検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

深紺の山をみつめて思う 連載小説298

2013年05月27日 | 第2部-小説
「この天気は、なんだろう」
 将太は急に暑くなった天気に温度計をみながらつぶやいた。窓を開けた部屋の温度計は19℃を示していた。占部町は標高約300mにある。気象庁の予報では県庁所在地の最高気温は21℃だという。昨日は20℃だった。今年の冬は、例年にない寒波と降雪が繰り返し襲った。庁舎の梅のふくらみは例年になく遅れ、つぼみは固いままだったが気温が一転するとつぼみは一気にふくらんだ。ふくらんだのは嬉しいが温度変化があまりにも激しいと思う。

 窓の景色を見た。山の木々は冬枯れのままで寒々していた。しかし田の畦は冬を越した草と芽吹き始めた草が競演をして青々と彩られていた。
「農家は春野菜の植え付けを始めるだろう。遅霜被害が起こらなければいいが」と将太は胸の内でつぶやいた。

 地球温暖化は確実にすすんでいる。海面上昇は二酸化炭素排出量を半分に削減したとしても止められない。それは温暖化によって海水温度があがって体積が膨張しているからだ。さらにやっかいなことは膨張をはじめた海は海水に溶けていた二酸化炭素を大気に放出するから大気中の二酸化炭素濃度はさらに増える。それは地球温暖化をさらに加速させることを意味する。

 人類が未来永劫、生き続けるために地球温度を保つことは極めて重要だ。化石燃料の使用を減らさなければいけない。低炭素化社会にしなければ、サスナビリティ(持続可能)な社会はむずかしい。
 「あの山の木をエネルギーにする」
 将太は深紺に染まる眼前の山々をみつめて決意を新たにした。
今日の夜、町長と「占部町まちおこしたい」との懇談が予定されていた。