羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

探偵の探偵 1

2015-09-04 20:48:51 | 日記
澤柳菜々に殺されたとみられる男の妹から、かつて阿比留の探偵社からもたらされた調査報告書を手に入れた玲奈は報告書を宛名が書かれ、切手も貼られた封筒に入れ、閉じた。資料にあった高校の卒業アルバムの澤柳菜々の写真は存外凡庸な容姿をしていた。妹の家を出ると長谷部が待ち構えていた。「手荷物を見せて下さい」玲奈の鞄から先程閉じた封筒を取り出す長谷部。「中身は?」「仕事の書類、これで満足?」玲奈は封筒を取り返し、琴葉と共に去った。投函の用意の整った封筒を職質で開けると違法になる為、長谷部には手出しできなかった。
同じ頃、須磨と桐島は中央調査業協会の臨時役員会に出席していた。過激過ぎる玲奈の対探偵課のでも活動が問題になっていた。竹内調査事務所社長の竹内も参加していた。「まるで関知をしておりません」須磨は惚けたが、当然通用はしない様子だった。調査業者は警察の監督下にあり、警察と揉め、また窪塚まで死なせた玲奈は明らかに範囲を越えていた。
スマ・リサーチ社では伊根が須磨が役員会に呼び出しを喰らい、桐島まで付き合っていることに不満を漏らしながら、土井、佐伯とランチを食べに社外に出てくるところだったが、タイミングよくDV被害者の市村凜が加害者の沼園に追われて現れた! 屋外で張っていた長谷部も目撃していた。社内では玲奈と琴葉が澤柳の身辺を洗っていたが高校時代の澤柳は見立たず、誰も覚えていなかった。加齢や整形があったとしても目の間の距離等、変えられない人相もある。玲奈もこれまでの業務で見た覚えの無い顔だった。
と、ここで伊根が凜を保護して社内に戻って来た! 沼園は土井と佐伯が追っていた。「あなた市村凜さんですよね?」沼園は誰にも知らせていない凜の引越し先に突然現れたという。玲奈は介抱を琴葉に任せ、沼園を追った。GPSで位置を確認すると自転車で先回りし、
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探偵の探偵 2

2015-09-04 20:48:42 | 日記
沼園の前に出る玲奈!「どけぇッ!」ナイフで襲い掛かってくる沼園! 避けて、蹴りでナイフを叩き落とし、続けて横蹴りで沼園をフェンスに吹っ飛ばす玲奈! 1度掴んで放られるがすぐに肘打ちと膝蹴りで反撃し、攻撃を避け肘を連打し、アスファルトに投げ付けてのし掛かる玲奈!「澤柳菜々から連絡があったでしょう?」スマホを奪おうとすると、投げ返される玲奈! 沼園はナイフを拾い上げた!「邪魔すんじゃねぇ!」そこへ佐伯が飛び込み、沼園のナイフを奪おうとした。揉み合いの中、撥ね飛ばした拍子に佐伯の腕を浅く切る沼園! これに、沼園は意外に驚き土井が走ってくると、走り去って行った。「佐伯さんお願いします」玲奈は佐伯を土井に任せ、GPS表示画面の地図からこの先が行き止まりであることを確認し、沼園を追った。だが、行き止まりの工事の囲いの作業員用ドアから沼園は逃れていた。
「素人が偶然見付けたとは思えない」沼園は明らかに逃走経路を指示されていた。「待て、そもそも何で沼園の居場所がわかった?」土井がもっともな指摘をした。「土井さん達が追っていてくれたから」玲奈は土井と佐伯のスマホのGPSから場所を割り出していた!「今まで監視してたのかよっ」「対探偵課だから」伊根達は呆れたが、「ありがとう」玲奈は佐伯に礼を言ってあたふたさせてさっさと自分の席に戻ってしまった。
凜の資料を確認する玲奈。凜は14歳の頃に性的暴行を受け、妊娠流産していた。「逆らわないことがさらなる被害を防ぐと、誤った価値観を身に付けてしまった」険しい表情の玲奈。一方、玲奈のことで吊し上げを受けてる須磨は「むしろ提案させて頂きたい。皆様の会社でも、対探偵課を発足させてみてはいかがかと?」と言い出し、役員会は騒然となった。だが竹内だけは笑い、面白がった。「弊社の対探偵課が、スマ・リサーチさんの探偵について
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探偵の探偵 3

2015-09-04 20:48:22 | 日記
違法性を見抜くこともある訳だ」「ええ、無論その逆も」「うーん、いいでしょう。弊社でも対探偵課を作ります。協会としても加盟各社に対探偵課の設立を推奨しましょう。スマ・リサーチさんに違法性があると思うなら、各社の対探偵課が総力を上げて潰しに掛かればいい! それとも、対探偵課が増えることで、何か不都合でも?」竹内の問いに、役員達はおし黙った。協会は対探偵課の設立を一転推奨することになった。ただし、澤柳菜々については雲隠れを警戒し、須磨は公表はしなかった。「対探偵課を設けたところで、彼らは自ら危険は犯さない、紗崎と違ってな」須磨は帰りに桐島に語った。
事情を聞くと、凜は玲奈から手紙とブックボックスを受け取ったと言い出した。現物を見るとスマ・リサーチの封筒に入れられ、消印も会社のある渋谷区だった。「何か、トラブルがあったらいつでも連絡していいって、そこに書いてあったので」「こんなの書いた覚えが無い」手紙には目を合わす機会も無かったと書かれていたが、事件時、玲奈は凜の目をまじまじと見ており、殉職して特進した窪塚の階級をそのまま書かれていた。事件の詳細もボカされており、その場にいない人間が書いたように読めた。何より、玲奈は書きも送りもしていなかった。また封筒は凜の以前の勤め先に送られており、例え居場所を知らなくても荷物は凜の元に届いていた。
玲奈はオフィスに戻るとブックボックスを叩き壊し、中のGPSを取り出した。佐伯が手に取り、「バッテリーが90日持つ高級品だ、素人じゃないなぁ。送り主は?」と聞いてきた。「死神」答える玲奈。他の被害者も同じ手口でGPSが送られており、処分するよう伝えた玲奈は佐伯からGPSを取り、踏み潰した!「準備して、当分ここへは戻らない」凜を連れ、琴葉を促す玲奈。「待て、どこへゆくんだ?」
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探偵の探偵 4

2015-09-04 20:48:11 | 日記
土井達がオフィスの出入り口辺りまで来た。凜に送られたスマ・リサーチの封筒を差し出す玲奈。ロゴ入りの封筒は社長の許可無しでは取り扱えない。玲奈は社内を疑っていた。
スマ・リサーチから出ると長谷部が寄ってきた。「沼園は捕まえたんですか?」「今、緊急配備を敷いて追ってる」「そう」玲奈は通り過ぎ、凜に事情を聞こうとする長谷部だったが「答える必要ありません」と琴葉にガードされ、それでも粘ろうとしていると船瀬から淀野が檜池と同じ方法で殺されたと知らせが入った!
帰社した須磨が使用された封筒と使われた記録は残っていないことを土井達から知らされ、説明を求めらている頃、玲奈はごみ袋をあさって中身を販売する違法業者から手に入れた住民票と印鑑証明、生命保険の契約書を入手し、保証人代行サービスの会社に頼んで余剰物件の一軒家を借りていた。印鑑はガムとペンとハトロン紙? を使って偽造した。玲奈は琴葉と凜に鍵を差されないよう、鍵の取っ手を斜めすることと、チャイムを使わないこと、ノックは5回すること、鍵自体持ち出さないこと等を指示し、凜にスマホを1台与えた。
「紗崎さんは、迷わない人ですね。私とは違う」「なぜ、あんな人と結婚したんですか?」「段々と暴力を振るわれるようになって、その内、婚姻届けに名前を書くように言われて、おかしいと思うでしょうが私にとってこれが普通何です」「強制された結婚なら双方の同意無しに離婚が成立します」「シェルターでもそう指導されました。でも、ダメ何です」沼園を恐れている様子の凜。「全てが終わったら、離婚についても援助します」玲奈は居場所を教えている探偵がいることも告げ、琴葉は必ずその探偵を見付けると励ました。「あの時の刑事さん、私、助けられた意味あったんでしょうか?」凜は涙を溢した。
須磨は伊根達に
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探偵の探偵 5

2015-09-04 20:48:01 | 日記
悪徳業者の撲滅の為、玲奈を利用していることを認めた。しかし、「紗崎を邪魔する者は、許さない。ようやく死神にたどり着こうとしている。誰にもその邪魔はさせない」とも宣言していた。
「澤柳菜々、誰何だこの女?」竹内は部下の児玉から渡された澤柳菜々の資料に戸惑った。家裁の不備を見付けたと、弁護士から澤柳に関する身辺の書類が一式無くなり所在も掴めないことを聞き、どうも家裁に恩を売る為にタダ働きで追ってるらしい。竹内も児玉も死神の件とは全く別ルートで澤柳菜々に近付きつつあった。
玲奈は凜の眠る隠れ家から、一人出掛けようとしていた。「死神は明らかに私を挑発している。それを逆手に取ればいい」玲奈はわざと治安の悪い地域で実名と職場まで名乗って部屋を借り、家出人対策等でそういった地域の不動産を常時監視している探偵業者を介して死神に知らせ、迎え撃つつもりだった。程無く、沼園も澤柳菜々から待ち合わせのメールを受け、坂東は須磨から『女探偵』というヒントを得ていた。
「男? そんな訳ないでしょ?」児玉は澤柳菜々らしい人物を見掛けたハローワーク職員から話を聞いていた。それは『男』だったという。職員は弟か兄じゃないか等と言い出す。「戸籍を押さえてんだ、澤柳菜々は一人っ子で間違いない」「いや、似てるんですよ」児玉は職員と問答したが、ラチが開かない。澤柳菜々本人は今日ハローワークに予約を入れていた。児玉が、高校の卒業写真を見直していると、澤柳菜々が現れた! 華奢な男のような格好だが、澤柳だった。「澤柳さん? あなた、澤柳菜々さんですよね?」児玉が問うと、澤柳は児玉を突き飛ばし、逃げ出した!「ちょっと待って!」自転車で逃げてゆく澤柳の振り返った姿を児玉は咄嗟にスマホのカメラで撮影した。「どーなってんだよ、これ?」
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