「ちょっと待て! こっちの方が早いぞッ! 葵!」コンクール会場から走って行こうとする葵を追ってきた公平が呼び止め、タクシーに乗るよう促した。乗り込む葵。「お前、金有るのか?」公平に問われるが、財布を持ってなかった葵。聞いた公平もロクに持ち合わせてなかったので一緒に追って来た七海が札を出した。「ちゃんと返してよ」「ありがとう。東京駅までお願いします」タクシーが出ると、公平と七海は「頑張れぇ!」「頑張れぇッ!」と応援して見送っていた。
富山に着いたあかりは漁港を通り、かつて実家の造船所が有った場所を訪れていた。「行ってきまーすっ」ちょうど、浴衣を来た子供達が出てゆくところだった。「余り遅くならないでねぇ」母親らしい人が出てきた。造船所の建物は仏壇屋になっていた。「何か?」「あ、いえ、大丈夫です」母親と目が合い話し掛けられると、あかりはそそくさとその場を去った。それから高校へ向かったあかりは廃校になったことを知った。人気の無い敷地へ入り、閉ざされた校舎には入れなかったが昔を思い浮かべるあかり。学校近くの並木道を歩いて去ろうとしたが一度、振り返った。
橋で翔太があかりを待っていると、「来ると思ってたよ」葵が現れた。「あかりに会いに来た」「葵?」あかりも橋まで来ていた。翔太を真っ直ぐ見る葵。「あかりと話がしたいんだ。花火が始まるまででいい、時間くれないか?」葵を見る翔太は軽く笑みを浮かべた。「俺もさぁ、この辺久し振りだから少し回りたいと思ってたんだ」翔太は自分から立ち去っていった。
「あんなとこにカフェできたんだね」あかりは葵と街の川辺を歩いていた。「富山に新幹線が通る何て思ってなかったよね?」「ああ、東京って凄い遠い所だと思っていた」「あたしも、7年も経つとさぁ、色々変わっちゃうだね」川を見るあかり。「家に行ったの。
2に続く
富山に着いたあかりは漁港を通り、かつて実家の造船所が有った場所を訪れていた。「行ってきまーすっ」ちょうど、浴衣を来た子供達が出てゆくところだった。「余り遅くならないでねぇ」母親らしい人が出てきた。造船所の建物は仏壇屋になっていた。「何か?」「あ、いえ、大丈夫です」母親と目が合い話し掛けられると、あかりはそそくさとその場を去った。それから高校へ向かったあかりは廃校になったことを知った。人気の無い敷地へ入り、閉ざされた校舎には入れなかったが昔を思い浮かべるあかり。学校近くの並木道を歩いて去ろうとしたが一度、振り返った。
橋で翔太があかりを待っていると、「来ると思ってたよ」葵が現れた。「あかりに会いに来た」「葵?」あかりも橋まで来ていた。翔太を真っ直ぐ見る葵。「あかりと話がしたいんだ。花火が始まるまででいい、時間くれないか?」葵を見る翔太は軽く笑みを浮かべた。「俺もさぁ、この辺久し振りだから少し回りたいと思ってたんだ」翔太は自分から立ち去っていった。
「あんなとこにカフェできたんだね」あかりは葵と街の川辺を歩いていた。「富山に新幹線が通る何て思ってなかったよね?」「ああ、東京って凄い遠い所だと思っていた」「あたしも、7年も経つとさぁ、色々変わっちゃうだね」川を見るあかり。「家に行ったの。
2に続く