幼なじみから一枚のハガキが届いた。
彼女がこれを書いたのは、5月29日。
10日かけてタンザニアから東京までを旅して来たということになる。
アフリカからの郵便はもっと時間がかかるものだと思っていた。
勿論これは私の勝手な思い込みで、世界は私が思っているよりも狭いらしい。
けれども、「これでもか!」というほど力強く押されて裏まで食い込んだ消印や、ところどころ曲がった縁や、写真に写ったマサイ族の背中にあるひっかき傷が、長旅を物語っていた。
彼女が暮らす家には、不安定ながら電気も水道も来ているらしい。
けれども、ネット環境については触れられていなかったので、多分ないのだろうと思う。
文字通り”ペンを執って”返信をすることになる。
文字に近況を託すのは久しぶりのはずだけれど、彼女との連絡に関してはそんな気がしない。
小学生の時には交換日記で(これがクラスの男子に読まれて物議をかもした事もあった)、私が引っ越した中学以降は手紙でやり取りをした。
彼女の生き方や文章はいつも私を元気づけ、勇気づけてくれたし、それは今でも変わらない。
タンザニアに届くハガキは何がいいのだろう?
純日本風、癒し系、なごみ系、笑えるモノ・・・いろいろ考えた末に選んだのは「紫陽花」。
藤城清治さんの作品で、彼の作品展に行った別の友人からその昔に頂いたものだ。
このハガキが当時の私に元気をくれたように、梅雨の香りが彼女に届けばと願う。