検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

役所勤め、見習い中 連載小説285

2013年05月11日 | 第2部-小説
 いきさつを聞いた大平町長は「ご苦労をかけます。そういうことは少しも知らなかったもので、でもこれからはそういうこともざっくばらんに言ってよ。この部屋では仲間として話をしましょうよ」
「町長、それは違います。ここは公の場です。けじめをつけないと噂が立ちます」
「うわさ?」
「そうです。一番こわいのは噂です。奥の院の仲良しグループと言われます」

「分かりました。私も注意します。ところで先ほどの件ですが3月議会への提案は副町長の方で案を作っていただけるのですか」「はい、その手配は冨田室長にお願いして、考えてもらっています。冨田さん、いつまでにできますか?」
「設置場所として町所有の遊休地にすることで提案し、議会の承認を得てから場所設定の調査になろうかと思います。従いまして、現段階では、場所は未定ということになると思います」
「いや、それは困ります」

 大平町長は将太の説明をさえぎるように言った。将太は説明が止まった。
「議会には今後、変更はあるかも分からないとして、現段階の予定地は可能な限り、出してほしいです」
「分かりました」
 松本が答えた。将太は役所の仕事は初めてだ。松本という人間がいなかったら自分も公平もとても勤まらないと思った。始まったばかりの役所仕事、今日は冷や汗のかき通しだった。

「以上の通りであります」
 3月議会の施政方針、大平町長は太陽光発電パネルの設置について、将太が起案した通りの内容を提案した。将太は「想定問答メモ」を作って議員質問に備えていた。しかし、質問はだれからも出なかった。将太は気落ちしてしまった。