秋の箱根

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先日友人から、入院してる友人の具合がよくないと連絡があったので



急きょ、お見舞いに行きました。







一緒に行く友人とも２０年ぶり。



お互い会わずに過ごした時間の長さを感じました。



友人の容体は落ち着いていて一安心。



胸を撫で下ろしたわけですが、色々な事を友人と話しました。



自分がその立場だったらとか、



その姿を見ることが辛いとか、



本人も見られたくないのではないかとか、



状態から察して、尋常ではない精神状態ではないかとか。



病名の特定にも至らず、今では意思疎通が全くできない。



病院側の説明では、声も聞こえているし、瞼を開ければ物も見えるとのこと。



一年半が経過したけど、状態は日に日に悪くなっていって今に至る。



自分がその立場になったらどうなんだろう。



考えることというか、正直想像ができない。



誰かが近くに居ることさえ、苦痛かもしれない。



僕はとにかく細かい事は考えないようにしてる。



とにかくこんなにも沢山の人間が見舞いに来ることが病院さえも驚いてる。



彼とは音楽の関係で知り合った。



笑いだけの時間を共有した薄っぺらな関係だけど、それぞれが共有した時間は



とても色濃く記憶に残っている。



彼とは本当におバカなだけのバンドを組んだ。



楽しくって、おかしくって、細かいこと一切抜き。



当時の映像を見ると、馬鹿すぎて、クオリティが低すぎて、恥ずかしいくらい（笑



でも、心の底から腹がさけるほど、くだらない事で笑ってた。



僕らが病の床についた時、これほどの人間に思ってもらえるだろうかと、



あらためて彼の人望というか、魅力を思った秋の箱根だった。







最近本当に高校時代の友人と会う機会が多い。



ま、バンドをやっていたので他の高校の連中とも沢山交流があって



何十年ぶりに酒を飲みかわして色々話すけど。



それぞれの今はあまり話題にならない。



結局、話の中心はそれぞれが共有した時間の話。



誰が、今何をやってて、どうなってるとか、それは一瞬で終わる。



ただの興味本位であって、それほどのインパクトはない。



結婚して、子供作って、こんな感じで過ごしてるみたいな。



結構、どうでもいい感じ。（笑



自分が知ってる頃から何かをずっと続けてて、今、どうなってるって話ならすげー！とか。



だって、自分の知らない空間で起きてることに興味ないじゃん。



だから、みんなも　「へー。そうなんだ。」と。



これは旧友の事に限るけどね。



全然、相手の過去を知らなければ、それはそれで別の興味があるけど、



とにかく彼らとは過ごした時間が



濃密過ぎて、そのイメージから脱却できないんだよね。



当たり前に皆、落ち着いて、大人になっちゃったけどさ。



療養中の彼も早く元気になって、またバカやりたいねと強く思ったよ。



以前に見舞ったときより、顔色もいいし、顔も手も温かかった。



ベッドの耳元に置かれた小さなスピーカーからルナシーが流れてた。



次は、彼とやってたバンドの音源を映像つきで持っていこうと決めたんだ。



きっと、やり直せるよ。



そしたら、バンドやろうね。