計、湿度計で計測することは不可能です。しかし気体から液体に変わる瞬間を観察することは簡単にできますし、その変化する温度、湿度をおよそ計測することはできます。
変化する瞬間を観察する方法として

 夏、コップに氷水を注ぐとコップ外側が一瞬にして曇ります。あるいは冬、ストーブを炊くと窓ガラスが曇ります。これはコップの周りの空気(気体)が冷たい氷水(低温)と接触して一瞬に飽和水蒸気圧に達して液体(水滴)になったのです。

 この状態は人間の目には「くもった」状態としか見えません。しかしその「くもり」の一つ一つは水滴なのです。人間の目では認識できない小さな水滴は時間とともに融合・結合して水滴は成長、やがて人間の目にも水滴とわかる大きさになります。
 氷水の温度と室温を計測することで気体が液体に変化する温度差をおよそつかむことができます。この場合、コップの水をいろいろな水温にすることで水が気体から液体に変化する温度差をつかむことができます。

 ガラスコップにできた「くもり」の一つ一つは水滴、でも人間の目でみるのは不可能です。ちなみに水滴として人間の目に見えるようになるには、気体から液体になった時の100万倍だといわれています。
温度差が大きいほど気体から液体になる時間は早く、水滴の量は多くなることを確認できます。

冬、日本海側が豪雪になる理由を高層気象データでみる

2012年03月10日 | 気象測定と観察
 前回は館野と輪島の高層温度の変化を見ました。今回は同じ日の高層湿度の変化です。
 館野の湿度は高度1600㍍まで80%以下、湿度が100%を記録したのは2100㍍から2700㍍の間で気温はマイナス9℃です。日本海から山を越えて押し寄せてきた寒気が太平洋に流れ込み、新たに発生した積雲だと思います。雨を降らせる雲ではありません。

 一方、輪島は140㍍から湿度は80%を越え、500㍍から1700㍍まで90%を越えています。そして一旦、下がり2300㍍付近で90%になるとその後、湿度は急下降します。これは雪を降らせている雲の上はカラカラで雲一つない青空ということです。
 日本海の冬の雲は大体、こうした背の低い雲。重く垂れ下がった雲が特徴です。こうした低い雲ができるのは、前号、気温でみた「逆転層」によってもたらされています。

 この逆転層は大陸からの冷たい寒気が相対的に暖かい日本海に流入することで発生します。温度の違いが大きいほど逆転層が発生しやすくなり、豪雪をもたらすのです。

日本海側と太平洋側では気象現象に大きな違い

2012年03月09日 | 気象測定と観察
  図は今年2月8日、太平洋側(茨城・館野)と日本海側(石川・輪島)で観測された高層気温です。
 8日は日本海側で記録的な降雪があった日、太平洋側は冬晴れの天気でした。

 館野の高層気温は高度4000㍍までゆるやかに下がっています。一方輪島の気温は高度4000㍍まで気温の下がり方は急激です。そして5000㍍付近で気温が上昇します。さらに1万㍍手前でも気温が逆転します。

 このことから輪島に雪をもたらした雲の雲頂はせいぜい4000㍍どまり。それより上に雲はありません。

 冬、日本海に発生する雲は背が低く、上層は下層より暖かい層があります。この層を逆転層と呼ばれています。雲の背が低いから日本海側の山にぶつかって麓に雪を降らせ、山越えした大気は乾燥するので太平洋側は冬晴れになります。

 これも日本の位置と地形による日本独特の気象現象です。
これを湿度変化で見ると、もっと違いがわかります。次回へ

日本が台風の通り道になる理由

2012年03月08日 | 気象測定と観察
台風の発生
赤道では北半球と南半球の貿易風がぶつかり合います。ぶつかった空気は海中に潜り込むことはできませんから上に押し上げられます。押し上げられると上昇流が生まれます。大気の温度は上空にいく程、低いため海面付近の暖かい空気はどんどん上昇します。
ある高度まで上昇すると水蒸気(気体)でいることができず液体(水滴)に変化します。ちょうど結露と同じ現象が大気の上空で発生するのです。気体から液体に変化して現れるのが雲です。
雲は海面から次々と水蒸気の補給を受けると大きく成長し、熱帯低気圧になる雲が生まれます。熱帯低気圧は反時計周りの渦を持ちますから反時計周りの上昇流が強まります。周りから暖かく湿った空気がどんどん流れ込み、成長したのが台風です。

日本が台風の通り道になる理由
一方、夏の太平洋には発達した高気圧があります。高気圧は時計回りで空気は吐き出しています。
日本に近づいた台風はこの高気圧のへりに沿って、誘導されて北上します。高気圧との絶妙のタイアップが生まれ、台風が日本に接近、上陸するのです。
この時、日本近海の海水温度が28℃以上あると台風は勢力を拡大しつづけて日本に接近します。
温度が高くなると、台風が巨大化するのはそのためです。

台風と秋雨前線
そして台風の進行方向に前線が停滞していると前線に台風の湿ったあたたかい空気を大量に補給するので大変な雨を降らせます。日本の台風は秋雨前線が発生する頃に接近するため、降る雨の量も多いのです。
 秋雨前線は冷たい大陸高気圧が成長して南下、暖かい太平洋高気圧と日本付近でぶつかることで起きる大気の収束によって発生する現象です。(日本は亜熱帯収束帯が発生する場所に位置している)

条件が変わると温度が低くても水蒸気量は多い

2012年03月06日 | 気象測定と観察

 前回、やかんの湯気は川霧より水蒸気量(水分)は多いといいました。上記写真の右、 1,700m山の麓は晴れ、山頂は冷たい雨粒まじりの濃霧。やかんの湯気と比べると水蒸気量は明らかに高いです。しかしやかんの湯気と比べると暖かくありません。冷たいです。

 現象は違いますがいずれも物理法則にもとづく変化です。気象現象は物理的に解明され、気象衛星で解析しています。その技術向上で気象予報の精度は格段に向上しています。
 しかし雨がどこにどれだけ降るか、地点を特定した予測はまだできません。

 気象の影響をうける仕事をしている人は天気情報を参考にして、自分のところの気象を予想できる力をつけることは今も必要です。


やかんの湯気と川霧から見える異常気象のメカニズム

2012年03月04日 | 気象測定と観察

 やかんの湯気を見慣れている人が川霧に始めて出合うと恐らく「????」と思うのではないでしょうか。かく言うわたしがそうでした。
「どうして冷たい水から湯気が出るの?」
 湯気はお風呂からも立ち昇るし蒸気機関車からはモクモク噴き出します。湯気とか蒸気は暖かいお湯、熱いお湯から出るものだと思っています。それなのに寒い朝、冷たい川から湯気が立ち昇るのは?????

 写真のやかんの湯気と川霧、水の変化としてはまったく同じです。共に水蒸気(気体)から液体(水滴)に変化しています。そしてたちまた消滅するのも同じです。
 共通しているは温度と湿度の変化、大きく違うのは含んでいる水の量です。温度が高いやかんの湯気は多く、温度が低い川霧は少ないです。温度が異常気象のメカニズムを解くキーワードです。

本を読んだだけでは分からない気象現象

2012年03月03日 | 気象測定と観察
 環境と温暖化問題に取り組んで痛感したのは、本を読んでも分からないことだらけ。とっつきやすいが取り組むと難しい分野です。

 例えば、川霧。気象関係の本を読むと「霧」の種類と発生のメカニズムが写真と共に説明されています。そして別のページで水蒸気が水滴になるメカニズムと計算式も載っています。これを勉強すると川霧は温度と湿度の変化で発生したり発生しなかつたりすることは理解できます。

 だが実際の川ではどのような気象変化で川霧が発生するのか。本はそこまで書いていません。川をみていると川霧が発生する日と発生しない朝があります。体感温度としてはそれほど違いません。その違いはおそらく微妙な違いだろうと思いますが気象現象としては大きく違います。そこで正確に温度、湿度、気圧を測ることにしました。

 川霧の発生と消滅は水が気体(水蒸気)から液体(水滴)に変化し、あるいはその逆に変化することですから雲の発生メカニズムと同じです。

 雲ははるかかなたの頭上で発生し、消滅しますから測定することはできません。しかし川霧は発生渦中に身を置いて温度、湿度、気圧変化を測定できます。何回も何日も川霧の測定・観察をすることになりました。これは霜柱や露の場合も同じでした。1回、2回の測定では分からないことがいっぱいあったし、回数を重ねることでデーターは信頼を増すからです。