検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

放射線被曝は確実に人体をむしばむ 連載小説146

2012年11月06日 | 第2部-小説
  生物は自分の遺伝子を複製して子孫に伝える。そしてその生殖細胞のDNAは図のように転写されて保存され、子孫に引き継がれる。このDNAが放射線で傷つけられると傷害(突然変異)は次の世代へと受け継がれることがわかっている。

 その危険度は放射線量の強度(量)によって決まる。強い放射線量を浴びると生命を奪われる。なんらかの影響を受ける恐れがある範囲として線引きされ立ち入り禁止区域にしたのが20kmだ。2011年3月22日、東京・金町浄水場で1キログラムあたり210ベクレルの放射性ヨウ素が検出された。これは乳児の基準値100ベクレルを超えていた(乳児以外は300ベクレルが基準値)。ヨウ素は甲状腺に集まる特徴あり、甲状腺被曝による甲状腺機能障害が起こる。チェリノブイル原子力発電の事故では幼児に大きな放射線障害が起きた。

 ではDNAは大丈夫なのか。放射線量がDNAを傷つけて親の変化が子孫に伝わるのか。放射線被曝による世代的影響は動物実験では証明されているがヒトでは広島・長崎の原爆被爆者の子ども調査、チェルノブイリ原発事故による影響研究でも明確に示されていない。
だから心配は無用とはならない。遺伝子の突然変異の世代的影響を検証するのはサンプル数においても調査可能な人数、事例について困難であるからだ。そして学会はデーターが少ないことを大きな理由に「有意な結果はみられない」として放射線被曝による遺伝子の世代的影響を認知していない。

 だがチェリノブイリに近い、放射線量が高い地域に暮らす人は大人も子ども健康障害を持つ割合が高い。「ただちに人体に影響を与える」ことはなかったが20年後、放射能は確実に体をむしばみつづけ、ガンを発症して亡くなる人を多く生み出している。
原子力発電推進の中で人の命は軽い。それを正直に見せたのも福島第一原発事故だと将太は思う。
>(図・ウイキペディアより)