検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

贈賄で成り立ってきた原子力発電(連載20-20)

2012年04月08日 | 温暖化問題

原発は闇の金が飛び交う世界、暗黒街、裏の世界
 原子力発電がからむ黒い事件は数知ずあります。その根源になっているのが国の原子力予算です。電気料金から毎月徴収している電源開発促進税は原発推進のためのお金です。上図表は23年度に使われている原子力関係のお金です。

 原発を建設するために財政力が乏しい自治体にねらいをつけ、「良くしたい」「良くなりたい」気持ちにつけ込んで、お金をちらつけます。ねらいを定めると首長選挙で息のかかった人間を当選させる。お金をばらまいて。
 謀略、懐柔、買収、陰謀、差別、いじめ、排除、贈賄。合法、非合法、闇の金が飛び交います。これは地元だけではありません。大学教授には研究費、官僚には天下りと高給のポスト。原発賛成、推進勢力を二重三重に作ってきました。権謀術数なんでもありが原子力発電の世界です。

 そうして原発を54基も作り、今回の福島第一原発を起こしました。最先端の科学といいながら、実は科学を排除してきた結果が招いた史上最大の人災事故です。



目標を大幅に下まわる原発の設備利用率(連載20-19)

2012年04月07日 | 温暖化問題
  原子力発電所は増設したのにCO2排出量が減らなかった原因は原発利用率(稼働率)の低下です。上図
 国・電力会社の利用率目標は85%以上です。ところが建設以来、85%を超えたことは一度もありません。それどころか2000年以降、利用率は大幅に下落しています。
事故やトラブル、データーねつぞう発覚で運転停止がひんぱつしたためです。

 原子力発電は地球温暖化防止の切り札になるどころか、逆に温室効果ガスを増やす役割を果たしたのです。(稼働率の低下を火力発電でまかなう。その結果、CO2排出量を増加させた)
 そして象徴が福島第一原発事故は最悪の事態を作りました。あの事故で定期検査に入った原発の再稼働は世間が許さなくなりました。その穴埋めに火力発電をフル稼動することになった結果、CO2を猛烈に排出しているのです。
 原発の稼働率が激しく変動し、不安定なのは未完の技術だからです。致命的な欠陥は「とめる、冷やす、閉じ込める」ことができない設備であること(福島第一原発事故の最大の教訓)です。
 本来は実証試験の段階でしかない技術をごまかし、実用を強行したのです。その手段としたのが札束のバラマキでした。

原子力発電所は増えたがCO2排出量は減らなかった(連載20-18)

2012年04月06日 | 温暖化問題
  温室効果ガスの削減は、原子力発電を増設する目的の一つです。
 京都議定書の基準年は1990年、この時の原子力発電所の数は39基でした。翌91年に41基、92年42基、93年46基と増やしつづけ97年は52基になりました。それから2010年までの推移をあらわしたのが上図です。
 一方、CO2の排出量はどうなったのかをみたのが「電気事業者のCO2輩出量」です。2008年、2009年に減少しています。これはリーマンショックによる経済の落ち込みによる影響です。全体の傾向としてCO2排出量は増加しています。
 原発は増えたのに、CO2はなぜ減らなかったか。次回

電力の電源別、設備容量の割合、日本と世界(連載20-17)

2012年04月05日 | 温暖化問題
グラフは米国、フランス、ドイツ、イギリス、スウェーデン、日本についてみた電力の電源別構成割合です(資料出所:米・BP社のエネルギー統計)。
 米国は原発を一番多く持っている国ですが、総量で見る割合は少なく、フランスの原発(38%)に占める割合は大きいことが分かります。スウェーデンは化石燃料の使用が多いが二酸化炭素の排出が多い石炭の使用は少なく、天然ガスが最も多いことが分かります。
 日本の原発割合は約20%です。割合はスウェーデンとほぼ同じです。

 このグラフから、間違いなく言えるのは、世界は電力を化石燃料に依存していることです。そしてその使用量が増えていること。これを抜本的に変えなければ温室効果ガスの排出は減らすことはできません。

 となるとこれは大変な決意・覚悟で取り組まなければいけない事業です。

注・設備力に稼働時間を掛けると時間あたりの発電電力量になります。太陽光発電は昼間の稼働で夜は稼働しません。風力は風が弱いと稼働しません。自然エネルギーの稼働率・発電力は火力、原発と比べると少ないです。この効率をいかにアップさせるか、技術開発が必要です。

二酸化炭素排出量を減らしている国、増やしている国(連載20-16)

2012年04月04日 | 温暖化問題
 二酸化炭素排出量を増やしている国(2009年度:米CDIAC)
 グラフは一次エネルギーの種類別消費量です。グラフが小さいので見づらいと思いますが、黒い実線は合計です。中国、インドは急カーブで増え、アメリカ、日本も増えています。
 排出量が減っている国
 ドイツ、フランス、イギリス、スウェーデンは排出量を減らしています。増やしている国と減らしている国があります。このグラフでは原発の発電総量に占める割合がわかりません。
 次回、各国の原発が発電電力量に占める割合をみます。

温室効果ガス排出量削減、日本は何をしてきたのか(2010年度)(連載20-15)

2012年04月03日 | 温暖化問題
 
2010年度(平成22 年度)の「日本の温室効果ガス排出量」と京都議定書目標の達成状況は上図の通りです。(環境省「京都議定書目標達成計画の進捗状況」23年12月20日発表)
2010年度の排出量は12 億5,600万トン(二酸化炭素換)で、京都議定書の規定による基準年の総排出量(12 億6,100 万トン)から0.4%(500 万トン)の減少となっています。しかし前年度と比べると3.9%(4,700 万トン)の増加です。

 国は、2010 年度の温室効果ガス排出量が前年度と比べて排出量が増加したのは、2008年に発生したリーマンショック後の景気後退からの回復の中で、製造業等の活動量の増加に伴い産業部門からの排出量が増えたこと、猛暑厳冬により電力消費が増加したことなどをあげています。

 だが日本が世界に約束し、義務を負っているのは基準年(1990年)の排出量から6%削減です。0.4%の削減ではこれまで何をしてきたのか。取り組みに問題があったのではないのか。疑問がわきます。特に、日本は原発を温室効果ガス削減の切り札にして54基も建設・稼動してきました。それだけの原発を稼動させて、なぜ温室効果ガスを0.4%しか削減できなかったのでしょう。

2℃以内におさえることはできる(連載20-14)

2012年04月02日 | 温暖化問題
 各国が速やかに対策を講じれば、世界の温室効果ガス排出量を、2020年までにピークを経て減少へと転じさせ、世界平均気温の上昇幅を2℃以内に抑えられる可能性は未だ残されていること。早急に対策を講じることは、環境的にも経済的にも合理的だとOECDは言っています。

  その方法として世界的に炭素価格制度を導入すれば、2050年の温室効果ガス排出量を基本シナリオの場合より約70%削減できること。温室効果ガス濃度を450ppmに抑制することが可能であるといいます。
この際、経済成長率は年率平均0.2ポイント押し下げられ、2050年の世界GDPは5.5%程度下がりますが、これは何も対策を講じない場合に発生する被害額に比べればはるかに小さいといいます(上の図)。

  何も対策を講じない場合には、被害は人口1人当たりの世界の平均消費の14%にも上がる。
また、BRIICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、インドネシア、中国、南アフリカ)で大気汚染が減少すれば、実益は、対策コストの10倍になる可能性があり、発展途上国における安全な水と衛生設備への投資は、7対1という高い費用対効果を得ることができると試算。先進国によるBRIICS諸国と発展途上国に対する投資・援助の重要性に言及しています。(京都メカニズム「クリーン開発メカニズム(CDM)・共同実施(JI)」)
  ところで日本の取り組みはどうなっていたのでしょうか。検証が必要です。次回

破壊的な気候変動が起こる可能性がある(連載20-13)

2012年04月01日 | 温暖化問題
「エネルギー関連のCO2排出量が70%増加することが主な原因となり2050年、世界の温室効果ガス排出量は50%増加し、より破壊的な気候変動が起こる可能性がある」と警告するOECD(経済開発協力機構)。
 OECDが2012年3月、OECD Environmental Outlook to 2050(『OECD環境アウトルック2050』)で発表したその内容は

 ➀大気中の温室効果ガス濃度は2050年までに685ppmに達する可能性がある。
 ②その結果、今世紀末までの世界平均気温の上昇幅は産業革命前と比べ3~6度となり、気温上昇を2度以内に抑えるという国際目標を超える見込み。
だといいます。
 そして増加が著しいのは、BRIICS(注1)と米国および欧州連合の先進国(日本も含む)が大きな割合を占めていると言っています。(上の図)

そうした状況に手を打たなければどうなるのか。
 迅速に排出削減策を講じなければ、世界平均気温の上昇幅を2度以内に抑えるのは難しい。国連気候変動枠組条約第16回締約国会議(COP16)のカンクン合意にて各国が誓約した温室効果ガス緩和策では難しいという、
 気温の上昇幅が2℃を超えると、地球上の降水パターンが変化し、氷河や永久凍土層の融解が進み、海水面は上昇し、異常気象が頻発するであろう。その結果、人間と生態系は適応できなくなるといいます。
 しかしこの予想は改善できるといいます。 (注1=BRIICS:ブラジル、ロシア、インド、インドネシア、中国、南アフリカ)

増え続ける化石燃料、1985年から2010年の推移(連載20-12)

2012年03月31日 | 温暖化問題
 当連載9で1850年から2010年の二酸化炭素排出量の推移をSDIAC資料で見ました。
 今回は米・BP社(ブリティッシュ・ペトロリアム会社)のエネルギー統計から世界のエネルギー消費の1985年から2010年の推移を見ます。
 下から石油、天然ガス、原発、水力、再生可能エネルギー、石炭です。エネルギー需給が一貫して増加しています。2008年から2009年に少し落ち込んでいるのはリーマンショックによる景気後退による影響で、2010年には一転して増えています。
 増え続けエネルギー需要、このまま推移すると大変なことになります。2050年にはどうなるのか。OECDがシュミレーションに基づいて2050年までの予測をしました。次回




二酸化炭素排出量を国民一人当たりで見ると(連載20-11)

2012年03月30日 | 温暖化問題
 前回は国別の排出量を見ました。これを国民一人当たりで見たのが上図です。
統計の国数は215カ国です。
 国としての排出量、ダントツの中国ですが、一人当たりで見ると少ないです。排出量上位を占めるのは産油国です。
 このように排出量を国単位で見る場合と一人当たりで見る場合ではずいぶん違います。さらに歴史的に見れば、現在の二酸化炭素濃度の上昇は日本を含む先進国がこれまでさんざん排出してきたからです。
 これを不問にして、現在の排出量だけを問題にすることはできません。
しかし、このまま排出を続けると温室効果ガス濃度は確実に上昇します。違いを乗り越えて、いかに排出削減をするか。
 そのためにも温室効果ガスが増えるとどうなるのか。その基礎をしっかり理解することが大切。これを少しでも推進したいと思って発信しているのが当ブログです。
 この先、まだ続きます。引き続き、ご訪問ください。