エトワールの長髪が解けた。目を見開くアルスラーン。自分に決意させた、いつかの娘だった。「殺したのはお前か?!」「自ら命を絶たれた」「嘘だッ! うああッ!!」エトワールは剣を手にアルスラーンに襲い掛かった。剣を抜いて受け、慌ててかわすアルスラーン。「私を欺き続けたばかりか、大切な人までも奪った! 絶対にっ、許さないっ!!」涙ぐんで壁までアルスラーンを弾くエトワール。さらに突きを打つが、アルスラーンは床に転げて避けた。エトワールは剣を振り上げた。「うおおおっ!!」止めを刺そうとするエトワール! しかし、矢が二人の間に撃ち込まれ、「殿下!」ファランギースが手勢と共に部屋に突入してきた。ファランギースは短剣でエトワールを剣ごと払い、壁に叩き付け、床に倒した。「殺すなっ!」アルスラーンが制し、暴れるエトワールは生け捕りにされた。
程無く、聖マヌエル城は陥落した。自害が相次いだこともあり、城の生存者は僅かな傷病者と投降者のみだった。アルスラーンはこれを庇護するよう命じた。また姿の見えないダリューンを探したアルスラーンは、中庭の水場で倒れ込んでいるのを見付けた。「ダリューン!」「殿下、面目ございませぬ。討ち損じてしまいました」「お主が無事ならそれでよい」「殿下も」二人は互いの無事に安堵した。
食糧庫では、穀類の搬入口から悲鳴を上げてアルフリードが落ちてきていた。駆け寄るナルサス。「ぷはっ」穀類から顔を出すアルフリード、頬のゾット族の化粧が取れ掛かっていた。「アルフリード」「あたしどうなったの? あっ、生きてる!」突入隊で生きて見付かったのは今のところアルフリードだけ。笑ってしまうナルサスだった。
ダリューンがジャスワントに手当てされキシュワードにも気遣われ、のんびり麦酒を呑むクバードにファランギースが感心する中、アルスラーンは牢のエトワールの元を訪れていた。
2に続く
程無く、聖マヌエル城は陥落した。自害が相次いだこともあり、城の生存者は僅かな傷病者と投降者のみだった。アルスラーンはこれを庇護するよう命じた。また姿の見えないダリューンを探したアルスラーンは、中庭の水場で倒れ込んでいるのを見付けた。「ダリューン!」「殿下、面目ございませぬ。討ち損じてしまいました」「お主が無事ならそれでよい」「殿下も」二人は互いの無事に安堵した。
食糧庫では、穀類の搬入口から悲鳴を上げてアルフリードが落ちてきていた。駆け寄るナルサス。「ぷはっ」穀類から顔を出すアルフリード、頬のゾット族の化粧が取れ掛かっていた。「アルフリード」「あたしどうなったの? あっ、生きてる!」突入隊で生きて見付かったのは今のところアルフリードだけ。笑ってしまうナルサスだった。
ダリューンがジャスワントに手当てされキシュワードにも気遣われ、のんびり麦酒を呑むクバードにファランギースが感心する中、アルスラーンは牢のエトワールの元を訪れていた。
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