検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

自動販売機、コンビニ、家がない街  連載小説157

2012年11月19日 | 第2部-小説
 オーストリア・ウィーン空港には午後5時前についた。日本時間に直すと夜の11時だ。外はまだ明るい。感覚的には日本と変わらない。オーストリアは北海道より緯度が高いから日本により日没が早く、夜明けが遅い。だから午後4時には陽が落ちると思っていたがそうではなかつた。
 空港には大平公平の友人・山崎肇が迎えにきていた。公平が山崎の姿を発見するのと山崎が公平を発見するのとはほぼ同時だった。
 「やあ」
 「やあ」と言葉を交わすと、山崎が車を止めている駐車場に向かった。ホテルには40分ほど走る。高速道路(アウトバーン)に沿って森林がどこまでも続いていた。晩秋の景色だった。

 街の景色を眺めていた将太は日本のような高層ビルがまったくないと思った。市内に入ると日本との違いは歴然としていた。建物はすべて石造りで6階以上の建物はなかった。電柱・電線がなく自動販売機もなかった。ネオンが極端に少なく、控え目であった。コンビニもなかった。住宅らしい家もない。目に飛び込む建物は会社のビルのような建物群ばかりだった。日本ではビルとビルの間に家や商店がある。ウィーンの街にはそうした風景はまったくない。景観規制が徹底していると聞いている。決めたことは徹底して守る国だと思った。