検証・電力システムに関する改革方針

「自然エネルギーですべての電力をまかなう町」の第2部です。

原発事故は終息していない 連載小説149

2012年11月09日 | 第2部-小説
  福島第一原発の原子炉が次々と水素爆発してすでに1年半が過ぎている。しかし事故は終わっていない。今、放射能を大気に放出し続けているし、冷却水が消えている。それは地中に漏れているからだ。そして内部の様子はいまだに分からない。
 この先、どうなるのかだれも分からない。そして重要なことは住み慣れた我が家に帰れない人が沢山いること。家や土地が汚染されて仕事ができない人がいる。

  それは警戒区域だけではない。放射能汚染は福島だけでなく、宮城、岩手のほか、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川に及んでいる。将太が住む埼玉で最近、鹿肉がセシウムに高濃度汚染されていることが分かり、販売禁止になった。鹿肉料理で生計を立てている人がいる。鹿肉が売れないとなると猟師は鹿を仕留めないだろう。売れない鹿を撃っては弾代がもったいない。その結果、鹿は繁殖して山は荒れるに違いない。畑の作物も食い荒らされ、農業が成り立たなくなるだろう。台風は通過すれば収まる。

  しかし放射能汚染が数十年単位で続く。福島第一原発事故の被害は今どうなっているのだろう。将太は放射線測定器をもって福島から200キロメートル離れた関東の山間地に向かった。