検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

遊具が高濃度汚染されていた  連載小説150

2012年11月10日 | 第2部-小説
   文部科学省の航空機モニタリングによる線量調査で福島原発から250キロメートル以上離れた関東も放射能汚染されていることが明らかになった。将太はその汚染の実態を知りたいと思った。そう思ったのは汚染は均一でなくふぞろい、マチマチであり、場所により数値が違うからだ。それは降雨を見ると理解できる。雨は面的に一様に降るのではない。雲により、強く降るところと晴れているところがある。放射能汚染はその影響を受ける。汚染実態、特徴を知るには測定するのが早い。

 将太が測定した場所は群馬県。文部科学省のモニタリングでは汚染数値は低い場所だった。市街地を測定した。数値はおおむね0.1マイクロシーベルトだった。思ったより低いと思った。次に山に向かった。そこはキャンプ場にもなつている。測定を場所を変えて実施した。0.2マイクロシーベルトになった。市街地よりも高い。さらに場所を変え、遊具の手すりに測定器を置いてスイッチを入れた。ピ、ピ、ピと音が鳴り響いた。警戒音だ。数値は0.3マイクロシーベルトを示していた。

 文部科学省の数値を超える汚染だった。自分が住む場所、生活する場所がどうなっているのか実測して正確に知る。行政は知らせることが必要だ。将太が測定した場所の自治体は数値が高い場所の除染をしていた。表土を剝ぎ、地中を掘り下げて汚染度を埋めてきれいにする。保育所や学校の給食食材はすべて検査して「不検出」を確認している。この取り組みが延々とつづく。それが放射能汚染の恐ろしさだった。