検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

ギュッシング町―インターネットで検索  小説165

2012年11月29日 | 第2部-小説
  ウィーンからギュッシング町まで約140kmだという。行程の3分の2は自動車専用道(アウトバーン)、残りは一般道路だという。将太は今回の視察旅行にあたって、山崎から事前に送られてきた旅行日程にあった訪問先とホテルの住所・電話からGoogleの地図検索で事前調べをしていた。

 それによるとギュッシングはハンガリーと接した国境の町で、鉄道や自動車専用道はなく、川らしい川もなかった。地図を拡大すると森林と畑が広大に広がり、建物は道路にそって、日本的に言えば、宿場町のように連なっていたが戸数は1つの集落で100戸もない。比較的パラパラと点在していた。さらに拡大すると町はギュッシング城を中心、円形に形成され、役場、病院、学校、ホテル、公園、スポーツ施設が集積していた。だがその規模は小さい。建物も200戸程度と思われた。

 パソコンに浮かび上がった町をみて、「小さい町だ」と思った。そして工場はどこに集積しているか探した。
 場所はすぐにわかった。泊まる予定のホテルの住所で地図検索したその場所こそ、工場集積地だと思った。そう思ったのは、それ以外、工場らしい場所はなかったからだ。その場所だけが長方形の建物がいくつも建っていた。しかし工場規模はそれほど大きくはない。最も大きいと思われる工場の敷地は1万平方km(100×100)程度だった。

 オーストリアでは従業員500人までを中小企業と規定している。敷地規模から見て大企業はなく、中小企業のようだが確かなことは分からない。いずれも10年ほどの間に進出してきた企業ばかりだ。それ以前のギュッシングには工場はなかった。働く場所がないので町の人は町外に働き口を探し、町は高齢者の町だったという。
 それが木質バイオマスを利用した地域暖房と発電で町の様相は一変。ギュッシングに多くの企業が進出してきたのだ。

(注・川のように見えるのは川でなく道路です。この鳥瞰図には12町村が載っています)