検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

コインを調達する-公衆トイレ  小説160

2012年11月22日 | 第2部-小説
  将太がまず思ったのはコインを手に入れることだった。日本で円をユーロに両替したが両替は紙幣だけで2ユーロ以下のコインは両替できない。オーストリアやドイツの公衆トイレは有料だ。高速道路(アウトバーン)は大体70セント、その他で50セントが必要。

 さてどうするかホテルで両替するというが両替料金が高いとガイドブックに書いてあった。小銭を両替するのに手数料を取られてはかなわない。しかし小銭の両替で本当に手数料を取るのだろうか。手数料とまでいわなくとも何かを頼めばチップを払うのがマナーだとも書いてあった。
 「チェンジ コイン」
 将太は5ユーロ紙幣をフロント係に出して言った。
「オッケ」といいながら、ドイツ語でなにやらいっているが将太は相手が何をいっているのかまったく分からない。
だが「ヤー」と応えた。

 「ヤー」はドイツ語で「はい」の意味だ。
 するとフロント係はコインをカウンターに並べて、将太に1つ、1つ差し出した。
2ユーロコインが一枚、1ユーロコインが2枚、50セントコインが4枚だった。
 「サンキュ、ダンケ シェ」
 するとフロント係もニッコリ笑った。東洋人のドイツ語も英語も分からない旅行客応対に慣れているようだと思った。
 しかし将太は初めて手にしたコインだった。これでトイレに急に行きたくなって大丈夫だ。そして心配した手数料は取られなかったしチップを払うこともなかった。

(写真*ドイツ・ミュンヘン地下街の最新トイレ)