検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

国の原発事故対応が見せたもの 連載小説147

2012年11月07日 | 第2部-小説
   図は文部科学省が管理・運用としているSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)がとらえた福島第一原発の水素爆発による放射能の拡散情報だ。放射能は図の通りに拡散した。ところがこの情報はまつたく生かされず政府は福島第一原発から半径20kmを避難区域に指定。住民は指示にしたがって避難した。ところが避難したところは高濃度汚染地域だった。

 2012年10月16日、国際赤十字(本部ジュネーブ)は「世界災害報告書2012」を公表。この中で東京電力の福島第一原発の事故を、「科学技術の事故によって(住民が)移住させられた、人道危機だ」と位置づけた。だが日本政府と関係者にこのような真摯な反省の言葉は聞こえてこない。
 また気象庁も放射能拡散の情報を持っていた。だがこの拡散情報を住民避難に役立てる意識はゼロだった。さらに国は情報収集衛星も保有しているがこの衛星の情報が対策に生かされた報道はいっさいない。情報衛星は導入以来8200億円が投入されてきた。情報収集衛星は「大規模災害対応」をも目的にして開発・運用しているがその映像が東北大震災、福島第一原発事故対策に生かされた形跡がないのは許されないことだと思う。

 いま振り返ってみると国は住民・国民を守るために必死になったとは到底思えないと将太は思う。そしてこの体質は今後、改まるとも到底思えない。この国は国民の命を軽くみている。それは会社に天下ってきた経済産業省の元官僚・野本ともダブるのだった。社員と協力会社を簡単に整理・解雇してベトナムに移転する。すべては会社のためというが会社はだれのためにあるのか。社員と家族を幸せにして共に生きる。その考えを喪失して海外移転に走る会社と原発再稼動を主張する声は人間を軽んじていると将太は思う。