検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

エネルギー自給率100%の町・ギュッシング  連載小説153

2012年11月14日 | 第2部-小説
  自宅に戻ると待ちかねたように将太の携帯がなった。公平からだった。
「来月、初旬から10日間、時間とれますか」
 公平は用件をいわずいきなり将太の都合をきいた。
「予定はないですが、何か急用でも・・・・」
「オーストリア、ドイツの件です」
「視察の件、まとまりましたか?」
「ええ、友人から連絡があり、来月、大丈夫だそうです」
「そうか、それは良かった。じゃすぐ飛行機の手配をしなくちゃ」
「それは私の方でまとめて手配します。じゃ、すすめますから」

 公平は用件を確認すると電話を切った。忙しいようだ。
 将太は公平と占部林業の貝田に森林・林業に着目して地域暖房やバイオガス化で発電と合成燃料を作り出して地域の熱と電気の需要を100%達成しているというオーストリア・ギュッシング町に視察に行こうと提案していた。
 公平の友人がオーストリア・ウインにいることがわかり、手配を頼むことになった。
その返事が届いたのだ。

 将太はこれまでに国内の再生可能エネルギーの先進的な取り組みを調べ、これはと思うところには現地を訪問して見てきた。素晴らしい取り組みはあったが町・村全体として電気・熱を自給自足しているところはなかった。
 ところがオーストリア・ギュッシング町は正真正銘、100%を達成しているという。それも10年以上も前に達成していたのだ。